はてなダイアリーのサービス終了にともなう、旧「ものかきの繰り言」の記事保管用ブログ。また、旧ダイアリー記事にアクセスされた場合、こちらにリダイレクトされています。旧ダイアリーからインポートしたそのままの状態の為、過去記事は読みやすいように徐々に手直し予定。
 現在活動中のブログはこちら→ 〔ものかきの繰り言2019〕
 特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)

『宇宙戦隊キュウレンジャー』感想・33−34話

 放映時間変更の影響か、最初のあらすじ紹介無しでOPに突入後、OP明けにCM無しで本編スタート、という構成に。ところで先週〜今週で、竹本監督デビュー作→10年後→20年後、の計5本視聴する事に。
◆Space.33「発進!バトルオリオンシップ!」◆ (監督:竹本昇 脚本:毛利亘宏)
 「やあ、僕、フルタマン!」
 ……じゃなかった、いや、一緒に踊っている体操のお姉さん二人が、顔の中央を銀色のパーツで覆っている為、アンドロイドみたいですっごーーーく怖いんですが。
 まあCMの事はさておき、母艦と私物一式を失い、素寒貧で住所不定となった救世主達は、内なる筋肉の声の命ずるままに今後の方針を検討していた。
 「俺様たちは過去でドン・アルマゲを倒した。だが、ヤツは生きていた。残された手は、直接本拠地に乗り込んでヤツを倒す事だけだ」
 もうやだこの人達(笑)
 そこに突然、時空をワープして森エルフが登場すると、ショウ司令からの伝言を託す。
 「そうか……ショウ司令はオライオンの代わりに、エリスにリュウコツキュータマを渡しに行った、という事か」
 「オライオンとは誰じゃ? 妾は、ショウ様とラブラブじゃったー」
 ……うん、なんかホント、これをギャグとして笑えるかがどうかが、今作のリトマス試験紙というか何というか。……乾いた笑いは浮かびますが。
 過去に残ったショウ司令は、かつてオライオンが対ダークジャマー用決戦兵器として作った、伝説の宇宙戦艦バトルオリオンシップを調整し、地球に隠していた。宇宙戦艦を手に入れる為にメッセージの地へ向かったラッキー達はそこで333年前に作ったオライオンの墓を目にし、東映特撮名物・勝手にお墓の使い方としては、秀逸。
めでたく怪人ポジションとして在庫一掃セールが始まった羊座家老の襲撃を受け、黄緑金が性格を曲げられて面倒くさい事になるも、地下洞窟の奥底に宇宙戦艦を発見した一行は、ブリッジの中に冷凍睡眠装置で眠らされていたショウ司令と再会。
 2クールぶりぐらいとなる司令の紙芝居ボケには付き合うのに、誰一人チャンプの事を質問しない、セロハンのように安定の薄情さ。
 前回のエアギターに続き、皆と一緒にコケたり、閉じ込められて扉をガンガンしたりと、遅まきながら顔芸以外にも隅っこで笑いに加わるようになったスティンガーなのですが、ギャグより前にやるべき事があるのでは。
 洞穴ごと宇宙戦艦と救世主を生き埋めにしてしまおうと幕府の艦隊が現れ、迎撃に出た赤は、出すと終わってしまう話の都合でサイコーを温存している内にイソギンチャク男に苦戦。
 「ほーう、まだ起き上がるのか」
 「当たり前だ! 俺は、宇宙を解放するまで、何度でも起き上がってやる。俺たちは! 死んでいった沢山の戦士の思いを背負って戦ってんだ!!」
 ラッキーはすっかり別人格に乗っ取られているのですが、歴史を変えてしまった事でラッキーの過去も修正されているのでしょうかもしかして。
 命を博打のチップとしてしか捉えていなかったラッキーが、死んでいった者達の思いを背負って戦うように“変化”する事自体は構わないのですが、物語においてその変化の過程が特に描かれていないのに、結果だけが発生しているので、非常に困惑します。以前のラッキーだったらほら、「こんな所に棍棒が落ちてるじゃねぇか、よっしゃラッキー!」だったのに!
 「覚えとけ。俺は、こんな所で立ち止まってるわけにはいかねぇんだ!!」
 ラッキーが咄嗟にオライオンの棍棒を振り回すと凄まじい力の奔流がイソギンチャク男を吹き飛ばし、オライオンの声に導かれたラッキーはオリオンキュータマを入手。オリオンキュータマから金色に輝くオリオンボイジャーが召喚されるとバトルオリオンシップと合体し、キャタピラと艦首に大砲の付いた、東宝超兵器ノリの宇宙戦艦が、発進する!
 オリオン号の最期は悲惨でしたが、バトルオリオンシップは、バカっぽくて嫌いではない雰囲気。ロボ形態のオリオンバトラーの、頭上で噴射口が光っている、というのは面白いデザインですし、火を噴く演出も印象的になりました。
 全員搭乗の戦艦ロボを、ビッグ獅子1人で操縦する、というのが凄くキュウレンジャーですが。
 羊家老はオリオンロボの筋力に粉砕され、再び手に入れた母艦の掃除に励むキュウレンジャー。ブリッジに花を生けていたスティンガーは、司令に向き直る。
 「司令、聞きたい事がある。チャンプはどうした?」
 フラワーアレンジメント > チャンプ
 という、さすがにどうかと思う序列。
 そしてその質問に、何故か凍るブリッジの空気。
 司令が言い出さないので何か問題があったと察して変なテンションで掃除していた、という意図なのかもしれませんが、それにしても全員が全員、悪い事があったに違いないという様子で黙り込んでいるのは不自然で、今作の演出・脚本が、しばしば因果の逆転した描写を行うのは、非常に気になるところ。
 「チャンプは過去で僕ちんを眠らせた後、ある人物に会いに行くと言っていた」
 「ある人物って?!」
 「チャンプの生みの親である、アントン博士だ」
 …………チャンプが300年ほどアントン博士の誕生を待ったのか、司令が300+○0歳なのか、どちらに転んでも結構苦しいと思うのですが、そもそも司令も純粋に行方を知らないのに、揃って暗い雰囲気になっているのが凄く謎です。
 司令が雑に再登場するのは概ね予想通りでしたが、これだけの無茶と問題を生じさせてまで「過去へ行く」というプロットは本当に必要だったのか……バトルオリオンシップも333年前に既に存在していた以上、発掘して甦らせるような展開(その過程で過去のオライオンのメッセージと接触するとかやりようがあるわけで)でも大筋変わらなかったように思われ、終盤、ここで「過去に行っていた事」が何か大きな意味をもたらしてくれると良いのですが……。
ちなみに森エルフはいつの間にかフェードアウトするという、顔出しキャストなのに驚きの雑な扱いでしたが、生体ワープ能力を持っている模様です。
 次回――「やあ、吾輩、チャンプマン!」


◆Space.34「謎の覆面戦士、現る」◆ (監督:竹本昇 脚本:毛利亘宏)
 ショーグンの本拠地をナーガの記憶から探り出そうと、顕微鏡キュータマで小型化したバランスがナーガの脳に入り込んだ直後、ビッグオリオンを揺るがすイソギンチャク男の攻撃。地表へ迎撃に向かった赤・青・黄・緑・橙・空・鳳凰の前にチャンプが現れるとその不意打ちでスパーダとハミィがさくっとリタイアしてしまうが、そこに謎の覆面戦士が姿を見せる。
 「そいつは吾輩、いや、俺の敵だ」
 「チャンプが二人? これって、どういう事?」
 「少年よ、訂正させてもらう。吾輩、あーいや、俺の名前は、ヤギュウジュウベイ。チャンプではない」
 どう見てもオウシブラックが赤いマスクを被っている、というのはプロレスキャラのネタとしては良かったと思います。
 野牛の攻撃により炎上したメガチャンプの下から出てきたのは、宇宙幕府の汎用牛型兵器・白骨バイソン。瓜二つの存在と激突するチャンもとい野牛は白骨バイソンを吹き飛ばすも突如暴走、見境無く周囲に攻撃を始め、時計回の伏線を回収。
 一方、使うと戦闘が終わってしまうので今回も不自然にサイコーを使わない赤は、イソギンチャク男に苦戦して一時退却。物凄く雑な扱いだった鉄柱に比べると戦力としての脅威が印象づけられているイソギンチャク男ですが、戦闘そのものが茶番と化しているので、副将軍の印象自体は全く向上せず。
 野牛を追っていた青と橙はその暴走を食い止め、徹底して野牛の正体に気付かないガルが終始コミカルに描かれるのですが、ここまで三十数話、ガルって「鉄砲玉」で「考え無し」ではあるけれど、「頭が悪い」として描かれていた印象は無いので、ギャグの為に不当にガルだけが貶められた感じがあります。
 特に小太郎の、
 「ガル……馬鹿なの?」
 はギャグを踏み越えて直接の侮蔑になってしまっており、よろしくない台詞でした。
 スティンガーとガルは、あくまで“チャンプの友達”を称する野牛からここ300年のチャンプの行動を聞き出し、アントン博士が、何度も自らにサイボーグ手術を繰り返して300年以上を生きてきた人物であったと、斜め上にジャンプする解決。そのアントンは、かつてスコルピオが語ったとおりジャークマターの科学者であり、白骨バイソンはチャンプのプロトタイプ、その真実を知ったチャンプは自らに救世主の資格は無いと思い定め、独りで白骨バイソンを追っていたのだった……。
 「正義はここにねぇんだ!!」
 「ヤギュウさんよぉ……チャンプの旦那に伝言を頼む。俺たちは旦那の正義を信じてる! だから俺たちを頼れってな!」
 自らをただの戦闘マシンにしない為、誰かを救いたいという心を抱き続けてきたロボットが、自分の心がそもそも「悪」に生まれたという出自を知ってアイデンティティが揺らぐ、というのは通常なら120%大好物のテーマなのですが、そもそもチャンプの「正義」も口癖以上にさして掘り下げていないので、毎度ながらの積み重ね不足で残念。
 「一人で背負うなって言ったのはどこのどいつだ!! 俺の知ってるチャンプは、誰よりも正義に燃える熱い男だ! 誰がおまえを作ろうがそんなの関係ない! 暴走したら、俺が命を懸けて止めてやる!! だから……俺を信じろ。――相棒」
 ただそこから、ガルの言葉を経由して、かつてスティンガーがチャンプに教わった「仲間を頼る」というテーゼに接続した上で、同じテーゼを繰り返すのではなく、「頼れ」から「信じろ」に進めてきたのは良かったです。
 「今こそ正体を明かす時がやってきたようだな」
 ラッキー、ツルギ、小太郎が駆けつけた所で、野牛がマスクを脱いで変身を解除すると、その正体はチャンプ! ……にガルだけが驚いて皆が冷静にツッコむというコミカルタイムをしばらくやるのですが、直前のやり取りの格好いい流れに冷や水をかけてまでやるお笑いだったのかは、かなり疑問。
 この笑いをバネにして次の展開を盛り上げてくるならともかく、そういうわけでもないですし。物語に緩急をつける事でより劇的にする機能を活かせておらず、これでは単純に急ブレーキと急発進を繰り返しているだけです。
 今作は従来、〔作中のシリアスゲージが一定値に達すると、それを中和する為に大きなギャグを入れる〕という作劇だったのですが、前回今回は〔シリアスゲージの総量に関わらず、息継ぎのように大小のギャグを小刻みに入れる〕という作劇に変化しており、コメディ濃度が上昇。
 これが前回今回だけの演出主導なのか、放映時間変更や玩具の売り上げ不振(現状、昨対70%ほどとの事)を考慮しての上からのオーダーなのかは図りかねますが、次回どんなタッチになるかは気になるところ。これが全体方針だった場合の問題点は、そもそも毛利さんってコメディ得手なのだろうか、という事なんですが(^^;
 「吾輩の正義、ためしてやるぜ!」
 6人は揃い踏みし、赤・空・鳳凰がイソギンチャク、黒・橙・青が、白骨バイソンと激突。バイソンとの戦闘中にまたも黒が暴走しかけるが、それを跳び蹴りで止める青。
 「チャンプの旦那の暴走を止めるのは、スティンガーだけじゃねぇ」
 「ありがとよ、ガル」
 と二人の関係強化は良いのですが、そもそもどうして直ったのかが全く不明なので困ります……古くなったTVと同じ扱いという事でいいのか。
 獅子組はイソギンチャク男のエネルギー吸収ハンドに苦戦するも、結局ビッグ獅子の放った必殺技を吸収させて容量オーバー、というオチ。せめて鳳凰と小熊の助力があってこそと見せれば良かったのに、二人がエネルギー切れで膝を付いた後で、
 「シシとオリオン、奇跡の力を舐めるなぁっ!」
 「なんだと?!
 「俺のパワーは、無限大だぁぁぁ!!」
 とやってしまう、狙い澄ましたかのような大惨事。さすがに装置そのものは両サイドからの鳳凰と小熊の攻撃で破壊したのですが、
 シシとオリオン、奇跡の力 × 俺のパワーは、無限大 = 救世主は俺一人でいい
 まさとーーーーーーーっ!!(錯乱)
 白骨バイソンの方にもトリプル必殺技を浴びせ、トドメはまとめてオールスタークラッシュ。巨大化した副将軍とバイソンに対し、自律機構を持ったオリオンバトラー含めキュウレンオー、リュウテイオー、ギガントホウオー、の4台ロボが並ぶと、3大ロボのエネルギーをバトルオリオンを通して放つ究極攻撃、オリオンビッグバンキャノンで副将軍とバイソンをまとめて葬り去るのであった。
 ・久々に12人が勢揃い
 ・全ロボ登場して必殺フォーメーション発動
 ・副将軍を撃破(一応)
 というシチュエーションなのに、12名中3名が戦闘不参加という頭痛が止まらない構成。
 パターン破りもお約束外しもマンネリズムの打破という点では結構ですが、スーパー戦隊としての長所と美点を失ってしまっては意義が大きいとは思えず、盛り上げるべき所で真っ当に盛り上げないのは、見ていて白けます。
 直球があってこそ変化球が活きるのですが、過去で全員揃っていないのにビッグ獅子を登場させて以降特に、迷走著しく完全に現在地を見失っている感。今回のクライマックスから3人を除外する事に、いったいぜんたいどれだけの意味があったのか。
 というわけで、真っ当な盛り上がりを犠牲にした結果、バランスはナーガの記憶から情報の入手に成功。南十字座系にある惑星サザンクロスこそが、将軍ドン・アルマゲの本拠地であると判明する。いよいよ武力革命の時は来たと沸き上がる中、自分の正体と暴走の可能性について仲間達に打ち明けようとするチャンプだが、それを止めるスティンガー。
 「暴走の事は言うな。余計な心配をかけたくない。俺とガル、3人だけの秘密にしよう」
 なんにも成長してないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!
 サソリ兄弟編のあれやこれやに繋げて、スティンガーの進歩だけは上手く描けたと思ったら、ラストで壮絶な飛び込み事故が待ち受けていました。サソリ兄弟編を経て身につけた信頼を口にしたのと同じ回で、サソリ兄弟編で犯したとの同じ過ちを犯す、ってミラクルすぎて池が割れそうです。
 かくして物凄い地雷を抱えたまま、オライオンのオジキの仇じゃぁぁぁぁぁぁ!! とカチコミに向けて意気上がる救世主達、でつづく。
 コメディ濃度が上昇した事の良い作用として、ラストのあげぽよにスパーダが参加するなど、全体的にキャラのノリが良くなった描写は目につくのですが、1クールぐらい遅かったなぁ……(^^;
 とりあえず前回今回のラインが、次回監督替わって以降も継続されるのかどうかに、ちょっと注目したいです。
 次回――宇宙はアイドルで取り戻す!