◆第5話「危ういアイデンティティー」◆ (監督:諸田敏 脚本:武藤将吾)
地下基地のパネルについて説明を求める戦兎と龍我に詰め寄られたマスターと、その娘の美空は、かつてその能力に目を付けられた美空がファウストにさらわれた事、ファウストの信用を得る為にマスターがパネル盗難の手引きをした事、その上でマスターは美空をファウストから救出しパネルを1枚失敬してきた事、それ以来マスターは元宇宙飛行士の身分を隠してカフェの店主に身をやつし美空も引きこもっている事、とこれまでの点と点を繋げて背景もろもろと合わせて一気に説明。
今まで黙っていたのは「戦兎にビルドとして戦って欲しかったから」であり、その為に詳しい事情の説明は後回しにしていた、とさらっと外道な事をいい、情報量と勢いで戦兎を押し切る(笑)
マスターと美空が今後どちらに転がるのかはわかりませんが、後ろ暗い事の1つや2つ隠している気配がありありです。
また、美空の能力がスマッシュ成分の浄化である事、マスターこそ火星からパンドラボックスを持ち帰った宇宙飛行士であり、式典の最中に“スカイウォールの惨劇”を引き起こした張本人である事も明確に。
“スカイウォールの惨劇”に関しては、火星パワーに操られていたと適当な事を供述しており、戦兎はこの人はそもそも研究所で何をしていたのか突っ込んだ方がいいのではないのでしょうか。
戦兎がまずいコーヒーに免じてマスターを許し、とりあえず問題が解決した所で女記者が顔を見せ、戦兎の過去を知る人物が現れたと告げる。
戦兎を「兄貴」と呼ぶ、メガネにアフロの男の証言によると、戦兎の本名は「サトウ・タロウ」。その正体は、ツナ義ーズという売れないバンドの一員。
密かに妄想していた華麗なる過去とのあまりの違いに愕然とする戦兎だが、市民がガーディアンに襲われている場面を目撃して変身。ところがそこに煙突コブラが現れて戦闘となり、煙突コブラはウサタンキックを片手で受け止めてみせる!
「ハザードレベル3.2、てところだな。まだまだ伸びそうだ」
煙突コブラは何やらビルドを試しているようですが、たぶん本編2回目の使用で無効化された必殺キック、切ない。
その後、ツナギ弟を不用意にカフェに連れて行った事で龍我と一悶着あり、指名手配犯の扱いが、物凄ーく雑。基本的に全員、「追われている」「狙われている」「神出鬼没の悪の組織と敵対している」事に対する警戒感が皆無に近いのですが、サトウ・タロウさん、壮大な茶番劇に巻き込まれているのではないか、と不安になります。
龍我の言い分を聞いて何故か慌てた様子でカフェを出て行ったアフロは煙突コブラによって拉致されるとチェーンスマッシュに改造され、それを教えられたビルドは怒りのキックをコブラへと浴びせる。
「ハザードレベル3.7か。怒りでレベルが上がるとはな。やっぱり期待通りだったよ。早くスマッシュを助けてやれ」
新たなベストマッチ・ニンニンコミックとなったビルドは4コマニンジャ刀でスマッシュを倒してアフロを元に戻すが、そこにやってきた龍我は戦兎を気絶させると、回収したばかりのスマッシュ成分をアフロに振りかけて再びスマッシュへと戻し、その後を追うことでファウストのアジトへ辿り着こうとする……!
雑な扱いを受け続けた龍我、戦兎にダイレクトアタック(3話ぶり2回目)というのは納得できる展開ですが、回収したスマッシュ成分をボトルからまた振りかけたらスマッシュに戻る、というのは目を疑う雑さ(^^; そういうものだと言われればそういうものだと受け止めるしかないのですが、いきなり割れているスカイウォールとか、今作は時々、話の都合で描写が凄く雑になるのは気になります。
あと、目の前で戦兎が伸びているのに、黙ってアジトへ帰るスマッシュ、というのもちょっと出来すぎで、ストレスに耐えかねた龍我の暴発自体は面白かっただけに、ディテールをもう少し丁寧に描いてほしかった所です。
ツナ義ーズに関しては露骨にネタすぎてファウストの仕込みっぽく見えるのが先に立ってしまい、次回待ち。
それにしても「サトウ・タロウ」も雑ですが、マスターがつけたという「戦兎」も、アイデンティティーをビルドに縛りつけていて鬼畜。
「戦兎って名前はな……俺と美空で考えたんだ……タンクボトルとラビットボトルからな!」
朝倉リク(『ウルトラマンジード』)が戦兎の立場だったら、絶望して身投げしかねないハザードレベルで最終回です。
期待していたニンジャは、思ったよりスピード感がなくてちょっと残念。武器付きなので武器見せが優先になってしまった感じですが、これも次回以降に別の見せ方を期待したいです。
今回わかった事1:戦兎がなかなかベストマッチを発見できないのは、組み合わせを考えている時間が楽しいからで、あっさり解明してしまうとテンションが落ちる。
今回わかった事2:数式金縛りの術が効かないブラッドスタークは、たぶん数学が得意。