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『ウルトラマンオーブ』感想・第24話

◆第24話「逆襲の超大魔王獣」◆ (監督:田口清隆 脚本:小林雄次
夕暮れの街に、突如出現する地底怪獣軍団。そこへ降臨したオーブ嵐はオーブスラッガーランスを構えるが、怪獣達は何もしない内にバタバタと倒れてしまい……テレスドンの脈を取るオーブ。
怪獣って普通にそれで生死判定できるんだ?!
……まあレッドマン先輩の、頭部への蓄積ダメージで怪獣も殺せるとは、理屈が繋がっているような気がします。
そして、オーブスラッガーランスに見せ場なんてあるわけなかった。
次々と目撃されるUFO、日本近海を離れていく海の怪獣、12月だというのに連日の真夏日……首都圏を中心に異常な出来事が次々と起こる中、ナターシャとシンクロする光の巨人の夢を見たナオミは、夢の中で爆発に巻き込まれる寸前、何者かに助けられた所で、跳ね起きる。
「この世の終わりみたいなひっどい寝癖だなぁ」
机でうたた寝していたナオミを棒アイス食べながら傍観した上で、落ち武者みたいな姿で起き上がると、デリカシーの1ミリも無い感想を述べるガイさん、最終回直前でも、ホント残念。
相次ぐ異常現象は終わりの始まりなのか、シンとジェッタは太平風土記の原本にあたろうとして、郷土資料館(研究者である岸根教授宅?)に向かっていた。
「幾多の怪獣達について記された歴史書、太平風土記。その失われた原本が……この街の郷土資料館によって保管されているという事がわかりました」
……前回、タイトル検索したら2秒で場所が見つかったみたいなノリでしたが、いつの間にか幻の本に。SSPの取材ビデオなので多少話を盛っているのかもしれませんが、怪獣が出てくる前にツッコミによるエネルギー消費でカラータイマーが点滅しそうな勢いです。
ところが、岸根教授は2ヶ月前に死去しており、二人を迎えてくれたのは和服の老女、岸根夫人。
「生前、主人が申しておりました。太平風土記は、禁断の書。いたずらに公開すれば、この世、恐怖と混乱に陥れる。しかるべき時が訪れるまで、決して、公開してはならないと」
…………ええと、思いっきり解読データが流出していたのですが……考えられる結論はただ一つ、ハッキング?!
『太平風土記』に関しては、序盤の雰囲気出しの為の便利アイテムが実は重大なキーアイテムだったという仕掛けをやりたかったのか、便利アイテムで終わらないように物語の中に収めようとして終盤に設定を追加したのかわかりませんが、辻褄を合わせようとしたら却ってとっちらかった感。
天才発明家であるシンが古文書解読まで出来てしまうとあまりに便利キャラ過ぎる、という事で調整を図ったのだとしたらその意識は良いと思うのですが、これなら、興味本位でジェッタが買ってきた古本が次々と魔王獣と関連していてビックリ、とかでも良かったような。
その頃、ビートル隊日本支部では、菅沼長官が基地に拘束したジャグラーと面会していた。
「間もなく……最後の魔王獣が現れこの星は喰われる」
ジャグラーは2時間後に最後の魔王獣が甦ると情報を提供、時同じくして東京タワー周辺で急激な地盤沈下と共に天に伸びる異常な紅い光が発生する。
…………地球の地下に潜む闇の力で、八つの地脈が交差する東京タワーの地下から浮上してくるって……ドルゲ?(おぃ)
これを受けて政府は、観測史上最大規模の怪獣災害の可能性があると非常事態宣言を発令。
ウルトラマンオーブに倒されたマガオロチは幼体に過ぎない。あの時ヤツは地底にその命を託した。間もなく、地球そのものをサナギとし完全体になる。その名は――」
「マガタノオロチ」
東京タワーの直下100メートルに1万度を越える熱源が確認され、パリ本部からの指令もあり、ビートル隊は超兵器R1号による攻撃を決断。
ジャグラーの情報やR1号発射に関して対立する幕僚、繰り返し挿入される報道番組、避難する人々に大量のエキストラを動員、冒頭から都市遠景のカットで入って雰囲気を変えた後、ビートル隊の硬質な緊迫感と、シンとジェッタのどこか間合いのずれた岸根邸訪問による全体の緩急の付け方、など映画的な見せ方が続くのですが、思えば田口監督は、第12話においてマガオロチを警戒するビートル隊をちらっと出した時に映画的なカットで見せており、今作においてビートル隊が日常に対する非日常の存在といえるなら、ビートル隊が主観となった時に、映像がTVに対する劇場に寄る、というのは必然であるのかもしれません。
刻一刻とR1号の発射が迫る中、シンとジェッタは岸根夫人より太平風土記を託される。
「しかるべき時が来たら、これを貴方たちに渡してほしい。それが、主人の願いでした」
首をひねる2人に対して、ノートパソコンを広げてSSPのサイトを見せる夫人。
「近頃は少しはマシなサイトになったようだね」
ここで、SSPのこれまでの積み重ねが活きるというのは良かったのですが、物語をそう運ぶ意識があったならば、道中でもっとSSPの活躍や活動(意識)の変化を積み上げていってほしかった所。前回の感想で書いたように、物語の焦点がSSPから外れ気味になっていたので、正直、「え? マシなサイトになったの?」というのが勿体ない。
構成的にいえば、ゼットン娘かカフェの回かで(内容では無く話数のタイミング)、SSP3人に焦点を合わせてその変化を描ければ良かったと思うのですが、むしろそこでSSPが蚊帳の外になってしまっていたので。
そして夫人の言葉から考えると、岸根教授は「禁断の書」と言いつつも、故意に部分的な情報を露出させて、自分の元へ辿り着く者を待っていた、少々困った人だったという解釈で良さそうです。
ガイとナオミはビートル隊の日本支部へ急ぎ、ガイはジャグラーと面会してその真意をただす。
「恐怖にかられた人間ほどおぞましいものはこの世に無い。一度は闇の力に囚われたお前ならわかるだろう? 人間どもの闇の力がマガタノオロチを生み出し、この星を地獄に突き落とすのさ」
ジャグラーの狙いは、恐慌状態に陥った人々の感情、そしてそこから放たれた破壊の力をマガタノオロチ覚醒の引き金にするというものであった……今作ここまでの段取りからすると、マガタノオロチは「愚かな地球人」の支払うべき代償、という事になるのかなと思っていたのですが、最終回でもう少し踏み込んでくる可能性もあるので、とりあえず保留。ジャグラーの言葉自体は、 「世界中が君を信じてる」
に繋がってくるのかとは思われますが。
ジャグラーの言葉を聞いたガイがスライディングで外に飛び出してくる、というのはシャッターが開ききるのがもどかしい、という焦りが出ていて良かったです。
にしても、ガイとジャグラーの面会をセッティングし、司令部に民間人を伴って入室を許可され、渋川さんは、どれだけ上層部からの信認が篤いのか、さすが殺しのライセンスを持つ特A級ストライダー(渋川さんが、優秀、もしく特権を付与された隊員であるという描写は一貫しているので、渋川さん周りの描写に関しては違和感がありません)。
ビートル隊日本支部を飛び出して東京タワーへと急ぐガイだが、一足遅く、R1号が熱源に命中。そしてジャグラーの目論見通り、R1号のエネルギーを喰らい、マガタノオロチが地上へと出現する。
「星の全てを喰い尽くす超魔王獣、マガタノオロチだ。お前に倒せるかな」
周辺のビルを喰らいながら、魔王獣の力を振るうマガタノオロチに対し、ガイはオーブ雷へと変身して立ち向かう。
マガタノオロチのデザインは、球形の胴体から突き出した頭(と複数のサブ頭部)というフォルムが人の形を巧く隠しており、メイン頭部の形状や、触手状の表皮など、私の偏愛するビオランテに似た方向性も感じて、結構好き。欲を言えばもう一回りか二回り大きいと最高でしたが、さすがにTVでは無理か。物語の最後で、人型の格好良さよりも、異形である事を選んでくれたのも好印象。
「ジェッタくん……マガタノオロチに接近できますか」
「は? シンさん何言ってんだよ」 
「あいつの弱点を見つけるんです。今の僕らには……これがあります」
「そっか……俺たちには、まだ出来る事がある」
苦戦するオーブの姿に、太平風土記に望みをかけるシンとジェッタ。
ここで、“人間として出来る事”に触れられ、かなりストレートな台詞になっているのは作り手もその不足を感じていたのかなと思う所ですが、この台詞が最大限に活きるのは映像的にオーブがもっと敗色濃厚になってからである、というのが惜しい。大きな穴を二つ埋めに来てくれたのは良かったのですが、欠けたピースが綺麗にはまりきってくれませんでした。
オーブはオリジンとなるも、俺の必殺剣のエネルギーさえ飲み込まれた上に、大事なカリバーをかじられ、ぺっとされてしまう。その足下へと向かうシンとジェッタは攻撃に巻き込まれで瓦礫に埋もれ、オーブはグランドマガタビームに胸を貫かれ、光の粒子となって消滅……。
ビートル隊の基地を飛び出したナオミは瓦礫の中に倒れ伏すガイを発見して助け起こそうとするが、ビートル隊の警備を切り伏せ、変態紳士の超能力によりスーツ姿に戻ったジャグラーがその背後に現れる。
「しっかりしろ、ガイ? 実に、実に勇気ある戦いだった。だが、まだ終わりじゃないぞ。いいや、終わらせない。本当の地獄は、こんなもんじゃないぞ」
ジャグラーが遂にナオミの背中をずんばらりん! でつづく。
シンとジェッタのやり取りが早くなったのは、このシーンの印象を強める意図だったのかとは思うのですが、オーブ敗北→基地を飛び出すナオミ→勇を鼓してオロチに近づくジェッタ達→破壊に巻き込まれて気絶→ナオミがガイの元に辿り着く、の方が時系列としてもスッキリしたような。
なにぶんナオミ、ビートル隊の基地を飛び出した次のシーンで、オーブを倒したマガタノオロチが反転していく直後にガイの元に辿り着いてしまうので、“居るべきじゃない所で居合わせる。不注意の固まりみたいな女”としてのスキルが高すぎます(笑)
積み重ね不足などが響いて気になる点はあり、幾つか不満は書きましたが、ガラリと雰囲気を変えた前回の予告から盛り上げて、映画的な絵作りや構成がはまって決着に期待の高まる良いラスト1話前でした。
次回――
「ガイさん、もしあたしが死んでも、貴男のせいだなんて思わないで。ちょっとの間だったけど、あたし、貴男と過ごせて幸せだった。あたし……貴男の事を忘れない」
ナレーションが乙女な一方、映像からは、ジャグラーに斬られたキャップが謎の妖術で巨大なマトリョーシカに変わってしまったように見えるのですが、果たして真相や如何に?!
そして、さすらいの太陽は再び昇る事ができるのか!
オーブカリバーの、正しい使い方はこうだ!!(鈍器)