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『激走戦隊カーレンジャー』感想24

◆第31話「フルモデルチェンジだ!VRVロボ」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:浦沢義雄
冬眠中のダップを見つめる、ヘルメットを外したVRVマスター(顔は映らない)というシーンが描かれ、
「このまま、二度と目覚めない眠りにつかせてやるぜ。グッドナイト」
……という事はなかったので、あまりにも都合の良すぎるパチプロの正体は、ダップの関係者という所でしょうか。ヘルメットの中が亜空間に繋がっているのは、東映ではよくある事ですし。
基本人の好い素人の集団なので一度心を許すと割と素直なカーレンジャーから、打倒リッチリッチハイカーの為の対策を問われたマスターは、5人を公園に連れて行くとバレーボールを使ってボールを落とさないようにラリーを始めさせる。
「VRVマスター! このバレーボールが、リッチリッチハイカーと戦うのに、どう関係があるの?!」
真っ先に口を尖らせる、ブルドーザー担当に不満の菜摘(笑)
「赤いスイッチを押せ」
謎の言葉とともにマスターは立ち去っていき、その背中を不安そうに見送る5人。
「やっぱりホントはわけのわかんない人なんじゃないのー」
「なんだか、不安にさせる方ヨネ」
とにもかくにも、マスターが口にした「褒美」という言葉に釣られてバレーを続行する5人だが、当のマスターはパチンコ屋でジャンジャンバリバリしていた。
「パチンコ。大宇宙の法則の全てが、ここにはある」
パチンコと戦隊の関係というと、古くは『バトルフィーバーJ』でバトルコサックが仕事さぼってパチンコに興じており、今作の5年前には『五星戦隊ダイレンジャー』で天幻星と天重星が楽しんでいましたが、やはり総じて、ダメな(というと語弊がありますが)オトナがふける遊興、というイメージ付けになるのでしょうか(笑)
そして、ガイナモとゾンネットは本当に、パチンコ屋で働いていた。
今作、第2話時点から、この世界の一般市民にとって悪事を働かないボーゾックはちょっと奇抜な格好の人扱い、というのを示しているので、ごく普通に景品交換所で働くガイナモも、そんなガイナモとゾンネットに客と店員として声をかけるマスターも自然に成立。
改めて、ぶっ飛んだ世界にはぶっ飛んだ世界なりの一貫性が必要であり、その強固さは劇中描写の積み重ねによってこそ生まれるという事を思い知らされます。
パチンコ屋の景品を抱えたパチプロは、甘味処でところてんを楽しむと、次は床屋(床屋?!)へ。だがそこでは、新戦力を得たカーレンジャーの背景を調査していた教授が、床屋のオヤジに変装して待ち受けていた。
「オヤジ……おまえいつものオヤジじゃないな」
愛想が良すぎて変装がバレてしまい、正体を現す教授……見せ方的には、床屋のオヤジはご本人出演?
「はじめまして。リッチリッチハイカー教授です」
「悪いやつほど名刺を渡したがる」
立て続けに謎の名言を連発するパチプロは格好良く名刺を破るも、教授の不意打ちを受けて拘束されてしまい、特に出鱈目な戦闘力を有しているわけではない模様。
宙明サウンドをバックに「VRVブレード!」とか振り回しそうな見た目なのですが、さすがにそこまで都合良くはなく、ホッと一安心しました(笑) ヘルメットを外せる=これは顔ではない、ようなので、もしかしたら、形から入るコスプレなのかも。
一方、一般市民5人はラリーを続けていた。
赤「やめるきっかけが、ないのだー!」
へとへとになりながらも、持ち前の運動能力の高さで生真面目にボールを落とさずにいた5人、反射的に放ったアタックが木の幹にぶつかって跳ね返ってきたのを恭介が受け止めた所で、鳴り響くボーゾック警報。
緑「きっかけなのだー!」
という流れが地味に面白くて好き(笑)
鎖で縛られ、鞭でしばかれるマスターの元へ、ドラゴン&ペガサスカーで駆けつけるカーレンジャー、初挿入歌をバックにワンパー達を蹴散らしながら順番に名乗る、とちょっと変化球。
「「「「「戦う交通安全! 激走戦隊・カーーーーーレンジャー!!」」」」」
だがそこに、前回がメカゴジラなら、今回はちょっとガイガンぽくなった改造ブレーキングが出現する。
カーレンジャーはVRVマシーンを出撃させ…………ああ確かに、よく聞くと、そこはかとなく伊福部調だ……(笑)
的確な改造により、放水も足下への体当たりも無効の改造ブレーキングは、頭部のマサカリを投げつける「キングスラッガー!」というヤバめの武器を使用(笑)
くしくも今作放映の1996年には、9月7日より《ウルトラ》シリーズが『ウルトラマン80』以来16年ぶりのTVシリーズとなる『ウルトラマンティガ』放映をスタートしており、エールというかなんというか、タイミング的には狙った小ネタとしか思えません。
「先週と同じとは限りません。これを見なさい」
パチプロを人質に取られ、胸の巨大砲で攻撃を受け、先週とは一転ピンチに陥るVRVマシーンだが、その時コンソールパネルにある赤いスイッチに気付くレッドレーサー。
「赤いスイッチがあった……わけのわからない事じゃなかったんだ!」
5人が赤いスイッチを押すと、五台のVRVマシーンは、人型のVRVファイターへと変形。ビックリドッキリギミックからの不意打ちでパチプロの奪還に成功し、VRVマシーンのテーマをバックに、仕切り直しの戦闘を開始。ファイターは殴る蹴るばかりではなく、車でのダッシュから空中で人型になってのキックなど、変形機構を活かしての戦いが良かったです。特に緑ファイターが怪獣に踏みつけられた状態からダンプに変形する事で敵を転ばせる、というのは秀逸。
「そうか……あの時のバレーボールは、VRVマシーンがVRVファイターになった時の為の、特訓だったんだ。五体のロボのチームワーク攻撃」
「五体のVRVファイターの華麗なる戦いを、ゆっくり見せてもらうぜ」
ブレーキングキャノンの砲弾を受け止めた赤はバレー特訓の意味に気付き、敵の砲弾を使って炸裂する、VRVハリケーン
「よーしカーレンジャー、今度は、青いスイッチを押すんだ」
「「「「「青いスイッチ?!」」」」」
「押せばわかる」
5人が青いスイッチを押すとファイターが更に変形、そして合体し、RVロボと比べるとかなり角張った重量級の、VRVロボが誕生。ビッグトレーラーから巨大な銃火器が転送され、それを一斉発射するビクトリーツイスターにより改造ブレーキングを撃破するのであった。
カーレンジャーって、凄く、強かったんです、ねぇーーーーーーーーー!!」
改造ブレーキングが粉微塵になり、その爆発に飲み込まれる教授の映像がかぶさり……あれ、教授死んだ?(^^;
新ロボお披露目の踏み台にしても、一応の幹部待遇としては少々呆気なく死にすぎというか、死に様としてはストレートすぎてあまり面白みがなく、しばらくちょっと、疑ってかかりたい。
VRVロボは、動けないのか尺が無かったのか、合体したと思ったら仁王立ちの遠距離必殺攻撃だけで改造ブレーキングを屠ってしまい、ロボットとしての評価は持ち越し。玩具的には、前作『オーレンジャー』のオーブロッカー(偏愛)が〔記号→人型→合体パーツ〕だったのに対し、〔はたらく車→人型→合体パーツ〕となってプレイバリューを上げた、純粋発展系になるのでしょうか。
ガイナモとゾンネットは、清く正しい勤労の後に焼き肉屋でこのニュースを知り、カーレンジャーVRVロボと勝利という「ご褒美」に、パチプロへの信頼感を高めていく。
「この星の夕陽は、眩しすぎるぜ」
だが次回――立ちはだかる敵はRVロボ?! 「よそ見して歩いてると、怪我するぞ」。