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『ウルトラマンジード』感想・第21話

◆第21話「ペガ、家出する」◆ (監督:冨田卓 脚本:森江美咲)
リクがいそいそと『ドンシャイン』コレクションの虫干しと鑑賞をしていたところ、地震で驚いたペガが超レアグッズを破壊してしまい、「臆病者!」「おこちゃま!」「意地悪?!」と、器の小さい男同士のなじり合いが白熱、
「貴方は、自分探しを終えました。でも、成長していません。とても、残念です」
結果、売り言葉に買い言葉の末にペガが家出を敢行してしまう。
ペガの家出劇とそれに対して強がるリク、というのを軸にして、ぎっくり腰を発症したレイトさん、海で起こる謎のしびれ現象、巨大怪獣の出現、などの事象を合間合間に挟み込み、クライマックスでそれが一つに集約される、という今作では珍しい構成。ずっと一緒だったリクとペガの日常性を強調しながら。ラストで怪獣バトルに持ち込むアプローチとしては、面白かったと思います。
なお冒頭の騒ぎの最中に、レムから星雲荘はもともと宇宙船である、と言及され、先日のマイベッド事件で浮上した疑念が裏付けられました。
街に飛び出したペガはダークゾーンから弁当の購入には成功するも(代金を支払っていて安心しました)、リサイクルショップで姿を見とがめられて慌てて逃げ出し、いつの間にか、6年前、13歳のリクと出会った場所に辿り着く。
宇宙人をまるで恐れず親身に食事をわけてくれたリクに、親から「宇宙で旅して、大人の男になれ」と送り出されるもカプセルが壊れて地球を彷徨っていたという事情を説明するペガ。「自分の居場所」を見つけられずに居たリクはその素性に共感し、家の場所がわからない同士として、ドンシャインを布教。
「じゃあ、コンビ組もう!」
「コンビ?」
「一緒に、世界の平和を守るんだ」
かくしてペガは、リクの影の中を仮の住まいとする……
(ペガにとって、この時のリクはドンシャインだった。ひとりぼっちの僕を、助けてくれたヒーロー)
かつてドンシャインに笑顔を貰ったひとりぼっちのリクは、ひとりぼっちのペガに手を差し伸べる事で、知らず誰かのヒーローになっていたのだった。
決してウルトラマンにならなくとも、その気持ちが誰かのヒーローになれる、というテーマを、ドンシャインの延長線上として、リクとペガの出会いに絡めてもう一度描いてきたのは、正攻法で良かったです。
「リクに、会いたいなぁ……」
一方、ライハから冷たい視線を浴びながらも強がるリクは、バイトに行く途中でバッタリ出会ったモアに、浮かない様子を心配される。ペガが家出した、という事情をライハに聞かされたモアは、ペガこそリクが打ち解け、感情をぶつけられる存在であり、離れた寂しさが顔に出るその姿に、納得と共に一安心。かつてのリクが他人行儀でありながらどこか寂しげだったのを、「世界」に向き合わせてくれたのは影の中のペガだったのではないか、と語る。
「それがね、いつからか、普通に会話するようになって。今思えば、ペガが、いつもリクくんの側に居てくれたからかもね」
浮かない様子を一瞬で察知して心を配った上で、決して自分の存在をアピールする事なく過去から現在への理解を示し、さりげなくボディータッチまでつけるモアが、ぐいぐいと攻めてきます!
ライハもライハで、大人げない男達をやれやれと見守りつつ間を取り持とうとするのですが、今もって、ライハのリクに対する保護者目線がどこから来ているのか、という説得力が薄いのがライハの、そして今作の本当に勿体ないところ。思春期のトラウマから復讐に凝り固まり、どちらかというと周囲に気を配る余裕が無さそうな育ちなのに、話の都合でやたらと気を遣うキャラ(本質的に、そういう性格、と言い抜けは可能ではありますが)にしてしまったのが、ズルズルとダメージとして残る事に。ベタもベタですが、いっそライハは、両親と一緒に弟も死亡していた、とでもしてしまえばもう少し納得度が上がったのですけど。
「大切な人を、簡単になくしていいの?」
ジーッとしてても、ドーにもならないでしょ?」
走り出したリクを見送ってモアとライハは身長差タッチを交わし、この2人の友好度も上昇しているのですが、だいぶ強引(^^; ライハがもう少しきちっと掘り下げで出来ていれば、この2人の距離感が縮む過程もきっちり描けたと思うのですが、他の歯車が噛み合っているだけに、つくづく勿体ない。
その頃、星雲荘に帰ってリクに謝る事を決意するペガだったが、地震と共に地面を割って巨大な四つ足の深海怪獣が姿を現す。
(ペガ、僕は、僕たちは……)
ペガを探して出会いの場所に辿り着いたリクは、怪獣がばらまく金色の粒子を浴びて麻痺してしまい、踏まれそうになっていたペガを横っ飛びで救出。影のヒロインの危機にEXヒーローアクションが発動しましたが、モアでも発動するのかちょっぴり心配になります!
「どうしてここがわかったの?!」
「わかるよ。だって僕たち……昔からずっと一緒の、コンビだろ?」
だいぶ探したけどな!
「わかるよ」の所でリクがちらっと目線を下に逸らすのは、多少気まずかったのでしょうか(笑)
ペガとリクは怪獣のおかしな様子に気付き、マヒ粒子は怪獣に発現したリトルスターの作用である、とレムが解説。
「本来は、深海に棲む怪獣の筈です」
「海に居る怪獣が、どうしてここに?」
「助けてほしくて、陸に上がってきたのかも」
以前のおもむろなもう帰りたい光線のように、今作の世界観では、“野生の怪獣”は人類を脅かす災害というよりも、この地球に住まう生命の一種として尊重すべき、という扱いのようですが(とはいえ怪獣不在だったこの世界の人類に区別をつける方法は無い筈なので、その辺りは悪い意味でシリーズの蓄積を前提にしてしまっているのですが)、その中でも前作に続いてグビラ登場、というチョイスを上手く活かした台詞。
話の扱いとしては主題に関わらない存在なので、かつて誰かに助けを求めたペガと、リクと陸をかけたこの台詞が先にありきで、水棲怪獣の中から着ぐるみを用意しやすいものを選んだのかもですが。
「これ以上リトルスターを渡すわけにはいかない!」
そこへ突然、地下から現れるKゼッットーーーン。怪獣もろともリトルスターを葬り去ろうとKゼットングビラを踏みつけ、それを止める為にジードは変身。激しいビーム攻撃を受けてモミアゲマスターになるジードだが、前回収集したデータを活用したKゼットンに次々と必殺攻撃をかわされ、カラータイマーが鳴る初の大ピンチ。
「はっはっははは、子供の遊びもこれまでだぁ! ぬぁぁぁぁーー!!」
ゼロ(レイト)もぎっくり腰(違う)で参戦不能、絶体絶命の窮地に追い詰められたその時、散々踏まれたお返しとばかり、背後からグビラがマヒ粒子を浴びせかけ、動けなくなったKゼットンを、満を持して使用したエース先輩の必殺居合い斬りで一刀両断。
K先生、ど派手なエンドマーク(通算3回目)
モミアゲマスターはグビラからリトルスターを回収し、一般市民から光の戦士の融合した器、宇宙人から巨大融合怪獣まで、問答無用で行動不能に陥らせるこのえげつない能力は誰?! と思ったら、ゾフィー先輩でした!
光の国は、宇宙の平和を守る為なら、敵性宇宙人に対して、科学兵器の使用も断行する。
グビラは海へと帰っていき、互いに謝るリクとペガ。
「リクの影……まだ、空いてる?」
「……別に……他に、誰も、いれるつもり……ないし」
実質プロポーズ(正直若干、やりすぎだとは思ってみたり)で2人は和解し……あれ、モア、大失策?!
一歩引いた所から、いつでもあなたの本当の心を知った上で決して出しゃばらないいい女ポジションを獲得したつもりが、最短距離から常に見つめている泥棒猫に物凄い勢いで全て持って行かれましたが、家出中にリサイクル屋で見つけたレアグッズを買い直すのではなく、ペガに修理してもらって仲直り、というのは良かったです。
……それはそれとして、貴重なドンシャインのレアグッズは持つべき人間の所にあるのが正しい姿なので、リクが後でこっそり買いに行き、ペガからは「友情の感動を返せ!」と詰め寄られ、ライハには「無駄遣いをするな!」と刃を突きつけられる所までがきっとセット。
「貴方は、自分探しを終えました。でも、成長していません。とても、残念です」
そしてもう1人、自分探しを終えて悪夢の継承を目指す男は、雨に打たれ膝を付きながら、怪獣カプセルをかき集めてよろめいていた。
「これでは駄目だ……。ダークルギエルと、エンペラー星人のカプセル……手に入れてやる。必ず……!」
前々回−前回と余裕たっぷりだった割に、容赦ない落ちぶれ描写の突き刺さる最強のSF作家が、宇宙Gメンに回収されてしまったレアグッズを求めて牙を剥く……で、つづく。
ここまで触れられていなかったリクとペガの出会いが語られ、特別面白いというほどではありませんでしたが、今作のテーマとキーワードを縦横に散りばめ、まとまりのいい一本でした。両者の出会いという一つのスタート(にして転機)を描いたという点も含めて、ここまでの『ジード』の復習、という内容でもあり、最終章を前に良いストレッチ的なエピソードでもあったと思います。
次回――生アクション祭でエンドマークだ?!