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『轟轟戦隊ボウケンジャー』感想・第18話

◆Task.18「生きていた男」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:會川昇
ボウケンジャー、宝探しか。甘ちゃんども、ヒョウガを倒したのは、まぐれだぜ」
アシュを追う高丘映士がセロリをかじって闇の力を充填している頃、チーフとさくらはアシュ対策をボイスと相談、残り3人は出張で不在の牧野の代わりに、百鬼鏡を分析中。
「でも、映士っていう、あの野菜の人? 関わるなって言ってたよね?」
作中でも言われた(笑)
「あのな、あの高丘ってやつが、一番胡散臭いんだろうが。あんな奴にアシュの事を任せておいて、いいのか?」
「あれ? なんか正義の味方みたいだね?」
敵愾心剥き出しの真墨の発言を振り返って茶化す蒼太。
「そうだよ、知らなかったの?」
にっこりと追い打ちをかける菜月。
「誰が正義の味方だ、誰が!」
儚い抵抗を試みる真墨を、蒼太と菜月が一斉に指さし、この辺りの間合いは中澤監督の持ち味。
3人がじゃれていると部屋に積まれていた資料が崩れ、そこには新たなアクセルスーツの図面が……?!
一方、上階ではボイスから衝撃の発言が飛び出していた。
「どうだいレッドくん? ボウケンレッドを辞める決心はついたかな?」
ボウケンジャーを……辞める?」
アクアクリスタルの件については揉み消しておいた筈なのにいつの間にか上層部で査問が?! と動揺するさくらだが、チーフの様子は変わらない。
「その事についてはお断りした筈ですが」
「そうかい。だけどもう一度、考えてみてくれたまえ」
ボイスは姿を消し、心配そうなさくらの眼差しに全く気付かず立ち去ってしまう、安定の不滅の牙ムーヴ。
同じ頃、お休みしていたガジャ様が再登場。
「ゴードムエンジンの完成だ」
傭兵派遣業で稼いだ資金を用いて、裏で何やら研究開発していたらしいガジャ様は、ゴードム兵士を強化しようと両手に持ったエンジンを組み込むが、一般兵は瞬く間に崩れ去ってしまう。
ボウケンジャーはこの力に耐えているというのに……!」
歯がみするガジャ様は、しかし何かの気配に気付き……その頃、ガイとレイは神社を一つ吹き飛ばし、その地下に封印されていた対アシュ用のボウガン――強者の弓――を掘り出していた。ガイはその弓を用いて、ヒョウガを殺したボウケンジャーへの復讐を企む。
「怒りの鬼神よ、それだけでは足りない」
「なんだと?」
「苦しめて苦しめて苦しめて、ヒョウガの無念を晴らす」
強者の弓による連続ビル爆破事件が発生し、まさかそれをアシュが使っているとは思わないボウケンジャーは、手分けして弓の発射地点を探す事に。レイの吐き出す霧に包まれるも、それに気付かないまま付近を探るチーフは、直前に矢が放たれた倉庫の中に怪しい人影を見つける。
「ネガティブ! プレシャスを悪用するのはやめろ」
「ネガティブ……か」
「ん?」
「俺だよ、不滅の牙」
改めて、面と向かって言われると恥ずかしい二つ名を呼びながら振り返ったのは、罠にはまって爆死した筈のかつてのトレジャーハンター仲間、柾木紫郎!
「まさか……生きていたのか?! そうなのか柾木!!」
声を震わせ駆け寄ろうとする不滅の牙だが、何故か柾木は手にした強者の弓をその心臓へと向ける。
「キョウコは死んだよ。おまえのせいでな。俺はおまえを許さない。おまえは俺とキョウコを置き去りにし、プレシャスを独り占めにした!」
「違う……俺は助けを呼びにいくつもりだったんだ! 柾木、そんなものこっちに渡せ!」
言葉の前と後ろが噛み合ってないよチーフ!
「ほーらな、今もプレシャスを手に入れる事しか考えていない。おまえがプレシャスなんか見つけなければ、キョウコは死なずにすんだ! なのになんでのうのうと冒険してられる! おまえにボウケンジャーだの、プレシャスを守るだの……そんな資格があるのか!」
地獄から甦ってチーフを糾弾する柾木は露骨に幻か何かだとは思われるのですが、チーフが率先して自ら墓穴を掘る為に、物凄く強烈な説得力があります(笑)
「俺はおまえを、許さない」
咄嗟に変身するも矢の直撃を受けた赤は、大ダメージで倒れている所を部下の4人に発見されて基地の病室へ。肋骨にヒビが入りつつもベッドを抜け出したチーフは、さくらに自分のアクセルラーを渡す。
「西堀さくら、只今からボウケンジャーの指揮権を、サブチーフであるおまえに託す」
自分にはボウケンジャーとしての資格が無い、と呟いたチーフは、困惑するさくらを置き去りにして病室を出て行くと柾木の姿を求めて倉庫街へと向かい、再び姿を見せた昔の仲間に就職の経緯を説明。
「俺はおまえ達を失って、プレシャスの危険に気付いた。そしておまえ達の死を無駄にしない為、危険なプレシャスを確保し、守る仕事に就いたんだ!」
「それで?」
「これは俺の使命なんだ! プレシャスを渡してくれ!」
だが柾木は、チーフの懸命な説得をせせら笑う。
「いい加減にしろ。俺たちの為? 使命だと? 何を自分勝手な事を言っている。誰がそんな事を頼んだ? そんな事で俺たちが救われるとでも思っているのか?! ――俺の望みは、これだ」
裸一貫で説得を試みたチーフに矢が迫るが、一部始終を見ていた闇のセロラーが舌打ちして割って入ると錫杖で矢を叩き落とし、セロリマン、格好いい。
ボウケン基地では弓の爆発反応を感知して出撃しようとうするが、指揮権を任されたさくらは浮かぬ顔。
「でも、チーフが居ないと……」
「プレシャスがある所には、どうせ明石も来るさ」
「不滅の牙なんでしょ?」
「チーフは戻ってきますよ。ね?」
かつての仲間の幻影にチーフが心をかき乱される一方、今の仲間達は、どうせあの冒険馬鹿が真っ当に社会復帰できるわけがない、という変な信頼感をベースにいい感じに結束(笑)
「……ボウケンジャー出動です! アタック!」
励まされたさくらは立ち上がり、有能なさくらがパーフェクトソルジャーぶりを発揮してしまうのではなく、じわじわとチーフへの同僚以上の感情が窺えるようになっているさくらを3人がフォローするという構図が、良いアクセントとして機能。素直じゃない物言いながら真っ先に励ます真墨の気配りに対して、蒼太さんは多分、半分ぐらい面白がってますが!
「生きていた昔の仲間、か。そりゃまたご苦労様なこった」
一方、チーフを連れて一時離脱していた高丘は、案の定、チーフの悩み相談に乗ってあげていた(笑)
「おまえならどうする? おまえにも仲間は居るんだろ?」
「俺様に仲間なんてものはない。資格だのなんだのぐちゃぐちゃ言ってんのは、しょせん弱い人間の言い訳だ」
ばっさり切り捨てる高丘だが、しょぼくれたチーフの様子に、ついつい身の上話を語ってしまう(笑)
「俺様は高丘の家に生まれた。高丘は代々、アシュを監視し、滅ぼす事を使命としている。中でもあのガイというヤツは、俺様の親父が失敗したヤツだ」
因縁にまつわる心の隙間の入り口まで紹介し、絶対いい人だよセロリマン!! セロリはきっと、人の心を暖かくしてくれるんだ!!
・・・さあ、TVの前の良い子のみんなも、俺様と一緒にセロリをかじって闇の力に覚醒しよう!(CM)・・・
「とにかく! 俺様にとっては、アシュを追い詰め滅ぼす、それ以外はない」
「俺にとっても使命は大事だ! ……しかし」
極めつけのトラウマをドリルでぐりぐりと掘削され、いつもと違う不滅の牙ワールドへはまり込んでしまったチーフの呟きを聞きとがめ、高丘はその言葉を遮る。
「一緒にするな!おまえのは使命なんかじゃない」
「なに?」
「おまえらがやってる宝探しなんて、遊びだよ。俺様みたいに逃れられない宿命でもなんでもない。……どうせ好きでやってるだけだろ? 嫌ならとっととやめちまったらどうだ」
来る日も来る日も生のセロリだけが並ぶ高丘家の食卓を乗り越えてきたセロリの使者は立ち去り、壁に背を預けながら呆然と高丘の言葉を噛みしめるチーフ。
「好きで、やってる……」
しかしその時、拳を握りしめたチーフの瞳に、再び炎が宿る。
「高丘映士……おまえは凄い奴だ。俺はやっとわかった」
この後の成り行きが予想できすぎて、この時点で大爆笑しました(笑)
レイが霧を吐き出す中、力強く外へと踏み出した不滅の牙は、柾木と三度目の対峙。
「不滅の牙、やっと死ぬ覚悟ができたか」
「なあ柾木…………俺は冒険が好きだ」
いきなりの発言に首をひねる柾木だが、お構いなしに続けるチーフ。
「やっと気付いたよ。お前達の為とか……世界の平和や安全だとか…………そんなのは理屈だ。俺は冒険が好きなんだ。おまえだってそうだろ柾木? キョウコだって、愛したのは宝を探す冒険のワクワクだった。誰に与えられた使命でもない。だから……だからこそ絶対に逃げるわけにはいかない!!」
力強い語りでこれまでチーフが積み重ねてきた冒険魂が言葉にされ、改めて、「個人/本音(浪漫と欲望)」と「ヒーロー/建前(理屈と大義)」を切り分け、ヒーローの背景に個人を接続するのではなく、ヒーローと個人を横に並べるという、『ボウケンジャー』のヒーロー像をひとまとめ。
ステップアップというよりは再確認なのですが、これは、戦隊としての異色さへの意識ゆえでしょうか。
で、「え?! 気付いていなかったの?!」というチーフですが、恐らくボウケンレッドとして組織に所属している事に柾木とキョウコへの贖罪として自分を縛るという一面があり、死んだ筈の柾木と出会った事で、精神防衛にもなっていたその理由付けが強力な自己暗示の形で表面に噴出してしまったのかなと。人間、建前も唱え続けていると最初から本気だったように自分自身が騙されてしまう事もありますし。
後は、なんだかんだ前回アシュに手も足も出なかったのは不滅の牙として屈辱だったのかと思われ、そこへ颯爽と現れてアシュと互角の戦いを見せた高丘の姿に(使命……宿命……俺に足りなかったのはそれだ!)と、闇の力に少しカブれていたに違いありません。
しかし光は! 闇に打ち勝つ!
「使命ではないからこそ……好きだから、逃げられない」
そして自由であるが故に、自ら選んだ道と真剣に向き合う冒険者魂は、宿命に縛られる男、高丘映士の魂を逆に侵食。
「これは俺の冒険なんだ。俺は冒険をやめない!」
「……それでいい、不滅の牙」
チーフが力強く告げると、微笑む柾木の姿がかき消え、後に立っていたのは驚愕するガイ。そして降りてくるレイ。
「あり得ない……人間は自分の心には、決して勝てない筈」
アシュコンビが揃ったところで表に出てきた高丘は、全てはチーフの心の迷いが生んだ幻影だったと説明する。
「おまえは、ヤツが吐き出した毒の霧を吸って、幻を見せられていたのさ」
実は、というよりは、念のため、という高丘の解説ですが、幻影の柾木が「プレシャス」というサージェス用語?を口にしていたのは、チーフの心から生まれた幻影、という意味合いがあったのでしょうか。回想シーンだと「トレジャー」という言葉を使っていましたし。
「いや、幻じゃない。俺は柾木に会えたんだ!」
笑顔で返すチーフは、素直に受け止めると幻でも失った仲間に会えた事を喜んでいるのですが、理屈としては、死んだ柾木が今の自分の姿に納得してくれていると自分で設定して心の傷を乗り越えたので、物凄いマッチポンプです。
アシュが正面から実力行使に訴えようとした所にさくら達が駆けつけ、アシュに狙われているチーフを餌にしたと、高丘は前回を受ける形の台詞で宣言。また、チーフのメンタルケアは、あくまで餌に使う為の一貫であった、と高丘なりの 言い訳 理屈を用意しました。
「チーフを餌にだと?!」
「ああ! 餌にしてもらった!」
悪びれない高丘と部下の間に不穏な空気が漂う中、己の駄目さ加減を己で認めて、そんな自分が大好きだと吹っ切れたチーフは、ひたすらにこやか。
「いつもの、チーフですよ」
「え、ええ……」
対してさくらさん、凄く、心配して損した顔(笑) これは、昔のコネに連絡を取って、拘束器具とか拷問用具を配達してもらう日も近そうです。
「チーフ、指揮権を、お返しします」
アクセルラーを受け取ったチーフの号令で、ボウケンジャー、スタートアップ! ガイに対しては高丘がマッチアップし、
「高丘の〜」
「貴様の相手は、俺様だ!!」
「じゃかあしぃ!」
というやり取りが、ほぼどこかの抗争ですが、きびきびした動作とあいまって、格好いい。一方、テンションでは実力差を埋めきれず、レイに薙ぎ倒される5人だが、圧倒的なアシュの力を前にしても屈する事なく立ち上がる。
「人間ども、なぜだ? なぜ倒れない? なぜ立ち上がる?」
「見ただろう。おまえの術も俺には通じなかった」
……ん?
「人は自分の限界など超えて、未知の世界に挑む事ができる。それが冒険の力だ!」
チーフは、自己肯定力に目覚めた!!
先のチーフの柾木への言葉は、ある程度わかりきった事の再確認でしたが、そこから一つステップを進め、諦めずに何度でも立ち上がるヒーローのテーゼを、ボウケンジャーらしい言葉に集約。そして「冒険」という一般的な単語をそのシンボルとして定義付けたのは、非常に良かったです。
それでもデュアルクラッシャーのコンクリート固めすら内部から打ち破るレイだが、レイの危機にガイが気を取られた隙に、高丘が強者の弓を奪取。対アシュ用の宝具である強者の弓と、高丘流・アシュセロリ殺しのダブルアタックにより、レイとガイを打ち破るのであった。
高丘との因縁含め、前回あれだけ煽ったアシュが割とあっさり倒されたのは拍子抜けでしたが、仲間の復讐の為にわざわざアシュ殺しの武器を掘り返す、仲間の危機に気を取られた事で逆転のきっかけを作る、と人間を侮っている部分があるにしても、アシュがその仲間意識により敗北している、というのは面白い点。
悪が悪である故に敗北する、とは逆を行くのですが、今作らしいひねりともいえますし、次回以降、高丘の秘密に影響を与える要素になるのかも(高丘の正体が推測通りなら、ですが)。
巨大化したガイとレイに対しては初手から究極轟轟合体し、挟み撃ちに遭うも得意の空中戦に持ち込むと、アルティメット火の鳥でまとめて粉砕。これが、人類の科学力だ!
高丘は両者をまとめて根滅し、プレシャスを回収して大満足のチーフに向けて、嫌がるさくらの背中を青黒黄の3人が強引に押すのが面白い(笑)
「どうしたさくら?」
「…………あの、チーフ、……ボウケンジャーを、やめませんよね?」
「…………当たり前だ。俺は、ボウケンレッドだ」
さくら→チーフが既定路線にありつつある中、ただ1人まるで気付かないチーフは、無意味にさくらの肩に手を置きながら、びしっと断言。たぶん本人的に、この方が頼れるリーダーらしくて香川先生の小説っぽい、ぐらいの感覚なのがタチ悪いです。
返答まで割と間が空くのですが、柾木とキョウコへの贖罪、そして冒険に関わり続ける事への言い訳として組織に所属していた面があったチーフにとって、ボウケンレッドであり続ける事の意義が一瞬薄れたターニングポイントであったとはいえ、さくらの背を強引に押したメンバー、グッジョブ(笑)
そしてチーフはようやく、不滅の牙という過去に一つの区切りを付け、真の意味でボウケンレッド・明石暁になったといえるのかもしれません。その実態は、組織の資金力!機動力!情報力!科学力!戦闘力!をバックに世界を股にかける、大変困った冒険キチガイですが。使命感は理屈に過ぎないし、いつでも組織の鎖を断ち切って己の浪漫に飛び込む気満々なので、最強のネガティブを生まない為に、むしろサージェスを応援した方が良い気もしてきました。
頑張れサージェス、その男を、世界に解き放ったら駄目だ!
「好きだから……か」
そして、一つの因縁に決着を付けた高丘は、5人のやり取りに背を向けながらも呟くと、黒衣を風になびかせ歩み去って行くのであった。
だがしかし――
「アシュ……これほどの生命力を持った個体が、この時代に生きながらえていたか」
高丘が根滅した筈の負の念を回収したガジャ様が、半透明のガイとレイにゴードムエンジンを搭載すると、両者が再び肉体を得て実体化する……で、つづく。
一応次回に引きつつ、アシュが前回の今回でさっくり撃破されたのは残念でしたが(次回はもう、踏み台確定感がありますし……)、強烈なインパクトの新キャラ・高丘映士を軸にしながらチーフの掘り下げを通してボウケンジャーのヒーロー像を宣言し、同時にさくらも補強したのはお見事。今回一番キャラの引き出しが増えたのは、さくらではないかと思います。
高丘は今回も「変身」のへの字も感じさせずに生身で立ち回りを続けましたが、タイミングと扱い的に如何にも追加戦士枠なキャラクターを、ここまで「変身」と無関係に描くというのはかなり珍しいでしょうか。それもあって、アクションの出来るキャスティングになったのかとは思われますが。
次回――映士の秘密、そして、畑の冒険者・ボウケングリーン爆誕?!