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『激走戦隊カーレンジャー』感想5

◆第7話「青(ブルー)は侵入禁止?!」◆ (監督:田崎竜太 脚本:浦沢義雄
注目のデザイナーとして雑誌に紹介され、大手会社からヘッドハントを受ける土門直樹(17)……って、17歳なのっ?!
3倍の給料を打診されるもペガサスの仲間達を選んで断った土門だが、会社に戻ると何故か社内に入れてもらえず、汚れてもいない車の洗車をしてくるように、と追い払われてしまう。もしやヘッドハントの現場を見られ、裏切り者だと思われて嫌われているのでは……苦悩する土門だが、たぶん、軋轢が生じたとしたら、第1話で話の弾みで給料を明かしてしまった時だと思います(笑)
グラッチの作った高カロリーで太るスプレーを手にボーゾック1の落書き名人NNネレンコが地球に襲来し、カーレンジャーとしての招集に気持ちを切り替える土門。
「たとえみんなが嫌っていたとしても、わたくしは、激走戦隊カーレンジャーの、ブルーレーサーなのです! わたくし達カーレンジャーには、5人一丸となって、地球の平和を守る、任務があるのでした!」
自分の存在意義を戦いに見出し、かなり、クルマジックパワーが回ってきています。
遅れて駆けつけるも4人は逃げた怪人を追撃してしまい、やはり自分は村八分されているのではと落ち込む青だが、スプレーを浴びてピンチになった4人から「助けてくれ……」の通信が届くとやる気を取り戻し、割と面倒くさい性格(笑)
ブルーが激走カーウォッシャーでスプレーを洗い流し、太りすぎによる破裂死を阻止すると、5人はギガフォーミュラで怪人を撃破。ロボ戦もあっさり決着がつくが戦いが終わると4人はそそくさと姿を消してしまい、束の間の儚い関係だったのか……と失意の土門がペガサスに戻ると、実は中ではサプライズ誕生パーティを準備していたのでした、でも本当は誕生日は来月でした、という定番のオチで、特にこれといって面白くはない出来。
これまで若干怪しげな丁寧語で特徴づけられていた土門、年下枠・高度な技術・他人に頼られる事に自分の存在意義を見出す、と後の『未来戦隊タイムレンジャー』のシオンが割と被っているのは、もしかしたら意識した所があったのでしょうか。名前はドモンですが、それも含めて。
次回――道渡る時は、右見て左見て、もいっかい右を確認や!


◆第8話「変身腕輪(ブレス)不携帯」◆ (監督:田崎竜太 脚本:浦沢義雄
八百屋にロケットエンジンを売り込もうとする実は、商店街をマッドマシンで暴走するボーゾックの走り屋YYビンゴを目撃して変身し、ゴーカートで追撃。
「ははははははっ、地球の平和は、このグリーンレーサーが守ったる」
「来たなカーレンジャー
「待てぇーっ!」
方言キャラの強みもありますが、緑は発音の違いによる特徴的な台詞回しが小気味よく、聞いていて面白いです。……その分、同じく基本の喋り方で特徴付けている青の方は、食われてあまり台詞が面白くならなかったりはしているのですが(^^;
「正義は、必ず、勝つんやー!!」
レース対決の末、ビンゴを障害物に衝突させて葬り去り、爆発を背景に格好良くポーズを決める緑。
ヒーロー物としては特におかしくはないのですが、爆発した車からよろよろと這い出したビンゴが倒れ伏して爆死する、という一種くどい描写が全体的なノリの軽さとのギャップを生んでか、やたらと殺意が高く見えます(笑)
恐らく意図的なものでしょうが、今作独特の、日常と非日常の切り替えの薄さというか、カップヌードルの待ち時間に宇宙人を殺して食事に戻る感じというか。それをプロフェッショナル集団ではなく、アマチュアの市民にやらせる事でベースをコメディにしているのだな、と。
快勝に気を良くした実は勝利のポーズをアレンジしている内に、腕を思い切り振りすぎてブレスが外れてしまうが、それに気付かずに立ち去ってしまう。
……アクセルブレス、就寝時も入浴時も決して外れない呪いのアイテムの類いだと思っていたので、外れるという事実にホッとしました(笑)
ボーゾックでは、YYビンゴの弟・YYゴンザが復讐の為に地球へ降り立ち、兄を弔った場所でブレスを拾うが(ハンドルを加工した墓碑が『マッドマックス』感あって格好いい)、まさか憎きカーレンジャーの変身アイテムとは思わずに尻尾飾りに。
街を暴走するゴンザを目にして変身しようとするもブレスを無くした事に気付いた実はペガサスへ慌てて戻るが、そこでダップから、アクセルブレスは車の星座に選ばれた者にたった一度だけ与えられる、替えの効かないものである事を教えられる。
「君たちがカーレンジャーに変身できるのは、アクセルブレスからクルマジックパワーを引き出してるからなんだ」
自分がカーレンジャーの資格を失った事に茫然自失となる実だが、これまで注入されてきたクルマジックパワーがその戦士の魂を揺さぶり動かす。
「俺、カーレンジャーとして許されへん事をしてしまった! せやけど、この責任だけはきっちり取らしてもらうで!」
襲われていた市民を助けるも、YYゴンザに苦戦する4人の元へ駆けつけたのは……生身でスパナを振り回す実。
「ボーゾック! 宇宙へ帰れぇ!」
「……なんだおまえ?」
「一般市民、上杉実!」
変身能力を失ったヒーローが魂で再起するという王道の展開ですが、そのまますんなり格好良く進まず、「ボーゾック、こんな奴は気にするなよ」と4人の後ろに隠されるのがカーレンジャーな間合い(笑) その一方で、「ヒーロー」として立ち上がるのではなく、ヒーローになれないけど「一般市民」として立ち上がる――一般市民だって立ち上がれる――というのは、第8話にして最終回近辺のようなテーゼが持ち込まれており、愛があれば投石だって大丈夫☆
実を止めようとする4人だが、一般市民として戦いたいという実の強い気持ちを受け入れ、
「気の済むように、してあげよう」
というのはしかし、スパナ握りしめた成人男性への言葉としては凄く危ない。
つまり、高度に戦士化された一般市民は、暴徒と区別がつかないのだ。
だが魂だけでは巨大な敵に勝てないというのも現実であり、スパナで躍りかかるも一蹴され、一方的な暴行を受ける実。助けに入ろうとする4人だが、それをダップが止める。
「みんな、待つんだ! 今助けちゃいけない。 ここで実が戦死すれば自動的に新しいメンバーが選抜される筈ダップ!  実は戦士としての自分を、試してるんダップ!」
なにか昆虫魂的な本音が聞こえた気がしましたが、たぶんキノセイ。
「みんなの仲間として、これからも戦っていけるかどうか、それを自分で、試してるところダップ!」
「実……例えグリーンレーサーになれなくても、おまえは立派な、激走戦隊カーレンジャーだ!」
結局あえなく実は気絶し、4人の一斉攻撃を受けたゴンザは受け取った羊羹で巨大化。RVロボを呼べずに逃げ惑う4人だが、巨大化した際に尻尾から外れたアクセルブレスが、目を覚ました実の前へと転がり落ちてくる。
まるっきり偶然なのですが、実が改めて戦士の資格を見せたからこそ、運命が実に味方した、という天の配剤として偶然の意味が綺麗に繋がっています。
「みんな……今行くでぇ! 激走! アクセルチェンジャー!!」
身を引きずるようにしながらも実がアクセルブレスを手にする所から挿入歌が流れ出し……前回の青と比べると、えらく差のある良い個人回。これは、あれか、所得格差のフォローなのか。
「おまえの相手はこっちや!」
ゴンザを挑発してゴーカートに乗り込んだ緑は、敢えて足下に突っ込むと真下からミサイルを撃ち込み、カート実物と怪人の巨大な足(柱2本)を同じ画面に収めて見せるという、割と珍しい感じの映像(踏みつけ表現として、足をちゃんと宙に浮かしてみせたり)。ミサイルで怪人がひっくり返っている隙に激走合体し、グリーン復讐の跳び蹴りから激走斬りでフィニッシュ。
戦死寸前の激闘を乗り越えて少々反省、戦士として成長したかと思われた実だが……またも調子にのった拍子にブレスが外れてしまい、仲間からからかわれるのであった、でオチ。
……実、ブレスが外れやすいのは、ちょっと肉が多めだからなのだろうか。
次回――飛び出すな車は急に止まれない、ダップ。