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『ウルトラマンジード』感想・第2話

◆第2話「怪獣を斬る少女」◆ (監督:坂本浩一 脚本:安達寛高
前回、主人公を野宿させておいて、今回は冒頭から災害避難所が出てきてクラクラした所に、少女がおもむろに念力で火をつけて目眩がしてきましたが、発火能力に覚醒したのがつい最近(前回アイスが溶けていたのがその前兆)という事で、それを実行したら周囲がどんな反応をするか少女にも理解できていなかった、という事でまあ納得。
それにしても、如何にも前振りはしていましたよと店長の台詞で誤魔化していましたが、どう見ても唐突なので、恐らく第1話でそれらしいシーンがあったのだけど尺の都合でカットでもされたのか。
それならそれで、付けられると自覚した上で火を付けるよりも、困っているおじさんを見て火を付けたいと思ったら火が付いてしまった、という方が劇的になったと思うのですが、どうもこの辺り第1話に引き続き、脚本と演出が噛み合っていない印象を受けます。
〔受け手には意外な事態が平然と進行して後から説明される〕というのは、どちらかといえば小説の手法なので、“劇的な見せ方”に対する、手法の違いがまだ共有されていない感じ。
で、巨大な二足歩行生物に「怪獣」という名称が与えられ、どうやら『オーブ』の時に私がやってほしかった、物語世界における怪獣の定義付けをやってくれるようでそれは非常に嬉しいのですが、それならどうして、第1話で皆あんな整然と避難していたのか。
この世界における“はじめての怪獣”(これが恐らく、世界が一度、再構成されている影響という事なのでしょうが)を描くのであれば、もっと徹底的にパニック状況を描いて良かったように思えます。
そういった群衆の反応、妙に対応の早い防災無線それらの違和感自体が伏線で、実は皆、意識の深い所で怪獣について――かつての世界――の記憶を持っている、という展開もありそうですが。
店長の下へ向かっていたリクは少女をさらおうとしていたダダ、それを追う太極剣の使い手と出くわし、少女を救出。色々と訳知りの女剣士から、少女が火を起こしたり怪獣に狙われているのは、その身に宿したリトルスターの作用であると説明を受ける。
「私は、鳥羽ライハ。これで怪獣を斬りに来たの」
「……へ、え、ごめん、よく聞こえなかった」
「……訂正する。怪獣が、人間に戻った所を斬るの」
余計に危なくなった。
逃亡したダダは黒い人に木っ端微塵にされるという酷い扱いを受け、黒い人はレッドキング先輩とゴモラ先輩、そしてベリアルの力を融合してスカルゴモラへと変身。ジードと同様のシステム、と考えて良いようです。
「あれは……6年前と同じ。終わりは無いみたい」
怪獣と同じ恐怖の対象となっている事を知りジードへの変身を躊躇うリクだが、少女達と一緒に逃げていた途中で足を止めると、迫り来る怪獣を見過ごせずに自ら立ち向かう意志を固める、というのはヒーローの姿として素直に格好良かったです。
ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」
引いたカメラで巨大な怪獣を相手に一歩も引かずに正対し、シーンの流れは格好良かったのですが……「ユーゴー! アイゴー! ヒアウィゴー!!」という掛け声が、「融合」と「You go」をかけて、そこから「I go」に持っていっているのはわかるのですが、耳で聞いて脳内でまず「融合」で変換してしまう為、そこから「アイゴー」への飛躍が、どうしても笑ってしまいます(^^;
リクのキャラからも飛躍していて、いきなりラップ始めた人みたいで戸惑うのですが(前後は日本語ですし)、これが遺伝子のなせる技だというのなら……ベリアルさん、ラッパー?
よくよく思い出してみると、ベリアルの重心を低く落として両手を前に出したあのポーズは……ラッパー?!
かつてウルトラの父とフォークデュオを組んでウルトラスター誕生に出場したベリアルだが、惜しくも準優勝。しかし大手プロダクションから誘いを受けていた父が、ベリアルには何も伝えずに演歌歌手としてソロデビュー。この裏切りに激怒したベリアルは、「いつかヒップホップの力で貴様を闇に沈めてやる」と言い残し、姿を消すのであった…………みたいな悲しいすれ違いがあったのか。
あと「ゆうごー」を先に持ってくる都合で、「俺が行くから君も行け」ではなく、「君が行くなら俺も行く」になっているのが、なんというか、色々こう、あれだ。
そんなわけで再び出現したジードは、スカルゴモラに苦戦するも、店長達の見守る前で奮戦。最後は滑り込みバーストによる顎下からの必殺光線で怪獣を撃破すると、ウルトラマンへの祈りを込めたリトルスターが少女の体から抜け出し、ウルトラカプセルの中ににレオ先輩の遺伝子情報として回収される。リトルスターとは、ウルトラカプセルのデータであったのだ…………て、地球人の少女の体内で、培養されていた?
今、物凄い勢いで、ウルトラマンヒカリさんが外道マッドサイエンティストへの道を3段飛ばしで駆け上がっているのですが、信用して良い人なんですか。
最初に回収されるのがレオ先輩というのは、前作未登場&ウルトラセブンと関係が深いという辺りかと思われますが、能力の発現が発火ではなく「おじさんおじさん、私がお前達のたるんだ精神を、死ぬほど特訓で鍛えてあげる。口を開く前と後ろに師匠とつけろ!」という方向性だったら避難所を追い出されずに済んだかもしれません。
その頃、2週続けて吹っ飛ばされたゴモラの中の人は「オーバーヒートか」と言いながら怪獣カプセルを回収しており、負けたと思うまで私の負けではないタイプの人なのか。
「必要なカプセルは、あと五つ」
怪獣の中の人は、主人公と同形のアイテムを所持・同様のシークエンスで怪獣を召喚・黒い、と前作のジャグラーと構造的にあまりにも丸被りなのはやりすぎに感じますが、清々しく柳の下のどじょう狙いなのか。まあ、露骨になっているのはわかっているでしょうから、途中でひねりは入れてくるでしょうけれども。
リクがジードに変身するのを目撃したライハは、お互いの情報共有も兼ねた話し合いの末に秘密基地に住み込む事になり、年頃の女の子と同居生活がスタートするが、主人公の興味は主にカップラーメンにしかないのであった!
とりあえず現時点の正ヒロイン本命はレムだと思われますが、ペガ(性別不明)はどこまで追いすがる事が出来るのか。そして、大きく出遅れたスーツのお姉さんはどんな飛び道具を打ち込んでくるのか。家の中ではスウェット+眼鏡、という的確なボディブローを打ち込んでくるライハは多分、視聴者向けヒロイン。
次回以降も、アクションは期待。
前半、恐らく大きな仕掛けも兼ねているだろう世界観の揺らぎが三半規管をぐらんぐらん揺さぶってきて辛かったですが、ライハの活劇を挟んでひとまず各自の動機を整理し、改めてリクが立ち上がる後半はスッキリして面白かったです。
前回今回を見る限りでは、今作は“怪獣の居なかった世界”から“怪獣の現れた世界”への変化を描こうとしており、その表現の一つとして怪獣被害を地続きのリアリティとして描写していたので、そこはしっかりと貫いてほしい所。当然、被害は累積していくので表現はどんどん難しくなっていくわけですが、避難所生活を描いたという事は、以後今作は、怪獣が暴れたりウルトラマンが戦う事で建造物に被害が出ると家や仕事をなくす人が出る世界である、という覚悟だと思うので、“怪獣に慣れきった世界”ではなく、“怪獣が現れた世界”の描写へのこだわりを期待したいです。
なので次回、サラリーマン・ゼロの存在を、そういう世界で家族を守る、という事に接続してくれるなら、ベリアル父子の話も含めて、先行きに期待が持てそうかも。……何事も無かったかのように展開するほのぼのサラリーマンライフとかにならない事を祈りたい(^^;
こう見ると今作、前作『オーブ』を思わせる対立構造を盛り込みつつも、『オーブ』に抜け落ちていた、〔怪獣−人間−ウルトラマン〕の関係性を描こうという狙いにも見えるので、そこに真っ向から向き合ってくれるなら楽しみです。
ところで余談ですが、前回リクが秘密基地で自分の出自を知るシーンで、『マン・オブ・スティール』(2013年公開の『スーパーマン』リブート映画)思い出したのですが、ジードが目からビーム(攻撃判定あるのかは不明)出すのは、オマージュだったりするのか。