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『轟轟戦隊ボウケンジャー』感想・第2話

◆Task.2「竜の略奪者」◆ (監督:諸田敏 脚本:會川昇
――命がけの冒険に、今日も旅立つ者がいる。密かに眠る危険な秘宝を守り抜く為に、あらゆる困難を乗り越え進む、冒険者達――
ちょっとひねったイントロから入る主題歌と、冒険家のイラストにメンバーを重ねていくという演出のOPは、けっこう好き。
ゴードムの心臓を入手したボウケンジャーの目の前で大神官ガジャを連れ去ったのは、プレシャスを悪用しようとするネガティブシンジケートの巨大兵器。赤い鎧(表皮)の恐竜人類的な竜王様一味にいきなり拉致監禁を受け、大神官ガジャは120HP(ヒロインポイント)を手に入れた!
大神官ガジャはヒロインランクが上がった! 〔何故か放っておけないあいつ〕になった!
5人はひとまず表向きは博物館である財団の日本支部へと戻り、プレシャスの研究管理を担当する?中年男性・牧野、ボウケンジャーに指令を下すCGのミスター・ボイスが登場。また、ネガティブシンジケートとは組織名ではなくプレシャスを悪用しようとする存在への総称であり、世界ネガティブ図鑑の中から、ガジャをさらったのは恐竜遺伝子を持つジャリュウ一族と推定される。
青の手にしたネガティブ図鑑の中に随分多くの名前があるのですが、競争相手をひっくるめて「ネガティブ」呼ばわりするサージェス財団の姿勢には、やはり不信感が募ります(笑)
ガジャを連れ去った竜王一味の狙いは、ゴーダム文明のもう一つの秘宝に違いない、とボウケンジャーは囚われのガジャを追って、もとい新たなプレシャスを求めて一路北米へ飛び、いきなりの大邪竜ロボvsダイボウケン。
ダイボウケンは今回も盛大にスコップで土壌を巻き上げ、貴重なプレシャスの入手の為には躊躇無く環境を破壊するその姿勢はいっそ清々しい。
アドベンチャードライブで一刀両断するも立ち上がった大邪竜ロボの自爆攻撃を受けそうになるダイボウケンだったが、フルパワーで蹴り飛ばして何とかこれを回避。
「部下を平然と見殺しにし、自分だけが宝を手に入れる。ネガティブであろうとなかろうと、許せん!」
赤・黒と青・桃・黄の二組に分かれて先行する竜王一味を追い、好奇心旺盛で場の空気を読まないイエローの菜月は、2年前に真墨が遺跡の中で発見した記憶喪失の少女である事が明かされ……ぐちぐち言いながら面倒を見ていたと思われる真墨、すっごくいい奴なのでは(笑)
あと、履歴書にどう書いて提出したのかわかりませんが、こんな人材(黒含む)をテストメンバーに選んで超アイテムをがつがつ使わせてしまう財団上層部、マジ不安。
そしてよくよく考えると、その前歴から菜月がネガティブのスパイではないかと疑うさくらも、未だ真墨に不審の目を向ける青も、財団上層部を信用していない(笑)
色々大丈夫かボウケンジャー
菜月が竜王一味のトカゲ人と話しているのを目にしたさくらはスパイ疑惑を強めるが、菜月は発見時に唯一身につけていたブレスレットについて聞きだそうとしていたと判明。
「菜月には、プレシャスより大切な、ものがある……」
ボウケンジャーになった理由は、なによりも自分が何者なのかを知りたい事であった菜月は、自らボウケンジャー失格であると退職しようとするが、それを止める不滅の牙。
「誰にでも、たった一つ、大切な宝がある。俺たちはみんな、そんな宝を見つける為に、このチームに集まった。誰のものでもない、自分だけの宝を見つける為に。違うか?」
爽やかに諭す不滅の牙ですが、この人、部下に裏切り者が居てもそれはそれで楽しい冒険だなぁ……! の人なので、大変危険です。
というかもしかして、サージェス財団上層部もそういうノリなのかもしれない。
チーフの必殺《俺は既にいい事を言った! このボウケンレッドが!(びしっ)》が発動して、自分というプレシャスを探す菜月の気持ちを認めたさくら達は、改めて菜月をボウケンイエローとして迎え入れるが、そこへ一時的に協力したトカゲ人とゴードム兵(ガジャが岩石から作成)が襲来し、5人はスタートアップ。

「熱き冒険者! ボウケンレッド!」
「迅き冒険者! ボウケンブラック!」
「高き冒険者! ボウケンブルー!」
「強き冒険者! ボウケンイエロー!」
「深き冒険者! ボウケンピンク!」
「果て無きボウケンスピリッツ!」
「「「「「轟轟戦隊――ボウケンジャー!」」」」」

ラストはOPの最後に使われている顔アップのカットに繋げるフル名乗りから、主題歌をバックに個人武器で戦闘開始。赤は棒&槍(可変武器)、黒はハンマー、青は扇風機付きナックル、黄はショベルハンド、桃は巨大ハンドガン、をそれぞれ振り回し、赤はボウケンジャーのシンボルマークである方位磁石を速度計に見立ててのダッシュ攻撃・レッドゾーンクラッシュで複数のトカゲ人を撃破。
全面には押し出さないものの、ところどころで車輌モチーフを重視しているのですが(ダイボウケンの合体時にハンドルを持って移動したり)、企画的には冒険と車の合わせ技、という感じだったのでしょうか。長年謎だった「轟轟」の謎がようやく解けました(笑)
お陰でマリンが凄く普通に地上を走行していますが……まあ、スーパーメカだから。
ジャリュウ×ゴードム連合の雑兵を撃破するボウケンジャーだったが、一足早くガジャは<ゴードムの脳髄>の元に辿り着いていた。竜王陛下を罠にはめて拘束するガジャだったが、赤い鎧の竜王は力ずくで戒めを破壊。怒りの竜王にぶった切られてガジャは逃亡し、脳髄に手を伸ばす竜王だったが、間一髪そこに飛んでくる不滅の牙は狙った獲物を逃さない!
「ジャリュウ一族の長か。どんな気持ちだ? 多くの部下を犠牲にし、プレシャスを見つけるのは!」
葬り去ったの、君らだけどな……。
「部下など幾らでも作れるわ! 奴らはこのプレシャスに比べたら、なんの価値も無い!」
「部下の命を使い捨てにする貴様は、俺には勝てない!」
「なにぃ?!」
「俺には仲間が居る。そのパワーがある!」
今作における“悪”を、「プレシャスを悪用する」だけではなく、「命を粗末にする者」と置き、それにチーフのスタンスをぶつける事で対比を成立させ、“ヒーロー”とは何か、を丁寧に組み立て。同時に、チーフの言葉を通して、幾ら“自分だけの宝”を見つける為でも他者を蔑ろにしてはいけない、という一線を描く事で、ボウケンジャーのヒーロー像を提示。
良し悪しや好き嫌いとはまた別の話として、分解していてつくづく思ったのですが、現在見ている作品の中では、やはり會川脚本はダントツに理屈っぽい(笑) 特に、初の戦隊メインでのパイロット版という事で、そういう面が強く出ているというのもあるでしょうが。
不滅の牙の槍剣ダブル攻撃の直撃を受けた陛下は崖から転落していき、ボウケンジャーはハザードレベル130(あっさり100を突破!)の<ゴーダムの脳髄>を確保。さくらは菜月にプレシャスの回収を任せ、青も真墨が手を出す事を認め、ボウケンジャーは今度こそ5人で一つのチームとなるのであった。
「一人一人、探す宝は違っても、同じボウケンジャーだ。行くぞ、新しい冒険が待ってる」
チーフが必殺《俺は既にいい事を言った! このボウケンレッドが!(びしっ)》で締めて、つづく。
前回残った不協和音を拾って二段構えのチームアップを中継地点に、前回やらなかったいかにも戦隊第1話なバトルを展開。ドSなスリルジャンキー疑惑のあるチーフのリーダーとしての姿勢を描くと同時にそれを今回のネガティブと対比させる事で、ヒーローと悪の双方を劇中で位置づけし、おまけに菜月の過去にも触れるという、第1話以上にぎゅうぎゅう詰めの第2話。
これだけの内容をしっかり連動させて繋げてくる會川脚本×諸田監督(2年前には『仮面ライダーブレイド』で活躍したコンビ)の手腕は見事でしたが、さすがに詰め込みすぎて、菜月の素性うんぬんに関しては弁当箱からはみ出した感あり。菜月とさくらの和解のくだりは、やや雑になってしまった印象です。
ややネジの飛びがちな菜月の背景としては納得できましたし、メンバーそのものに明確な伏線要素を与えるというのは意外と珍しい気がするので、さくらとの関係含めて上手く転がってほしいところ。
豪華なデザインの割にざくっと撃破されてしまった竜王陛下ですが、もしかしてこのノリで、毎回ネガティブシンジケートが一つずつ壊滅していくのでしょうか(笑) まあ、大爆発ではなく崖から転落だった上に、それを目撃するガジャのシーンまで描かれたので、生きていそうですが。
ガジャといえば、竜王の転落を目撃してボウケンジャーに恨み言を呟いた後、崩れそうな足下のアップという意味深なカットがあるも滑落などは描かれなかったのですが……これはもしかして、よろけて崖から落下、竜王様と空中で「バロぉム!」「クロス!」して竜神官ガジャオーンになって帰ってくるのか?!
次回――たぶん1−2話で一度も名前を呼ばれていない青回で無かったらどうしようかと思ってドキドキしていたのですが、青回で良かった!