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『超人バロム・1』感想12

◆第17話「魔人ウミウシゲが君をアントマンにする」◆ (監督:田口勝彦 脚本:前川洋之)
サブタイトルのノリが段々、

「ドンホラーの息子が魔空城に帰って来た」
「学校から帰ったらぼくの家はマクー基地」

などを思い出させますが、順序でいうとむしろ、『宇宙刑事ギャバン』がこの流れなのか。
ドルゲはウミウシゲにアントマン補充作戦を支持し、伊東の山に立つ、なんだか『タイガーマスク』のOPにあったような気がする巨大なグリフィン?の像の足下から地上へ出撃するウミウシゲ。なんだこれ? と思って調べてみるもよくわからなったのですが……なんだこれ?
その頃、松五郎は空手部の後輩達の夏期合宿を指導していたが、その部員達がアントマン候補として狙われる事になり、一人ずつ姿を消していく……。
さらわれた部員を助けようとするバロムワンだが、打撃無効の粘着皮膚にバロムパンチを受け止められ、番組史上最大の危機に。絶壁から叩き落とされたバロムは更に粘着液をかけられて行動不能に陥り、満潮になるとそのまま海に沈んで溺れ死ぬという恐るべき窮地に陥ってしまう!
ここまで非常に高い属性防御力で戦闘を優位に運んでいたバロムワンですが、その割に攻撃力が低く、あまり笑ってしまうほど強いヒーローというわけでもなかったので、今回珍しくピンチになるのは、逆転のカタルシスを増幅させて良かったと思います。
「こうしている間に、罪の無い人が次から次へと……」
……アントマン化したらもはや手遅れという事なのでしょうが、その罪の無い人々を片っ端から首ちょんぱしたり真っ二つに割ったりしていたのはコプーは正義! ドルゲは悪!
リアルにマスクが海水に洗われつつ、接着された部分の岩を割り砕いて引きはがす、という力技でバロムワンは死地からの脱出に成功。地下アジトを強襲し、部員達の救出に成功する。
夏の浜辺でむさくるしい男だらけのアントマン増員作戦が失敗に終わり、ドルゲから左手のカッターを火炎放射器に改造されたウミウシゲは、もはや水棲怪人であった事を忘れ、伊東の街を無差別放火。
「罪なき善良な市民を、こんな目に遭わせるとは。正義のエージェント、バロム・1が、死んでも許さんぞー!」
だがなんと、バロム・1には炎が有効だった!!
第17話にしてバロムワンの弱点属性が判明するのですが、緑色か、緑色だからなのか。
実際に燃えている建物(角材などで簡易的に小屋のように見える物を組んだのか?)に挟まれながらアントマンを相手に立ち回り、そこに松五郎率いる空手部消防団が駆けつけて怪人に放水するという混沌とした殺陣は、70年代ならではの勢いを感じます(笑)
逃げるウミウシを追ったバロムワンは空中高速大回転により吹きつけられる炎を逆流させると、トドメはバロム爆弾パンチで脳天をたたき割って撃破するのであった。
…………もしかして、「爆弾パンチ」と「必殺爆弾パンチ」は別の技ではなく、特訓により「爆弾パンチ」がバージョンアップしたという事なのか……? ……映像的には、頭上から頭部を殴りつけるのと、横っ飛びからストレートを決めるのと、やはり別の技には見えるのですが……。
初参加の脚本家でしたが、ピンチからの大逆転、バロムワンが助けた空手部員達がバロムワンを助ける、という構造は今作にこれまで無かった味付けで良かったです。引き続き健太郎と猛の存在感が薄くなる一方なのは残念ですが、地元の女の子に格好つけようとして、それぞれバロムワンの正体について口を滑らせかけてツッコミを受ける、というのが入ったのも良かった。


◆第18話「魔人アンモナイルゲがパパをおそう」◆ (監督:田口勝彦 脚本:島田真之)
突然、ボップを空高く投げて猛と健太郎が高々と跳び上がり、空中で腕を組むという新バロムクロスが炸裂。
二人が加速をつけて人間離れしていくのですが、いずれ、戦う為だけの生物兵器になってしまうのか。
「ドールゲ〜。今こそ2億年の眠りから目覚めるのだ、 メルザード一族 古代貝アンモナイトよ!」
アンモナイトの化石から魔人アンモナイルゲを生み出したドルゲは、恐怖のアンモナイト菌で人間が大事にしている幸せをぶち壊せ、とファジーな指令を下し、たぶん電話帳で調べた幸せそうな一家の襲撃を命じる。アンモナイルゲの毒を打ち込まれた父は、他の人間に触れて毒をうつせば死なずに済む、という悪魔の誘惑を受け、人間の正義の心に挑戦するという要素が入ってきたのは面白い。
そして正義とは、前回の今回で、アントマンの顔面に槍を突き刺して抹殺する事だ!
前回はさすまた風で、今回は巻き貝の意匠が入った槍、とアントマン武装は長柄武器路線。
アンモナイトを追おうとして巨大蟻地獄の罠にはまったバロムワンは2話続けて窒息死を目論まれるが、大雑把に脱出。置き手紙を残して父が失踪した為さらわれそうになる母子を助けようとするが、アンモナイト菌を注入されて顔が青く変色してしまう!
毒で極端に弱ったバロムワンがさらわれた母子を懸命に追う姿が悲壮感たっぷりに描かれ、前回今回とヒーローとして路線修正してきた気配が窺えます。
「俺は死んでも構わない! こうなりたくなかったら、来るんじゃない!」
アンモナイトは、悪魔の誘惑を断ち切る為に人里離れた洞穴に潜んでいた父の元に母子を連れて行くと、今度は母子の方に自ら父に触れるようにそそのかし、これまでのドルゲの活動からはだいぶ異色なものの、悪辣さも含めてなかなか面白いシチュエーション。この葛藤をもっと中心に描いても面白かったとは思いますが、全体の作風の関係で、そこまで詰めないのが少々勿体なかったところ。
それにしても毎度の事ながらこの時代の作品は、30前後の人物でも戦後の混乱期をくぐり抜けてきている事になる為か、一般人の覚悟の決まり具合がフィクションにしても現代人とはだいぶ感覚が違うように思えます。
多分、家に猟銃があったら、自分で自分を撃っていた。
一家が絶望の淵に追い込まれた時、バロムフライもままならず崖を転がるように落ちながらも、洞穴に辿り着いたバロムワンが魔人とアントマンを一家から引き離し、苦しむお父さんを置いて、大好きなバロムワンを追う少年(笑)
猛・健太郎よりも更に年少の、バロムワンの大ファンであるゲストを置く事でバロムワンのヒーロー性を補強しているのですが、
お父さん < バロムワン
が容赦なさすぎて酷い(笑)
果敢に魔人に立ち向かうも、毒の影響で青息吐息のバロムワンは絶体絶命の危機に陥るが、その時、少年お手製のバロムペンダントが光り、突然のパワー回復。
……まあ、逆転の理由付けにあまり期待はしていませんでしたが、かなり徹底して追い詰めていただけに、残念な事に。今回やたら強調されるバロムペンダントは、少年自作の同人グッズと思われる割に、猛と健太郎が妙にすんなり存在を受け入れるのですが、実は知らない間にバロムワンが配って歩いている、コンドールバッジ的な何かなのか。
「な、な、何故?! 何故おまえに力が、甦ったのだぁ……!」
「最後まで私を信頼してくれた道雄くんの信頼のエネルギーが、宇宙の正義に伝わったのだ。おまえは宇宙の正義に敗れたのだ。人間の信頼のエネルギーにな」
いきなりペンダントが光って復活という描写は非常にがっくりだったのですが、そもそも友情のエネルギーというあやふやな力で動いているので、台詞の方は妙な説得力が(笑)
そして、宇宙が、おまえの敵だーーー!!
「いがぁぁぁーーーーー!!」
爆弾パンチを受けたアンモナイトは爆散し、お父さんは無事に回復して大団円。
毒に冒されながらも悪魔の誘惑をはね除ける父と、ヒーローを信じ続ける少年、という二つの要素が物語上で分離してしまい、どちらも中途半端になってしまったのですが、「家族の信頼と愛情」と「少年からヒーローへの信頼」を“人間の持つ正義”として綺麗に重ねる事が出来ていれば、今作コンセプトと合わせて大逆転の説得力も生まれたと思われ、惜しいエピソード。
プロット上はそういう設計だったのに、テクニック的な問題で巧くいかなかったのでは、という気もしますが。
正直ここしばらく低調だったのですが、前回今回はバロムワンの苦戦により自然と物語に緩急がついて悪くなかったです。後はもう一度、猛と健太郎を立て直してくれると嬉しいのですが、戦闘時に二人の人格が消えているからこそバロムワンを容赦なく追い詰める事が出来るようになった末の展開ではあるので、あちら立てればこちら立たずになりそうなのが難しい所。
次回、夏休みお化け屋敷回のようなので、スポットが当たってくれる事に期待。