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『仮面ライダービルド』感想・第2話

後々、この見出しタグ↑が自分でも意味不明に感じそうなのですが、「実験を始めよう」はもう一つピンと来ないし、「ビルドアップ」だと『鋼鉄ジーグ』思い出すしで、色々な葛藤があったと御理解下さい。
◆第2話「無実のランナウェイ」◆ (監督:田崎竜太 脚本:武藤将吾
えー、これはもう、純粋に好き嫌いの話になるのですが、第2話から、死ぬ為に死ぬ恋人が出てきて死ぬ、という展開が物凄く不満。
しかも、前回まではスマッシュ成分を抜いたら記憶は失うけど人間に戻る、と見せていた所に、でも病弱な奴は駄目だ!という露骨に悲劇の為の悲劇の設定が出てくる、というのが輪を掛けて不満。
登場人物(特に主人公的存在)への感情移入を促すフックとして導入に悲劇を持ち込む、というのは普遍的な手法ではあり、作っている側としては今回が“龍我にとっての第1話”という見立てだったのかもしれませんが、私としては龍我をそこまでの存在とは思えない内に、駆け足で出来合いの悲劇を見せられて、なんだかなーという印象。
戦兎−龍我の相棒関係がもう少し安定してからなら、2人の衝突含めて別の要素を加える事でもっと効果的に見せられたかとも思いますが、今回の段階では、早い・安い・味がない、の三拍子。
なんというかこれ、都合のいい女が都合のいい女のまま死ぬ話になってしまっていて、それはどうなんでしょうか、と思うわけなのです。
また、龍我を実験の素体にするに際して、殺人の罪を着せる(これは邪魔者の始末と一石二鳥だったとかありそうですが)→裁判(無いのかもですが……)→服役→刑務所内で移送、とわざわざ手間をかけていた組織が、彼女に関しては見せしめの為(?)に速攻で拉致して改造、というのも凄く雑な事に。
煙突男の割と突飛な「魂」云々発言は仕込みっぽいですし、人命に対する敵組織の悪辣さを早めに打ち出したい意図もあったのでしょうが、第1話からの流れとしては“人間には戻れたけど恋人としての記憶を失ってしまう”レベルの悲劇が限度だったように思いますし、どうしてもやるなら、第1話から龍我彼女の存在を匂わせて、悲劇の予兆を描いておくべきだったろうな、と。
龍我が恋人・香澄と2人の世界に入っている間に、超頑張って支えてるビルドの好感度は凄く上がりましたが!
「俺の記憶とベストマッチしちまったんだよ」
龍我の証言に自分の記憶と重なるものを感じた戦兎は龍我を秘密基地に連れて行き、一悶着。そこへ戦兎とマスターの不注意から、前回冒頭で助けた女記者まで侵入してきて、また一悶着。
女記者は如何にも面倒くさそうなキャラなのですが、善人めかして実態は押しつけがましくて面倒くさい、のではなく、最初から私利私欲の為に面倒くさい、と明言してきたのは良かった所。お互いベストマッチでないのは承知の上で情報を融通し合う関係性、というのは巧く描いてくれれば、面白くなりそうです。
恋人・香澄が人体実験組織に捕まった事を知った龍我は秘密基地から勝手に外出。それを追った戦兎は、立ちはだかる合体ガーディアンロボを前に新たなボトルを使い、早くも“輝きのデストロイヤー”ゴリラモンドできあがり。
「ベストマッチ? 来たぁーーー!!」
ライダー活動の経験を積んでいるので、既に手元に幾つかボトルがあるのは不自然ではないのですが、物凄く唐突に手持ちのボトルを使ってベストマッチしてしまった為、“敵の能力を自分のものにして使う”事の面白さが打ち出されなかったのは残念。一応の新フォームなのにウサタンクからのビルドアップで決めポーズが無かったり、決め台詞の「実験を始めよう」は強引にぼそっと呟くだけだったり、因縁の敵には何故かハリタンクで立ち向かったり何かと中途半端で、前半かなりギャグに尺を割いていた割に、後半のバトルがやたらと忙しくなり、ハッタリとインパクトが不足してしまいました。
「勝利の法則は、決まった!」
のポーズは、前回は、「ほーら、うさぎさんだよ♪」に見えたのですが、今回の感じだと、頭の横でパッと手を開く=古典的なマンガ表現における電球点灯の代わりで、
つまり
「きらっと閃いた!」
か(どうしてもそこから離れられない)。
ガーディアンロボを物理×物理で撃破したビルドは戦兎に戻って龍我から事情を聞こうとするが首を絞めて落とされ、呼び出しの場所に向かった龍我の前には、香澄が改造された火炎放射スマッシュが姿を現す。そこに駆けつけ、既にヒーロー初段に付き、華麗にバイクで轢く戦兎。
だが更にそこへ、不気味な笑い声と共に煙から実体化した、因縁の怪人が姿を見せる。
「コウモリ男!」
「ナイトローグだ」
本人から抗議と訂正が入りました。
アイマスクと胸部にコウモリの意匠が入り、旧作でいうと割と開き直ってキバ似のナイトローグことケムコウモリは、これもキバ同様に吸血鬼のイメージが入っているようで、吸血鬼の霧化能力を煙化でなぞらえている、というのは面白い。
「俺の体に何をした! 人体実験したんだろう?!」
「モルモットの顔など、いちいち覚えていない」
別段ビルドを特別視していない様子のケムコウモリは火炎放射スマッシュをけしかけて姿を消し、何をしたいのかはさっぱりですが、性格が悪い事はわかりました。
戦兎と龍我は散りゆく香澄から、龍我の格闘家復帰を餌に香澄をそそのかしたナベシマという男の名を伝えられる。
「何がだよ……何がいいんだよ! いいわけねぇだろ! 今捕まったらおまえは殺人犯のままだ。それでいいのか?! それで彼女が喜ぶと思ってんのか?!」
戦兎は打ちひしがれる龍我を格好いいBGMでたたき起こし、今回、一度こうと決めたら他人の為に必死になれる男として、戦兎への好感度が上がったのは良かったです。
OP映像と本編で金色の腕輪が強調されたマスター娘(パンドラボックス関係?)と同様、マスターも何やら特異な力を持っている事が示唆され、そして「ナベシマ」とは、刑務所で龍我を気絶させた看守という情報がもたらされて……つづく。
骨組みが好きではなく話にノれず、女性キャラの捉え方など今後に向けた幾つかの不安点も浮上したエピソードでしたが、主人公への好感度は上がったので、物語が巧いこと転がってくれるのを切に期待したいです。
ところで、
出勤初日に早退→どう見ても重役出勤→本日も出勤即早退
の戦兎さんに明日の机はあるのか!
次回、物語は西都へ……? って、やっぱり解雇ですか?!