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『激走戦隊カーレンジャー』感想37

◆第46話「突然失効!? 変身パワー」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:浦沢義雄
他の仕事でも入っていたのか、最終章の着地を入念に話し合ったのか、第37話以来となる浦沢脚本。
エグゾスが高笑いし地球が花火になる不吉な夢に跳ね起きるダップ。明るく励ましてくれる恭介達の、相変わらず緊張感のない太平楽な態度に、これは一言いってやらねばと後を追うダップだが、そこで目にしたのは、秘密トレーニングに歯を食いしばる5人の姿であった。
(ダップ、私たち全然いい加減、てわけじゃないのよ。実はみんなの期待に応えるのって、嫌いじゃないしね)
(あんまりちゃんとしているとこ見せちゃうと、もし負けた時格好悪いと思って。でも絶っ対負けたくないから、こうやって体鍛えちゃったりして)
(なーんでおれらが正義のヒーローに選ばれたんかいまだによーわからんけど、これもお母ちゃん曰く、何かの縁というやつやな。ま、俺等なりに頑張ってみるけどなぁ)
(確かに、会社員とヒーローの、二足のわらじは、ちょっときついのですが、夢を語りあえる仲間と一緒なら、なんとかなるんでございます)
(ヒーローしなくて済む自分に戻る為にも、一日でも早く奴らを倒さないとな。どっからでもかかってきやがれ! 俺たちは、絶対勝ってみせるぜ!)
実はヒーローとして真剣かつ地道に鍛錬を積んでいた5人の姿を描き、その意志を明示する中で、それを単純に一つの正義にまとめるのではなく、
みんなの期待に応えたい・負けん気・これも何かの縁・仲間と一緒に
と、自然と感情移入しやすいそれぞれの思いを描き分けているのが、秀逸。
「みんな……ダップが知らない内に、立派な戦士に成長してたんダップなぁ。これなら、宇宙の平和は安心ダップ」
満足しつつも不安を隠せないダップは不吉な夢の正体を調べようとするが、宇宙では一足早く、その原因を待ち望んでいた存在が居た。
「遂に来たか。100万年に一度、この神秘なる大宇宙が酒樽座の流す酒で赤く染まる時が」
その名を、暴走皇帝エグゾス!
「クルマジックパワーの源である5つの星座、それを守る星座たちも、その酒に酔い、浮かれ、戯れる。その時こそ正義の車伝説の五つの星座を、封印する絶好のチャンス。すなわち、カーレンジャー最期の時だ。ボーゾックにも最後の仕事をしてもらおう。ぬふふははははは……」
そう、悪の組織が頻繁に酒でダメになるように、正義もまた、酒には勝てないのだ!!
……「星座が酔っ払う」という奇想を平気で流せるようになった辺り、私もだいぶ、今作に慣れてきました。
ゾンネットの去ったバリバリアンでは切ないブルースが流れ、失恋のショックに打ちひしがれるガイナモが、大宇宙よりも一足早く酒に投げていた。良くも悪くも純な所のあるガイナモはゾンネットを思って涙を流し……(一応)悪の組織の首領が涙を見せる、という従来的なヒーロー物の作劇なら大きな意味を持ちそうなのですが、理由が理由だけにそれすらギャグにしてしまっているように見えなくもなく。
演出としてはそれなりに印象的に扱っているので、後で効いてくるのかもですが。
「泣くなガイナモよ! 今のお前に必要なのは悲しむ事ではない」
そこに突然、どアップで出てくるエグゾス。
「でへへへ、あ、あんたなんかに、俺の気持ちが、わかって、たまるかってんだい!」
カーレンジャーを憎め」
ズバリ正解です(笑)
「その哀しみを怒りのパワーに変え、奴らを徹底的に痛めつければ、必ずまた運は向いてくる」
占い師としての経験から、メンタルケアの手腕もばっちりです!
「ほんとかよ!」
「エグゾスは嘘をつかない。おまえたちに、最終最強ロボット、ノリシロンファイナルを授けよう」
暴走皇帝エグゾス……
ロマン系・豊富な資金・巧みなマネジメント
と三拍子揃って、悪の黒幕の鑑……!
ガイナモ・ゼルモダ・グラッチは、胸に「最終」と刻み込まれたノリシロンファイナルに乗り込み、地球へと出撃。いよいよボーゾック総長自ら、VRVロボと激突する!
「ノリシロンファイナル、さんじょー!」
「伊達に隠れて特訓してたわけじゃないぜ!」
「ばーかめ、俺たちボーゾックの暴走に、勝てるわけがねぇだろうが」
ノリシロンファイナルはルストハじゃなかった、「ファイナルタイフーン!」から「ファイナルキック!」そして「ファイナルフラッシュ!」の怒濤のコンボでVRVロボを追い詰めると、トドメのファイナルツイスターを放つが、カーレンジャーは咄嗟にVRVファイターに分離する事でこれを回避。
「おめえら、5体1だぞ! 卑怯だとは思ねぇのか!」
「勘違いするな。俺たちは一の力を五分割して戦ってるだけだ!」
多対一で怪人と戦う、という戦隊フォーマットへの揶揄に対する切り返しが主眼かと思われますが、実際に一の力(VRVロボ)を五分割(VRVファイター)して戦っているので、劇中の理屈は一応通っているという、頭脳プレー(笑) まあVRVロボの場合、一の力がオーバーキル気味なのですが!
それはそれとして再び必勝合体するVRVに対し、変形合体中にFツイスターを浴びせようとするボーゾックだが、その攻撃を読んでいたカーレンジャーは合体即エアロVツイスターを放ち(特訓の成果感)、本家ツイスターの威力で勝利。ノリシロンファイナルは敢えなく吹き飛び、辛うじて脱出する3幹部。
「ガイナモ! いい加減ボーゾックから足を洗ったらどうだ!」
前回を受ける形でか、ここでも敵幹部が組織の解散を問われており、抹殺対象からそれとなくシフト。今作の基本構造が、交通安全vs暴走行為、であると考えると、暴走行為から卒業して「社会の成員となる」というのは、社会への帰属性を重視する『カーレンジャー』世界の中に収まったテーゼとはいえます。
遂に3幹部とカーレンジャーが直接対決か?! と盛り上がったのですが、アクションシーンはvsワンパーになってしまったのは、肩すかし(^^; ……やはりゼルモダ以外は、見た目通りにアクションシーンするほど動けないのか。
久々登場の市太郎がそこを通りがかって、呑気にカーレンジャーそれぞれの活躍をスケッチし始めた頃、ダップは〔酒樽座と赤い宇宙〕の情報に辿り着いていた。“100万年に一度”のその時、それは――……まさしく今、地球時間1997年1月24日午後1時!
「ふっふふふふふふ、今こそ、正義の車伝説の星座を、余の体内に封印する」
その瞬間を待ち侘びていたエグゾスは、星座達が酔っ払ったとみるや、やたら怖い口のアップで、クルマジックパワーの源である5つの星座を飲み込んでしまう。
お気楽戦隊と思われていた恭介達が地道な努力を続けてきた事が示されたエピソードで、星を守る星座が100万年に一度の気の緩みでピンチを招く、という天と人の噛み合わなさは、どこか運命の皮肉を思わせます。
正義の車伝説の星座が封印された事でカーレンジャーは次々と変身が解けてしまい、「ヒーロー」の仮面が外れて「一般市民」になる瞬間を、“ヒーローの最も純粋な支援者である子供達”のシンボルとしての市太郎が目撃する、という視点の置き方は絶妙。夢のヒーローが描かれたスケッチが滑り落ちる、というのも事態の深刻さと悲壮さを見事に盛り上げます。
「ど、どういう事だよ?!」
「チーキュの一般市民が、カーレンジャーに変身していたとは」
「うっそー」
再び変身しようとする5人だが、
「アクセルブレスが作動しない! カーレンジャーになれない!」
更にレンジャービークルもガス欠で機能停止、VRVロボも沈黙してしまう。
「突然クルマジックパワーが消えたみたいダップ!」
カーレンジャー、いや元カーレンジャーの一般市民を、徹底的に、叩きのめせぇ!」
ガイナモは勢いを取り戻し、市太郎はシグナルマンの元へ。宇宙警察官は呑気に交番の前に立っており、ダップは、シグナルマンにもクルマジックサイレンを提供した方が良かったのでは(^^;
「本日は地球は平和じゃないよ!」
「というと?」
カーレンジャーの正体は、うちの父ちゃんが経営する、自動車会社ペガサスの、社員達だったんだ!
こんな時でも過剰説明が入り、本官と現場に急ぐ市太郎。
「これでカーレンジャーが敗れるのも、時間の問題。チーキュを花火にする事もたやすい。余の夢である、大宇宙ハイウェイ計画も、もう間もなく完成する。ふはははははは、はははははは、あははははははははははは!!」
宇宙ではロマンの実現に会心の手応えを得たエグゾスが哄笑し、ボーゾックに追い詰められた恭介達には、ワンパーの銃口が一斉に向けられる。凶暴さを剥き出しにしたガイナモの号令一下、情け容赦のない銃火が5人を包み込み、カーレンジャーはこのまま5人揃ってかき氷を食いたくなってしまうのか?! 向こう側から色々と手招きが見えてくる、クリスマス決戦編を超えるかつてないシリアスな引きで、つづく。
次回――心は、カーーーレンジャー!「道路で遊ぶのは、結構危ない「「「「「ダップー!」」」」」」。