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『宇宙戦隊キュウレンジャー』感想・第14話

◆Space.14「おどる!宇宙竜宮城!」◆ (監督:杉原輝昭 脚本:下山健人)
 サブタイトルから戦慄を生んだ浦沢義雄降臨はなく、穏当に『手裏剣戦隊ニンニンジャー』で毛利さんとタッグを組んでいた下山さん(弟子)が参戦。段々、東映の便利枠になりつつないか、下山さん。
 立て続けにキューレットに選ばれず、「本当に宇宙一アンラッキーな男は俺ガル……」とオリオン号のすみっこで真っ白な灰になるガル。
 キューレット=仕込みと考えると、ラッキー−ガルが派閥化して発言力を強めすぎない為に、片割れに手柄を立てさせないようにしつつ、一人を悲惨な状況に置いて同情を集めさせる事で、チームの結束を高めようという司令の邪悪な謀略です。
 そんな中、贅沢禁止令を出し、それに違反した人々を牢屋に閉じ込めている悪代官が、幕府御用達の娯楽宴会施設である、ぜいたくヘブン宇宙竜宮城に向かうという情報を得るキュウレンジャー。囚われの人々を救うべく、竜宮城にスタッフとして潜入して悪代官の身辺に近づく4人(青・金・銀・緑)と、悪代官の居ない隙に人々を解放する2人(赤・黄)に分かれて作戦スタート。
 潜入組の4人がごくあっさりとスタッフに偽装した上にセイザブラスターを堂々と装着、何かにつけてオリオン号や別働隊と連絡を取るなど、緊張感やディテールはすっぱり無視し、宴会場の青金銀、代官所に突入するも落とし穴に落ちて外に放り出され……を繰り返す赤黄、思いつきで宴会組をフォローしようとするも失敗を繰り返す司令とそれにツッコむラプター、とドタバタ劇が展開。
 割り切ったギャグ回ですが、天丼ギャグ担当の突入組が、代官所を放り出されて外の段ボールに突っ込むシーンがドンドン派手になっていくのは一工夫。あと、スパーダが帽子を落とす、被る、を繰り返したのもキャラクターとしての特徴付けになりました。
 ……え? ハミィ? 行方不明です。
 メイド風従業員コスチュームに身を包むも30秒ほどで宴会場を放り出され、以後全く出てこなくなるハミィは、いったい前世でどんな罪業を犯したというのか。コスプレ自体も、異常なほど燕尾服の似合うナーガにかき消されましたし。
 宇宙忍者の存在意義に審議ランプが灯る中、男だらけの宴会チームは、悪代官のもてなしに次々と失敗。機嫌を悪くした悪代官が退店しかけたその時、ラプターの気付きから司令の脳裏に電光のように閃く浦沢師匠の薫陶(え)
 「女の子、か……女の子ぉ!」
 司令は乙女キュータマを宴会場へと転送し、それを受け取ったガル、強制女装。
 そう、女の子がその場に居なければ、男が女の子になればいいのです。
 すなわち、浦沢義雄=女装、という論理的帰結。
 Q.E.D.
 まあ、女性メンバーに接待させて悪代官の隙をつく、というのはいかがなものかという面があるので、なるべくしてなった展開ではあるのですが、ガル女装の踏み台にされるハミィの扱いには、涙を禁じ得ません。これいっそ、ハミィとスパーダを入れ替えて、4人まとめて女装させても良かったのでは(笑)
 扱いの酷さは俺も負けない! とネタキャラ路線を転がり落ち不思議コメディ経由の女装に沈むガルだったが、その姿が悪代官にまさかのクリティカルヒット。ラッキーの励ましを受けた女装ヤクザは、悪代官のリモコンを奪って牢屋の鍵を開ける事に成功し、正体を明かすキュウレンジャー。どこからともなくいつもの格好で復帰したハミィが雑兵を引き受けている間に、逃げた悪代官を追って5人は合流する。
 「運が悪いなら、自分の力で運を掴み取る! そうじゃろラッキー!」
 不運を嘆くだけではなく、前を向いて進む事でそこに希望を切り拓く、世界に向かって牙を剥き立ち向かう魂こそが重要なのだ、とテーマ部分はしっかり回収。先日ラッキーに「責任取ってね」と退路を塞いだガルが早くもラッキーから充電を受ける事で、いっけん独り立ちしたように見せてむしろガルのラッキーへの依存度がますます高まった感じなのはちょっと気になりますが(笑)
 状況不利となった悪代官はモアイロボを召喚し、金銀龍の組み合わせでリュウ帝王出陣。あっという間にモアイロボを追い詰めるリュウ帝王だが、ロボは竜宮城を盾にして攻撃を避けようとする。
 「あいつ、宇宙竜宮城を盾にするなんてズルいっしょ!」
 「中には一般人が」
 「問題なーし。宇宙竜宮城のお客さん達は逃がしたから、後は好きに決めちゃって!」
 え。
 ハミィの活躍シーンが入ったのは良かったのですが……それは、民間企業の施設なのでは。
 ジャークマター御用達という説明はされたものの、「宇宙中の一般市民が利用」とも言及されていたのですが、跡形も残さず灰燼にして良いものなのか。少しでも幕府と繋がりのある商人は、焼き討ちされても自業自得という事なのか。そもそもリベリオンは法の外に居るので、損害買収請求など知った事ではないのか。
 おまえ、運が悪かったな!
 悪代官は、狼男でも構わない、とオオカミブルーにラブアピールして迫るが、「ごめんなさいガル!」され、3人スタークラッシュで消滅。モアイロボともども、宇宙の星屑となるのであった。
 「バランス、それはなんだ?」
 「宇宙竜宮城のお宝うぇーい!」
 そして、火事場泥棒。
 ……えー……今急に連想が働いたのですが、今回、悪代官が竜宮城に来るという情報の入手や、スタッフとしてあっさり潜り込めた事に理屈をつけると、竜宮城内部にリベリオン工作員が入り込んでいてその手引きがあった、と考えるのが自然であり……これ、悪代官に囚われた人々を助けるというのは建前で、その機会を利用して、竜宮城の売上金をリベリオンの運営資金にする為に強奪し、証拠隠滅の為に全壊させる、という押し込み強盗だったのでは。
 そう考えると、忍者であるハミィが宴会場で悪代官の相手をするのかと思いきや即座にスタッフに連れ出され、ようやく戻ってきたと思ったら普段の服装だったという不自然な行動に、ハミィにはそもそも極秘の別ミッションが与えられていたという事で筋が通ります。司令がやたらと混ぜっ返すのも、真の目的からジャークマター、そして真相を知らないメンバーの目を誤魔化す為だったのでしょう。そもそも余りにも不自然なキューレットの偏り自体が、何も知らないメンバーの意識をガルに集めさせ、ハミィの行動に注目させない為の仕掛けだったのです。
 Q.E.D.
 かくして恐るべき犯罪計画は成功に終わり、自らの怪盗行為もまたその目くらましの一つにされている事を知らぬバランスが開けた玉手箱からはもうもうと白煙が立ちこめるが、そもそも長命の種族であるバランスは、300歳から400歳になった気がするーとむしろ喜んで、オチ。
 次回――ハミィは今度こそ表の仕事で見せ場を得られるのか?! そして実は戦闘の見せ場がほとんどないワシピンクに活躍の場はあるのか?!