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『仮面ライダー555』感想31

(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第42話「人間の証明」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹
周囲の警官隊をなぎ倒して絶叫したクレインオルフェノクは結花の姿に戻り、男達の視線から逃げるようにその場を走り去る……。
「多分これから大変な事が起こる。オルフェノクと人間の間でな。……ま、当然といえば当然のことだがな」
「でもあれだよね。たっくんだってオルフェノクになったぐらいだから、俺たちだっていつかなっちゃったりして」
軽い調子で啓太郎が特大の地雷を踏んで菊池家の食卓に緊張が走る頃、メゾンオルフェノクでは海堂が荒れていた。警官隊を攻撃してしまった結花に冷たく自首を促す海堂だが、勇治は事態が結花一人の問題では済まず、今回の事件が突発的なものではないだろうと感じていた。
あくまで自分本位な海堂に対して、勇治が理性的で聡い判断を見せているのですが、スマートブレインとの問題が解決しない内に次の問題と直面する事になってしまっているのが、どうにも勇治の受け身で冴えないところ。
巧との対比でいえば、“自分がオルフェノクである事”を真に勇治が乗り越えているのならば、勇治はその先の問題に取り組んでいなければいけなかったのですが、まごついている内に巧に追いつかれる、という形になってしまいました。
これが物語としての失敗なのか、勇治の失敗なのかは、今後の展開を待ちたいところです。
その頃沢村刑事は、秘密施設に拘束中のオルフェノクを南から見せられていた。
「既に戦いは始まっているんです。人間と、オルフェノクのね」
「しかし、本当に驚きましたよ。まさか、あんな少女までが怪物に……」
「そこなんですよ問題は。オルフェノクに、人間性を認めてしまうと、事態は複雑になる一方です。そこで我々は、オルフェノクから人間を取り除く実験をしている。オルフェノクが人間に戻らないように。そうすれば、怪物を、怪物として処理する事が、できるでしょう?」
とんでもない事を言い出したーーーーーっ!!
既にオルフェノクの事を把握していた警察上層部が対抗策を研究していた、という終盤の仕掛けとしてはオーソドックスなものなのかと思っていたら、人類(の一部)は既に、オルフェノクをどう捉えるべきかを通り越して、どうすればオルフェノクを処理する建前をひねり出せるか、という段階を考えていた、という凶悪な展開。
南の元から戻った沢村は、怪事の裏で蠢いていた巨大な思惑の一部を知り、定年間近の添野を気遣い……急に個性を出すと色々と心配になるからやめて沢村!!
たまにしか出てこない上に演技の拙い、ほぼモブ同然で添野刑事の付け合わせのパセリだった頃の方が色々と安心だったよ沢村!!
意外すぎる人物が物語のメインストリームに飛び込んできている中、すっかり恒例となったバッティングセンターで、勇治は警察への出頭を考えている事を巧へ打ち明ける。
「やめといた方がいい。危険すぎる。……と言っても、あんたは聞かんだろうけどな」
「大丈夫。俺は、人間を信じたいし、信じてる。きっとわかってくれるさ」
……なんか勇治、人間とオルフェノクの融和を目指して相互理解の先陣に立とうとする聖人気取りなのですが。
…………千恵殺しを自首するわけではないんですよね???(そんな事をしたら明らかに、人類とオルフェノクの問題はこじれますし)
「おまえが行くなら俺も行くぜ」
そんな勇治に対して、たっくん、文句なく格好いいぃ。
たっくんは、時々むやみやたらに格好良くなるので困ります(困るな)。
「お前には色々と借りがあるからな」
「君がそんな事をする必要はない。……と言っても、君は聞かないだろうね」
「……ま、そういうこったな」
おだてるとすぐ調子に乗るけど。
一方、草加は思い詰めた様子の真理から相談を受けていた。
オルフェノクになるかもしれない、というのか」
「うん、不安なんだ私。過去に何があったのか、全部思い出したわけじゃないし」
「俺たちがオルフェノクになることはない。……失敗だったんだよ、実験は」
草加は真理にスマートブレインの実験について語り、澤田が巧に話した内容を裏打ち。合わせて草加が、ただ一人記憶の改ざん前に脱走していた事が明かされ、仲間の死について口を噤みつつも、巧や勇治達を利用しながらスマートブレインへの復讐に執念を燃やしていた、という形で接続。それならそれで共闘のやり方はもう少しあったと思うのですが、この辺りの辻褄に関しては、草加の性格、で強引に突破をはかる感じになってしまいました(^^;
ライバルというよりも、悪さを仕掛けて主人公の足を引っ張って転ばせる役回りだった草加こそが、70〜80年代的な復讐鬼ヒーローであり、脳改造前に悪の組織から脱走した仮面ライダー本歌取りであった、というのは相変わらずのねじくれぶり。
「ほんとなの? ほんとにほんと?」
「ああ、間違いない。俺たちは人間だ。ずっと、人間のままだ」
草加の断定に、安堵のため息をもらした真理はそんな自分に気付き、口を閉じる。
「……あたし今ほっとしてる。最低だね、あたし」
「……そんな事は無い。それが普通だ。いいんだよ、それで」
巧を受け止める家となった真理と啓太郎(それはまた、巧が自ら手に入れた家でもある)でさえ、“オルフェノクの中の人間性を認める”事と、“自分がオルフェノクになる”事には大きな隔たりがある、というのを容赦なく描いてきて、実に痛烈。
怪物の中の人間性に焦点を合わせてきた今作は、基本的に「人間である」事を肯定的に扱っているのですが、ではそれは、人間社会の倫理意外の何に優越性を裏付けられるのか――人間を人間たらしめているものとはなんなのか――が、返す刀で人間の側に突きつけられ始めます。
そして草加が執拗に巧へ敵意を向けるのは、自分が“踏み外しかけている”と自覚している故なのかな、と。
一度蘇生し、オルフェノクの印をその身に埋め込まれた、もはやただの人間とはいえない存在。
そこで草加には、“人間”の定義づけを拡大し、人間性を持ったオルフェノクを人間として認める事により、自身を“少しはみ出しただけの人間”と考えるか、“オルフェノクとなった人間”を徹底的に否定する事で、“オルフェノクになっていない自分”は間違いなく人間である、と言い聞かせるかの二つの道があって、後者を選んだのかな、と。
そう考えると第17話、
「俺は俺の強さを確認する為だけに戦ってるからな」
という言葉にはそれ以上の意味があって、草加にとってオルフェノクとの戦いは、自身が人間である事の証明なのかもしれません。
ならばそれは、巧がファイズとして戦う事で人間でいられたのと相似を為すといえ、巧と草加という、出会った時から馬の合わない二人は、正反対から同じ行為で人間であろうとしていたのか。
その頃、面倒に巻き込まれるのは御免だと、海堂は旅に出ようとしていた。
「そんな事より海堂さん、お願いがあるんですけど。一生に、一度の」
「なんだよ?」
「これから、デートに行きませんか」
「ふ、ふざけんな! こんな時に何を言っとるんだお前は!」
結花の真剣な様子に一度は聞く耳持つも、「デート」という単語を聞いた途端に興奮して拒絶し、全く違う話題を持ち出して誤魔化す海堂さん、マジ中学生男子……。
海堂自身の人間的器はともかく、その気もない相手に言い寄られても迷惑なだけ、という現実もまた存在しているのですが、それを結花にぶつけてくるのが実にまた容赦なく、中盤コミカルに用いられる事が多かった恋愛要素が、猛毒となって弾けます。
一生に一度のお願いを海堂にすげなく断られた結花は、啓太郎にメールを送りながら独りバスに乗り込む。
[お元気ですか、啓太郎さん。今日は、私の夢の話、聞いてくれますか? 好きな人と手を繋いで、ずっと歩いていく。その道には、水たまりがあったり、崖があったりするけれど、絶対に手を離したりしない]
[とっても素敵な夢ですね、結花さん。一度好きな人と手を握ったら、何があっても離しちゃいけない。僕もそう思います]
[ありがとう、啓太郎さん。……私、啓太郎さんに会いたかった。さようなら。お元気で]
好きな人と手を繋ぐ事がかなわなかった結花の姿は、警察署の中に消えていく……。
勇治と巧がマンションに戻ってくると、現実から目を逸らすかのように海堂は耳かきを探し続けており、巧は「警察へ行く」という結花の書き置きを発見。急いで警察に連絡を取った二人は沢村と接触する事になり、オルフェノクである事を告白する。
「じゃあ、君たちも、オルフェノクだというのか?!」
まさかの沢村が、とんでもなく重要な情報を得る役割になっているのですが、余命あと何話なんだ沢村?!
巧と勇治は、結花の代わりに自分たちが警察の聴取を受けると取引を持ちかけるが、結花の身柄は既に秘密施設に運び込まれようとしていた……このシーンで、結花の後ろ手にかけられた手錠がハッキリ描かれて、見ている側の精神をガリガリと削っていきます。
澤田同様に結花も人間の側から見れば大量殺人犯でありつつ、そこに感情移入させるのが今作の狙いなわけですが、結花の場合は特に、家庭に居場所がなかった未成年の女子、という境遇がきついところです。
……まあ一方で、境遇や環境は違うとはいえ異常なほどバイタリティの強い未成年の女子であるところの園田真理、という存在が配置されているのが今作の本当にえげつない所ですが。
「よーくいらっしゃいました。あなたの勇気は、まさに賞賛に値する」
「ここは……」
「何も心配する事はありません。我々の力で、あなたは人間に戻る事ができる」
変な腕組みで待ち受けていた南に拘束された結花は怪しげな実験を受ける事に。
「この実験がうまく行けば、被験者は二度とオルフェノクになる事はない筈だ」
南の発言は沢村に話していた内容とは真逆ですが、どちらが真の目的なのか、或いは現時点では両方とも研究を進めているのかは、不明。ところが実験により悲鳴をあげる結花に反応した隣室のカニオルフェノクが覚醒。手術室へと乱入して結花を救出し、この報が沢村を通して巧と勇治も知る所になる。
巧と勇治は警官隊の攻撃を受けながらも結花を連れ出したカニと遭遇し、走り去るカニを追う巧、警官隊に囲まれる勇治。
「お前達……お前達が!」
国家権力の理不尽な暴力に怒りを見せる勇治は、催涙弾を浴びながらも仁王立ちして久々に格好良く変身。
「長田さんに何をしたんだ!」
ホースオルフェノクは怒りのままに警官隊を蹴散らしていき、前回今回と、かなり人数を投入しての殺陣が、最終章の幕開けとして物量的にもハッタリを効かせてきます。
一方、逃走するカニは啓太郎に轢かれそうになり、その連絡で駆けつけた草加と三原が変身。追いついた巧はやむなくカニをかばって逃がし、カイザと衝突する事に。
「やはりな。しょせん貴様はオルフェノク。仲間をかばうつもりか」
これは草加とはいえ仕方ない反応ですが、両者が激突する背後で、何ものであったかのかわからないまま、カニは灰となって消滅。もはや何の為に争っているのかわからなくなった虚しい状況の中、カイザの左ストレートがファイズを捉えた所で、つづく。
薄幸系ヒロイン結花のナイト役を務めたカニオルフェノクの声は、クレジットによると松田悟志仮面ライダーナイト)の友情出演なのですが、前回今回で9割方「あー」とか「うー」とかして言っておらず、いったいぜんたい、どういう経緯で声の出演する事になったのか?! たまたま挨拶に来たら、折角だから出てみない? とか頼まれてしまったのか!
必死に結花を救出しながら、自身は一体どんな想いでどこへ向かおうとしていたのか明かされぬまま消えてしまうという、良い役ではありましたが。
前回今回と非常に重くて、またまたまとまりの悪い感想になってしまい、反省。その上で書き落とした布石が一つあって、三原と里奈が創才児童園でバイトを開始。いや看板にスマートブレインって書いてあるよ?! と思ったのですが、二人は同窓会の日の真実を知らないので、スマートブレインに対する警戒心は無いのか。と考えると、洗車しながら適当に聞き流していた草加が悪いのか(^^;
そして、各ライダーのビークルはもうお役御免なのか。
せめてバイクロボにはもう一度ぐらい見せ場が欲しいのですが。
次回――社長と南がまさかの接触