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『宇宙戦隊キュウレンジャー』感想・第8話

 先週分。
◆Space.8「司令官ショウ・ロンポーの秘密」◆ (監督:竹本昇 脚本:毛利亘宏)
 5つのモアイ基地が密集した地域へ攻撃を仕掛け、雑な代官を雑に撃破していくキュウレンジャー。一気呵成に幕府のプラネジウム抽出に打撃を与えようというショウ司令の指示であったが、その強引な作戦行動に疑問を感じるスパーダは、基地の防衛そっちのけで収容所の食料を奪っていく代官の姿に気付き、作戦行動中に単独離脱。
 「モライマーズを壊したって、ダイカーンを倒さなきゃこんなありさまだ。僕はここに残って、ダイカーンを倒す」
 重要なのは基地の破壊よりも、人々を一歩ずつ圧政から解放する事だと考えるスパーダは、司令の命令を拒否。
 「司令、いい事を教えてあげます。厨房では誰もシェフに逆らえない。言っていいのは、ウィ、シェフ! という言葉だけ」
 「ウィ? シェフ?」
 「僕はキュウレンジャーである前にシェフ。目の前に腹ぺこの人が居る限り、そこは僕の厨房になるんだ! 誰もシェフに逆らう事は許さない。返事!」
 「ウィ、シェフ!」
 「以上、通信終了。チャオ」
 にこやかに言い放つスパーダが軽い狂気を覗かせるのですが、そんなスペースシェフにはこの言葉をお返ししたい。
 「スパーダ、いい事を教えてあげよう。作戦行動中は誰も上官に逆らえない。言っていいのは、サー・イエス・サー! という言葉だけ」
 今回のエピソード通して、「組織の大義」と「個人の信念」の絶対の正解なき対立を描いているのですが、スパーダが個人の信念に基づいて行動する事の根拠を厨房の上下関係に例えてしまうので、はからずも自分の信念で他者を踏みにじってしまっており…………あれ? おまえのやっている事はあいつら(宇宙幕府)と同じだ!!
 ……というのは極端にしても、戦場で上官命令を拒否するスパーダが、厨房では自分の指示を拒否する事は許さない、と言ってのけるのは、スパーダ流のたとえ話にしても、やや釈然としません(笑)
 そもそもリベリオンの組織構造及び指揮系統が謎・各人のリベリオンへの帰属意識が謎・ショウ司令の権限が謎、とリベリオン関係は謎だらけだった割に、皆これまで何の疑いも抱かずに司令に従ってきたのが不自然だったのですが、こういう展開を予定していたなら、それぞれもっと長官への不審を描いて蓄積しておいた方が良かったような。
 大枠でやろうとしている事はそこまでおかしくないのですが、例えば現状チャンプが大義の為に私怨を呑み込みまくっているだけに、全体の不協和というか、言ってしまえば、大人数を制御しきれない状況だけが目立ってしまいます。
 「手間がかかる……いや、昔の私も同じか」
 スパーダは後を追ってきたラッキーとハミィと共に収容所で炊き出しを始め、ウオキュータマを使ったら何もない虚空に実物の魚が生じたのですが、これ、物凄く、キューエナジーを消費しているのでは(^^;
 そこに悪代官が現れ、「行こう!」「「ウィ、シェフ!」」という小ネタは良かったです。
 メンバー半減しつつも順調にモアイ基地を破壊した橙青桃だが、投石少年・小太郎が幕府兵に追われているのを見つけたサソリが離脱し、ここでサソリが縁のある少年を気にして助けるのも良かったところ。サソリは「俺を、キュウレンジャーに入れて!」と頼んできた小太郎をひとまずオリオン号へと連れて行くが、その間に、2機でモアイ基地の攻撃に向かっていた青桃ボイジャーが、イカタコに撃墜されてしまう。
 その頃、ラシンバンキュータマ入手の為に地球を離れていた金銀黒はキュータマ求めて洞穴でドタバタ騒ぎ、と、分割進行を小刻みにテンポ良く徹底したのはなかなか面白い事に。
 ボイジャーを狙撃により一撃で撃墜、と初めて納得できる強さを見せたイカタコは青桃へと襲いかかり、慌てて救援に戻るオレンジ。そして司令は、代官と交戦中の赤黄緑にも、そちらへ向かうように指示。
 「早く救出に向かうんだ! これは命令だ!」
 「そんな事できるわけないでしょ?! 僕らは宇宙の解放の為に戦ってるんだ! 目の前にお腹を空かせている人がいる。泣いている人がいる。敵がいる! ほっとけるわけない!」
 ショウ司令の命令を拒絶した赤黄緑は、戦いの末に3人スタークラッシュで悪代官を撃破。遅れて救援に回ろうとするが、長官からの無情な通信が入る。
 「スティンガーがやられた」
 ワシと犬に続き、死んだ魚のような目で地面に転がるスティンガー。
 「スティンガー達を救出して、すぐに逃げろ」
 「「「え?」」」
 「君たちでは、イカーゲンとマーダッコには勝てない」
 「そんなのやってみなきゃわかんねぇだろ!」
 前回まではデフォルトのカーソル位置が「はい」だったのが、今回は「いいえ」になっているようで、即座に赤が反発するのですが、既に3人敗北している状況からはどう考えても救出優先の指示の方が正しいと思うんですが。
 また、それはそれで定番になりすぎるので避けたのかもしれませんが、
 仲間の戦力ダウンを気にせず個人行動に走る黄、ボイジャーとしては最大戦力なのに真っ先にそれを追いかけてしまう赤、何故かそれについていく緑、小太郎を助けるのはまだともかくオリオン号まで戻ってしまう橙、被害者枠とはいえますが戦力激減にも関わらず調子に乗って2機だけで行動する青&桃、とここまで全員が全員、目の前のニンジンしか見えていないなら、地球に来てから連戦連勝で慢心するキュウレンジャー、という形にした方がスッキリしたのでは。
 「これは命令だ!!」
 「命令って……」
 「たった一度の命令違反が、組織を壊滅に追い込む事だってあるんだ。それを肝に銘じておけ」
 司令はやはり、軽薄を装いながら大事の為に小事を切り捨て、その業を全て背負うつもりでいる気配が濃厚に。どうやら今作、“組織の司令官”という立場を主題の一つとして描いてくれそうな雰囲気があるので、そこは期待。思えば明確な司令ポジションが居るのは『獣電戦隊キョウリュウジャー』以来となりますが、司令官というキャラクターは描いても、司令官という立場、について掘り下げるというのはあまり無いように思うので。……まあ今回、司令のマネジメントはマネジメントで問題ありなのですが。
 そういう点で物語としてのポイントは、「選択が愚かかどうか」ではなく、「選択の結果をどう受け止めるか」なのですが、司令と構成員の関係性の中で上手く着地させてくれると面白い。
 いずれも瀕死で囚われた青桃橙の姿を見た赤黄緑は、結局イカタコと戦闘に突入するが、タコの再生能力とイカの先読み回避? に翻弄され、変身解除級のダメージを負ってしまう。
 登場当初から強敵描写の物足りなかったイカタコですが、今回はボイジャー撃墜に始まり、長い尺で戦闘を一方的に進め、ようやく立ちはだかる脅威として存在感が出てくれました。
 「悲しイカ? お前達はここで死ぬ運命だ。覚悟はいイカ!」
 「ターコが」
 ラッキーの、よっしゃーラッキー発動による不意打ちさえも受け止めたイカ銃口が倒れた3人に迫るその時――
 「待て!」
 なんとショウ司令自らが、地球へと降り立つ!
 「おまえが来るとはな」
 「久しぶりだな、ショウ・ロンポー」
 「今キュウレンジャーを失うわけにはいかない」
 言動から匂わせていた通りにイカタコと旧知であったショウ司令は、リュウキュータマをその杖に填め込み、振り上げる。
 「ウィッシュ! アポナスター!」
 一瞬、
 戦場で口にしていいのは「ウィ、シェフ!」だけ!
 かと思ってビックリしました。
 「龍の道に生き、龍の道を進む。私がやらねば誰がやる! リュウバイオレット!!」
 キュウレンジャーとは違う掛け声で、ショウ司令は紫の戦士に変身。「私がやらねば誰がやる!」という言葉からは革命組織の指揮官として背負うものを感じますが……それにしても、変身早かった!
 顔の意匠が結構格好いいリュウバイオレットはイカタコへと立ち向かい、イカに初のクリーンヒットを与える! でつづく。
 公と私の信念の衝突、というテーマは作風からも悪くないと思うのですが、どうにもエピソードの積み重ね不足。次回どうやら、若きショウ・ロンポーの独断専行が一つの組織(先代リベリオン?)を壊滅させた苦い過去が語られそうですが、色々早いなぁ……。
 予告の時点で既にフォームチェンジしているので、リュウバイオレットについては次回まで保留。
 流れとしては、ショウ司令を含めて改めて一つのチームとなるチームアップver.2に繋がっていきそうですが、イカタコはいっそ、脅威のピークにその勢いで撃破してくれると、だらだら引っ張るより面白いかも。
 ゲスト少年の再登場は期待したい仕掛けですが、やはりラッキーは途中で死んで、その志を受け継いだ小太郎が二代目シシレッドになるのか!(わくわく)
 ラッキーといえば、複数の分割展開+スパーダと司令がメイン、という事情はあるものの、今回あまりにも無個性で、何に対してもテンプレートを煮詰めたような反応しかしておらず、もう少しどうにかならなかったのか(^^; ラプター回でも、スパーダとの大きな行き違いが解決されないまま、なぁなぁで流されてしまいましたが、ラッキー×スパーダの相性が悪いのかも。
 もう一つ非常に気になったのは、「スティンガーがやられた」に対する、ラッキー達のリアクション。司令も司令で「救出」前提ですし、さっさと殺してしまえばいいのに何だかんだ生かしたまま捕まえておく、という敵サイドの悪いお約束は仕方の無い面はあるのですが、劇中のキャラクターはそんな事は知らない筈なのに、「スティンガーがやられた」(言外で、青と桃もやられ済み)に対するリアクションが淡泊すぎて、幕府への反逆=死と隣り合わせ、という緊張感を著しく欠いてしまいました。
 ガルの一族は根切りにあった、という根幹設定とも繋がる部分ですし、世界観としてそういった殺伐さは維持してほしい所です。