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『超人バロム・1』感想18

◆第29話「魔人ウロコルゲがドルゲ菌をバラまく!!」◆ (監督:田口勝彦 脚本:伊上勝
OP終了後、サブタイトル前に無音でしばらく
「このドラマにでてくるドルゲはかくうのものでじっさいのひととはかんけいありません」
という注意書きが表示されるのですが、いったい何があったのか。
校庭の片隅で野良犬に餌をやる猛達、第27話で登場した美少女カオルちゃんが再び登場してミス港南小と紹介されるのですが、あれ……カオルちゃん=須崎くん?
それとも須崎くん、マドンナの座から転落したのか。
(※第1話を配信で確認してみたところ、須崎くんのフルネームは「須崎久美江」とクレジットから判明。物語上は別人のようですが、演じる役者はともに「斉藤浩子」となっており、須崎くん、自分と瓜二つの少女にミス港南小の座を奪われるとは何という運命)
ノラと名付けた犬に餌をやっている最中に裏山に隕石が落下し、猛と健太郎はそれを学校の標本室に勝手に保管。今回久々に小学生コミュニティが話の中心になるのですが、校庭の隅に勝手に犬小屋作って給食を食べさせたり、好き放題です。
ところがその隕石の正体は、宇宙から飛来したドルゲ魔人ウロコルゲ。全体では魚がモチーフのようで、卵形の胴体にびっしりとウロコが重なり、左手が魚の尾びれになっているという、かなり奇抜なデザイン。
ノラに水をやろうと標本室に入ったカオルちゃんはウロコに襲われ、前回に続いて高度なヒロイン力を発揮。ドルゲ反応に気付いて戻った猛と健太郎だがボップを奪われてしまい、空中バロムクロスを修得した代わりに通常バロムクロスが出来なくなり、ボップなしでは変身できないという新設定が判明。
車に変形する・ドルゲ反応をサーチ・気がつくとポケットや鞄に入っている(呪いのベルト機能)・飛び道具になる・打撃武器になる・正義のエージェントを短距離ワープさせる・実質的な変身アイテム
と、機能盛りすぎで大変な事になっています。
変身不能の危機に陥る2人だが、飛び込んできたノラがウロコに噛みついてボップが床に落ち、すかさずバロムクロス。……完全に言い訳効かないレベルでカオルちゃんの目の前で変身してしまい、これまでも多分にザル気味だったとはいえ、秘密のヒーロー路線なら路線で、もう少し丁寧にやって欲しかった所です(^^; 勿論、この状況で「変身をしない」という選択肢はないのですが、曖昧に濁す事で変身に劇的な意味が付加されないのは勿体ないところです。
変身したバロム1に対し、ウロコ手裏剣で大暴れするウロコルゲ。
「そこを動くんじゃない、カオルちゃん
カオルと犬を守って戦おうとするバロム1だったが、ウロコ手裏剣の爆発により標本室の天井が崩れ、それに巻き込まれてしまうカオルと犬。
「ノラが死んだ……」
「しまった、カオルちゃんが下敷きに」
色々マッハで酷すぎるよ!!
……というかこれ、コプーの示唆した「災い」なのでは(^^;
カオルは絶対安静の重傷を負って入院する事になり、苦しい息の下で魔人への復讐を望むカオルと約束を交わした猛と健太郎は翌日、標本室を調査。水道水からドルゲ反応を確認するがアントマンに襲われ、バロムクロス。
「ウロコ菌はどんな宇宙細菌なのだ!」
「地球の科学では解毒剤はないのだ」
自称「バロム・1の親友」として昼間からフラフラしてバロムワンを探していた松五郎(ポーズではなく、猛と健太郎がバロムワンの正体である事に本当に気付いてない模様)は、この戦いを目撃。
「そうだ、バロム・1が戦ってる姿をカオルちゃんに見せたら、きっと元気になるぞー。いい思いつき!」
どうやら海野とのバロムクロスが解除されてしまったようですが、松五郎の頭の緩さが間抜けとかコメディリリーフの領域を遙かにオーバーランしており、早く別の病院に連れて行かなくては。
松五郎はバロム1の活躍をカオルに見せようと病室からカオルを連れ出し、おまわりさーーーん!!
実の叔父が完全に事案を発生させているとは知らずにウロコと戦うバロムワンだが、ウロコは既に東京中の水道にウロコ菌を流したと宣言。更に、体型に似合わぬ素早さでウロコ手裏剣を繰り出し、ウロコ三方シュートの直撃を受けたバロムワンは転落。松五郎のいらぬお節介によりその光景をまざまざと見せつけられたカオルはショックで気を失ってしまう。
「さすがウロコルゲ、バロム・1を倒すとはよくやった」
「どんな強い犬でも、一度負け犬になると、二度とは立ち直れない。バロム・1もきっと同じですぞ」
その言葉の通り、完膚なき敗戦に失意のバロムワンは、今日一日が峠とまで症状の悪化したカオルの病室を窓の外から覗き見。だが、危篤状態のカオルちゃんの無意識のエールを受け、再び悪に立ち向かう事を決意する。
「私はやる。もう一度やってみる」
猛・健太郎人格が表に出ているなら納得はできるのですが、ここまで20話ほど、2人の人格はほぼバロムワン人格に統合されてしまっており、そのバロムワン人格は何度負けても「ははははははは、私は死なん!」みたいなノリの宇宙的正義の化身なので、落ち込んだバロムワンが立ち直る、という筋はここまでの流れと少々そぐわなくなってしまいました。
今作はこの、“小学生2人が融合した正義の化身”というヒーローの設定をどうにも活かし切れないのですが、いっそ、猛・健太郎と、第三の人格としてのバロム1が意思疎通して最適解を見出していくというような形でも良かったような(例えるなら勇者シリーズみたいな感じというか)。
街では水道水を飲んだ人々がウロコ菌の影響により互いに暴力を振るい合うというドルゲの作戦が着々と進行する中、カオルとの約束により不屈の戦意を取り戻したバロムワンは、吊り下げたボールをウロコ手裏剣に見立て、色々と回転するという特訓を開始。その特訓を完成させて猛が家に戻ると、水道水が危険という報道を聞いた松五郎が、水が駄目ならビールだ、と完全に酔っ払っており、危篤状態のカオルちゃんとの対比で、史上最低な事に。
自分のやった事への反省から酒に逃げているとも取れますが、病室では医者にもカオル母にも悪気は無かったと安い言い訳を繰り返しており、合わせ技で松五郎の人間的弱さがリアルにえぐり出されてしまいました。
給水車の水にまでドルゲの魔手が及んでいる事を知ったバロムワンは、給水車に張り付いてウロコルゲを攻撃。特訓の成果を発揮してウロコ三方シュートを回避して懐に飛び込むと、バロム爆弾パンチで魔人を撃破。敗北→奮起→特訓という展開だったので派手な新必殺技でも繰り出すのかと思ったので、これは拍子抜け(^^;
バロムワンの勝利はカオルちゃんに伝わり、コプーの呪いを克服して持ち直す薫ちゃん。圧倒的なヒロイン力を見せつけたカオルちゃんですが、無意識のまま高々とVサインを掲げる姿で、最後の最後に少年マンガの主人公みたいな事に。
カオルの回復を見届けたバロムワンは満足して立ち去り、正気に戻って目を覚ました松五郎は特にフォローされないのであった!
前日まで絶対安静だった少女を無断で病室から連れ出して危篤状態に陥らせたってほぼ確実にPTAネットワークで街中に広がると思うので、次回からしばらく、ほとぼりが冷めるまで街を離れた方がいいのでないか、松五郎。多分これまでも、有名な刑事の弟、という理由で不審者扱いされずに済んでいた事案が諸々ありそうですし(本人は善意なのでタチが悪いタイプ)。
中盤以降は5話に1回ぐらいのペースで参加の伊上さんですが、ツッコミどころ、というのも含めて、滝沢・島田の両名と比べるとやはり一段上の切れ味(笑) これぐらいのペースが一番、伊上脚本を楽しめるのかも。