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『宇宙戦隊キュウレンジャー』感想・第13話

◆Space.13「スティンガー、兄への挑戦」◆ (監督:杉原輝昭 脚本:毛利亘宏)
 「ぬるい。暴力……苦痛……恐怖……、それが支配だ。俺の毒にひれ伏せ」
 地球に降り立ったサソリ座系カロー・スコルピオの毒により、幕府軍も住民もまとめてゾンビパニックに。
 スコルピオの姿は将軍から得た力で怪人化したものと判明し、顔は映さないまま、その上から更に赤い仮面をつけているという描写はニュアンスが面白く、仮面と設定する事で片目だけを見せる異形としてのデザインも秀逸。
 デッドライジングな地球の様子に緊急出撃する、赤・紫・橙・黒・緑だが、戦闘中に感染した緑がゾンビ化して一時撤退。スティンガーが解毒できた事からスコルピオの毒と判明し、解毒剤の調合法をオリオン号に伝えたスティンガーは、スコルピオ追跡の為の単独行動を申し出る。
 大義の為に私情を殺し、組織の規律に真面目なチャンプは不満を見せるが、スコルピオとは何者かを聞いたラッキーが、アントン博士殺害の真相に気付く。幕府への反逆者としてアントンを殺したのは暗殺者スコルピオであり、チャンプが見たのは、博士を解毒しようとスティンガーが尾の針を打ち込む姿だったのだ。
 「てめぇ……なんでそれを隠してた!」
 「言った所でどうなる! 兄の罪は俺の罪だ」
 アントン博士に関する真実は、スティンガーの台詞も込みで、第3話時点で最も妥当性の高かった定番中の定番に。それ自体は別に構わないのですが、この10話ほど、無用なストレスを与えられていたチャンプに誰もフォローを入れず、革命組織の風は冷たい。
 「スティンガー、スコルピオを見つけたら、どうするつもりだい?」
 「まさか説得するとか言うんじゃねえだろうなぁ。……てめぇの正義はどこにあると聞いてるんだ!」
 「勿論、奴はこの手で始末する」
 つまり、フォージャスティス。
 悪は、完全破壊する。
 ひとまずスコルピオ問題は後に回し、まずは解毒作戦をスタート。スパーダが 食材 人を物陰に連れ込んだり、鉄砲玉が囮になったりと、それぞれの特徴を活かして、というのは今作で手が回りきらない傾向がある部分なので、良かったです。前作では微妙にキャラを掴めていない感じが気になった杉原監督ですが、今作ではローテ2人目に抜擢された事もあってか、そういった部分にはかなり力を入れている感じ。
 (あの時の兄貴は、もう何処にもいない)
 「兄弟で憎しみ合うなんて、本当は迷ってるんだろ?」
 リベリオン本部に研修旅行に送り出される事になっている小太郎が、離脱前にスティンガーとの絡みがあったのも良かった所。
 「あの野郎……なんで黙ってやがった」
 チャンプもまた感情の整理に戸惑っていたが、とりあえずそこに立っている髭の司令に雪崩式ブレーンバスターぐらいお見舞いしても良いのではないですかね。
そして全く悪びれず、全部把握していたスティンガーの過去を説明するショウ。
 「でも本当は、お兄さんを救いたいんじゃないかな」
 ――「戦いに心を奪われちゃいけないよ。誰かを、救いたいという心を失えば、おまえは、ただの機械になってしまう」
 その言葉に、アントン博士の教え、チャンプの戦士としての根源が浮かび上がってスティンガーの気持ちと重なる、というオーバーラップも、遅まきながらチャンプの立ち位置が確立して良かったです。
 「……あの野郎」
 チャンプは、幕府軍のゾンビ雑兵を迎撃する橙・空と再合流。
 「もう一度聞いてやる。スコルピオを見つけてどうするつもりだ!」
 「何度聞かれても答は同じだ。兄は俺が倒す!」
 「信じられねぇな。てめぇ迷ってんのバレバレなんだよ。てめぇが本当にやれるかどうか、我が輩がついていって確認してやる」
 「つまらん事を考えるな! これは俺の問題だ!」
 「うるせぇ! てめぇにとっては兄かもしれんが、我が輩にとってスコルピオは博士の仇だ! てめぇが出来なくても、我が輩がやる。だから……勝手に一人で背負ってんじゃねぇ」
 「…………おまえ」
 死者ではなく、生者を救うため、チャンプはスティンガーと共にある事を選び、かくしてここに、フォージャスティス同盟が結ばれるのであった!
 ……それにしてもスティンガー、心に隙間だらけだな!
 ラッキーが自己暗示が強力すぎて周囲にまで感染してしまう広域精神防御だったとすると、わかりやすいバリケードで身を固めるまさに甲殻類だったスティンガーですが、早くもあちこちから中身が覗いてしまっています。
 赤・紫・黒・橙・空はスターチェンジし、最初の出撃メンバーに選ばれるも真っ先にリタイア、クライマックスバトルには出番なし、とハミィ、不憫……。
 「「おまえらの運、試してやるぜ!」」
 戦闘には幾つか、前作終盤のアザルド戦の主観映像よりも更に明確に、いわゆるFPS視点の映像が入るのですが、しばらく前に公開された映画(『ハードコア』)の影響でしょうか? 日本公開が4月1日なので、直接見た影響というより、話題を知って取り入れてみた的な。
 「相棒! 行くぞ!」
 「誰が相棒だ」
 「肩を並べて戦うんだ。まずは形から入らねぇとな!」
 「ふん、勝手にしろ」
 うーん……チャンプの動機付けは理解できる範囲なのですが、あまりにも一気に距離感を縮めすぎて、今作ここまでの忙しさがまた悪い方向に出てしまいました。
 スティンガーを救う事でアントン博士を弔おうとするチャンプの心意気そのものは非常に格好いいのですが、あまりにもチャンプの掘り下げが不足していた為に、もう一つ劇的にならず残念。第3話における復讐の為の暴走イメージだけが強くて、その後はじっと我慢する男で他のキャラクターとの絡みもほぼ皆無だった為、いきなり、懐が広くて他人の心情に寄り添おうとする人物、として描かれると納得より先に困惑します(^^;
 そしてチャンプ明らかに、ラッキーより他者の心の機微に敏感。
 これを見つめるラッキーさんは、「いいコンビじゃねぇか」と凄く他人事扱いなのですが、あなた、第3話でチャンプと約束した「俺が全部なんとかしてやる! チャンプの仇討ちも手伝う!」はもう忘れていますか。
 ラッキーのこの「人の心の薄さ」は、自分でも割と謎なレベルで、燃え尽きるまで燃え続ける前のめり人生観として面白く受け止める事が出来ているのですが、こと「仲間」に関してはその場の勢いで無責任な空論(或いは自分でも実践できていない受け売りの理想論)を語っている感が強く、それに説得されてしまったナーガが可哀想すぎます(ナーガの重要な動機付けになったので本来ならそこは補強されないといけない部分なのですが全くされず、第2話は本当に癌)。
 「スティンガー、後悔だけはしないで。約束だよ」
 5人はオールスタークラッシュでゾンビ代官を撃破し、「お兄さんを救って」ではなく「殺っても殺らなくても後悔するな」という所に、小太郎の革命組織への染まりぶりと鋭い牙が見え、本部に研修に行く必要は果たしてあるのか。
 「…………ああ、約束する」
 そして黒×橙のコンビ化のもう一つの問題点が、明らかに橙×空の方が良いコンビという事で、キャラクターが多層的に絡み合う事自体は歓迎なのですが、もっと時間をかけた積み上げが見たかったというのが残念な点です。チャンプと小太郎の絡みがもう少しあったならまた色々と違ってくるのですけど、とにかくそういう手が回ってないので、これまで会話があったかどうかも微妙ですし。
 ゾンビ代官は巨大化して、龍帝王出撃。ところで、「龍が翼を得たるごとし」合体変形に1ミリも翼感が存在しないのが凄く気になるのですが、もっと良い決め台詞は無かったのか。
 龍帝王は小熊攻撃で有利に戦いを進めるも増援に基地ロボが出てくるが、これを8球合体で撃破。今回もまるで居ないかのように金銀は無視されましたが(桃はオリオン号待機)、今回で3人一時離脱するので、次回からは3つ余らなくなるのか(笑)
 逃げ延びたゾンビ代官は、スコルピオが尻尾を左足に巻き付け、装甲強化状態で跳び蹴りを放つと巨大なマークが壁面に刻まれる、という平成ライダーっぽい必殺キックでデリート。
 「また会える日を楽しみにしてるぞ――スティンガー」
 かくして小太郎はリベリオン本部へ、チャンプとスティンガーはスコルピオの情報を探る為に二人で別行動を取る事に。
 (兄貴……あんたの尻尾、必ず捕まえてやる)
 一旦11人まで増やした所から、即座に思い切ったリストラを敢行。一度見せた戦隊側の強さのピークを下げる事で、過剰インフレにブレーキをかけると共に、スコルピオに敗北するスムーズな理由付けにもなりそう。一方その頃……で幾らでも出せますが、コンセプトが瓦解しない程度で、一度シェイプアップしたのが良い方向に転がってくれる事に期待したい。
 次回――おどる大竜宮城でふしぎ時空が宇宙を侵食していく?!
 …………ええと、ご本人降臨なのでしょうか(『うたう! 大竜宮城』という浦沢義雄脚本の東映作品がある)、それとも妥当に、弟子の方なのか。
 そして、ハミィはコスプレで存在感を出せるのか。