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『仮面ライダー555』感想15

(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第25話「流星、地の底にて」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹
啓太郎、ファイズとカイザを轢きかける。
惜しい!
もう少しでヒーローになれたのに!(おぃ)
啓太郎の運転する車に回収されて何とか逃げおおせる巧だが、草加は連れ去られ、2本のベルトも奪われてしまう。草加が目を覚ますと、社長一行はふーふーしながらみんなで楽しくお食事中。
「あともう一本、デルタのベルトさえ手に入れば、王を迎える準備が整います」
同窓会について改めて質問された草加は、返答を拒否すると冴子にフォークを突きつけて人質にしようとするが、それを皆で嘲笑う絵が凄くいやらしく、社長は一瞬だけオルフェノクの姿を見せて草加を叩きのめし、強いぞふーふーオルフェノク
気絶した草加を閉じ込めた社長は、殊勲をあげたお笑い兄弟に対して、木場勇治を倒した方をラッキークローバーとして推挙する、と持ちかける。
「これからは、ライバルっすね、先輩。遠慮しませんよ。絶対俺の方が先に、木場勇治って奴を倒してみせますから」
動揺を隠せない海堂に対し、あっちにもこっちにも天秤が軽い後輩(笑)
一方、社長の行動にいよいよ疑念を強くした巧は、掃除会社の制服を借用して、啓太郎と共にスマートブレインへ潜入。スマートブレイン社の清掃を請け負っている会社がクリーニング店のお得意さんだった、というのは定番ですが、お助け何でも家業を標榜する菊池クリーニング店の在り方が、情けは人の為ならず、と物語の中で意味を持って回ったのが良かったです。
段々とステルスアクションと生身戦闘の熟練度が上がっていく巧は、琢磨にモップ(攻撃力+10)によるバックアタックを成功させ、クリティカル表が3回転。草加を救出し、琢磨の追撃から逃げる2人は、隠し扉の先にエレベーターを発見して地下空間へと降下し、そこで思いもつかぬ光景を目にする。
「ここは……流星塾だ」
深い地下へ降りたエレベーターの先には、薄暗い学校の廊下と教室、という、非常に不気味な映像。本当にスマートブレインの地下にあった流星塾ですが、幾ら小学生でも地下施設で育てられたら大人になってから疑念を抱きそうですし(少なくとも真理は、自分の過去置かれていた環境を不思議に思っているように見えない)、この辺りは何か説明がつくのか、或いは元々は地下には無かったのか?
内部を探る巧と草加は、ベルトをつけられた作業員(中年)を発見するが、男は砂になってしまい、ベルトも消滅。草加が「父さん……」と見とがめた怪しい人影を追った2人は、もう一人の作業員(青年)を発見するが、やはりベルトをはめられていた青年は、まるでカイザギアの使用者のように、砂になって消滅してしまう。
ほんのちょい役で飛び飛びの登場ながら、予想を遙かに超えて長生きした作業員ズ、とうとう死亡。ほぼ名無しに近いキャラクターが、約半年に渡って物語に関わる、というのは東映ヒーローでも相当珍しい作劇でしょうか。
そこへ、社長命令を受けた琢磨と冴子が姿を見せ、逃げる巧達はこれまた不気味な雰囲気の理科室へ。……夏だし長石監督だし、今回は、怪談回だったのか!(笑)
そこで怪しげな溶液に浸けられたベルトを目にする巧だが、謎の男の声が響き渡る。
「そのベルトには触らないほうがいい。どうやら失敗作のようだ。さっきの男の二の舞になる」
「父さん……父さんだな。教えてくれ! あんたの本当の狙いはなんだったんだ。なんで流星塾を作ったんだ。俺たちに、何をさせようとしたんだ。父さん!」
その声の主は、スマートブレイン前社長にして流星塾を作った真理達の養父、花形なのか?! 何やら花形に対して疑念は持っていそうな草加ですが、呼びかけが「父さん」な所に、育ての親に対する慕わしい感情が見え隠れします。
「答えてくれ……答えろぉ!! なぜ俺たちにベルトを送ってきたんだ? 何が望みなんだ? 父さん!!」
無言の反応に激情を表に出す草加であったが……
「戦え。――戦え。そして勝ち続ければ、きっとその答がわかる」
駄目だこの人。
そこへファイズとカイザが入り込んでくるが、その時、別の扉を開けて姿を見せる二本角のオルフェノク
「父さん……」
役立たずかと思われていた父さんはアクセル神拳で二人のライダーと渡り合い、外れたベルトを回収して巧はファイズに変身。カイザのベルトも草加に回収され、冴子さん、超ピンチ。前回のお返しとばかりにファイズとカイザは一方的にムカデとエビを叩きのめし、ラッキークローバー、実質的に枯死。
這々の体で逃げ出す甲殻類節足動物を追いかけようとするカイザに対して、呼びかけるように響く声。
「雅人……戦え雅人。戦い続けろ」
これは実質的に、“隠されていたビデオメッセージ”……!(笑)
アルティメット駄目父ムーヴを繰り出して花形の気配が消えると、天井の羽目板が外れて(外されて?)、カイザはそこから落ちてきた新たなガジェットを手に入れる……。
その頃、「俺はおまえを倒す。今度こそ絶対」と、海堂はマンションを飛び出し(何度目だ)、追いかけた勇治はワカメオルフェノクの攻撃を受けるも撃退。力による栄光に囚われていく後輩は結花を人質に取ると無抵抗の馬を一方的に攻撃するが、結花を救出した海堂がそれを止める。
「やり方が、きたなすぎんだよ、おめぇ」
「貴様……人間を捨てろと言ったのはおまえだろう?」
警官コントじみていた前回の今回で、後輩の豹変があまりに早すぎたのは引っかかる所で、分割展開による尺の限界を感じます。元人間がオルフェノクの力に溺れる姿に関しては、非常に戯画的な表現をしている、と見れば良いのでしょうが。
「馬鹿野郎……だからといって簡単に捨ててどうするよ! 人間を捨てようと思っても……捨てられないところが、俺様のいい所だよ」
哀しみと怒りと、中途半端な自分への自嘲が入り交じって、海堂さんがいい芝居。
ここで海堂の言う「人間」には、そのまんま「ギター」が代入できるのですが、究めようとした道を絶たれて諦めるしかできなかった男、という背景が、それでもすがりついてしまう所に生じる人間味と上手く重なりました。
「は?」
「とはいうものの、やっぱ俺様にも責任はあるよな」
結花をお姫様だっこして2話続けてたくましい姿を見せる海堂、丁寧に結花を降ろすのですが、額が壁、というのはどうなのか海堂(笑) 詰めの所で、どうも雑だぞ海堂!
「殴りたきゃ殴れ……好きなだけ殴れぇ!」
海堂はオルフェノクとなるも敢えてノーガードでワカメに殴られる事を選ぶが、途中で目を覚ました馬が横から攻撃して、ワカメは逃亡。馬は終始、ワカメに対する攻撃が普段から3割増しぐらいで容赦ないのですが、何が気に入らなかったのか。
「ふざけやがって……俺はまだ諦めねぇぞ。俺のこの手で、全てを支配してやるんだ」
暗い情念を燃やす後輩だが、そこへ姿を見せる、通りすがりの 辻斬り カイザ。
この期におよんで、後輩の変身ポーズが海堂の真似なのが切ないのですが、なにこの不幸すぎる出会い。
(戦え……そして勝ち続ければ、答が見つかるだろう)
父の言葉に突き動かされるように、地下で入手したダブルポインタを装着したカイザは、カイザダブルキックでワカメを焼却。
カイザとしては新技なのですが、基本、ファイズの円錐キックと一緒なので、地下迷宮で手に入れたお宝の割には、パッとしない強化。まあファイズのアクセルフォームほど、スーツデザインから変えられない都合はあったのでしょうが。
その地下迷宮で消滅するベルトを見つめる花形……帽子が特徴的な花形ですが、見た目は天本英世のイメージなのでしょうか。
なお前回の次回予告から、草加(及び流星塾のメンバー)は、小学生時代に既に改造済みなのではと思ったのですが、特にそういった描写は無し。謎が深まる流星塾、そして花形の真意とは?! あと巧と草加は、流星塾からどうやって脱出したのか。


◆第26話「紅い炎のデルタ」◆ (監督:石田秀範 脚本:井上敏樹
部屋割りが気になる勢いで、今日も凄く普通に朝食をご一緒している草加。だいぶ落ち着いた真理から「父さん」の話題を振られると、巧にアイコンタクトしながら綺麗事で誤魔化し、「でも流星塾は楽しかった……悪い思い出なんて、なにひとつない」とまとめる、男意気。
啓太郎に流星塾について聞かれた真理は、よくちょっかいをかけてきた少年・澤田の名を出し、ダメンズハーレムの新たな構成員の予感です。
その頃、ふーふー社長はしおれたクローバーに厭味を飛ばし、地下に居たオルフェノクは前社長の花形であると説明。
「この世には、二度と這い上がれない、闇というものがある」
そして自ら、ラッキークローバーの新メンバー選抜を急ごうとする。
「やはりラッキークローバーは、4人揃ってこそ幸運の花」
運か! 運のステータスが下がっていたのか!
菊池クリーニングでは、草加が巧に秘密を念押し。
「わかってるとは思うが、君には無神経なところがあるからな。一応いっとく」
「一言余計なんだよおまえ。でもいいのか黙ってて」
「父さんがオルフェノクだったなんて言えるか……? だから無神経だって言うんだ」
前回の反応からは微妙でしたが、花形=オルフェノクというのは、草加も初めて知った様子。その割には草加の態度にはショックが薄いのですが、草加オルフェノクに対する反応は、この先どう転んでもいいようにかなり幅を取っている感じ。全体的には、人間/オルフェノクというより、俺のことを認めてくれる奴(殴らない)/俺のことを認めない奴(殴っていい)、で二分しているというか。
流星塾の同窓生・里奈からデルタのベルトに関する連絡が入り、草加、巧、真理は外出。存在を蔑ろにされている気がしてきた啓太郎は、自分の派閥を増やすために新たにアルバイトを募集する。
「デルタギアの力は最高なんだ。変身すればわかる。あの力は、全てを支配できる力なんだ」
里奈の元へ向かった草加一行は、やたら言行が荒っぽくなった塾生・徳本と再会。真理は塾生達がデルタのベルトで変身してオルフェノクと戦っていた事を知るが、塾生達はデルタギアの力に魅入られ、狂気に蝕まれつつあった……。
一方、新たなオルフェノクが路線バスを襲撃して大量殺人を行い、社長はその力の確認を冴子に依頼。北崎が認めなければラッキークローバーには入れない、と今回、北崎の名前が改めて強調されるのですが、ジェイを認めていた人だと思うと、審査基準ガバガバの気がしてなりません。
……もしかして、犬好き?
<現在の劇中情報から推測される北崎像>

  • ラッキークローバー最強の男
  • 触れたもの全てを灰にするミダスタッチ(灰)の使い手
  • ちょっと気むずかしい
  • それでも同僚のバーに顔を出すまめな性格
  • 新しく生まれたオルフェノクについて電話連絡してくれる律儀な仕事人間
  • 犬好き ←NEW!!

ラッキークローバーに新たなメンバー候補が登場する一方、菊池クリーニングにはバイト募集の貼り紙を見た少女が訪れていた。
「おまえ……もしかして猫舌か?」
「はい、すいません」
「――乾巧だ。よろしく」
またも流星塾には爪弾きにされて帰ってきた巧、仲間を見つけて超爽やかに挨拶。
新たなクローバー候補生の新人オルフェノクは、行く先々で折紙を燃やしながら、ヘッドホンで聞く大音量の音楽に乗せて大量殺人を行うという、グロンギめいたノリ。これまでのクローバー候補生がどれもこれもポンコツ気味だったのと対比する意味合いもあってか、殺戮シーンがかなり印象的に描かれており、真打ち登場の雰囲気が漂います。ミステリアスな雰囲気を出すために、目深に被った帽子と大きなヘッドホンで顔を隠しているのが、今見ると逆にR良太郎に見えるのはご愛敬(笑)
殺戮の現場となったライブハウスに紛れ込んでいたカエルオルフェノクは、身内意識の無い新人オルフェノクに戦いを求められて逃走。その途中、デルタギアを我が物にしようと持ち逃げしたと目される塾生・河内と出会い、河内を殺害。河内から助けを求められて駆けつけるも一足遅れた草加カイザと戦闘になる。
あまりじっくり映さない・一部を除いて登場時間が短め・意匠の取り込みがストレートでない上にモノトーンでヒントが少ない、とモチーフのわかりにくい事が多いオルフェノクですが、カエルは未だかつてないレベルでわかりやすく、謎の好感が(笑)
粘液を放って逃走したカエルを追ったカイザは、トンネルの手前で何かの気配を感じて後ずさる。後からやってきたファイズと共に目にしたのは、逃げ込んだ筈のトンネルから戻ってきて、紅い炎を噴き上げて消滅するカエルの姿であった……。
「デルタだ……デルタの攻撃を受けたオルフェノクは、紅い炎と共に消滅する……」
河内が奪って逃げた筈のデルタギアはどこへ消えたのか? 誰がデルタに変身しているのか? 謎めいた新人オルフェノクはラッキークローバーに加わるのか? 新たなライダー、新たなオルフェノク、極めて錯綜する新展開に、デルタの姿が見え隠れして、つづく。
次回――デルタギアを巡って激化する流星塾の内紛、そして逆襲のムカデ。ラッキークローバーに栄光あれーーー!!