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『激走戦隊カーレンジャー』感想17

◆第24話「急発進?!ニューリーダー」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:浦沢義雄
猛虎魂の篭もった扇子片手に営業から帰社した実と、昼食に用意してあったそうめんを実の分まで平らげてしまった恭介が揉めている所にボーゾックが発生。現場に急いだ2人が目撃したのは、ボーゾック一偏差値の高いTTテルリンが、子供達の夏休みの宿題を行っているという目を疑う光景であった。
「感心なボーゾックもおるもんやな〜」
困惑しつつもテルリンを排除しようとする赤と緑だが、子供達から投石を受ける。
大衆は移ろいやすいなぁ……(笑)
物凄くさらっと描かれているのですが、その基本にして最大の支持基盤である子供達から石もて追われるヒーロー、の図は戦隊史上ではかなり際どいような。
(いっけん)善良な怪人が子供達と仲良くなり、それを疑うヒーロー側と関係がこじれる、というのはしばしば見るシチュエーションですが、マジ投石まで発展した例は、なかなか思いつきません(^^;
テルリンは宿題をやる見返りにスイカを要求し、リッチハイカー教授はそれを使ってボーゾックスイカ割り大会を行おうと提案、ゾンネットのビキニ姿を妄想していた。
「考えたな! このスケベオヤジが」
「許す〜。ゾンちゃんも嬉しい、俺たちも嬉しい」
……教授の知力も、ゾンネット粒子の影響で既に低下しているのでは。
子供達から投石を受けて一時退却した恭介と実は、自分たちよりもボーゾックが頼りにされた事にショックを受けるが、正義のヒーローとして夏休みの宿題とどう向き合うべきかを巡って対立。
「夏休みの宿題は自分でやるもんだ」
人気取りといういやらしい動機も含めて宿題を手伝ってもいいのではと考える実に対し、反ボーゾックで多少依怙地になっている様子も見える恭介はそれをきっぱり否定し、夏休みの宿題という卑近なモチーフから、ヒーローの“正義”とはどうあるべきかが問われる、物凄い展開(笑)
「恭介おまえ手伝ってもらった事ないんか?」
「んー…………ない!」
「いーー? わからんとこどうした?」
「わかる所もある。わからない所もある。それが、夏休みの宿題だ」
自分でやってこそ意味があるという正論の一方で、そうかといって多少の抜け道は許されていいし身に覚えもあるのでは?という実の感情論にも一定の説得力はあり、まるっきり他人任せにしてしまう事をヒーローとして否定しつつも、同じヒーローから反論させる事でそれを100%押しつけない余地の作り方が物語として絶妙な案配です。
「恭介、おまえ、ちょっと思いやりがないんとちゃうか?」
恭介の堅い正義感に対して、昼間のそうめんの事も持ち出して、不満を見せる実。
「夏休みの宿題手伝ってやる事が思いやりか?」
カーレンジャーのリーダーやったらそれぐらいの思いやりないとあかんのちゃうかー?」
「それとは関係ないだろ!」
「関係あるやろ」
夏休みの宿題にまつわる倫理観からすれ違った2人は本格的に口論に発展し、派手に崩壊する、ちゃきちゃきの江戸っ子とこてこての関西人の友情(笑)
物凄くどうでもいいやり取りの背景にヒーローの思想性が折り畳まれているのが見事ですが、男衆の中では土門が年下ポジションなのに対して、恭介と実が気の置けない友人という関係性が出来上がったも良かった所。
こじれにこじれた恭介は、通りすがったプール帰りの3人の前で「今日からおまえがカーレンジャーのリーダーやれ」と実に突きつけ、引くに引けなくなった実もそれを承諾。リーダーの座を失うやいなやチンピラと化した恭介は実を突き飛ばし、いい年した大人2人が路上で殴り合いを開始。マウントを取るやすかさず顔面を潰しにいくのが、凄くカーレンジャーです。
殺意高いよチーキュの一般市民!
ニューリーダーとなった実は早速、正義の夏休みの宿題を手伝おう作戦を呼びかけるが、話の成り行きがわからない3名からはスルーを決め込まれるという、可哀想な扱い。
一方恭介は川を見ながら黄昏れており、やたらと攻撃的だったのは、実の「こんな思いやりのない奴にカーレンジャーのリーダーやらしておいたら、地球の平和は危険やからな!」という言葉がマッドヒーローの魂にぐっさり突き刺さっていたからだと判明。クルマジックパワーの汚染が深刻です。
勉強道具を満載したリヤカーを一人寂しく引きずっていた緑は、テルリンがばらまいていたチラシを発見して廃倉庫へ向かうが、そこでは子供達が持ってきたのが一玉ではなく“切ったスイカ”であった事に激怒したテルリンが子供達を拘束していた。
テルリンは子供達をスイカに変えてスイカ割りに使うと宣言し、今回ここまである主の正統な取引であり、チーキュ花火化とも関係なかったので、ちゃんと悪になって一安心(笑) 同時に、スイカに変えた子供達でスイカ割りをする、という無造作な残虐さが、実にボーゾックらしい。
切ったスイカで夏休みの宿題を片付けてもらおうとした子供達の、
「みんな、怖い時は泣こう!」
「「「うん!」」」
「へへへへ、泣いたって無駄だテルリン」
「無駄だって!」
(一斉に泣き止む)
というのも、大概ひどいですが(笑)
ペガサスの3人に連絡するも、「子供達が大変」という言葉を誤解されて通信を切られた実はピンチになるが、そこに同じチラシを拾った恭介が訪れ、一時逃走に成功。
「俺の事、心配して来てくれたんやな?! 喧嘩してても心配してくれるなんて、ごっつ立派な思いやりや!」
偶然を美しく誤解した実は恭介の手を握りしめ、若干引きながらも勢いに呑まれる恭介と二人で反撃を開始。物陰に隠れた実がロープトラップでワンパーの足を引っかけ、
「恭介ぇ!」
「うおぉりゃぁ!!」
高所から炸裂する恭介のジャンピングボディプレス!
「実、今だぁぁ!」
「よっしゃぁ!」
身動きできなくなったワンパーに、実が次々とバケツアタック!
普通に変身できる状況だったのでブービートラップや不意打ちの必要性は全くなかったのですが、実のテンション高い喋りが存分に活かされ、勢いは凄く面白い(笑)
「やっぱりリーダーは恭介や! 恭介しか、おらへん!」
「なんだかよくわかんねぇけど、まあいっか!」
「これで、仲直りやぁ!」
ノリだけの生身バトルで二人のテンションは最高潮に達し、がっちり手を握り合った恭介と実の、友情・復活。
「よし、子供達を助けに行くでぇ!」
「よし!」
「「激走・アクセルチェンジャー!!」」
変身した赤と緑はドラゴンカーで倉庫を強襲し、恭介からの連絡で駆けつけた残り3人とも合流。
「おまえ達も、俺たちの事、ずーっと心配してくれてたのか!」
感極まった言葉に、会社でかき氷を食べていた3人は動揺し、どこまでも全部いい話にはしてくれません(笑)
「うん、やっぱ仲間ってええね」
「よしみんな、行くぞ」
それはそれとして、主題歌インストで格好良くバトルがスタートし、友情復活した赤と緑の見事なコンビ攻撃がテルリンに炸裂。
「俺らの友情を壊そうとしやがってぇ!」
「許すわけにはいかないぜぇ!」
赤緑は久々に個人武器を持ち出すと、派手に論点をすり替えながら怪人を撃破(笑)
……余談になりますが、浦沢義雄の弟子にあたる下山健人の脚本回で、しばしばエピソードのテーマと論点の大きくズレた着地という名の転倒が見られるのは、師匠のこの手法を意識しているのかも、と思ってみたり。浦沢脚本が論点のズレ自体をギャグにしているのに対して、下山脚本ではギャグになっていなかったり、ズラしてはいけない所がズレている場合が多々見られるわけですが(^^;
巨大戦では、勢いだけの一発技かと思っていたRV浪速蹴りが再び炸裂し、RV回転スイカ割り(ジャンピング縦回転斬り)から、激走斬りでフィニッシュ。
5人+市太郎+本官はスイカを楽しみ、最後に残った一切れを譲り合っている内にまたも雰囲気がおかしくなっていく恭介と実……が、座っている→立ち上がる→椅子の上に乗る、と相手を挑発しながら目線のマウントを取ろうとする動きの入った演出が秀逸。
最後は横から市太郎がいただいて、二人揃って「「あ、俺のスイカ!」」でエンド。
“夏休みの宿題”という身近なネタからカーレンジャーの正義を間接的に問い、実のメリハリのある台詞回しが全編に活かされて、会話もアクションもスピード感に溢れた、テンポの良い秀逸回でした。
浦沢脚本には苦手意識が先行しているのですが、ここに来て、シグナルマン回−今回と、面白かったです。
次回――カーレンジャーに妹登場?!「手放し運転は危ないぞー!」。