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『激走戦隊カーレンジャー』感想9

◆第14話「雷地獄へフルアクセル」◆ (監督:田崎竜太 脚本:曽田博久)
これまで本編映像の切り貼りが主だったOPが、新規映像大量投入で大幅パワーアップし、主題歌の方もニューアレンジに。もともと主題歌は割と格好良いのですが、キャラ紹介の所で変身前前後が並ぶカットなど、かなり良い感じのOPになりました。
カートレース会場で、とてもレギュレーションを通りそうにないなんだか怪しげなクスリを営業する上杉……ゼルモダに売れる(笑)
カーレンジャー、第1話でボーゾックの前で変身していなかったけと思っていたのですが、第1話では、
〔ダップに生身で連行される → 変身拒否 → ダップがゼルモダと一騎打ち → ダップ死んだふり → 何かが変わった → カーレンジャー変身 → した時にはボーゾックは既に立ち去っていた〕
ので、掴みのギャグがまさかの正体隠しに繋がっていた!!
これは、浦沢脚本のミラクルなのか何なのか。
実から購入したクスリをバイクに用いたゼルモダは、限界スピードを越えようと爆走。
「ゼルモダ、ま、まさか……! そうか……奴はあのバキバキ伝説に挑戦していたのか」
バキバキ伝説――それは、スピードの向こう側へ行く事で想像を絶するパワー(イメージ図では、ゼルモダが巨大怪獣化)を得られるという、宇宙に伝わる伝説の一つ。カーレンジャーを撲滅できず、今またシグナルマンまで単身赴任してきてしまった苦境を覆すべく、ゼルモダはボーゾック副長として自らの強化を図ろうとしていたのだった!
…………珍しく、ボーゾックが、普通に悪の組織っぽい事を!!
ゼルモダは前線で戦闘こなすものの、基本的にここまで幹部が最大のギャグ要員だったボーゾックですが、2クール目に入るに際して、組織の在り方に誰かが危機感を抱いたのか、今回のゼルモダは終始シリアス。
ところが、限界スピードに近づいた時(怪しいクスリには効果があった!)にバイクの起こす気流の乱れによって雷雲が発生。若き日の過ちで雷にトラウマを持つゼルモダはチャレンジを投げ出してしまう。
「後一歩で、限界スピードを超えられる所だったのに、俺は……俺は……バキバキ伝説に挑む事ができねぇんだ。あぁ……なんて情けねぇ男なんだ!」
「よし! 俺がやるぜ!」
落ち込むゼルモダをガイナモが励まし、ボーゾックは最初、たった二人から始まったという過去が判明。
――「ゼルモダ……今は二人しかいないけど、いつの日か、宇宙にボーゾックの旗を翻そうぜ!」
――「ああ! やるぜ、ガイナモ!」
宇宙ヤンキー二人から始まったチームが、今では巨大な宇宙基地に数多くの構成員を従え、惑星を壊滅させて宇宙警察に目を付けられる組織にまで成長しており、意外と凄いのでは、この二人……。
……或いは、通りすがりのUFOが気軽に攻撃してきたり、ボーゾック撲滅にシグナルマン1人しか派遣されない事を考えると、この宇宙では惑星壊滅は日常茶飯事であり、ボーゾックを小指で蹴散らすレベルの悪の組織が山のように存在している可能性も。
…………ジニス様ばりの悪党がダース単位で存在するという、戦隊史上、最も邪悪に溢れた宇宙なのかもしれない、『カーレン』ユニバース。
「おまえにだけ、危険な真似はさせるものか」
「ガイナモ……そこまで俺の事を。……ありがとう、ガイナモぉ!」
いつも伸ばしている鼻の下はどこへやら、男の友情を見せるガイナモの意気に感じ入ったゼルモダは、敢えてガイナモをパンチで気絶させると、自ら飛び出していく。
「やっぱり俺が行くぜ! ガイナモ、今度こそおまえの気持ちに、応えるぜぇ!」
………………更にもしかしたら、ゾンネットのフィールド効果により常時ボーゾック全体にバッドステータス《魅惑》《眩惑》《知力低下》が発動しているだけで、ゾンネット不在だと、こういうノリなのかボーゾック。
状態異常を振り切ったゼルモダは、雷を克服して遂にバキバキ伝説を越え、そこに現れる真っ赤な超人エレキンタ。限界スピードを超えようとした時に発生する雷雲そのものが伝説の力であり、バキバキ伝説を越えた者には無敵の雷パワーが与えられるのだ!
エレキンタによりゼルモダのバイクにカブトローのようなマークがつくが、そこにやってくるカーレンジャー
「見せてやる、我らがパワーを」
伝説に紐付けられた条件によって召喚される、善とか悪とか無関係の存在なのか、なぜか一緒に襲ってくるエレキンタ(笑)
二台のバイクが繰り出すバキバキサンダー攻撃に、カーレンジャーは大苦戦し、応援に駆けつけたシグナルマンにもサンダー直撃。ゼルモダと同じく雷にトラウマを持つグリーンは敵前逃亡するが、ダップ、菜摘、洋子の策略によりデンキウナギの蒲焼き(一応、実際に食べられる模様)を食べさせられ、落雷+ウナギのトラウマを克服する……くだりは正直、あまり面白くならず(^^;
変なテンションになったグリーンは雷無効体質になり、超くるくる回るグリーンレーサー浪速蹴りでライジングゼルモダを撃破。エレキンタのバイクアタックも空中で受け止めるという凄まじい強さを見せ、びりびりパワーを破られたエレキンタは伝説の誇りに懸け、二台のバイクを吸収して巨大化する。
「またしても、本官の許可無く巨大化したな!」
どうやら巨大化した時点で宇宙交通法に違反した事になるようで、つまり、無許可の巨大化は宇宙的に極刑。
サイレンダーが主題歌インストの軽快なアレンジで戦い、最後はRVソード激走斬りとサイレンバルカンの同時攻撃でエレキンタをパニッシュ。バキバキ伝説は宇宙辺境で終焉を迎えるのであった。
ボーゾック本拠ではびりびりパワーを得るも無念の敗北を喫して戻ってきたゼルモダをガイナモが励まし、てっきりゼルモダの友情パンチを誤解したガイナモが怒り心頭で待ち受けていて……みたいな酷いギャグでオチるかと思っていたら、2人の篤い友情が貫き通されてビックリ(笑)
やはり、男の友情は女で壊れるのです。
一方ペガサスでは、トラウマ解消記念と敵前逃亡(はヒーロー道不覚悟で石抱きの刑)のお詫びを兼ねて、実が皆に鰻重をおごるが、デンキウナギの高額請求書を回されて目を白黒させるのであった、とオチ。……月給が一番安いのが明言されている為、実とお金にまるわるネタはちょっと笑いにくいんですよ!
善玉サイドと悪玉サイドが同じトラウマを持っているという形で進行するのですが、善玉サイドはギャグと身内による騙し討ちで克服し、悪玉サイドは熱い男の友情で乗り越えるというねじれ現象は、今作らしい凝ったギャグなのか。曽田さんもかなりぶっ飛んだネタをやる事がありますが、浦沢さんに比べると凄く良心的に見えるのが恐ろしい。
次回――悪の園に咲く道ならぬ恋の花? 「道ばたでふざけちゃ危ないってば、ねえ?」。