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『激走戦隊カーレンジャー』感想26

◆第33話「おめざめ!激走ダップ」◆ (監督:松井昇 脚本:荒川稔久
司令強奪の危機に陥った冬眠から目覚めつつあるダップは、母星が宇宙の花火になった悪夢と、両親との思い出を夢に見……一方、リッチリッチハイカー教授亡き後のボーゾックでは、ガイナモがチーム名をヘルスボーゾックに改めると発表していた。
「俺たちゃ健康で、バカが取り柄だ。それを忘れて頭使って勝とうなんざ間違ってた」
ま、間違ってたの……?(笑)
「だから初心に返って、元気なだけのバカになりきろう、って意味でつけたのよ」
てっきり、「ヘルズ(地獄の)ボーゾック」のつもりで間違えたのかと思ったら、本当に「健康」でした!
と冒頭から、悪の組織の強化ないし交代劇を今作らしいギャグにしてくる飛び道具。
その方針に基づき、パワーアップの為の激バカドリンクを飲まされる、UUウッス。
見た目はまんま栄養ドリンクだったり、一連のギャグの流れでさらっと出てくるのですが、それは思考能力を奪う代わりに戦闘能力を高める的な、普通に外道な薬品なのでは……?
その頃、温度計を口に突っ込んだ事でダップの目覚めが近い事を知った恭介達は、サプライズパーティーを企画。以前にダップが喜んだ、ハザード星と似た自然の残る高原へダップを連れて行こうと準備を進めるが、既にUUウッスの攻撃は始まっていた!
「もう10月なのに、まるで真夏やでこれ」
「……まさか……ボーゾック?」
激バカドリンクの効果により、ボーゾック1暑苦しくなったUUウッスが撒き散らす爆炎で、日本の気温が上昇(笑) カーレンジャーはVRVマシンを出撃させて山火事を食い止めるが、ドリンク2本で更にドーピングしたウッスは、自らのダッシュにより更なる地球加熱を開始する。
「いいぞいいぞ! やっぱバカになりきってやりゃ、こんなもんでウッス!」
前回、捨て身のギャグで平常進行に戻した流れから、そのままなし崩しでバラエティエピソードに移行してしまうのではなく、バカがバカだからこそ地球に危機をもたらす事が出来るのを見せてくるというのが、実にお見事。
物語をギャグでオとす一方で、そのオチを物語の中に組み込んでいき、ギャグと物語が車輪の両軸として有機的に連動していくというのが、物語をパロディだけに留めていない、今作の巧さと底力。
ウッスの暑苦しさはオートブラスターすら反射し、火炎放射でカーレンジャーを追い詰めていく。
既に冬眠から目覚めるも、サプライズパーティーの準備を耳にした事から5人をがっかりさせないようにと寝たふりをしていたダップは、このピンチに狼狽。セクシーお姉さんの天気予報から、火炎放射を地中にもぐってかわす作戦を思いつくが、サプライズパーティー実行を心の支えに火炎放射に耐えている5人に通信を送ると、いきなりの事にショックを受けて焼け死んでしまうのではないかと心配して、助言する事ができない(^^;
まあ確かに、ノリがいい方が勝つという事は、ノリを失うと死ぬという事でもあります!
そうこうする内になんとか一時退却するカーレンジャーだが、喉の渇きを癒やそうと飛びついた水道はお湯になっており、飛び込もうとしたプールは熱湯風呂に。画面にエフェクトをかけつつ、実がシャツの裾を出しているのが、暑さの表現としては地味ながら秀逸。
「早くあいつを倒さないと、日本中のプールが、露天風呂になってしまうでございます」
「そんなこと言うたかてよ、あつうて、奴に近づく事もできへんねんで。どないしたらええねん」
そこへ一計を案じたダップが通りすがりの一般市民の占い師コスプレで助言を与えようとするが、もちろん正体に気付かない5人に追い払われてしまう。
「「「「「……ん?」」」」」
「どっかで見たな」
「うん」
続いてナースに変装するも自分の女装に気持ち悪くなったダップは、次はヘビメタロッカーに変装して歌の形でメッセージを伝える事に成功し、駆け出す5人。
「うまくいったダップ〜。全然気付いてなかったダップ」
「やっぱりダップだったな」
さすがに気付いていたが、言わない優しさ(笑)
「どこ行ったカーレンジャー? バカになって脇目も振らず走りゃあ、俺に触れる事はできないウッスー!」
ダップが伝えてくれた作戦を胸に変身した5人は、カーレンジャーを仕留めようと走り回るウッスを、
車で轢く(笑)
カーアタック前に激しい土煙が巻き起こるシーンがあるので地中を走行して不意打ちしたという事のようなのですが、映像的にはどうしても、より強い力で正面から殴り殺したようにしか見えません。
挙げ句、ドラゴンカーで空から爆撃。
これが、工業と魔法と伝説の力だ!
「おのれ〜、地面の中から近づくとは、頭を使いやがったなウッスー!」
映像の物理的な虐殺感はともかく、ここで、勝利の鍵が頭脳になるという対比が上手い。
カーレンジャーは巨大化した怪人に対してVRVマシーンを出動させ、「「「「「必勝合体!」」」」」って今回初めて言ったような。
「「「「「エンジン絶好調! VRVロボ!」」」」」
「熱いのは、夏と、おでんだけでいいのだ!」
VRVロボは、身長差を利用して怪人の細長い頭部をむんずと掴んで殴り飛ばす、という酷い攻撃からVツイスターで大勝利。5人は車に積んでダップを高原へと連れて行き、知らぬ顔で狸寝入りのダップに声をかける。
「さーて……そろそろダップくん、起きてくれないかなー(棒)」
ダップはダップで今起きました、パーティーだーとわざとらしく驚いてみせ、互いが互いの事を気遣いながら、それ自体がギャグになっている、というのはこの6人の交流らしく、雰囲気も良く収まりました。また、浦沢テイストが強くなると邪悪になりがちなダップを少々マイルドに引き戻した事、冬眠からの目覚めというインターバルを活用して、つい忘れそうになるダップの重い背景を改めて示した、というのも良かったと思います。
洋子が口を滑らせるなどあったもののダップは無事に司令官として復権し、みんな仲良く激走体操、でつづく。


げんげん元気に激走ー
勇気全開 走りだそう
げんげん元気に激走ー
体に 力がわいてくるー

次回、明かされる血の因縁、まさかの姉妹?!をあっさり予告で見せてきたよ!「曲がり角では、飛び出したりしちゃ」「「「「「駄目ー!」」」」」。


◆第34話「恋の世話焼き割り込み娘」◆ (監督:松井昇 脚本:荒川稔久
背広姿でメガネをかけた恭介(妄想)が家に帰ると、台所には新妻ゾンネット(妄想)の姿があり、お帰りのキスを迫る恭介(妄想)であったが……
「私の旦那様はレッドレーサーよ! そんな猿顔一般市民じゃないわ!」
言っていいんだ、それ。
戦隊レッドにはどういうわけか、(二枚目は二枚目として)猿顔の系譜というのが存在するのですが、劇中でそこにハッキリ触れてしまうとは(笑)
ゾンネットの割と華麗な連続攻撃で猿顔の一般市民はノックダウンされ……
「猿顔で悪かったな!」
基地の床に倒れて目を覚ます恭介(現実)。
「夢か……」
「大丈夫でございますか?」
RVロボの修理サボった挙げ句にひっくりかえって、あーあ、またゾンネットの夢かいな」
既にみんなにバレてた。
……事から察すると、居眠り中に「ゾンネットーーー!」とか叫びながら跳ね起きたりした事例があったと思われ、出社拒否レベルで恥ずかしい。
「そんなにしょっちゅう見るんだったら、堂々と、アタックすればいいじゃん!」
「なんだよいきなりー」
「でもさー、ラブレターもらって一度はフったくせに! 後からうじうじ考えてぇー、まあ友達ならいっかなーーとか思い直して? そのくせ、本人と会うと意地張って喧嘩みたいになっちゃうなんて〜、ヒーローのする事じゃないよね〜」
これまでを振り返る体裁でグサグサと刺しに行く洋子からはそこはかとなく、物語としての正ヒロイン争いから脱落した私怨を感じます(笑)
「少なくとも、カーレンジャーのリーダーがする事じゃないでございます」
「うるせぇなおまえらみんなして! 俺だって色々考えてんだよ! そうだよ……今度会ったらなぁ……!」
「お? 今度会ったらー?」
「堂々と……握手してやるよ」
「「「「だー!」」」」
その頃、健康ボーゾック。
「初心に返って元気なだけのバカになりきるだけじゃあ、駄目だった。こうなったからには、俺たちも今までのままじゃいけねぇ。だから、今日から俺たちは……かーーーーーーー!」
気合い一閃、新たにお披露目される、チーム名。
「デビルボーゾックとなる」
合わせてグラッチが強化芋羊羹を完成させるが、その実験台を探している所に、飛んでくるロケット速達。バニティミラー様宛、土星のおでん屋で待つ、というメッセージに土星へと向かったゾンネットを待っていたのは、カーレンジャー6番目の妹ホワイトレーサーこと、ちょっと下ぶくれになったラジエッタであった(女優さん交代との事)。
バニティミラーとはゾンネットの本名であり、同じ首飾りを持っていたラジエッタは、ゾンネットの妹だったのだ!
「いやー、想像はしていたけど、けばくなっちゃたねー」
今回、暴言多いぞ(笑)
ゾンネットに実家に戻る事を勧めるラジエッタだが、ゾンネットはそれを拒否。ゾンネットが落としたパスケースに挟まれたレッドレーサーの写真を目にしたラジエッタは姉の恋心に気付くが、ボーゾックの写真怪人FFムンチョリに追われ、地球へ逃げる事に。
「ラジエッタ……? なんか、ちょっと見ん間に雰囲気変わったんちゃうか?」
女の子には秘密がいっぱいなんですよ!!
ムンチョリを撃退してラジエッタを介抱するも、素顔で会うのが始めてなのでカーレンジャーの友達だと誤魔化した5人は、ラジエッタとゾンネットが姉妹である事、ゾンネットは両親と喧嘩した家出娘であった、という事実を知る。
「典型的な、転落のパターンでございますね」
丁寧語キャラにありがちですが、土門は、たまに酷い(笑)
再び出現したムンチョリのフィルム忍法に苦戦するカーレンジャーを、ラジエッカーのチェンジ・ロボモード、「完全無欠・ラジエッカーロボ!」で助けるも1分間でガス欠、というくだりはあまり面白く感じず(^^;
巨大化した怪人に対してはVRVロボが必勝合体し、今回もさくっとVツイスター。
地上に様子を見に来ていたゾンネットはその勝利に思わず喜んでしまって戸惑うが、そこに現れたラジエッタは、少女マンガ雑誌の付録で入手した交換日記をゾンネットへ渡そうとする(多分、以前にゾンネットがラブレター作戦を思いついたのと同じチーキュの少女マンガだと思われ、変な小ネタが連結されています(笑))。
そこにカーレンジャー5人も姿を見せ、もはや、敵味方という関係をすっかり忘れて流れる気まずい空気の中、勇気を持って一歩を踏み出すレッドレーサー。
「ゾンネット……やってみようぜ、交換日記」
公約通りに握手も求めるが
「……ばっかじゃない」
ざっくりフられて右手を差し出したまま石化し、気まずい上に鉛のように重くなる空気。
「……ああ! あたし、洗濯もんあるから!」
「俺は編み物せなあかんから、さいなら〜」
「あたし、買い物あるか……ら。それじゃあ」
「ちょ、わたくしは! 何もないでございます。あまり落ち込まないで下さいね」
「あ〜ぁ、レッドレーサーさんだったら、跡取りの星の王子様にもばっちりだし、うまくいったら、あたしのお兄ちゃんになるのに〜」
めげないラジエッタはとにかく交換日記をゾンネットに押しつけるが、果たして2人の恋の行く末や如何に……というか、その女、チーキュを花火にしようとする元凶なのですが、ラブコメしてていいのか(笑)
荒川さん好みのラブコメに重点を置きつつ、前回のラジエッタ登場回の伏線を拾い、ゾンネットがどこぞの星のお姫様であったと判明。生まれついてのサークルクラッシャー属性だった模様です。
同じく先のラジエッタ登場回(ゾクレンジャー)と対応させる意味もあってか盛り込まれたロボネタはあまり面白くなりませんでしたが、視聴層を考えると、ラブコメ全振りというわけにいかなかったか(^^; 個人的にはラブコメ全振りの方が面白かったのではと思う所で、エピソードとしてのピークは、デビルボーゾック含めて、サブタイトル前という事になってしまいました。
次回――再調整を受け、あの男が帰ってくる! 交通ルールを守らないゴミは、完全焼却だぁぁぁ!!
「赤信号でも、ダッシュすればOKだ!」「こらこら、駄目駄目!」
て、どうなる宇宙の交通安全?!