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『轟轟戦隊ボウケンジャー』感想15−16話

◆Task.15「水の都」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:小林靖子
「牧野先生が倒れた?!」
ゴーゴービークルナンバー10の最終調整中の牧野は、真墨と菜月に取り押さえられながらも髪を振り乱してパソコンへ向かうが、強制シャットアウトされ簡易ベッドに横たえられると、すぐさま轟沈。
「三日も徹夜はやりすぎ。加減てものを知らないよね」
「そこが先生のいい所でもある」
前回参加した牙ノ十二「ハーメルンの笛」でも牧野のサポート面での有能さが描かれていましたが、1クール目は完全にメンバー中心の掘り下げだった事もあり、もう一つ漠然とした立ち位置のままの牧野に内と外から細かく肉付けをしていくのは、小林脚本らしい仕事。
また全体では、能力的にも性格的にもチームで一番ぶっ飛んでいる不滅の牙の、牧野に対する敬意(人形を燃やしたあの回ですら、牧野には後事を託している)が一貫している事で、自然と牧野の人物や能力が窺える、というのは良い描写です。
いずれ明かされる事もあるかもしれませんが、若い頃は、《私は既にいい事を言った! この牧野(びしっ)森男が!》みたいな人だったのかもですが(笑)
牧野リタイアの中、新たなミッションとして、世界中のどこにも存在しない文字で書かれたという文書の確認に向かう赤桃青だが、一足遅くジャリュウ一族らしき影に奪われてしまい、変身して先回り。
「動くな。その文書、返してもらおう」
もう、自分たちのもの気取りだ。
泥棒ジャリュウに銃を向ける3人だが、そこへ新たにごつい邪悪竜が登場。
「自分たちの物でも無いくせに返せとは、図々しいなボウケンジャー
ツッコまれた(笑)
「おまえ達、ジャリュウ一族か」
即座に話題をすり替えた(笑)
……作品と相性が良かった部分もあるのでしょうが、参加2本目にしてこのツボの心得ようは、さすが小林靖子という他ありません。
「だったら、どうした!」
ごつい邪悪竜ナーガ(CV:梁田清之)が攻撃を放つ間に、ラギ、と呼ばれた泥棒ジャリュウダッシュで逃亡をはかるが、食らいついた赤と激突。優れた体術を見せるラギとレッドがしばらく戦い、戦闘中に落とした革袋の中身を慌てて拾い集めるラギ。戦いの末、ジャリュウ2名に文書を強奪されてしまうが、チーフはその一片をちぎり取り、青はラギが拾い損ねた何かの石のような破片を拾う……。
基地に戻った3人は文書の切れ端を調べてもらうが、やはり詳細は不明。一方、謎の破片は、水の底の都があったという伝説が残る砂漠で時折発見される珍しい石である事が判明する。
「チーフ、なにか?」
ここでチーフの様子を気にするさくらの姿が、なんとなく可愛げを感じる見せ方。
「この石を落としたヤツ、なんとなく引っかかってな」
落とした石に向けて手を伸ばしていたラギの姿に、人間の情めいたものを感じて考え込むチーフ。
「…………私には特に。どこか変でしたか?」
「いや、なにがってわけじゃないんだが……雰囲気というか。……気のせいだな。忘れてくれ」
一方、ジャリュウ2人もチーフが一部を千切ってしまった事で文書を解読できず、そこへ顔を見せる陛下。文書が所在を示すプレシャス<アクアクリスタル>を狙う陛下は奪還を命じ、ごつい邪悪竜が街で大暴れするという、今作では大変珍しい、直接破壊行為による挑発。
2クール目に入ってからの怪人ポジションのプッシュなど、全体的に1クール目よりも従来作らしい要素を意図的に取り込んでいる様子ですが、一山越えた所でサブライター陣にこの調整を任せたのは、會川さんにある程度のフリーハンドを与える為の意図的な差配でしょうか。
キャラ回の体裁で個々の掘り下げを進めつつ、第11話までで土台の築かれた『ボウケンジャー』的なものと、従来作的な要素を噛み合わせていくというのは難しい部分がありそうで、それもあってかメインライタークラスの脚本家が立て続けに投入されているのですが、かぐや姫回は噛み合わせ作業のバランスが上手く転がらなかったのかな、という感じ。
傍若無人に破壊活動を行う梁田ドラゴン(『宇宙戦隊キュウレンジャー』の戦隊メンバーに「ナーガ」というキャラが居るので、どうもナーガだと書きにくくて)と、それに苦言を呈すラギの色の違いが若干ながら示され、文書を手に両者の元へやってくるボウケンジャー。……ロケ地が例の廃墟の為、破壊範囲が第15話にして大変な事になっております。
「おまえ、本当にジャリュウ一族か?」
チーフの問いかけには答えず文書の切れ端を奪い取るラギだが、ボウケンジャーは不意打ちにより、背後に控える梁田ドラゴンの拘束に成功。
「ラギ、リュウオーン様の元へ行け!」
陛下への忠誠心なのでしょうが、自分がその場に踏みとどまってラギを逃がそうとする梁田ドラゴンは、なんだか面倒見がいい(笑)
梁田ドラゴンとトカゲ兵士を部下4人に任せ、ラギを追うも反撃を受けて変身解除してしまうチーフだが、そこにコプーとかタバとか巽モンドとかの名前がちらつく怪しい老人が現れ、ラギの足を止める。
「長老……」
「ラギ、なんという姿に。愚かな」
2人はチーフそっちのけで口論を開始し、かつてなく蚊帳の外に置かれるチーフ(笑)
「もうすぐなんだ。絶対に水の都は復活する!」
「いいや、また誰かが、死ぬだけだ。このまま終わるのが、水の都の運命ならば、静かに、受け入れなければならぬ」
長老は謎の力で文書の切れ端を水に変えてしまい、絶望したラギは長老に掴みかかるが、チーフにもぎ離されて呆然と森の中へと消えていく。
「文書が……クリスタル文書が……」
長老を介抱したチーフは、2人が伝説にその名を残す海の底の都の住人、水の民である事を知る。数百年の昔、海と都を守る力であった秘宝アクアクリスタルが1000年の寿命を迎えて砕け散り、海底都市は砂漠と化した地で砂嵐に飲み込まれてしまった。だが、アクアクリスタルは長い年月をかけて再結晶する鉱物であり、謎の文書はアクアクリスタルが次に生成される場所を示すものだったのだ。
「しかし、それを頼りに探しに行った者達は、誰1人として、帰ってこなかった」
あたら若い命が散る事を嘆いた長老は、クリスタル文書を民の手が届かぬ地上に封印。砂に埋もれた都で生き続ける事を選ぶが、かつてアクアクリスタルを求めて帰らぬ人となった父の意思を継ごうとしたラギ(その正体は、怒濤の鮫)が、文書を追って地上へと向かってしまう。
長老の言によると水の民にとって地上世界は手が届かない場所らしいのですが、しれっと地底人にジョブチェンジしている元海底人が“どこへ”アクアクリスタルを探しに行ったのかが不透明で、もう一つ世界観がスッキリせず。ラギが大事そうに集めていた石は父の形見――水の民がその身に宿して生まれる水の証――であり、ジャリュウラギがそれを失っている事から、地上で文書を捜索する為に水の民である事を捨ててジャリュウ化したという成り行きは推測されますが、一見した限りでは掴みにくかったので、後編で整理されてほしい部分です。
……ところで物凄く今更気付いたのですが、元ガオブルーなラギを演じる柴木丈瑠さんって、後のシンケンレッド・志葉丈瑠のネーミングと何か関わりがあるのでしょうか。関わりというかほぼそのままで、さすがに偶然とは思えない被り具合なわけですが。
チーフが長老から話を聞いている頃、ジャリュウ一族と交戦中の4人はデュアルクラッシャーで雑魚を皆殺しにするが、そこへ降り立つ梁田ドラゴン。
「選ばれし邪悪竜の力、見せてやる!」
前回は頭悪すぎましたが、どうやら今回はちゃんと選抜試験を行ったようです!
梁田ドラゴンは猛攻で4人を全滅寸前に追い詰め、着実にレベルアップしている陛下の修行の成果をご覧下さい!!
率直に、チーフは長老の話に夢中で部下の事を忘れているのではないかという不安が脳裏をよぎった時、茫然自失のラギが現れ、がっくりと膝を付く。
「クリスタル文書は……もう、ない」
再登場した陛下は、それを聞くと役立たずは用済みだとラギをざっくり切り捨て、トドメを刺そうとした時に今度こそ真打ち登場、横からその身をかっさらってラギを救う不滅の牙。
「相変わらず汚い奴だな、リュウオーン!」
未知の民族と会話をかわしてテンション最高潮のチーフは、振り下ろされた陛下の剣をアクセルラーの車輪部分で受け止め、そのまま刀身を滑らせる事で変身するという、超格好いい不滅の牙アクションを披露。
ボウケンジャー・スタートアップ!」
アクセルラーの使用法はこれまでも色々と工夫して見せてきましたが、セルラーを握りながら右手を高々と掲げたポーズも決まり、非常に素晴らしかったです。
邪魔に入った天敵ボウケンレッドに殴られた陛下は梁田ドラゴンにラギの始末を命じるが、赤はまたもラギをかばい、ダメージを負いながらもラギと共に逃亡。陛下と梁田ドラゴンはボウケンジャー4人を無視してラギを追い、用済みと切り捨てた相手に執拗にこだわるのが少々謎ですが、後半でなにか理由が明かされるのかどうか。
「水の民ごときが我らを走り回らせるとは、生意気な!」
自分で原因を作って自分で怒っているという、ただ器が小さいだけなのか?!(^^;
陛下の攻撃で負傷したラギに肩を貸しながら逃亡するチーフ……その姿を森の中から長老が見ていた、でつづく。
次回――怒られた。


◆Task.16「水のクリスタル」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:小林靖子
チーフに助けられたラギは、冒険基地へ連れて行っての手当を拒否。
「冗談じゃない。お前達ボウケンジャーは、昔の宝を独り占めしてるそうじゃないか。残りのクリスタル文書を取り上げようってつもりだろう?!」
リュウオーン達に何を吹き込まれたのか知らないが、俺たちは危険なプレシャスを保護するだけだ。持ち主が安全に保管できるなら、それでもいい」
「フン、信用できるか。俺はもう、誰も信じない」
うんその、「安全に保管」できるか判定するの、ボウケンジャー(サージェス)ですからね(笑)
あと、意図的にここまでの話の中で触れていない(長老がクリスタルを積極に探さない理由?)のだと思われますが、アクアクリスタルは現在地上となっている土地を海の底に沈めてしまう、(地上人にとっては)危険なプレシャスの可能性が高いと思われ、入手した途端に、「ハイ、今から君たち水の民はネガティブシンジケート指定団体になりました」とデュアルクラッシャーされるのではないか。
「わかった。基地へいくのはやめだ。仲間との連絡もしない。だからどこかで、おまえの傷の手当てをさせてくれ」
「おまえ……」
陛下に切り捨てられて傷心のラギの心の隙間にチーフが忍び込もうとした所でOPが入り、次回予告で見せているとはいえ、本編登場前にOPで新ロボ映像が入るというのは、珍しいでしょうか。
基地では牧野が覚醒し、長老はチーフを探すさくら達と接触。チーフは洞穴で暖を取りながら、地上に適応できずに転がっていた所を陛下に拾われ、水の力を捨て竜の力を得る事でジャリュウ化したという事の成り行きをラギより説明される。
「おまえ知ってるんだろ! 水の証がないと……」
「自分が住めるか住めないかなんか関係ない! 俺は、父さんやみんなが望んでいた海を見れればそれで。……それなのに」
長老がクリスタル文書を文字通りの水泡に変えてしまった事を嘆き、ガックリと項垂れるラギ。
「そこまでやったのに、諦めるのは早いんだな?」
そんなラギに対して、チーフはトレジャーハンター流記憶術により、覚えていた文書の内容を地面に書いてみせる。
「協力させてくれないか。プレシャス探し」
「やっぱりおまえも、アクアクリスタルが狙いだろ?!」
「違う! ……正直に言う。俺は幻の水の都が見たいんだ。甦る海なんて考えただけでワクワクする。こんな冒険、滅多に無い」
野心とか欲得とか理想とかどうでも良くて、これは俺の個人的なロマンなんだよ! と断言する不滅の牙、ホント凄い(笑)
人生を一歩間違えると、今頃ロマン系悪の秘密結社をせっせと作ろうとしていたに違いありません。
「貴様! 水の民の思いを、冒険ごっこにするな!」
怒りのラギはチーフを殴り飛ばして馬乗りになるが、チーフは臆する事なくその目を見つめ返す。
ごっこじゃない、真剣だ! 俺はトレジャーハンターとしてどうしても海を復活させたい。水の都を見たいんだ」
……えーと本当に、その海、復活させて大丈夫なのですか?
ラギはチーフの眼差しとこれまでの行動を思い返し、俺は俺のロマンの為に真剣に命がけだ、というその狂気に飲み込まれていく。
「冒険……か。……同情より、信用できるか」
ラギはチーフを立ち上がらせてがっちりと握手を交わし、文書を解読。
「みんな、プレシャスの場所がわかった」
長老が基地に居るとは知らずにメンバーと連絡を取るチーフだが、陛下も密偵トカゲによりその情報をキャッチ。翌日――火山の中のアクアクリスタルを目指して合流した6人の前に梁田ドラゴンが立ちはだかり、ボウケンジャーは変身してフル名乗り。
「果てなきボウケンスピリッツ!」
「「「「「轟轟戦隊・ボウケンジャー!」」」」」
と揃い踏みした所に画面手前から飛んできたシンボルマークが重り、コーラス風BGMを途切れさせないままアイキャッチが入る、という演出が見事で、このアイキャッチの入れ方は非常に素晴らしかったです。
ボウケンジャーは山岳地帯でトカゲ兵と戦い、梁田ドラゴンの攻撃に苦戦するラギと、それを岩の陰から見つめる長老。
「ふん、おまえたち水の民は、永遠に地を這いつくばってろ!」
「何度這いつくばったって……俺は、諦めない。絶対に、辿り着くんだ。俺たちの海に!」
助けに入ったボウケンジャーも強敵梁田ドラゴンにまとめて吹き飛ばされてしまうが、その時、岩陰から飛び出した長老が 「水の民は正義!」と叫ぶと凄まじい威力の暗黒メンタービームが迸り 水の民ビームを放ち、吹き飛ぶ梁田ドラゴン。
「ラギ、儂が間違っていたのかもしれん。失う事を恐れるあまり、得られる筈のものにまで、手を出そうとしなかった。水の証を捨てた、おまえの熱い想い。必ずやかなう。水の都、必ず、復活させよう」
長老は背筋を伸ばしてやたらと元気になり、なんか、狂気がどんどん伝染してる!
「うん!」
長老の姿はびよーんとかき消え、マイク真木というスペシャルゲスト枠にしても少々出鱈目に過ぎ、本当にコプーとかタバ老師寄りの存在になってしまいました(^^;
また、長老は特にアクアクリスタルを使用した結果を気にしていたのではなく、純粋に若い労働力が外界(結局は地上世界という事で良い模様)に出て戻ってこない事を気に病んでいたようで、映像的に難しかったのかもしれませんが、砂の底の都の描写が欠落している為、水の民の海への想いが台詞以上のものにならなかったのは残念。SF的にいえば“父祖に聞かされた緑の地球”的なものなのでしょうが、その憧憬が物語として強く伝わってきませんでした。
立ち直る梁田ドラゴンだが、ボウケンタッチを交わし、熱い冒険魂でシンクロした赤&ラギのコンビ攻撃がクリティカルヒット。トドメを刺そうとしたその時、しかし空からジャリュウ一族の飛行メカが襲来する!
「牧野先生、ナンバー10は?」
「いつでも発進、OKですよ」
だがボウケンジャーもまた、新たな翼の力を得ていた!
富士の樹海から、巨大な飛行メカ・ゴーゴージェットが発進して到着。…………かぐや姫回のお宝が樹海の中に隠されていましたが、樹海は完全にサージェスの縄張りで、怪盗セレネーは泳がされた上にジャリュウ一族の追っ手を釣り上げる餌にされていたのだな、と改めて裏打ち(笑) 月のセレネーは今頃、この光景を監視衛星で確認しながら、襖に拳を叩きつけている。
「行こう。親父さんが取れなかったプレシャス、おまえが取るんだ」
赤とラギはジェットに乗り込み、プテラメカと空中戦を展開。割と華麗な空戦テクニックを見せるトカゲ兵士達だったが、太陽の光を利用したチーフの戦法がそれを上回り、次々と撃墜されていく。
地上では、そろそろお前撃っとけよ、と特にタメもなくアクセルテクターを装備した黒がデュアルクラッシャーを用いて梁田ドラゴンを撃破し、すっかり、4人で使えるようになってしまいました。
「おのれ! だったら、これを試してやる」
陛下がボウガンと先込め銃を合わせたような装備で梁田ドラゴンに矢を打ち込むと生命エネルギーが注入され、梁田ドラゴンは巨大化。ジャリュウ一族も独自に怪人ポジションを巨大化できるようになりましたが、かぐや姫回のスペースユンケルによる郷里ドラゴンの巨大化現象を参考にしたようにも見えます。
火口へ辿り着いたチーフとラギはマグマの中に発見したアクアクリスタルの回収に成功するが、巨大梁田ドラゴンと戦うスーパーダイボウケンは、必殺のボウケン頭突きを頭突き返しされ、超必殺技もカウンターを受けて大苦戦。
「スーパーダイボウケンの技が、通じません!」
「5人の力じゃなきゃ駄目だ!」
一応アクセルスーツのシンクロ率が足りないと理由づけし、そこへプレシャスを手に入れたゴーゴージェットが飛来すると、3日徹夜後の仮眠明けでテンション高い牧野先生のお薦めにより合体開始。
少々70年代ノリなイントロから70年代ノリな挿入歌が流れる中、10台のマシンが空中で究極轟轟合体――アルティメットゴーゴーフォーメーション――し、背中にジェットを背負う都合で外され、胴体の装甲に回されてしまうジャイロの扱いが酷い(笑)
まあ轟轟武装の度に外されてしまうドーザーとマリンの扱いも悪いよね、という事で、今ここに、アルティメットダイボウケンが合体完了する!
飛行ユニットが背中に合体するのは古典的お約束として、スーパーダイボウケンがジャンプして空中合体するというのが印象的な究極ダイボウケンですが、なにやら、宇宙大帝ゴッドシグマみたいな見た目に(笑)
「アルティメットダイボウケン、凄いパワーだ」
おそらく意図的でしょうが、台詞回しも微妙に古い。
基本、連結するパラレルエンジンが増えるほど出力が上がるという理屈なのでしょうが、究極ダイボウケンは巨大梁田ドラゴンを圧倒し、トドメはアルティメット火の鳥で大勝利。
そして――……故郷の地に戻ったラギが砂漠に突き出た祭壇にアクアクリスタルを奉じると、瞬く間に砂漠に海が戻り、かつての姿を取り戻す水の都。
「俺の思ってた通りだ。なんて雄大なんだ!」
だが水の証を失ったラギは、もはや水の都とそれを守る海の中には入れない体に。
「父さん、俺は、後悔していない。都には戻れなくても、海はここにあるよな。…………いつでも、見に来ればいい」
これが、ジャリュウ一族に魂を売り渡し、人類の都市の破壊を見過ごした(積極的に関わってもいないが、止めようともしていない)ラギの物語的な罰になるのかと思ったら、そこに姿を見せた不滅の牙は、工房で修復したラギの父の水の証を、ラギへと渡す。
「最高の冒険をさせてもらったお礼だ」
血の繋がった息子ならば父親の証を受け継ぐ事が出来る、という事でラギは水の証を取り戻し、伏線としては綺麗に収まっているのですが、ラギは冒険無罪で良いのか。人間の姿には戻れない、というのは譲れない一線になったようですが、長老がその姿を受け入れて大団円。
基本、サージェス財団は“現生地上人の価値観”でプレシャスの危険性を判断し、それに背く存在をネガティブ認定をしている組織なので、大規模な地形の変化がともなう海の都の復活(しかもこの海、地上人は侵入不可能)を、めでたしめでたしで片付けていいのか、というのは引っかかったところ。
まあ、組織の正義と現場の理念が違うというのがボウケンジャー的ではあるのですが、この地球に生きているのが現生地上人だけではない、という事を前向きに捉えて認めていくというほどは物語として踏み込みませんでしたし、劇中のラギの行動は、水の民の悲願のためなら多少の地上人の被害は知った事ではない、というものなので、もろもろ大甘裁定という印象。
長老はラギをかばって死亡、ラギはアクアクリスタルを手に入れるもその結晶は完全ではなく、幻の海を目にして満足しながらジャリュウ化の後遺症で息絶える……ぐらいのシビアなオチは想定していたのですが、まあラギに肩入れする理由が、チーフの個人的ロマンの暴走というのは、この上なくボウケンジャーらしくはあるので、どちらかというと、チーフやっちまった案件として受け止めるべきなのか。
その辺り、チーフのラギヘの共感、父から子に受け継がれるもの、という要素を見ると、チーフ父が登場するという劇場版を受けての仕込み、というのが時期的にはあったのかも。
話のテンポは良く、前回のチーフの超格好いい変身から今回の究極轟轟合体まで映像的な見応えはたっぷりだったのですが、スペシャルゲスト枠の出鱈目ぶり(基地でソファに腰掛ける長老の両サイドに菜月とさくらが座っているシーンとかどうかと思ったのですが)を含め、チーフ的には大満足だけどサージェス的には多分アウトな着地を『ボウケンジャー』として有耶無耶にしてしまうなど、まとまりの悪さを色々と勢いで誤魔化した感があるのが少々残念な後編でした。
次回――……………………噎せ返るような闇の力(天然もの)が!!!