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『仮面ライダー555』感想27

(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第38話「スマートブレインの危機」◆ (監督:鈴村展弘 脚本:井上敏樹
ファイズとカイザが揉み合っている内に気絶した巧は冴子に受け止められて姿を消すが、冴子の手を振りほどいて再びどこかへと消えてしまい、草加は真理と啓太郎から巧と戦った事を責められる。
「真理、乾の事は忘れろ。奴を信じれば君が傷つくだけだ。澤田の時のようにな」
「そんなことない! 巧は何度も私たちを助けてくれたんだから。今度は私が巧を助けてあげなくちゃ。草加くんなんかより、巧のほうがずっと信用できるよ!」
草加は思わず真理の頬を張ってしまい、家を飛び出した真理に謝ると、苦しげに口にする。
「もし……君の記憶が本当だったら?」
これまで巧や勇治に向けてきた悪意は明確ですし、他者の信頼関係にヒビを入れる事で現在の大変ややこしい状況を生んだ一因でもある草加ですが、“もしあの夜の惨劇について口にしたら、自分も真理も今信じている世界が崩壊してしまうかもしれない”というのは理解できる恐怖で、真実よりも守りたい現実がある、という心情が草加とはいえ共感の余地があるという状況設定が、ここに来て実に酷い。
一方で、これまでは主にかき回す側だった草加が情報の錯綜に振り回される形となり、他人の信用を傷つけて回っていた草加がそのしっぺ返しを受ける、という因果応報は容赦がありません。
……そういえば、だいぶ以前、ピザオルフェノクの回に、海老の攻撃で一度は死んだ勇治が、二度目の復活を果たした、と受け取れるような描写がありましたが、それも何か繋がってくるのか。
バー・クローバーでは久々に北崎が姿を見せ、投げる先からボードに届く前に灰になっていくダーツの矢、というのは印象深い演出。ダーツのまねごとに飽きた北崎はおもむろに琢磨の前髪を掴み、貴重な頭髪を灰に。
「やだなぁ、琢磨くん。僕のこと可哀想だと思わないの? 僕ダーツも満足に出来ないのに」
そこから話は勇治を倒すゲームへと移り、更に、巧を抱き込むのは無理なような気がする、とカウンターの隅っこでサボっていた社長に流れ弾が突き刺さる。
その頃、刑事コンビは連続ビル爆破/火災事件の防犯カメラに写る怪しい男を追っていたが、その男は草加からの連絡で巧を探す、三原と里奈の前に現れていた。
「今……デルタのベルトは、あなたが持っている筈だ。こちらに渡していただけませんか」
慇懃無礼なサラリーマン風の男はフジツボオルフェノクへと変身し、三原もデルタになるが、まだ踏ん切りが付かないのか、デルタの力を引き出せない三原はフジツボボンバーの直撃で変身解除。
「まずは、命からいただきますよ」
だがその時、通りすがりの巧がデルタに変身!
ファイズへの変身は拒むのにデルタにはあっさり変身してしまうなど、少々強引なのは引っかかりますが、さすがにあまりにも巧のライダーへの変身が無いのはまずいという事になったのか。
これまで、基本的に“恐怖”の象徴であったデルタが人助けの為に颯爽とヒロイックに登場するが、その中身は人間と怪物の間で揺れ動くオルフェノクの乾巧、というのは今作らしくねじくれつつ、結局は土壇場で他人の命を“捨て置けない”という序盤からの巧のヒーロー性は貫かれており、喧嘩殺法のデルタはまた新たな格好良さ。
デルタに蹴り飛ばされたフジツボ男は姿を消し、気絶した巧はひとまず三原と里奈に拾われる事に。
一方、添野刑事はこれまた物凄く久々に登場した娘が広げていたスマートブレインの会社案内に、問題の男が写った写真を発見。男は既に仕事上のミスで解雇したと告げる社長の態度を怪しむが、社長は裏でさっそく冴子に男の始末を依頼し、それに北崎が興味を示す……。
そうとは知らぬフジツボ男は、真理と遊園地で遊んでいた勇治の元に出現。フジツボに対して勇治はファイズに変身し、今回は割と派手に手を上げたので、前回はそこまで意図的ではなかった模様。
「教えてくれ! 君は、敵なのか味方なのか。人間なのか――オルフェノクなのか」
「……わからないんだ。俺にも」
倉庫の一角で里奈に手当を受けていた巧は目を覚まして立ち去ろうとするが、そこに響く声。
「その答は、私が教えた筈です」
バー・クローバーでの厭味の数々に耐えかね、遂に、社長出陣。
あれだけ自信満々だったのに巧が1ミリも思い通りにならず、どれだけ節穴なのか社長! その眼力と手腕で会社経営しているのだと思うと、スマートブレインの業績が凄く心配です!!
「あなたはオルフェノクだ。それ意外に生きていく道はありません」
「ああ、そうかもな。だがおまえの仲間になるぐらいなら、死んだ方がマシだよ!」
「……そうですか。私に恥をかかせるというのなら――命はない」
社長はローズオルフェノクへと変身すると、デルタに変身しようとした三原を張り倒し、巧を強襲。……社長オルフェノクは、体の造形がシンプルすぎて、普通にダッシュするとちょっと間抜け(笑)
一方、勇治ファイズフジツボをさくっとファイズナックルで焼却するも、そこに北崎が現れる。
「やだなぁ……僕の獲物だったのに。まあ、いいけどね。君を倒した方がもっと面白いし」
前回登場時はムカデをげしげしするだけだった北崎オルフェノクがいよいよ本格的に戦い、重厚感のあるフォルムから見せる重量級の動きが特徴的。苦戦するファイズはアクセルを発動して加速パンチを当てるが、角オルフェノクはまさかのアーマーパージ。軽装と共により凶悪な容貌と化した角オルフェノクはアクセルフォームを上回る驚異の速度を見せ、アクセル完敗という、かなりのインパクト。
初登場がギャグのついでみたいな感じだったので扱いの心配された北崎オルフェノクですが、本格戦闘では満を持しての最強クラスの力を見せつけてくれました。
そして真理は、北崎オルフェノクの姿に記憶をかき乱される……流星塾を襲撃したオルフェノクは北崎であり、それから真理を守ろうとしたのが巧?!
……て本当に、同窓会の勢いで夜中に大騒ぎしていた塾生達の一人(澤田だった気がする)が蹴ったサッカーボールが野宿していた北崎にストライクして、怒った北崎に虐殺されたのか流星塾。
オルフェノクはタイムアップしたファイズを踏みつけ、真理にその視線を向ける――。
一方、ウルフも社長の放つ薔薇の海に沈もうとしていた。モードエレガントした社長の、フィールド効果《私は薔薇より美しい》により連続攻撃を浴びたウルフは変身が解け、節穴オルフェノクは巧の首をねじり上げる……!
メンタルにダメージを受けた草加が体育座り中で、揃って大ピンチのまま、つづく。
巧がオルフェノクと判明、という一山を過ぎ、最終盤に向けて前回今回と散りばめていた伏線を次々と回収していき、懐かしの登場人物達が続々と登場。刑事コンビや添野娘など、あまりにも間が空きすぎてキャラクターとしての連続性が弱いのは残念ですが。
次回、澤田再登場、里奈変身?!、そして真紅のファイズ……と盛り沢山。
「仇を取らせてもらう……俺自身のな!」