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『ビーファイターカブト』感想30

◆第43話「闇の娘はBFビーファイターキラー」◆ (監督:石田秀範 脚本:浅香晶)
大甲神カブテリオスを操り、メルザードを倒して地球を守る僕らのヒーロー、ビーファイターカブト。3年前に腰を痛めたカブトさんが今も元気に戦えるパワーの源、それは、青汁ジュースと漢方薬だったのです。
月面の戦闘を衛星中継で見たとマックとリーがブラックアカデミアを訪れ、何故か花咲く健康談議。
一方メルザードでは、神頼みも破れて七転八倒するマザーが、闇の波動の力により、闇の一角獣戦士ミスティ・ホーンを生み出していた。
女性の顔出しで後頭部に馬という、突き抜けたデザインのミスティは、手下につけられたムカデとハチごとカブトンとテントウを次々と闇の棺送りにし、内部に囚われた4人は闇の恐怖による精神攻撃を受けて戦闘不能の恐慌状態に陥ってしまう。
「あら〜、中身もなかなかいい男だね〜」
救援に駆けつけたトンボとセミに続き、クワガーも変身解除級のダメージを受けるが、見た目も台詞回しもそこそこ妙齢なもののマザーから生み出されたばかりなので年下のミスティに対し、健吾のナチュラルモテパワーが発動。
「明日がまた晴れればいいねぇ……坊や」
それが僅かに時間を生み、健吾にトドメを刺す事なく、日暮れと共にミスティはメルザードへと帰還。
「心配しなくても朝はじきにやってくるさ。人間どもの心から希望という名の光を奪い去る朝が」
日はまた昇る、を逆手に取った台詞や、あだっぽい演技など、ミスティの描写自体はなかなか面白く既にビークラッシャーより余程印象的なのですが、世界を滅ぼす力を持ったクワガタイタンが敗れた後にマザーが場つなぎに繰り出してきた怪人、という時点で物語上の脅威として格落ちしてしまっており、出てきたタイミングが非常に残念。
瞑想から戻ってきたマザーが恐るべき闇の怪人を生み出す!→辛くも撃破するが今度はマザーが自らタイタンを! というのが構成としては常道なのですが、恐らくカブテリオス販促の都合と思われ、色々ぐだぐだ。
そしてそんな新怪人に虚仮にされるビークラッシャーの存在は、もはやキャップをなくしたボールペン、レンズの無い眼鏡、穴の空いたバケツ。
「甲平が、あんなになっちまって、どうすればいんだ」
「闇の新怪人とっても強い。勝ち目がないよ……」
一方、昆虫戦士は昆虫戦士で、冬なので今週も心が弱っていた。
マックとリーを励ます健吾だが、無理無茶無策の正面攻撃をばっさりと否定される(笑)
「俺には、甲平の代わりは出来ないってのか」
そこに、そっと紅茶を差し出すゆい。
「大丈夫よ、いつもお兄ちゃんを支えてくれてる健吾さんだもん。無理せずに、健吾さんは健吾さんらしくね」
「俺は、俺らしく……」
女子高生に諭され、20話ほど見失っていた自分を取り戻す健吾(笑)
まさかのクリスマス完全スルーだった健吾×ゆいの関係を拾ってくれたのは非常に嬉しかったのですが、この20話ほどの健吾とは、いったい何だったのか……河童事件がそこまで心に傷を残していたのか。
(俺は俺らしい戦い方を見つけて、このピンチを切り抜けるんだ)
改めてマックとリーに協力を求めた健吾は、ぽんこつトリオを結成して再びミスティへと挑み、「俺の作戦が、集中攻撃が通じない!」と言い出した時はどうしようかと思いましたが、さすがにこれはフェイク。3人まとめて闇の棺桶に包まれる寸前、アーマーの機能を一時停止して外部情報を完全にシャットダウンする事で、精神攻撃の回避に成功。
「どうだ、これが俺たちの、信頼と、団結の力だ!」
死んだふし作戦で驕れるミスティの不意を突いた3人は力の源である角の破壊に成功し、甲平と蘭も回復。駆けつけた甲平達からインプットライフルのパーツを渡されるというどうにも間抜けなシーンから、ぽんこつトリオスクラムによるクワガティックバスターを放ち、ミスティを撃破するのであった……もはやインプットライフルに全く最強武器のイメージが無いので、格付けから生まれる盛り上がりが何もかも霧と泥沼の彼方なのですが、シリーズ構成が悪い。
幻影に追い詰められて精神崩壊の危機に陥る甲平と蘭の描写(演技)も面白く、健吾話としては奇跡的に悪くなかったのですが、最終決戦間近のタイミングで、「俺には俺の戦い方がある」と没個性からの脱皮をはかる参謀役、っていったい。
エピソード単体としては悪くなかったのですが、健吾へのスポットとか、メダルの戦士の掘り下げとか、もっと早くにやっておくべき内容を最終盤の帳尻合わせに突っ込んできており、その帳尻合わせのタイミング自体が最終決戦へ向けた流れに水を差しているという、とにかくシリーズ構成の失敗が目立ちます(^^;
エリート気質かつ天然のモテ男は積極的にアタックを仕掛けてもよくある事で流されてしまうので、一歩引いて時節を待ち、心が弱った所で甘やかして肯定してやるところっと落ちてくる、という謀略により、ゆいちゃんは健吾の心の隙間に忍び込む事に成功……いい雰囲気になった二人を見て物陰では甲平が嫉妬の炎を燃やすのであった、でオチ。
ゆいと付き合いたいなら俺に勝ってからにしろ! と言いたそうな甲平ですが、その男は、生身の蹴りで岩石を砕けるので要注意だ!!


◆第44話「悪魔少女来たりて…」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:鷺山京子)
バイオリンのコンサートで来日したソフィーはユキオという野球少年と知り合い、年上の綺麗なお姉さんアタックをクリティカルヒットさせるが、コンサートを終えると少年が大事なグローブを捨てて「野球なんて興味ない」と言い出した事に違和感を覚える。
汗臭い野球よりも、年増のバイオリンよりも、同年代のガールフレンドさ、とユキオの豹変を軽く捉える博士達だったが、実はユキオは闇の悪魔獣ザダンの洗脳を受けていた。まるでハーメルンの笛のごとく、角笛の音色によって集めた少年少女達をザダンは洗脳し、その生命エネルギーを集めようとしていたのである!
「さあみんな、ザダン様に捧げる悪魔の呪文を唱えるのよ」
子供エキストラを大量投入し、演出的には雰囲気出して頑張っているのですが、だからどうして、ここで前半の構造に戻るのか……シリーズ構成の噛み合わなさがひたすら足を引っ張ります。
角笛で集められる子供達の姿が各地で目撃され、ようやく異変を認める無能応援団長とブラックアカデミア。マザーは子供達の生命エネルギーを大量に集めて東京を灰燼に帰させようともくろみ、ここに来て、自前のエネルギーすら用意できない姿に哀愁が漂います。
子供達を煽動する少女に辿り着くも、攻撃できないビーファイター。ソフィーは、ユキオ少年の野球への強い愛に呼びかける事を思いつき、野球コスプレで説得を試みる。
そう、この年頃の少年は同年代の小娘なんかより、ちょっと背伸びして年上のお姉さんに憧れている筈! 筈ったら筈!!
「ユキオくん! 君の夢が撃てるの?!」
女のプライドを賭けた説得が成功し、正気を取り戻したユキオの案内で悪魔の祭壇に向かったソフィーは、そこで囚われていた少女を発見。角笛を吹く少女は操られていたのではなくザダン自身の変装であった事が明らかになり、反撃開始。
「子供達には未来がある、夢がある! その夢が、悪魔の力を打ち破ったのよ! 子供達の心を踏みにじり、悪に利用したザダン、許さない!」
ソフィー自身が芸事で身を立てているキャラクターなので、ユキオの大リーガーになりたいという夢と、世界的なバイオリニストであるソフィーの存在がもう少し重なればより良かったですが、アゲハの変身もヒロイックに決まり、洗脳音波の発信源である角を見事に破壊。これによりマザーの作戦は失敗に終わり、ザダンは連続攻撃からお花畑キャノンでフィニッシュ。
アゲハ回の分の下駄もあれば、戦闘力に関してザダンがミスティより弱かったのかもしれませんが、トドメを刺す武器も一定せず、闇の怪人の格付けも実に雑(^^;
特別面白いという程ではありませんでしたが、“子供達のヒーロー”である事を意識してきた『ビーファイター』の流れを踏まえ、子供という存在の大切さと強さを中心にテーマをストレートに描いて綺麗にまとめ、及第点の出来。
ヒーローと子供の関わりを中心に描きつつ、超能力少女めいた演出が恐らく意識して挟まれ、中期メタルヒーローのある一面を集約するようなエピソードでした(笑)