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『宇宙戦隊キュウレンジャー』感想・第19話

◆Space.19「森の惑星キールの精霊」◆ (監督:杉原輝昭 脚本:毛利亘宏)
 地球に迫るモライマーズの大艦隊。キュウレンジャーは竜骨キュータマの確保に急ぎ、スコルピオもまた地球壊滅の前にアルゴ船を手に入れる為、自ら動き出す。
 不在の間の地球を任せようと、どうやら念のためにキープしておいたらしい破片からさくっと復活したタコは、キュアショコラ、じゃなかった、宝塚人格に。
 ………………えーと、もしかしなくてもタコ、これで前回の『デカレン』ユニバースと、『キュウレン』ユニバースと、二つの平行宇宙に増殖したのでは。個体の戦闘力はさほどではないのが幸いですが、この調子で増殖を繰り返すとやがてあらゆる東映ユニバースに存在する絶対悪と化し、究極のラスボスになってしまうのではないか。
 多重人格戦隊・タコレンジャー!
 絶望の未来の予感はさておき、惑星キールに向かった赤・緑・黄・金・銀は、かつて“ある御方”から竜骨キュータマを託されたという森エルフのエリスに出会うが、面食いのエリスにスパーダが気に入られるも、救世主としての信頼を得る事ができない。
 スパーダの顔がエリスの好みというのは構わないのですが、劇中で特に二枚目ポジションというわけではないスパーダが「イケメ〜ン」と抱きつかれ、ラッキーとナーガが完全に守備範囲の外である事にはやや納得しがたいものは感じ、どうも扱いの悪いスパーダをとりあえず外面だけで持ち上げているように見えてしまうのが困った所。
 スパーダもスパーダで抱きつかれて困惑しているだけで特にキャラクターとして肉付けになる反応がなく、そこから話が1ミリたりとも広がらない上で、最終的には120%ラッキーの踏み台にされるので、むしろいつもより酷い扱い。
 戦闘中に悪代官の顔を整形して「これでモテモテだ!」というギャグが入ったり、総じて今回「イケメン」を笑いの対象にしているのですが、スパーダが普段から二枚目を鼻にかけて滑るのが持ち味のキャラだったり、エピソードの中で外面だけでなく内面のイケメンぶりを見せる機会が与えられるのならまだともかく、そんな事は全くない為にスパーダはただただ容姿をネタに笑い者にされるだけであり、もう少し配慮が必要だったように思えます。
 一方でハミィは今回も割と真っ当に活躍し、内部のハミィ派が蜂起した気配(というかハミィの出番が少ないという意見が割と来てフィードバックされ始めたのでは疑惑)。
 エリスの説得を試みる5人だったが、悪代官をともなってそこに現れたサソリ仮面様が竜骨キュータマを強奪し、戦闘に。
 「仲間など、利用する為の道具にすぎない」
 サソリ仮面様は悪代官にバーサーカー毒を打ち込むと、住人を皆殺しにするように命令。
 「おまえ、心がない。俺でもわかる!」
 どうやらスコルピオと対比する事で、第2話で非常に空疎になってしまったラッキーの“仲間”語りの部分にフォローを入れていく算段のようですが、シルバーがしばらくサソリ仮面様をにらみつけ、ゴールドにうながされて村人の救出に向かう、というのは個々の反応差が盛り込まれて良かったです。
 「馬鹿! 竜骨キュータマを取り返すのが先じゃ!」
 「放っておけるわけねぇだろ! それに……俺一人で充分だ!
 竜骨キュータマを最優先と考えるエリスに対し、村人を助けようとするキュウレンジャー、そしてどちらも成し遂げる為に巨大な敵に立ち向かう事で、“ヒーロー”の意味もしっかり描写。
 獅子レッドは光キュータマを発動して燃える打撃の連打で竜骨キュータマを取り返すが、エリスを人質に取られてしまい、エリスと竜骨キュータマを交換。
 「キュータマより、あんたの命の方が大事に決まってんだろ! 村人やあんたを救えなくて、そんなの救世主でもなんでもねぇ。俺は宇宙を救う救世主だ。あんたも、俺が救う宇宙の一部なんだからな」
 エリスは竜骨キュータマを守護する存在=革命の関係者扱い=よし、潔く腹を切って死ね! 出来れば自爆してそいつを巻き込め!と判断されそうでドキドキしましたが、守るべき一般市民と判定されました。
 竜骨キュータマを手に入れたサソリ仮面様は宇宙船で姿を消すが、真偽不明のアルゴ船伝説に飛びつくあたり天下取りの明確なプランは特にない・格好いい事を言ったつもりになって部下を使い捨て・早くも太陽レッドに押し負ける・人質を取る(小さい)・人質交換の際に特に戦力ではない人質を始末しようとする(凄く小さい)、と物凄い勢いで小物へとメタモルフォーゼしており、先行きが非常に危ぶまれます。
 悪の幹部キャラの査定としては、今回だけで一気に落第レベル。
 暴れ回る悪代官の方は4人に撃破され、巨大化。強烈なパンチを繰り出す悪代官に対して、パンチにはキックだ、とレッドが太陽を発動すると、キュウレンオーの中でゴールドがあげぽよ、そしてナーガもあげぽよ。
 「なんでナーガまで?!」
 というかそもそも、どうしてバランスが、に疑問を持ったほうがいい。
 4クール目入った頃には、「ラッキー、もうお前は光キュータマを使ってはいけない。このままでは、おまえとバランスは保たない」とか言われそうですが、革命の陰には多くの名も無き戦士達の屍が横たわっているのでちょりーす!
 キュウレンオーはダブルあげぽよキックで悪代官と惑星キールのモアイ基地を破壊。エリスから正しく救世主と認められた5人は、かつてエリスに竜骨キュータマを託した人物の事を聞かされる。
 「オライオン?」
 「そうじゃ、妾に竜骨キュータマを託した御方。そして、かつて宇宙を救った救世主の一人じゃ」
 「昔にも救世主が居たって事か?!」
 劇中で初めて具体的に救世主伝説に言及され、どうやら揃って実在を夢にも思わなかった悠久の過去からの伝承であった事が判明したのですが、そもそもここ、“伝説の”アルゴ船を求めてやってきたのは忘れているのか(^^;
 地球に迫る消滅の危機を防ぐ為に「詳細不明のアルゴ船の伝説頼りを最優先する」時点で、アルゴ船の存在に賭けるという意思統一がされている筈なのに、アルゴ船の実在は信じているけど、過去に救世主が居たとは思っていなかった、というのはどうもちぐはぐ。
 それぞれ別の伝説(なのかどうかすら詳しく語られていませんが)だとしても、共に一切の具体例が挙げられていない以上、両伝説への信頼度には大きな偏りが無いのが自然であり、片方の伝説には全力で賭けて、片方の伝説はプロパガンダぐらいに考えている、というのは非常に不可解です。
 実在した救世主を、実在したアルゴ船に入れ替えると、ここまでやってきた上で「本当にアルゴ船があったって事か?!」と言い出すのと同じわけで、これまでの言行の蓄積からは不自然ですし、逆にそれだけあやふやなものに賭けているならば、その“賭けている”という部分をしっかり描いてほしかったところ。
 実際キュウレンジャーには後者の方がふさわしいと思うのですが、リベリオンが反政府活動の背景にしている救世主伝説は、実態が定かでは無い遠い過去の伝説であると先に明言しておく事で、そんなあやふやなものを希望の灯火にしなければならないほど幕府の支配は圧倒的なのだ……とも繋げられたわけで、物語の骨子として明確にせずに、救世主伝説を曖昧に扱ってきたツケが、地味ながら深く残る傷跡になった気がします。
 伝説のアルゴ船を求める中で思わぬ伝説の真実に触れる5人だったが、そこに司令から、スティンガーがオリオン号に乗り込んで帆とトモキュータマを強奪したとの連絡が入る。セイザブラスターと革命ジャケットをオリオン号に残したスティンガーは、二つのキュータマを手土産にサソリ仮面様に接触し、野望を燃やす男の元に集うアルゴ船のキュータマ。
 「どういう風の吹き回しだ?」
 「兄貴の言葉を信じたいんだ」
 二つのキュータマを渡す、と見せかけてスティンガーはサソリ仮面様を奇襲。
 「もうこれ以上、今の兄貴は見ていられない! だから、兄貴は俺が倒す!!」
 兄弟揃って見え見えの猿芝居はさすがに引っ張らず、激突する二人、で続く。
 どうせなら「兄貴は俺が倒す!!」の所でスティンガーがフォースの暗黒面に飲み込まれてサソリ仮面様のように異形へ変じたら格好良かったのにと思ったのですが、次回予告を見ると、どうやらデビル化する模様。
 小太郎も絡めてサソリ兄弟の内面に飛び込むようですが、どうにもこう、作っている側の思い入れほどにサソリ兄弟の関係性が劇中で表現できていないように思え、掘り下げの容量不足で決壊しないといいなぁ……。
 もうしばらく体育座りかと思ったスティンガーは、メンタルがレンコンすぎて司令の外道な荒療治に耐えきれずまたも暴走してしまいましたが、この分だと夏休み前に、船首像の代わりに舳先にチャンプを設置したアルゴ船ロボ(仮)登場と合わせて、サソリ仮面様が(一時)リタイアしそうな気配でしょうか。そうすると夏休み展開で息抜きエピソードにキャラの掘り下げをして色々と補えそうですが、さて。