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『激走戦隊カーレンジャー』感想36

◆第45話「ホントの恋の出発点」◆ (監督:竹本昇 脚本:荒川稔久
隠し事が原因でゾンネットにフられる夢を見る恭介、大変重症です。
「まーたゾンネットの夢かいな!」
「いーかげん決着つけたら? たくー、二人していつまでもハッキリしないんだからー」
社内の車内で昼寝していた恭介の背後から、次々と現れる同僚達、相変わらず玩具にする気満々。
「そーだよ! ほんとに好きなら、何がなんでもものにするんだ、って意気込みがなくちゃあ」
「でも、ちょっと複雑でございますよね。ゾンネットが好きなのは、レッドレーサーであって、恭介さんではないんでございますからね」
「「「うん」」」
にこやかにひどいぞ土門(笑)
「俺、正直に言う。俺がレッドレーサーだって」
「「「「うん」」」」
「……ん? ちょっと待てよ? そんな事したらボーゾックに俺等の正体わかってまうんちゃうん? やろ? あかんやん!」
「だから、ゾンネットに、絶対ボーゾック辞めさせてみせるさ。俺の――俺のこの愛で」
もともと状況に酔いやすい気質の恭介ですが、たくましく広がった恋愛妄想の果て、すっかりナイト気取りになっていてちょっぴり危険。
その頃宇宙では、苛立つエグゾスに対し、ゼルモダが現状打破の一案を持ちかけていた。
「そうだ……とっつぁんの力で、結婚式あげられねぇかい?」
「結婚式?」
最近ぱっとしないガイナモを、ゾンネットと結婚させて人生に張り合いを持たせよう、と世話を焼くゼルモダ(笑)
「……まあ、ものはためしだ」
この際、それぐらいいか的なノリでOKを出す監督。
「かかる諸々の費用は余が全て出してやる」
いい人?だなぁ(笑)
「とびきり盛大にやるがよい」
「太っ腹だぜ! ……さぁて、問題はいまいち、いや、いまさんか、いまよんか、いまごぐれぇその気がない、ゾンネットの説得だが……」
そこにボーゾック一の縁結びの達人、999組のお見合いを成功させてきたEEムスビノフが現れ、事態は思わぬ展開に……。
一方地球では、神頼みに走った恭介が大吉のおみくじに拳を握り、棒アイスであたりを引き当て、雑誌の占いコーナーに背中を押され、全てのラッキーを凝縮する一世一代の勝負に打って出ようとしていた。
「よーし、後はゾンネットに会うだけだ! ……て、どうしたら会えるんだ?」
考え込んだところを何故かウェディングドレス姿のゾンネットが横切り(よっしゃラッキー!)、追いかけた恭介は、ゾンネットが惚れ惚れ弓矢でガイナモとのカップルを強制的に成立させようとする、水引怪人から逃げ回っている事を知る。レッドレーサーの正体を告白しようとするも言葉に詰まった恭介は、思い切ってゾンネットの目の前で変身! 水引怪人の攻撃に苦戦するが仲間達の援護もあって、恭介はゾンネットの手を取って逃亡する事に。
相変わらず荒川さんの、ゾンネットをいつの間にか正統派ヒロインに仕立て上げてしまう手管が凄い(笑)
宇宙ではガイナモがすっかりその気になっており、カーレンジャーの一斉射撃を受けて一時撤収してきた水引怪人は、言い訳がてらレッドレーサーの正体が地球の一般市民である事を伝えようとするが……
カーレンジャーに正体なんぞあるわけねぇだろうが」
あっさり却下(笑)
その頃地球では、教会に逃げ込んだ恭介とゾンネットが非常に気まずい空気の中にあった。
「ごめん、その……俺が、レッドレーサーだって、隠してて…………でも、気持ちに変わりはないんだ!」
「急に、そんな事言われたって……」
「だから! ……だから、改めて言うよ。俺と、と、友達から付き合ってくれないか」
「……あ、あたしが好きになったのはレッドレーサーよ! あんたみたいな……あんたみたいな猿顔の一般市民じゃないもん!」
実際そもそも顔に惚れていたので、強烈な斬撃(笑)
ゾンネットは恭介を振り払うと教会を飛び出していき、海岸線でこれまでのレッドレーサーとの思い出を振り返る。レッドレーサーの外面を好きだったのか……いつしか内面を好きになっていたのか……乙女心が千々に乱れる冬の海、再び水引怪人に襲われたその時、横っ飛びからジャンピングパンチを決める恭介。
「ゾンネットに手ぇ出すやつは、この陣内恭介が許さねぇ!」
ジャケットパージした恭介は、あえて生身で怪人へと立ち向かっていく。
「俺は……俺は、俺として、俺のままで、おまえを守りたいんだ、ゾンネット!」
「なんなのよ! なんなのよそれ!」
誤解をきっかけに恋が芽生え、関係を維持する為に仮面を被り続けてきた恭介が、謝罪と誠意の形として本当の自分自身で戦う姿を見せるのですが、どこかで見たような海岸線で痴情のもつれを描かれると、数年前に得意の絶頂で背中を刺された某裏次元伯爵の名シーンを思い出してしまって、ドキドキが止まりません(笑)
この場合、刺されるべき間男は、恭介なのかガイナモなのか。
また、自分の中の「一般市民」の願いの為に「ヒーロー」として戦う事は良しとするカーレンジャーですが、ここではあくまで「陣内恭介」個人の為に「ヒーロー」の力は使わない、という一線を引いているとも見えます。
恭介の果敢なインファイトで全ての矢を破壊されてしまった水引怪人は、切り札の二人羽織能力でゾンネットを操ると、剣を振るって恭介を切りつけさせ、割とマジな刃傷沙汰に(笑)
ケーキ入刀用の剣という冗談みたいな武器で流血表現に至るというのが、ギャグで人が死ぬ今作らしい所です。
剣をかわしながらゾンネットを止めようとする恭介だったが、遂にその一突きが恭介の体を貫き――本当に刺されたーーーっ!
と思われたが、恭介は突き刺さる寸前の切っ先を、素手の拳で食い止めていた!!
「変身なんか、しなくても……やっつけてやるっての!」
「馬鹿じゃない……馬鹿よあんた! あたしあんたみたいな猿顔の男は嫌いだって言ったでしょ! いつまでこんな事してんのよ、もういいから――」
傷だらけの恭介を見ていられずに、憎まれ口で止めようとする事でゾンネットの秘めた良心を描き、そんなゾンネットを、力強く抱きしめる恭介。
「……言っただろ……俺がおまえを守るって」
基本的に、相手の同意は一切得てない段階なので、一歩間違えなくてもストーカーの素質があって怖い。
「……恭介……」
勢いに押し切られる形でゾンネットが恭介を抱きしめ返すと、発動したバカップルマジックにより、引きはがされる水引怪人。
「俺が、俺がゾンネットを守るんだ!!」
剣を拾って突撃した恭介は、とうとう生身のまま剣を入刀し、怪人を撃破。格好つけながら倒れ……たフリで気を引くダップ仕込みの技を披露する(笑)
巨大化する水引怪人だったが、そこにラジエッタが現れ、ラジエッカーロボが巨大化。4台のVRVファイターも参戦すると、掟破りの分担Vツイスターにより、水引怪人を抹殺するのであった。
ラジエッタが地球に来たのは、エグゾスの大宇宙ハイウェイ計画により資源を奪われ、ゾンネットの故郷ファンベル星が壊滅の危機に瀕している事を伝える為だった。
「ボーゾックの女ゾンネットとも、これでさよならね。決心ついたのは、あんたのお陰かな」
ラジエッタの差し出す首飾りを受け取ったゾンネットは、マジカルプリンセスに変身。
「ファンベル星の王女、バニティミラー・ファンベルト。それがあたしの、本当の姿」
“レッドレーサーを好き”なゾンネットに対し、仮面のヒーローである事を結果的に利用しているのを気に病んでいた恭介が、生身の陣内恭介の想いを伝えた時、ゾンネットもまた、偽りの自分を脱ぎ捨て、本当の自分と向き合う決意をする、という形で相互に補い合う関係性が成立。
それ故に、これはカップル誕生なのではなく、互いに生身の自分として向き合った二人にとっての、「ホントの恋の出発点」である、というサブタイトルが洒落て利いています。
一方で、うまく足抜けに着地させたゾンネットのボーゾック時代の悪行は本編内ではあくまで間接的なものではあるものの、今作前半においては“想像力の無い事”こそが「悪」として描かれていたので、多くの破壊行為を煽動していたゾンネットがやはり悪に属するというのは避けようがありません。しかし、その「悪」を抹殺する事だけが「正義」なのかというと、「更生」の道を歩ませる事もまた「正義」の姿ではないか、というのが今作としての一つの落としどころでありましょうか。
率直にカーレンジャー、ボーゾック怪人は割と躊躇なく抹殺するので私情剥き出しでゾンネットを特別扱いしており、それを、本来の立場に戻る事と、エグゾスの悪事に対抗する、という二つの錘を乗せる事で調整しようとはしているのですが、多分ゾンネット、これまでの事を反省しているわけではなさそうだし天秤のバランスとしては正直悪い(^^;
カーレンジャー的には、過去の悪事や目の前ではない悪行をベースに他者を断罪できるメンバーかというとそういう性質でもないので、「ボーゾックを辞めるならOK」というのは、感覚的な着地点としてはわかるのですが。
ただやはり、ゾンネット絡みの話になるとボーゾック直接の被害者であるダップ不在で話が進むのは、物語としての誤魔化しではあり、出来ればそこは向き合って欲しかったかなと(この後あるかもですが)。
「許す」事が悪いわけではなく、「許す/許さない」の葛藤がすっ飛ばされて「抜けさせればOK」と完結してしまっているのが少々引っかかるのですが、そこに踏み込んだ場合の重苦しさは作品に合っていない、という判断だったか。究極的には、作品固有の倫理観に基づく、という話にはなりますが、愛嬌をつけすぎたボーゾックにどう始末をつけるのか、上手い着地を期待したいです。
なんにせよ陣内恭介の双肩には、ノリで惑星一つを花火にしたい発言する上に悪の組織を掌で転がすゾンネット粒子をばらまく、魔性のプリンセスに二度と道を踏み外させないという、けっこう重い責任が乗ったような(笑)
「前より、もっと、綺麗じゃん……」
俺は露出度に眩惑されていたわけじゃない! とお茶の間に向けて恭介がアピールしてから、ラジエッタの車に乗り込むゾンネット。
「エグゾスを倒したら、俺たち、また、会えるよな?」
「うん。……それまでに、猿顔直しときなさいよね」
かくしてゾンネットは地球を離れて自らの戦いへと赴き、それを見送る恭介達……怒濤の展開で、まさかのゾンネット卒業。エグゾス登場後、心情的には完全にカーレンジャーに寄っているという描写が積み重ねられていましたが、ここまで急展開になるとは思いませんでした。
控え室でドギマギしている内に、地球で何もかも終わってしまった総長は、さすがにちょっと可哀想……(笑)
あと構図としては、本来ならゾンネットに結婚を強要する相手役のキャラを仇役に持ってくるべきなのですが、ガイナモを敵意の対象にするのを避けたかったのか、そういう能力を持っているだけでゾンネットには直接の感情も因縁も描かれない水引怪人が代役になっている為、それを止める恭介のヒーロー度が、台詞と演出ほど上昇しなかったのは、物足りなかった部分。
ゾンネットにとって恋愛対象としては問題外だし、恭介のライバルとしても認識されないしで、やっぱり総長がちょっと可哀想……(笑)
次回――クルマジックパワー消滅?!「踏切の遮断機が下りたら、渡っちゃ駄目だぞー」。