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『轟轟戦隊ボウケンジャー』感想・第4話

◆Task.4「失われたビークル」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:會川昇
「限界です明石くん! 君の体が!」
ボウケンジャーの纏うアクセルスーツは各ビークルのパラレルエンジンからパワーを受けており、強力なビークルを操縦しようとするとスーツを通してパイロットの肉体に負担がかかるという酷い仕様が判明。どういうわけだか、前回今回とやたらに『特警ウインスペクター』風味です(笑)
(※『ウインスペクター』の主人公・香川竜馬が装着するクラステクターは、5分以上着用すると装着者が死ぬ、公権力による実験装備)
「ナンバー6以降のゴーゴービークルはなんと、今までよりも更に強力なんだ。でもそのパワーがあなた達に……ダメージを与えてしまう可能性も」
自分以外が6号機ドリルビークルのテストをする事を許可しない、明石の高圧的な態度に反発した真墨は、ドリル疲れの明石が寝ている内に、ビン底メガネをかけた恥ずかしい写真を撮影。
……小さい、小さいな(笑)
「あまり感心しない悪戯ですね」
そこをさくらに凄く真っ当に注意され、辛い……。
悪夢にうなされる明石は、キョウコとマサキ、“不滅の牙”の通り名でぶいぶい言わせていた頃に失ったかつての仲間の名前を呼び、そんなチーフにジャケットをそっとかけて部屋を出て行くさくら。「三角関係?」とかニヤニヤしていた真墨の人間としてのレベルががマイナスに突入しそうなので、多少は手加減してあげて下さい。
「見捨てたのか仲間を」
「そう思われても仕方ないな」
目覚めた明石に厭味を飛ばしてみるもストレートに返され、狼狽える真墨の人間としてのレベルが(以下略)。
そんな時、自然現象とは思えない局地的な天候異常が観測され、出撃したボウケンジャーは、しれっと出てきた竜王様と再会。
「ジャリュウ一族はひ弱な人間とは、違う」
自慢げに落下時の回想を挟むので、どれだけ華麗に逆境を生き延びたのかと思ったら、崖下で凄く普通に死んでた(笑)
「甦ったのだ」
自慢はそっちでいいのか。
古代の気象兵器・マッドネスウェザーを手に入れた竜王様は、地球全土の気候をジャリュウ一族の素敵生活に適した常夏の熱帯に変えてしまおうとするが、肝心のお宝が暴走。熱帯どころか、辺り一面が酷寒のブリザードに覆われてしまう。
「マッドネスウェザーは太古にも大暴走し、緑だった南極を、氷の世界に変えた! 愚かな真似をしたな、リュウオーン!」
ここで、プレシャスそのものは善でも悪でもなく、使う者/使わない者次第の「道具」であり、それ故に人知の制御を超えてしまう事がある、というプレシャスの持つ本質的な危険性を描き、故にプレシャスに関わるという一点においてボウケンジャー(サージェス財団)とネガティブシンジケートは表裏一体の存在であるという今作の世界観が物語として明示されたのは良かったです。
寒冷に弱い爬虫人類達は一目散に逃げ去り、暴走状態で謎の円盤よろしく飛んでいったプレシャスをビークルで追う5人だが、猛烈な吹雪と雪崩により、青を皮切りに次々とメンバーが脱落。チーフだけがなんとか車外に脱出するも、5台のビークルは全て氷に覆われた谷底に埋もれて行動不能に陥ってしまう。
「俺は……また……」
仲間を失った過去を思い出してがっくりと膝をついた赤は竜王様の奇襲を受け、竜王二刀流に追い詰められるも、相討ちスレスレで何とか撃退。チーフは基地に戻るとドリルビークルで部下の救出に向かおうとするが、財団上層部は日本列島を氷の大地に変えつつあるプレシャスの破壊を決定。移動を停止したプレシャスの近傍に埋まっている5台のビークルのパラレルエンジンを、遠隔操作で爆破する事によりプレシャスを消滅させるという非情な決断を下す。
「プレシャスから世界を救うのが君たちの任務だ。他に方法は無い。いいね」
険しい表情のミスターボイスにより“財団の優先順位”が明確にされ、日本列島の危機とボウケンジャー4名の命+装備だったら、ハッキリ前者を取る、というのが中途半端にせずに描かれたのは、好印象。1−2話はあまりにも「情報」が先行していましたが、それが「物語」として組み立てられてきて、スムーズな見せ方に。
「……まだ、方法はあります」
上層部の命令に背いても4人を助けようとする明石は、牧野博士にゴーゴードリルの出撃を頼み込み、回想シーンでかつての仲間2人の死が描かれる、重い背景描写(蒼太も菜月も重い過去が示されているので、割と強くハード路線が打ち出されています)。
それはそれとしてなんだかこの2人、メカマサキ・メカキョウコになって戻ってきそうな気がして仕方ありませんが(笑)
「その時俺はやっと気付いた。狙って逃した獲物はない。そんなの嘘だ。俺は、大切な物を何一つ手にしていなかった。二度と仲間を失うものか!」
チーフは必殺《俺は既にいい事を言った! このボウケン(びしっ)レッドが!》により牧野博士の説得に成功。
「無事に、帰ってきなさい。これは、命令ですよ?」
平坦な口調でさらりと人体実験に手を染めている為、もう1つスタンスの見えなかった牧野博士が現場のメンバー寄りの姿勢を見せ、もうこれ以上失わない為に、不滅の牙はゴーゴードリルで出撃。
「伊能真墨……最上蒼太……間宮菜月……西堀さくら……おまえ達を死なせはなしない!」
苦しみながらもドリルビークルを制御したチーフは氷河の壁を突破。いきなりお助けメカを出すのではなく、アバンタイトルの人体実験をしっかりと布石にした上で過去のトラウマをバネにするという物語の流れにより、仲間の為に限界を超える力を出す事にきっちり説得力を与えており、新装備への気持ちの乗せ方が絶妙。
“劇中ギミックにいかなる物語上の意味づけを与えるのか”というのは會川さんが割と重視している点かと思いますが、癒やせない傷を抱えながらも前を向いて壁を突き破るドリル、というのもはまり、戦隊でメカを重視しながらドラマをやる、という点においてお手本のような構成。
氷河の中を突き進むドリルビークルの特撮も格好良く、新装備のお披露目エピソードとしては、実に鮮やかな出来となりました。
「みんな! 返事をしろ! 無事か?!」
4人の元に辿り着いた不滅の牙が耳にした声、それは……
「か、『からす』」
「す……『すきやき』!」
「え?」
「き、『きん』! じゃない、『きんのしゃちほこ』!」
「こ……?」
「そんなのあり?」
「……『コルト45』」
「おお」
「――チーフ!」
この間の抜き方の巧さは中澤監督の持ち味かなと思いますが、ここまでメンバーの中の良識派ポジションだったさくらが、「こ」から「コルト45」が飛び出すというのが、凄く秀逸(笑) その上でチーフに真っ先に気付く、というのもポイント高いです。
「おまえら……なんで、しりとりなんか?」
そして、もしかしたら凍死寸前だろうかとか、俺の愚痴大会が始まっているのではないかとか、熱い感謝の嵐の可能性も、と色々ドキドキしていたチーフは、予想を遙かに上回る状況に、ここまでで最大の動揺(笑)
「それが、さくら……ピンクが」
「あんたは必ず俺たちを助けにくる。……だから、安心しろってな」
「そしたら真墨も、だったらしりとりでもするかって」
「いいんだよ俺は」
人間としてのレベルが下がっていくのと反比例して、凄い勢いで萌えキャラになっていく真墨。
「信じてたのか……俺が……助けに来ると」
「当たり前です! だからチーフ……私たちの事も」
「もうちょっと信頼してくれてもいいぜ、て、事だよ」
失った絆と、新たに得た絆……今も、そしてきっとあの時も、心は一方通行でない事を不滅の牙は噛みしめる。
「……ふ、最後は『コルト45』だったな」
「え?」
「“ご”か…………『ゴーゴービークル、脱出!』 さっさとしろ!」
「「「「了解!」」」」
いや、お見事。
しりとりのシーンは、「きん」から「きんのしゃちほこ」に魔改造する菜月、意外と素っ頓狂な単語が出てくるさくら、で十分面白かったのですが、そこから更に繋げてきたのは脱帽で、前回の粗さは本当に何だったのか(笑)
無事に脱出した5人だが、気象兵器プレシャスがいきなり巨大ロボットに変形し、立ち向かうダイボウケンのショベルとツルハシを分厚い走行で跳ね返す。
「ダイボウケンにはまだまだ無限の力がある! 人が新たな冒険を求め続ける限り! 轟轟武装!!」
だがその時、意外と部下に慕われていた自分に胸一杯でテンションMAXなチーフの必殺《俺は既にいい事を言った! このボウケン(びしっ)レッドが!》と共に、ゴーゴードリルがダイボウケンの右腕に接続される、ダイボウケンドリル合体完了。5人全員がスーツに多大な負担を受けながらも、全員の力を合わせたドリルアタックでプレシャスの破壊に成功するのであった。
後日――秘密基地では、ボウケンブルーがゴーゴードリルに乗せられ、死にそうな目に遭っていた。
「明石くん……そろそろ限界ですよ?」
「いえ、もっと回転数を上げてください」
「え?」
「お前達ならこの特訓に耐えて、新たなゴーゴービークルを乗りこなせるようになる。信頼してるぞ」
ドSのチーフにみんなどん引き、折角溜めた絆ゲージはぎゅんぎゅんと消費されてしまうのであった……で、オチ。
追加武装に明石の過去を絡め、ボウケンジャーの背景を固めていきつつ第三のチームアップを新装備に集約する、という非常に完成度の高いエピソード。キャラクターの掘り下げを過去回想に頼りすぎると悪い形でパターン化してしまう場合はありますが、今作の場合はそもそも「プレシャス」という古代の宝を追う物語なので、過去との繋がり、を重視するのが全体の作風、という事で許容範囲でしょうか。
冒頭ではクラステクターを彷彿とさせる着用者への負担が不安を呼んだアクセルスーツとゴーゴービークルの関係ですが、追加武装は既に用意されているが使いこなすにはパイロットの成長が必要、という点が明確なのは良い設定だと思います。スーツがビークルからパワーを受けているという事は、ビークルによるスーツの強化、というフィードバックが後々あっても説得力が出ますし。
また、スーツとビークルが影響し合う関係にあるので、ボウケンジャーそのものがビークルのセキュリティとして機能している、というのも納得。……仮にボウケンジャーが裏切った場合は、遠隔操作でエンジンを爆破できるので、大・丈・夫。
新たな心配は、プレシャスはろくに使いこなせず、戦闘では一騎打ちで赤に連敗してしまう竜王様(一味)の役立たずぶりですが、今回は二刀流を披露して前回のマッチアップよりは善戦したので、竜王陛下の次回の新必殺技にご期待下さい!!
次回――さくらさんの《綺麗なお姉さん》スキルの有無が、今問われる!