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『轟轟戦隊ボウケンジャー』感想・第11話

◆Task.11「孤島の決戦」◆ (監督:竹本昇 脚本:會川昇
男雛の地図に記された島に辿り着いたジャードム連合軍は、女雛の地図が無いので正確な場所がわからないお宝を探す為、ダイボウケンの土木のパワーで島全体を掘り起こすという力技を敢行しようとするが……ハンドル無かった。
「なんだこれは? どうやって操縦するのだ? ……ガジャ!」
「…………私に今時の機械の事を聞くなぁーーーっ!!」
絆ゲージの下がる二人は、いっけん実質プレシャスのダイボウケンを無駄遣いしているように見えるのですが、装備といい追加武装といい、むしろダイボウケンの正しい運用方法はこれ(力技による有無を言わせぬ発掘))なのではないか、という気がしてなりません。
一方、ドラゴンロボに引きずられるダイボウケンの中に身を隠して問題の島に辿り着いていた不滅の牙は、爽やかな笑みを浮かべて島の探索に向かっていた。
……この人。
そんなチーフの行方を心配しつつ、あまりに不可解な行動の数々に疑念を抱いたさくら達4人は、燃やされた人形が別物であった事、そこに残されていたボウケンチップに刻まれたチーフからのメッセージを確認。密かに隠されていた本物の女雛と、その着物に縫い込まれていた宝の地図を発見する。
島ではジャードム連合軍が雑兵による人海戦術に切り替える中、不滅の牙は崖を越え森に分け入り、4人の部下に心配されている事など頭の片隅にも無い様子で未知なる冒険の高揚に顔を輝かせていた。
……この人、やっぱり。
まさかチーフが昔のアカウントを持ち出して高難度縛りのソロプレイに熱中している事など知る由もない4人は、ボイスを問い詰めて、地図が示す場所にあるのはパラレルエンジンに関わる重要な秘密の可能性であると白状させる。パラレルエンジンは財団内部でもトップシークレット中のトップシークレットであり、その秘密を知れば世界中の裏社会から命を狙われる危険性がある事から、財団はボウケンジャーに秘密のままそれを闇に葬ろうとしていたのだ、と一応の弁解。
それを聞いた4人はチーフが何をしようとしていたのかを推察し、チーフの不可解な行動は4人を命令違反に巻き込まないようにする為だったと良い方向に解釈するのですが……今すぐ本部のディスプレイに、不滅の牙浮き浮きソロプレイの様子を生中継したい。
(蒼太、菜月、みんな悪いな。だがここは俺一人で行くしかなかったんだ)
……この人、どう見ても仲間を出し抜きたかっただけです!!
「この下だ。プレシャスはもうすぐだ」
ドキドキが止まらないチーフだったが、そこに迫るゴードム兵。
「俺がここに居るのは内緒なんだ。悪いな?」
部下が見ていないと思ってノリノリの不滅の牙は変身して迎撃し、雑兵が倒された気配に気付いたガジャは、ドラゴンロボを降りて単独行動。
冒険基地では、地図に記された島の形状から位置を特定すると共に2台のドラゴンロボを撃破する為の作戦をシミュレートする、とさくらがサブチーフらしい毅然とした姿を取り戻し、陣頭指揮。また、牧野先生がミスターボイスを取りなす姿を見せる。
「彼らにとって、レッドは宝という事か? 牧野さん」
美しい誤解が基地の皆の心を一つにしている頃、不滅の牙は遂に隠されたお宝を発見。その正体は、ルネサンス時代の天才画家にして発明家が残したデッサンであり、そこにはパラレルエンジンの発想の原点となる内容が記されていた!
だがそれをガジャ様にかっさらわれてしまい、戦闘開始。その途中で怒鳴り込みに来る竜王陛下。
「ガジャ! また我を出し抜いたか!」
順調に下がっていく二人の絆ゲージですが、いきなり殴りかからないだけ、陛下もなんだかんだ理性的です(笑) あと陛下、一人称「我」だし、二人称「陛下」なのに、「出し抜かれた」と自己認識している辺りが、そこはかとなくわきまえていて嫌いになれません。
一方、裏返っていたコミュニティが復活して絆ゲージが急上昇しつつある冒険基地では、チーフを信じ抜く事が出来なかったと落ち込むさくらの姿を見かねた真墨が励ましていた。
…………君、ホントいい奴だな!!
斜に構えているけどいい人ダダ漏れ、というのはキャラクター造形としては一つの定式ですが(戦隊で近いところだと『爆竜戦隊アバレンジャー』の三条幸人とか)、真墨の、口が上手いわけではないけれどフォローせずにはいられない、という性質は、かなりハイレベル。
「悪いのはまた仲間を置き去りにした明石だろ! 見つけたら、思い切り、殴ってやれよ! ……な?」
正論 → 軽口 → 心配
と思いつくあらゆる手札を切るのも、ホントいい奴だな!!
特に最後の「……な?」は真情が篭もっていて、素晴らしい、素晴らしいよ真墨!
そんなこんなでさくらと真墨は打倒ドラゴンの作戦立案を再開、蒼太は島の場所を科学の力で調べ、菜月は雛人形の着物をつくろい、不滅の牙の単独行と部下4人の自発的な再起を交互にテンポよく展開。ここで、チーフの思考を最もトレースしているのが真墨、というのも面白い所です。
島ではスケッチを取り返したチーフが、男雛も奪取。
「これも返してもらうぞ。俺の仲間が悲しむんでな」
と、忘れているわけではない事をアピールすると、アクセルテクターから一人ドリルでガジャと竜王を蹴散らし、ダイボウケンを再起動。だがその前に、それぞれドラゴンロボに乗り込んだ竜王とガジャが立ちふさがる。
「生かしては返さんぞ!」
「プレシャスを奪還するのだ陛下ぁ!」
二人の絆は再び100万馬力だ!!
「俺一人では、ここまでか。……いや、まだだぁ!」
お宝を入手してアドレナリンが切れたのか、ふたりはジャードムの絆パワーの前にソロプレイの限界を感じて弱気になる不滅の牙だったが、辛うじて奮起。
一方、冒険基地からはリミッターを解除した6−9のビークルに乗り込み、4人が出動しようとしていた。
「5人の心が一つになれば、新たな力が……覚醒します」
「奇跡だね」
「いいえ、私たちの、想いの力です」
徹頭徹尾、美しい誤解に盛り上がっているメンバーは、ダイボウケン絶体絶命のその時、ドリルを先頭に地下から参上!
「な、なんだこの地響きは?」
「なんだ?」
「俺の仲間だ!」
そのまま流れで合体してしまうのではなく、各ビークルが連係攻撃で派手な活躍を見せ、クールの締めに改めてボウケンジャーとはどういうチームかを描くに際し、それを各ゴーゴービークル総ざらえと合わせた、というのは今作の特色を上手く押し出した構成。
「チーフ、スーパーリミッターは、解除してあります」
「テスト無しであれを試すつもりか。そいつは――」
「ちょっとした冒険、ですよね!」
「フッ……よし、行くぞ! 超轟轟合体だ!」
ぎくしゃくしていた関係も香川先生のお陰で丸く収まり、ダイボウケンと4台の追加ビークルが、スーパーフォーメーション。ダイボウケンのボディがひっくり返ってドリルとショベルが左右の腕部として接続、ミキサーとクレーンが下駄になるとクレーンのアーム部分がヘルメットになって頭部に被さり、爪の部分が牛の角のように展開して、コミュ<冒険者たち>の9身合体がここに誕生する!
「「「「「スーパーダイボウケン、合体完了!!」」」」」
好き嫌いで言うとシンプルなダイボウケンの方が好きですが、中核になっているロボの胴体部分が前後反転する事で自然に正面からのフォルムが変わる、というのは面白いアイデア。クレーンが外れてヘルメット部分になる、という文字通りの飛び道具には素直に驚きました(笑)
「遅かったなお前達。だが、来ると思っていたぞ」
「チーフ! 菜月、酷い事言ってごめんなさい!」
黄の謝罪に、気にしていないさ風の態度を取る赤ですが、真相はどうあれチーフが菜月に酷い事をしたのは確かなので、むしろチーフが菜月に謝るべきなのでは。
「でも、チーフも人が悪いよ」
「まったく……回りくどい事しやがって」
「チーフ、命令を」
「ああ。総員戦闘準備。スーパーダイボウケン、アタック!」
「「「「「ファーストギア・イン!」」」」」
絆LVを取り戻した<ふたりはジャードム>は左右に分かれてのコンビネーションアタックを繰り出してくるが、まずはコンクリートでブーメランドラゴンの足を止め、ダイボウケンを遙かに超えるパワーと装甲の超ダイボウケンは、ハンマードラゴンロボを圧倒。
「9つのパラレルエンジンを直結させる。失敗すれば吹っ飛ぶぞ! いいな!」
「はい!」「うん!」「うん」
「ああ。5人の心を合わせるんだ!」
「ブラックらしくない、アドバイスですね」
一度言ってみたくて暖めていたんですよ!!
そこはかとなく漂う闇の力を光に変え、超ダイボウケンは果てなきボウケンスピリッツ全開、ボウケン体当たりで二台のドラゴンロボをまとめて粉砕し、陛下とガジャ様はもろとも大爆発。
合体シークエンス開始からOPが流れ始め、戦闘の決着までたっぷりとOP2番までを使用しての勝利、というのはいかにも竹本監督な演出で、きっちりと盛り上げてきました。
戦いが終わり、海岸に集う5人。
「サージェスを敵に回すかもしれないから、僕たちには秘密にして動くなんて、チーフらしいですよ」
「あ? まあ……それもあるけどな」
てっきり、いい話にして逃げ切るのかと思ったら動揺したぞ、不滅の牙(笑)
今作の大きな特徴は、ポスト『クウガ』において重視されてきた「個人の正義に説得力を与える背景」になりうる「自分だけの宝」という要素を提示しながら、それを“個人の正義”に接続するのではなく、あくまでも「“英雄的大義”と併存する個人的執着」と置いている事。極端に言えば、「ボウケンジャーというヒーロー」を建前/「冒険者である個人」を本音、として描いているのですが、そこをオブラートに包まずに物語の中で積極的に光を当ててくるのが、凄くストロングスタイルです。
この先、その関係性に変化がもたらされる可能性もありますが、一種、露悪的な作風ともいえ、10年前に見ていたら、もう少し反発していたかもとは思ってみたり(^^;
「ちょっと待てよ明石ー」
「本当の理由は違うの〜?」
「だって、宝の地図だぞ? かーーーっと熱くならないか?」
やはり、宝の地図を独り占めする気満々でした。
美しい誤解を大気圏外へ吹き飛ばす衝撃の告白に桃黄青が口を丸くする中、真墨だけがやれやれという表情に。
「そしたらダイボウケンがさらわれそうになったんで、これで地図の島に行けるって、思わず体が動いてた」
チーフのちぐはぐな命令は、部下をダイボウケンから追い出す為のアドリブだった、という問責決議案が全会一致で可決しそうな証言が飛び出し、ギルティ、ギルティですよチーフ!
「やっぱり駄目だ。こいつはただの冒険馬鹿だ」
「命令して下されば、どこまでもついていきました!」
第4−5話を経てチーフへの信頼を篤くした、というのはあるのでしょうが、上下関係を遵守し命令に忠実という体裁を取りつつ、“胃痛に耐えかねてチーフの脇腹を刺しそうな女”から、“駄目な男を甘やかす女”にクラスチェンジしつつあるさくらさんは、先行きが大変心配です。
「冒険は命令されてするもんじゃない。だからお前達にはヒントだけ残しといた。そして、お前達は自分達の意志で来た。それでいいんだ」
胸躍る冒険物語の本質を口にする不滅の牙の必殺《俺は既にいい事を言った! このボウケン(びしっ)レッドが!》が発動し、冒険精神という一点で濃淡あれどチーフと似たもの同士のメンバーは納得。
……それにしてもチーフ、将来ほぼ確実に、子供に何も言わずに巨大ロボか謎の美少女か古代の秘宝を押しつけて姿を消し、書斎の地下に隠された秘密の部屋のわかりにくい場所に重要な情報を映像メッセージで残して世界の危機を無駄に招く人になると想定されるので、今のうちにジャッジメントしておいた方がいいのでは。
「やれやれ、私の負けだよボウケンジャー。君たちに隠せる秘密なんて無いねぇ」
ボイスは基地で脱帽し、ひとしきりスケッチの絵図に盛り上がった後、奪還した男雛を菜月へと渡すチーフ。
「チーフ、ありがとう!」
「グッジョブ!」
前回チーフが滑り気味だった「グッジョブ!」を蒼太に言わせる事で、取り戻された絆を重ねて強調しているのが細かく上手い。
「まったくあんたの牙から逃れられる獲物はいないってか」
いい感じに空気が暖まった所で背中を向け、調子良く帰還モードに入ろうとするチーフだが――その前にさくらが回り込む。
「そうだチーフ、一つ忘れていました」
「ん? なんだ?」
さくらの必殺《怒れる乙女の正拳突き》!!
かいしんのいちげき!!
不滅の牙に36000のダメージを与えた!!
「次は抜け駆けを許しません。私たちも冒険者です」
にっこり笑うさくら、悶絶して崩れ落ちるチーフ、駆け寄る面々……を見下ろすスーパーダイボウケンの勇姿、でつづく。
さくらの可愛げ(?)を出しつつ、チーフが物理的なしっぺ返しを受けて視聴者もスッキリ(笑)とバランスの取れた良いオチでした。あと菜月と蒼太は倒れたチーフの鼻の穴にメンソレータムを擦り込むぐらいの事はしても許されると思います。むしろ同類意識が強固になった真墨は見学。
主に追加ビークルで怒濤の展開となった『ボウケンジャー』第1クールの締めでしたが、衝撃の完敗をアクセントに、これまで積み重ねたキャラクター像を活かした衝突と再結束を軸に描き、立ち上がりの今作を象徴するサージェスの闇からゴーゴービークルの全合体に集約。商業展開からの逆算でしょうが、ストーリーとギミックがクライマックスで鮮やかに融合し、お見事でした。若干詰め込みすぎのきらいはありましたが、これだけガジェットを大事にしながら、敵味方の主要キャラクター全員に色づけと土台を与えた手腕はさすが。
結果としてはチーフが、東映名物暗黒メンターの若き日の姿を思わせる何者かになりましたが、善玉サイドの看板を掲げているけど実態はもっと別の何か、というのがそのまま過ぎて、やはり今のうちに(以下略)