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『ウルトラマンジード』感想・第7話

◆第7話「サクリファイス」◆ (監督:武居正能 脚本:柳井示羊緒)
正直に告白します。
第1話からずっと、伏井出先生は、ギャラクシーな自己啓発本を書いている人だと思っていました!


 その時私は、アガムから光の啓示を受けたのです。本来なら、アガムの言葉は私たち地球人には風の音や雨の音のようにしか聞こえず、理解する事はできません。ところが不思議な事に、私の心の中に自然とアガムの言葉が響いてきたのです! それはまるで、清らかな川のせせらぎのように私の魂に染みいり、私が抱えていた深い心の傷を癒やしてくれました。
 「傷ついた者よ、あなたには私の声が聞こえるのですね」
 「はい、聞こえます」
的な。
そんな伏井出(ふくいで)先生は、『コズモクロニクル1〜3』『星空のアンビエント』などの著書を持ち、その世界観をフクイデワールドと謳われる、人気SF作家。
その講演会の抽選会に外れて大ショックの駄菓子店長が嘆き節で仕事をさぼっている所を伊賀栗家一同が通りがかり、レイトの妻のルミナもK先生の大ファンと判明。ルミナもやはり抽選に外れていたが、当のK先生がそこに現れ、ある思惑を持って一同を講演会に招待する……。
何故か生真面目に移動駄菓子屋を手伝って店長をどやしつけるライハは、なりがちな孤高のクール系にせず、むしろ意外と順応性高いのは良い所。何かと喧嘩腰ですし、好んで他者と友好的に接しようとは思ってないみたいですが(笑)
また、レイトではなくルミナをK先生の大ファンとする事で、テンプレートな日常要素でしかなかったレイト妻にワンポイント与えて、一人のキャラクターとして成立させたのは秀逸。レイトの方はむしろSFわからないしK先生に興味ない、とする事で、『コズモクロニクル』に興味を示すゼロとの押し引き一人芝居も入れられて、面白くなりました。
講演会当日、印税生活に憧れるペガがK先生の人気にあやかろうと、こっそりおみ足タッチを試みるも、K先生がその存在に気付き、ペガを見下ろす視線とニヤリと浮かべた笑みも印象的。
今回こういった端々の描写が行き届いた上でしっかり物語と連動しており、正直、今作で始めて、演出と脚本の歯車が噛み合った感。
……まあ、ペガが憧れの有名人にダークゾーンからこっそりタッチするという変質的行為を繰り返している疑惑が浮上しましたが!
怯えて逃げ帰ったペガの反応から、K先生への疑念を深めるゼロ。なぜならば……
「この本に書かれているのは、俺の戦いだ」
厄介さんだーーーーーーー!!(おぃ)
ゼロの主張によればK先生のデビュー作である『コズモクロニクル』の内容は、かつてのゼロとベリアルとの戦いをまるで見ていたかのように元にしているのであった。
「ゼロのファンなんじゃない? いい宇宙人でさ」
「この本の中で、俺は悪役だ」
凄く、根に持ちそう。
警戒感を強めるゼロだったが、リクはK先生を安易に悪い宇宙人と決めつけたくはないと態度を保留し、不穏な空気を孕みながら始まる講演会……ところで、段平片手のライハさんは、どうやって入り口をくぐり抜けたのか。
まあこの世界、銃刀法があるのかどうかわかりませんし、帯刀許可証とか持っているのやもしれませんが。
講演でK先生は『コズモクロニクル』について語り、
(ゾーラ……俺の事か)
「え?」
人気キャラのモデルは自分だと主張しだす、本格的に厄介なゼロ。
K先生はそんなゼロ/レイトをわざとらしく壇上に呼ぶと、暗に会場の人間を人質に取っている事をほのめかし、ゼロの動きを封じた上でギャラクトロンを外に召喚。
前作の人気怪獣をさっそく再登場させる、というのは引っかかる所はあるのですが、これはもう、そういう形で発展しているシリーズだと思って受け止めるしかないのでしょう。
動けないゼロに代わって外へ飛び出したリクは、ジードに変身するもジャスティス怪獣に大苦戦し、あっという間にただの棒きれと化すジードクロー(^^; それでいいのかジードクロー。器が小さいからなのかジードクロー。後、今回はジード中心でないので尺の都合もあったのでしょうが、敵がメカ型ならばスポ根バーニングを発動するぐらいの学習効果は見せてほしかった所です。それをせずに安易に新装備に頼るから敗北した……と捉える事もできますが、やはり足りないのは器か。
レイトという容れ物ごとゼロ抹殺を図るK先生は、家族やジードを助けたければ、ギャラクトロンの熱線を浴びろと指示。苦渋の決断を下したゼロは、K先生の策に乗るままに、レイトの姿のままギャラクトロンの前に仁王立ちする。
「安心しろ。お前達は死なせない。ルミナも、マユも、リクもみんな!」
ここで、ウルトラマンゼロだから、という劇の外の蓄積に寄っかかるだけではなく、今作劇中において、ゼロのヒーロー性を描いてくれたのはとても良かったです。特に、レイトが最も守りたい、妻と娘の名前をしっかりと口にする姿で、ゼロが好きになれました。
Zレイトは、迸る熱線をグラサンガードすると、最終的にゼロがレイトから分離。
(レイト……よく、耐えてくれたな)
レイトの肉体は守るもグラサンは弾け飛び、石化してしまう。
「さようなら……ウルトラマンゼロはーはははぁーはーはぁ」
露骨に柳の下のどじょうにすぎるポジションのK先生を、前作のジャグラーとどう差別化していくかはスタッフも悩みどころかと思われますが、「ゼロ」からブレスなしで笑い声に繋げるという、フクイデスマイルを披露。前作における、困った時のジャグラーさん怪演頼みで強行突破、はあまりよろしくなかったので今作では避けてほしいですが、まずは一つ、変態紳士としての仕草を印象づけてきました。
ゼログラサンが吹き飛んだのを目にして怒りに燃えるリクは、いつの間にか拾い直していたクローで反撃するとサイコクラッシャーアタックを放つが、ギャラクトロンの左腕を砕くも弾き飛ばされ、更にカラータイマーが点滅してしまう。
(ヒーローの条件ってなんだろう? 僕にはまだ、わからない。……ただ、幾つか言える事はある。華麗に戦い、格好良く勝つ事。大切な人を守る為、命を懸けられる事。――この時の僕には、まだどちらも出来ていなかった)
果たして、人々の、ジードの、そしてゼロの運命や如何に?! 世界はこのまま、フクイデワールドに染まってしまうのか?! で、つづく。
K先生とゼロの対決を中心にしつつ、メイン周辺のキャラを満遍なく掘り下げる良い仕事の中、講演の録画用カメラの前でK先生ぶった切ると逮捕だ逮捕、と言われて「絶望がお前のゴールだ!!」と振り切れないライハが安定して役に立たなくなりつつありますが、刃物大好きな狂犬と見せて、割と常識に縛られているタイプなのかもしれません。
今後、中盤から後半にかけて、その辺りが葛藤として描かれてくれると面白そうかも。
一方、今回も出番無しの宇宙Gメンは、どうやらK先生vsゼロのくだりで出番が無いので先に4−5話にねじ込んできたようですが、その結果として立ち上がりにリクの内面を掘り下げられなかったのは大きなマイナス。それを考えるとそこまでしてGメンは出さなくてはならなかったのか、という根本的な問題に発展しつつありますが、果たして今後、どこまで納得いく存在感を出せるのか(外部とのパイプがあるので、情報源や導入要因としては凄く便利だろうとは思いますが)。
今回、個人的にはここまでで一番素直に楽しめたエピソードで、次回はレイトがヒーローになる姿を描いてくれそうなのも、素直に楽しみ。出来ればレイト/ゼロだけではなく、そこにリク/ジードを上手く繋げてくれる事を、期待したいです。
ところで第5話では「ゼロ兄さん」と呼びかけていたリク、すっかり「ゼロ」呼ばわりなのですが、縦社会のウルトラ戦士業界に叛逆する、この辺りがベリアルの遺伝子なのか。
後、『オーブ』の頃から本編とは別にちょっと気になっているのですが、近年の戦隊では基本的に避けるようになった玩具CMバレを思いっきりするのは、バンダイとの関係性の差なのでしょうか……?(^^;
いやまあ、予告でばっちり新フォーム出ているとはいえ、クローは登場2週ぐらい前から宣伝していましたし……。