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『仮面ライダー555』感想13

(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第23話「恋の鈍器は913」◆ (監督:田村直己 脚本:井上敏樹
ホースはさくっと球根オルフェノクを撃退し、カイザ&ホースに2対1で攻撃を受けたエビは逃走。
…………そろそろ、某毒斎様に向けるのと同じような視線で見た方が良いのでしょうか、ラッキークローバー。
「俺は、人を襲わないから。人間を守りたいと思っているから」
「あー……、そうなんだ」
オルフェノクでありながらオルフェノクに攻撃を受ける勇治の事情を聞いた草加、自分で話を振っておいて、すっごく、つまらなそう(笑)
一方、
「くそ……くそ……くそ……」
琢磨は爪を噛んで泣いていた(笑)
……どうしよう、一気に凄く面白くなったぞ。
「馬鹿ね。女は打たれて強くなるものなのよ」
そんな琢磨をなぐさめ、謎理屈でメンタルゲージを回復させる冴子さん、まさか普通に面倒見がいい人だとは思いませんが、意外と普通に面倒見の良い人だったらどうしよう。
鳴り物入りで登場し、「強さ」がセールスポイントだった筈なのに、カイザとアクセルフォームの踏み台となって土台が崩壊しつつあるラッキークローバー(謎のもう一人が居ますが)ですが、むしろキャラクターとしては、「弱く」なってから急速に面白くなっており、キャラクターの魅力には要素の強弱というのが重要なのだな、と改めて。
配達品をメゾンオルフェノクへ届けに来た真理は、結花がひたすら海堂を褒めそやす居心地の悪い空間を脱出した所で勇治と遭遇。
「海堂も、根はいいヤツなんですが……迷惑なのが、わかってないらしい」
君はホント、他人の事はバッサリ行くな!
「あの……一つ聞いてもいいですか? 木場さんには、好きな人とか、居ないんですか?」
身辺でまだらの花が咲き乱れつつある真理は気になる勇治に恋の牽制球を投げつけてみるが、それは、勇治が“目を逸らして棚の一番奥にしまい込んでいるもの”に直撃し、人間関係をやや強引に繋げる触媒であり、半ばギャグとして用いられてきた惚れた腫れたのラブコメ要素が、ここで勇治の深奥に背中から突き刺さる、という絶妙に邪悪な構成に唸らされます。
これまで全部、ここで勇治を殴る為の鈍器を構成するピースであったのか、という勢い。
過去の恋愛を匂わせる勇治に、乙女フィルターでいい方に解釈した真理はそれを大事にし続けている勇治が「素敵だ」と伝えて帰宅するが、そんな二人を唇をひくひくさせながら見つめていた草加、勇治を背後からそっと抱きしめる(笑)
「良くないな……こういうのは」
厳密には、背後から両肩に軽く手を置いて耳元に顔を寄せて囁いているのですが、帰ってきた草加が地平性の果てまで振り切れる勢いで絶好調。
「君はオルフェノクだろ。女の子と親しくするってのは、どうかなぁ?」
真理とは距離を置いた方がいい、ともっともらしく忠告する草加
「君だって、君の醜い姿を、あの子に知られたくないだろう?」
「……醜い、姿……」
草加オルフェノクとしての外見を指摘しているだけですが、勇治にとっては、かつて恋人を殺めた怪物としての心の醜さに繋がる、というのも秀逸。同時に、他者の心理につけ込んでずる賢く立ち回ろうとする草加雅人という男が、他人の表面しか見えていない浅はかさ、が描かれているようにも思えます。
そこへ突然、ラッキークローバー候補生の球根オルフェノクが襲来するが、草加が迎撃してカイザに変身。カイザナックルは初使用と思われますが、これもファイズの追加アイテムと一緒に拾ってきた? カイザの二丁拳銃を受けて人間の姿に戻った球根は逃走をはかるが、回り込んで身柄を抑えるカイザ。
「さーて……どうしたものかな!」
さすがに、ライダーの姿のまま人間を恫喝するのはまずいという事になったのか、変身解除。命乞いする球根から、ラッキークローバーについて聞き出した草加は、なんと、ふーふー社長に直接渡りを付ける。
「恐らく、草加雅人は流星塾の秘密を知っている、唯一の男だ。この私ですら、知らない秘密をね」
社長とバークローバーで面会した草加は、ラッキークローバーに入りたいと要求し、社長からそれに見合った功績を求められる。ふてぶてしい草加にセクシータッチで揺さぶりをかける冴子だが、年上属性は草加に無効だ!
「お前達に、何がわかる……。俺の……何がわかるっていうんだ」
瞳に怒りを宿す草加の回想シーンが挟まれ、川下り中に事故に遭って母親を失った、と思われる描写。ここまでの情報から、流星塾は「九死に一生を得た」子供達を集めて何らかの英才教育を施していたのかと思われますが、社長が同窓会について質問し、社長が気にする流星塾の秘密というのも、そこに集約されていきそうな気配。
「これだけは言っておく。その事だけは口にするな。二度と……二度と口にするな!」
だが草加は同窓会について語る事を断固として拒否し、真理へと電話をかける……。
Bパート2分30秒経過して、巧、今回初登場。
クリーニング店で電話を受けた真理は、勇治の存在に焦る草加から呼び出しを受け、告白への返答を求られるが「ごめんなさい」。それを受け入れられない草加は「あいつは君にふさわしくない」的な地雷ワードを口走って恋愛レベルの低さを露呈すると、立ち去ろうとする真理の腕を強引に掴み、『鳥人戦隊ジェットマン』だったら強引にキスする展開ですが、なんだか心配になっていた巧がやってきて間接的に真理の唇を守る。
「こういう事は適当な所で切り上げるもんだ。じゃないと格好悪いぜ」
真理役の芳賀さんが当時16歳だったりで、色々ブレーキがかかった気配でホッとしましたが、そもそも当時16歳の子に、よくもこんな立ち位置のヒロインを演じさせたもので。
真理は走り去り、降りしきる雨の中、草加のパンチを正面から受け止める巧。
「わかんねぇのか? 似合わねぇんだよ! おまえと真理じゃな」
「俺は……必ず真理を手に入れてみせる。真理は……真理はな! 俺の母親になってくれるかもしれない女なんだ。俺を救ってくれるかもしれない女なんだ!」
ゴスペル風女声合唱という戦隊やライダーでは珍しい気がするBGMに重ねて、衝撃発言に雷も鳴ります。
主要キャラが色々な形で「自分の居場所」を探している今作ですが、草加の根幹にある欠落は、回想シーンでも触れられた「母親」という事になっていくのか。
「救うって……何からおまえ救うってんだよ」
「…………お前の、知った事か」
睨み合いの末、目を逸らした草加は去って行き、取り落とされた大事な筈の真理の写真を拾って考え込む巧。勇治だけが原因なのか、旅先で何かあったのか、焦燥にかられて衝動的な破綻への道を突き進む草加は、冴子・琢磨・球根と共に、勇治へとその刃を向ける。
「残念だ。君とは、友達になれるかもしれないと思ったが。――変身」
「君は……やっぱり、ファイズと同じだったのか!」
4対1で一方的にホースが嬲り殺されるかと思われたその時、突如、球根がカイザを切りつけ、馬・混乱。手を組んだかと思われたカイザに襲いかかる球根だったが、あっという間に閃光Χの字斬りで瞬殺(笑)
前回のドリアンといい今回の球根といい、見るからに爆死要員なのですが、あまりにも扱いが酷い(^^;
ストーリーの連続性が強くて〔バラエティ性を有した怪人×1エピソード〕という形式ではなく、キャラクター主体である為に主要キャラクターは簡単に退場させるわけにもいかず、しかしヒーロー物のフォーマットとして出来る限りヒーローの戦闘シーンと怪人の撃破を描きながら進める必要がある、というジレンマになる要因がこの辺りでは上手く消化できておらず、今作の短所といえる部分が強く出てしまっています。
それでも、エピソードとしてのバラエティ性をねじ伏せる、“ストーリーとしての面白さ”がこの形式だからこそ見せられる形で成立しているのが、『555』の魅力といえますが。
改めて今作を見ていると、翌年の『ブレイド』にはかなりこの流れを意識している節があって、前半戦のアンデッド(怪人)の扱いが非常に雑だったのは、『555』と近い事をやろうとしたもののフォーマットをストーリーでねじ伏せられずに落とし穴に落ちた、という部分があったのかもしれません。
球根を焼却するカイザだったが、続けてムカデとエビも馬そっちのけでカイザを襲い、馬・困惑。そこへ駆けつけた巧がファイズに変身し、カイザ救援へと走る――でつづく。
場面移動が多い今作にしても、巧の登場が〔真理が草加から電話を受ける・後を追って店を出る(先と同じ場所)・雨中で草加と対峙する・救援に駆けつける(数秒)〕と非常に少ないのですが、当時スケジュール的にかなりハードだったらしいので、草加×真理×勇治に焦点を合わせつつ、巧の出番を絞って多少の余裕を、というような配慮でもあったのでしょうか。
次回――運命の天秤は草加をどこへ向かわせるのか?!