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『ウルトラマンジード』感想・第9話

◆第9話「誓いの剣」◆ (監督:冨田卓 脚本:三浦有為子)
OPに、舎弟達を従えたゼロビヨンド追加。
リクとライハはレイトから、マユがリトルスターを発症したらしいと相談を受け、段々と謎の呪いみたいな扱いになっていくリトルスター。相談の結果、一時的にマユを秘密基地に匿い、リトルスターを狙う怪獣が現れたらジードが対処、その間に恐らく近くに居るであろうK先生をZレイトとライハで捕まえる、という作戦が立てられる。
見た目から属性をわかりやすく、という事なのでしょうが、レイトさんはどうして、休日に娘と公園で遊ぶに際して、背広+ネクタイ+鞄、の完全装備なのか。
そして娘さんはお母さんに今日の出来事を聞かれて、
「パパとお姉ちゃんとお兄ちゃんと着ぐるみと遊んでたのー」
「……お姉ちゃん?」
二週続けて、レイトさんの家庭が家庭が大ピンチ。
一方、宇宙GメンはK先生の経歴を洗っており、如何にも今まで水面下で注目していたみたいな雰囲気で登場するのですが、これなら前回前々回にちらっとでも出番をねじこめなかったものか(^^; そして過去の事件を調べ直していたモアは、6年前、今でいう怪獣と思われる巨大生物災害の生き残りとして、鳥羽ライハの名前を発見する……。
リク達の目論見通りに天文台の近くに怪獣が現れてジードが出撃するが、別の場所にスカルゴモラが出現。やむなくゼロも変身して、ジードが苦戦していた天文台サイドの怪獣を担当し、ゼロビヨンドへとチェンジ。舎弟ズスラッガーを2本ずつ束ねて巨大な光のマサカリ二刀流として振るうのは格好良く、前回よりはだいぶ格好いい立ち回りでした。
「俺の娘に手を出そうなんて、2万年早い」
(あのー……マユは僕の娘です)
「似たようなものだ」
というゼロの返答にレイトは満更でもない微笑を浮かべ、ゼロの中の父性の芽生え、というのは中盤〜後半にかけて上手く繋げられると面白そうな要素。
スカルゴモラが出現した山――6年前の怪獣災害の現場――へ到達したジードが、着地の勢いで高空から躍りかかるジャンピングニーを決める、というのも格好良かったです。
ところがその山に、K先生を狙うライハ、そしてライハを追ったマユがやってきてしまう。ライハはマユを振り切ってK先生を探し、ジードはバーニングクローでゴモラを撃破。
「お願いジード、お姉ちゃんを止めて、お姉ちゃんを助けて」
6年前、かつてリトルスター保持者であったライハはスカルゴモラに襲われ、両親はその目の前で怪獣の起こした土砂崩れに飲み込まれて死んでしまう。ライハに宿っていたリトルスターは空中で消滅してしまい、ライハはその時に目撃した、怪獣から人間に戻った人物を、6年間探し続けていたのであった。
ライハの過去を聞いたマユの祈りにより、リトルスターはウルトラカプセルへと変換され、ジードはゼロカプセルを入手。……え、何故、そこに居る、ゼロ? いやまあ、カプセルはあくまでマジックアイテムなので本人と別に存在していて構わないのでしょうが、メイン級の扱いだけに、どうしてわざわざ感は漂います(^^;
「よくここに居るとわかりましたね」
6年前、ライハのリトルスター回収失敗を教訓にやり方を変えたらしいK先生と、橋上で対峙したライハは両親の復讐の為に刃を抜き、両者は激しく激突。
「こういう展開、嫌いじゃない」
変態紳士道その18により華麗にステッキを操るK先生はライハを追い詰めるが、鞘袋を用いた奇襲でよろめいた所を至近距離から掌底を打ち込まれ、駆けつけてきたリク・レイト・マユの前で、喉元に刃を突きつけられる。
「何故だ……?」
「覚悟が違うのよ」
…………恐らく、リクの「覚悟決めるぜ」に対応する形でライハにも「覚悟」と言わせたのでしょうが、前々回、カメラ回っている前でK先生をぶった切ると逮捕されるから、という理由で切りかかるのを止めたライハの、「覚悟」とはいったい。
復讐者を描くにあたって最も重要なのは、復讐にまつわる情念の多寡なのですが、なにをもって「覚悟」を語るのかがさっぱり行方不明になってしまい、その一番肝心な部分がブレてしまっている、大惨事。
「自分のせいで大切な人が奪われて、守れなくて、私がこの6年、どれだけ苦しかったか……悔しかったか……その気持ちがわかる?」
「くだらない」
「……でしょうね。でもそのくだらないものが! あんたと私の差よ!!」
……あー、ライハさん、他人が何を考えているか、割とどうでもいい人なんだなー。
前回レイトへ言い放った言葉の数々と重ねて考えるとライハ、かなり一方的に自分の物の見方を他人へ押しつけてそんな自分の意志が一番大事、という人にしか見えないのですが、それがリクへの対応とはまるで違っている、というのがまた惨事。
序盤からそこはかとなく台詞で匂わされていたライハの背景は決め打ちでしょうから、本来なら、K先生とライハの因縁、ライハの目的と復讐心が明かされた所で、それでライハはこういう性格だったのか……と納得できる形で積み重ねてきた物語の焦点が合わなければいけないのですが、むしろ、え? それなのに今までのあれやこれは? と物凄くちぐはぐになっています。
今回のK先生や前回のレイトへの対応を考えると復讐一辺倒で周囲の事が見えておらず、それは思春期を復讐の為に研ぎ澄ましてきた人物としては納得できる造形なのですが、そのくせ意外とコミュニケーション能力があって他者を気遣う視野を持っているので、その他のパートと人格が変異してしまっている。
そしてもし、復讐の標的を目の前にして我を失っている、というのなら、講演会の時点で我を失っていないといけなかったわけです。
ここまでの物語を振り返って、ライハの言うところの「覚悟」と、それ故の在り方というのが、トレーニング以外にまるで目立って見えてきません。そこを描くのが、情念を描く、という事であり、それが描けないのなら、「復讐」などという動機は持ち込まない方がマシです。
更に致命的なのは、純粋に個人の怨念で動く復讐者だったライハが、個人として何より家族を守ろうとしたレイトに対して、「逃げるの?」呼ばわりした事。
前回のその会話からライハの家族は公益に関わる人物で、その為に怪獣と関わって命を落としたのではないかと推測していたのですが(だから「無駄死に」がNGワードなのかと思ったのですが)そんな事はなく、「娘を守ろうとして死んだ両親の復讐」という極めて私的な動機であるならば、むしろライハこそレイトに共感できたのではないか。
そこでレイトに共感しないどころか、私は私のやりたいようにやるけど、おまえは手に入れた「力」で公益に奉仕するという運命に従うべきと主張するライハさんは、物凄く性格がねじ曲がっている事になるのですが。
で、話が一周戻ってくるのですが、復讐しか見えていないから性格がねじ曲がっている、というのなら、それで構わないわけです。ところがここまで8話を見ている限りではむしろライハは物語全体の中でも真っ当な人格として扱われており、その場その場の話を進める都合でライハの核心を成す部分を切り刻んでしまった結果、ライハというキャラクター自体が矛盾を起こしてしまっている始末。
もう一つ言うと、ライハが今回言っている「覚悟」(復讐の為に手段を選ばないつもりらしい気持ち)と、リクが口にする「覚悟」(どんな状況でも皆のヒーローであろうとする気持ち)は、言葉は同じでも中身は大きく隔たりがあるのですが、ライハの復讐自体は、リトルスターの残滓?に止められたものの、誰もライハの言う「覚悟」を否定的に扱わないのは、今後の不安要素。これ最後まで一緒に扱うと、かなりの確率で大事故……。
そして最後に「やめて良かった」とフォローを入れるものの、ライハの行為に対して1から10まで何も関与できない主人公の存在価値、とは。
この辺りのもろもろ、後々の為の仕掛けだと思いたいのですが、前回と今回だけ取ってみても、レイトの変心(変身)が、私的な復讐に凝り固まっていたライハの心境に変化を生じさせて……など繋げられそうなのにまるっきり断裂していたり、脚本間でどのぐらい連携取れているのやら。
立ち去るK先生はZレイトが追いかけるもバリアに阻まれ、
「ストルム星人か!」
というのがK先生の正体のようですが、過去作ネタ?
そして一連の騒動をピーピングしていた宇宙Gメンだが、鉄仮面先輩はK先生だけではなくZレイトに興味を示すのであった。
…………大丈夫かゼロ、ここに来るまでに、食い逃げとか、スピード違反とか軽犯罪を犯してないか?!
幾つかの伏線が収束するライハ回という事で、K先生の掘り下げともども期待していたのですが、前回後半以上の大失速から墜落してしまい、残念。
次回――久々にモアが絡んで、閑話休題