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『リトルウィッチアカデミア』一気1

#14−#15を録画失敗した後、電波状況が改善されてまた録画できるようになったのですが、テンション下がって溜めてしまっていたものを、一気見。
#16
「7つの言の葉を集めると、世界改変魔法の封印が解ける」
……って、それは、解いてもいいものなのでしょうか……?
その辺りの問題や葛藤は、見逃した2話で描かれたのか、これから焦点が当たっていくのか。
新キャラの先生は、公式サイトの文章とCMのモノローグから判断するに、道を違えたアーシュラ先生の旧友で、言の葉集めとは違う手段で世界改変魔法の封印を解こうとする野心家、みたいな感じ?
ロッテの実家で緑苔パンデミックが発生し、その解毒剤を作ろうとする過程で「忍耐」を学んだアッコが4つ目の言の葉に覚醒するのですが、1話にまとめる為に、少々無理をした感じ。基本的にキャラクターの成長を丁寧に描いている作品ですが、それ故に、1話の中で気付いて覚醒してミッション達成、みたいな作りになってしまったのはあまり今作らしくなかったかな、と。
#17
5つ目の言の葉を探すアッコは、カップヌードル先生のそれとない誘導もあり、何か騒ぎを起こしたくて仕方がないアマンダに引きずられる形で、男子校に潜入する事に。ところが魔女嫌いが幅を利かす名門男子校では強硬な魔女排斥派がカルト化しており、正体のバレたアッコとアマンダは大ピンチ。
ドタバタ騒ぎとあまり面白くない決闘シーンから、突然、悪魔の鎧が降臨して大暴れするのが、凄く今作(笑)
今回の憎まれ役である金髪男の作画があまりにも安定しないのは残念でしたが、一方でノブレスオブリージュの人であり基本的に紳士なアンドリューがイケメンキャンペーン。
アンドリュー、嫌いではないですし、男性キャラに焦点当ててくれるのも嬉しいのですが、名門の御曹司がはっちゃけた庶民に影響を受ける、という構造はそれほど愛好してないので、ときめき度が個人的に微妙。
#18
「熱い魂 魔力に変えて 光れ正義の七つ星 信じる心が我らの魔法 魔道戦士・グランシャリオン! 見参」
「……何あれ」
「あいつら馬鹿だろ」
アマンダが随分とフィーチャーされたなぁと思ったら、続けてコンスタンツェ回。
アッコの善意の押しつけがましさが嫌な方向に出たエピソードだったのですが、コンスタンツェのコミュニケーション能力が低い所をアッコが行動力でカバーする事で押し切り、最後はロボットネタで強行突破。
しかしスーパーロボットパロディというのは、こういう角度つけて、ここで光らせて、ここで叫んで爆発させるとスーパーロボットパロディになる(本当にこういうスーパーロボットが実在するのかは問わない)という、パロディそのものが様式化しているのだなぁ、と。
終盤にあれよあれよとエスカレートしていくのは作風なので、今作にしては普通のバカネタというか。
カップヌードル先生の介入で実体化し、巨大な怪鳥となった幽霊の群れはグランシャリオンが成敗し、旧友と向き合うアーシュラ先生。
「あなたはこれから、何をしようとしているの?!」
「今にわかるわ。……私の目的が何だろうと、あなたには、どうする事もできない」
ヌードル先生は人間の感情エネルギー――フューエルスピリットを用いようと実験を繰り返している、と大筋の伏線が色々と引かれて、つづく。
#19−20
「しきたりは破る為にあーーーる!」
ダイアナが学校を自主退学して実家に戻り、それを連れ戻そうとダイアナの家に乗り込むアッコ。
「なんのこれしき、スーシィの毒に比べれば!」
いつの間にか、主人公が毒耐性持ってた。
暴走気味のアッコがダイアナに対して「もっとよく考えて」を連発し、他人の内側に土足で踏み込んでまたもナチュラルにちょっと嫌な感じなのですが、どうしても家督を継がなければならないダイアナの事情を知った途端、当のダイアナが引く勢いで感情移入を見せ、当初の目的がどこか吹っ飛んでしまうという形で良い所を見せて嫌になりすぎる事を上手く回避。
自分の意志を貫き通そうとすれば、他人の意志を退けてしまう事もあるわけで、その描き方のさじ加減はキャラクターの好感度と直結して難しいのですが、今作はギリギリの所でバランスを取っている印象。アッコが比較的ざっくりと酷い目に遭う、ヒーローにしてヒロインにしてヨゴレを兼ねている、というのも効果的になっています。
ダイアナの伝統を大事にする気持ちと、自分のやりたい事を信じるアッコの気持ちがバロムクロスして、互いの考え方をそれぞれ受け入れた時、第5の言の葉が解放。ハイパー箒の力で継承の儀式の場に間に合うダイアナだったが、妨害してきた叔母達の治療を優先する。
ここでアッコが叔母達の治療を示唆してしまうと、アッコに対してダイアナが従の関係になりかねないのですが、アッコはダイアナの儀式の成功しか考えていない(行動力はあるが視野は狭い)、ダイアナは儀式よりも治療を取る(家名の下にやるべき事の選択)、と互いのキャラを崩さずにダイアナに自発的な選択をさせ、結果としてそれが皆の心を良い方向に変える、とする事で、主人公は視野の狭さゆえに状況を打破する事があるけれど、その視野の狭さを物語として全肯定しないというのが、良いバランスとなりました。
また、言の葉解放→儀式成功、となってしまうと第16話のように、言の葉を解放するというミッションを達成する事で成功体験が得られる、という安易な接続になってしまう所を、突っ走って失敗する時もあるけれど、行動そのものが周囲の心を変える事がある、という所に着地させたのは絶妙。
元来、私はアッコのようなタイプの主人公は苦手なのですが、ギリギリの所で底が抜けるのを回避して良い面に変換する、という今作のバランス感覚が発揮されたエピソードでした。