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感想番外編:『ビーロボカブタック』扇澤回その4

◆第44話「祝!!新春凧あげW杯」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:扇澤延男)
1月4日――高円寺家では、13年前にお雑煮を誉められた、という美しい思い出に浸るママが4日連続10食目のお雑煮を食卓に並べ、そんな話をすっかり忘れていたパパの不満から、夫婦喧嘩初めが勃発。譲とカブタックはそそくさと家を後にして初詣へ、という新年早々、不穏な展開でスタートするが、これはまだ、ほんの序章に過ぎなかった……。
神社にくしくもメインキャラが集合した時、拝殿の鈴にスターピースが宿り、新年早々、拝殿の鈴を引きちぎろうとする醜いビーロボ達(笑)
その行為が神の怒りに触れ、落ちてきた鈴は、手にしたものに雷を落とす神罰の鈴と化してしまう。
コブラが最初の犠牲者となり、スターピースは欲しいが落雷は御免被る、と慌てて鈴の回し合いが始まり、手元に来た鈴を速攻でカブタックにパスする譲。
……友情、儚いぜ。
カブタックも雷の一撃を受け、結果的に全員が神社を逃げ出すが、鈴の力に目を付けたシャークは、それを棒で転がしながら、ビーロボや人間達の関係を引き裂こうと画策。
「さあ、もう一回見せてもらうっスー。仲間同士での天罰の押し付け合い」
新年早々、空気は緩いのに内容はどす黒い(笑)
鈴から逃げ回る譲達だが、気がつくと場所は河川敷。側にそびえ立つ送電線の鉄塔が避雷針の役割を果たすから鈴を手にしても大丈夫、と子供達に促されたカブタック達は鈴を持つが、雷は送電線から地面を伝い、カブト・クワガタ・テントウムシに大ダメージ。子供達とビーロボの仲がこじれ、再び鈴の回し合いが始まって、その光景をコタツで手酌しながら見つめるキャプテン・トンボーグ。
スターピースを互いに譲り合っている。正月にふさわしい、清々しい光景だ。しかし、奪い合いでなければ、出番が来ない、私としては、ちーと寂しい」
世界の摂理の一端に連なる者として、強大な力の代わりにルールに縛られる存在の抱える一抹の寂しさを漂わせつつ、世界に干渉できるのは「奪い合い」の時だけ、という、ホントどす黒いなキャプテン・トンボーグ!
そんな審判者の観測は知らず、巨大ロボなら落雷に耐えられると気付いたシャークが、鈴を入手。カブタックもそれに対抗してドデカブテリオスを召喚した所で、「奪い合い」が成立。
「第42回スターピース争奪、新春の空に舞え、落ちたら地獄、喧嘩だこ対決。2名一組となって、凧を揚げ……」
先ほどまで「清々しい」とか言っていたのに、ルールを発動できる状況になるや否や、嬉々として「落ちたら地獄」のデスゲームを強制するキャプテン・トンボーグ、ホント鬼畜だな……!
コブラは蜘蛛に、サメはコブラから切り捨てられたカニにロープを任せ、避雷針の一件で亀裂が生まれつつも子供達にそれぞれロープを託すビーロボ達。だが……
「なんか少し恩着せがましいよね」
「ビーロボのほうが頑丈なんだから、乗るの当たり前なのにね」
スターピース欲しいのは、自分たちなんだしね」
ひび割れた友情に新年早々暗雲が立ちこめる中、真っ先にスーパーチェンジしたサメの妨害工作により、チェンジすら出来ずにコブラがリタイア。比喩でもなんでもなく言葉通りの「落ちたら地獄」の惨劇を目の当たりにし、子供達は率先して命を預けてくれたビーロボ達との間に絆を感じ直すが、たぶんビーロボ達も空の上で青ざめている気がします!
サメの攻撃でクワガタとテントウが次々とリタイアするも、それをきっかけにパートナーと仲直りし、残った譲は縄を自らの体に巻き付ける。
「この綱は信頼の絆! 死んでも僕は離さない!」
小学生をここまで精神的に追い込むキャプテン・トンボーグ、ホント外道……!
「譲の友情が、綱を通じてビンビン伝わってくるカブ!」
カブタックはスーパーチェンジし、シャークと激突。接近戦は五分も遠距離魚雷攻撃を受けて落下寸前になるが、瀕死のコブラが譫言で自分の名を呼んでいると聞かされたカニがロープから手を離し、急造コンビが文字通りの空中分解。両手を血だらけにしながらもロープを握りしめ続けた譲とカブタックの友情が勝利を収めるのであった。
結局スターピースはモドキも、コブラも死の淵から生還し、皆で改めて神社へ。最後にシャークが落ちてきて、他者の関係を引き裂こうとしてきた事への因果応報の目に遭って、オチ。
前回の小百合ちゃん大暴走はいまいちの出来でしたが、今回はいっけん緩いドタバタコメディの体裁を取りながら、賑やかなやり取りの間をどす黒い思念が飛び交う殺伐としたデスゲームがテンポ良く展開し、楽しめました。今見るとこの、ゆるキャラにバトルロイヤルさせる的な作風は、10年ぐらい時代を先取りしていたといえるのか……。