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『激走戦隊カーレンジャー』感想34

◆第43話「メリー クルマジック クリスマス!!」◆ (監督:田崎竜太 脚本:荒川稔久
「忌々しいハザード星人め、お前達の息の根を必ず止めてみせる。正義のクルマジックパワーを使ってな……ははははははははは!!」
若い頃に給食のプリンでも取られたのか、ハザード星人に個人的な憎悪を見せる暴走皇帝は地球へ逃げおおせたダップの追跡を指示。その地球では、本官の助言を受けたカーレンジャーが、RVロボの全エネルギーを使って操縦席のグラッチにダイレクトアタックする事でサメロボ撃退に成功する。不時着したダップの元へ向かう5人だったが、目を覚ましたダップの耳には、宇宙に散った筈のVRVマスターの声が響く……。
「パパ! 生きていたんダップね!」
「パパ?!」
だがダップが駆け寄ったVRVマスターはゼルモダの変装(割と小芝居するなぁ(笑))で、再びボーゾックの手に落ちたダップはガイナモが操縦する陸の覇者・ランドズズーンの体内に、乾電池よろしく囚われてしまう。
暴走皇帝エグゾスの真の狙い……それはカーレンジャーからクルマジックパワーを奪うだけでなく、ダップの持つクルマジックパワーをアクマジックパワーに転換して悪用する事にあったのだ!
3大ロボの元ネタと思われる『超神ビュビューン』(1976)は『アクマイザー3』(1975)の続編であり、ビュビューン達はそれぞれアクマイザー3の魂を受け継いでいる、という設定を踏まえた親世代向けのパロディネタをこの局面で突っ込んできて凄い(笑)
ズズーンから放たれたアクマジックパワーにより、自動操縦モードとなったサメロボが再起動し、更にワシロボも再登場。カーレンジャーは3体の超神ロボにVRVマシーンで立ち向かい、合体エネルギーさえ残っていないのでVRVファイターで戦いを挑む、というのは良い活用。
そしてガイナモ、第1話以来の気がする、最前線。
「アクマジックパワーがどんどん蓄積されていくぞ。ふふふふふふ」
「体中から力が抜けていくダップ〜」
総長の肩書きは伊達ではなく、働くと案外強いガイナモはVRVファイター&サイレンダーを追い詰め、必殺の火の玉アタック。
「みんな……みんな、ごめんダップ……」
「なんだよそれ、諦めるっていうのかよ!」
「私たちは、絶対に諦めないからね!」
「そうでございます!」
「俺たちはな……俺たちが頑張るのはな、おまえと一緒に、クリスマスがしたいからなんだよ!!」
「え……? みんな……なにヒーローらしくない、個人的な事を言ってるダップ〜。そんな事を言う皆なんて……そんな事を言う皆なんて……大好きダップーーー!!」
ダップが叫んだ時、溢れ出したクルマジックパワーがエグゾスの予想を遙かに上回り、想定外の多量のアクマジックパワーを受け止める事になった超神ロボはオーバーヒート。
これまで「一般市民」と「ヒーロー」との間を軽やかに行き来する――逆にいえば、「一般市民」と「ヒーロー」を意識的に切り分けていたカーレンジャーですが、「ヒーロー」としてのエネルギーが「人間」としての繋がりから生まれている事を知った時、「人間」としての願いを口にする事で、「ヒーロー」として強くなる。
何故ならば、それを守る為に「ヒーロー」は居るのだから。
すなわちここでは、陣内恭介、土門直樹、上杉実、志乃原菜摘、八神洋子、5人の一般市民の願いをかなえる為に激走戦隊カーレンジャーは戦っており、そこではダップが理想化するヒーローとしての一線を越えながら、しかし同時に限りなくヒーローをしているという、「仮面の変身ヒーロー」という構造が、極めてアクロバットに機能。
これにより、“社会性を持った大人”の集団であるカーレンジャーにおいて、自分の中の「一般市民」を捨てないヒーローという1つのヒーロー像が確立したといえます。
繰り返しギャグとして使ってきた「一般市民」こそが、実はカーレンジャーの核を成しているのだ、という仕込みの用い方はお見事。
「俺だって……俺だって……」
「「「「「大好きだーーーーー!!」」」」」
そして、全員揃ってとはいえ、ゾンネットより先にダップに告白してしまった(笑)
「ダップ、クリスマスパーティを、一緒にやろう!」
「うん!」
夢見る絆の力で限界を超えたクルマジックパワーはアクマジック転換システムの性能を上回り、フルチャージされたVRVマシンは必勝合体。赤がRVロボに乗り込むと二大ロボのコンビ攻撃でワシとサメを粉砕し、VツイスターをRVソードで切り裂いて散弾にするという神業でダップの救出に成功。ライオンロボも無惨に蜂の巣になってガイナモは辛くも脱出し、ここにカーレンジャーは大勝利を遂げるのであった。
しかし、再会を果たした5人とダップはクリスマスパーティーを開くも、父を失ったダップの暗い表情は晴れない……
「それよりみんな、家族と一緒のクリスマスは、いいダップ?」
「なにを言うてんのや〜。この6人かて、家族みたいなもんやないか〜」
なんとかダップを元気づけようとする5人だが、その時、会場の片隅にいつの間にか置かれていたプレゼントが目に入る。中を開けると入っていたのは、6本のコーヒー牛乳とクリスマスカード。
[戦いの後とクリスマスケーキには コーヒー牛乳がよく似合う。 …………またいつか会おう。]
最低だこの人!!(笑)
まあ考えてみるとVRVマスターも復讐者としての性格を十分以上に持っているわけですが、ダップがカーレンジャーとしての交流を通して「戦士の狂気」から抜け出そうとしているのに対して、「戦士の狂気」と「クズ父道」の両方につま先からヘルメットのてっぺんまでどっぷり染まってしまっており、今一番、先行きが不安なキャラです(笑)
ダップはクルマジックで地球にホワイトクリスマスをプレゼントし、家族にカードを送るシグナルマン、地球(に映したレッドレーサー)に向けて乾杯するゾンネット、の2人が挿入されたのは高ポイント。
前回に続き、最終章を前にこれまでの要素と仕込みを拾い集めて、カーレンジャーとは如何なるヒーローか、を綺麗にまとめ、ダップとの一体感も強化。特に、ヒーロー、ヒーローの力、と合わせて支援者ポジションの存在意義をしっかり描いたのが良かったと思います。
次回――後回しになっていた菜摘回。「パパの車に乗るときは、シートベルトを締めようね!」。