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『仮面ライダービルド』感想・第13話

◆第13話「ベールを脱ぐのは誰?」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:武藤将吾
「おまえの大胸筋、もう少し鍛えた方がいいって」
「この仕上がりで不満かよ……て、そんな話なわけねぇだろ!」
鍋島からの電話について露骨に誤魔化した戦兎は冷蔵庫の下に引きこもり、そこにいいタイミングで帰ってくるマスター。
「最悪だ……」
内側から鍵をかけて閉じこもった戦兎は、ラビットボトルを手に呟くと、何やら作業を開始する……。
その頃、ヒゲ首相代行は難波会長の元を訪れていた。
「一刻も早く、ライダーシステムを政府に導入したいと考えています」
「その件だが……ライダーシステムを、君たちに譲るのは、一旦、白紙に、戻させてもらう」
「……どういう事ですか?!」
「君にライダーシステムを預けるのは、リスクが、大きすぎるという事だよ。既に、新しいパートナーも見つかった」
前回切り捨てられなかったので油断していたら、今回さくっと切り捨てられました!
そしてライダーシステムの所有権は、難波会長にある模様。てっきり、所有権は東都の研究所サイドにあってスポンサーが難波会長だと思っていたのですが、人体実験で(表向き?)研究所を解雇された葛城を拾って、ライダーシステム完成まで資金提供をしたのが難波重工、という事になるのか。
戦兎はアジの開き作戦にノリツッコミで地下から顔を出し、鍋島からの電話の内容について、渋々説明。
「黒幕が居たんだよ……鍋島を使って、万丈を葛城殺しの犯人に仕立て上げたのは、スタークだ」
スターク=葛城巧と思い込んでいる一同は頭をひねり、それ以上の情報を得ている戦兎は、「詳しい事は、スタークに直接聞くしかない」と腹をくくる……スターク、ネットアイドルの配信をチェックしているようなので、みーたんからお願いしたら、嬉々として連絡をくれそうな気がします!
だがスタークは、みーたんよりもいち早く、熟年セクシーアイドルからの呼び出しを受ける事に。
パンドラボックスをどこに隠した?」
「いきなり本題か」
「いいから答えろぉ!!」
「はははは、俺に忠誠を誓えば、教えてやるよ」
仕草といい台詞回しといい、すごーーーーーーーく、嫌な感じで素晴らしい(笑)
「おまえとはもっと早くケリをつけるべきだった。――蒸血」
堪忍袋の容積が少ない小物所長がそのノリに付き合ってくれるわけもなく、怒りの変身。
「俺と戦って勝てると思うのか?」
「トランスチームシステムは、成長するライダーシステムと違って、ハザードレベルは一定のままだ。つまり、俺も、おまえも、能力は同じ!」
いまひとつ曖昧な扱いだったファウストライダーズの蒸気システムですが、ライダーシステムが戦うほど成長する(ハザードレベルが上昇する)のに対し、一定値から上昇しない、というのは、廉価版/量産型というよりも、安全装置がついていると捉えるのが良さそうでしょうか。
ライダーシステムを用いて戦えば戦うほど、強くなる代わりに何らかの破滅に近づいていく、というのはありそうです。資格者の選抜作業の繁雑さといい、軍隊で運用するにはあまりにも不安定な印象は増していきますが、「ヒゲ所長はそもそも、ライダーシステムについての全てを知らない」というのは、ありそう。
「力が同じなら、後は経験がものをいう」
速攻を仕掛けてスタークを追い詰めるローグだったが、それも束の間、スネーク脱出でするりと逃げたスターク怒濤の反撃を受け、完敗して変身解除。スネーク脱出は、ぬるりぬるりとつかみ所のないスタークのキャラクター性を現していて、良い技でした。
「残念だったな。……ファウストを共に作った仲間として、一つ、教えてやろう。難波重工の新しいパートナーは、オレだ」
「なんだと……?」
ヒゲに向けた銃口を敢えて逸らしたスタークは、嫌がらせの絨毯爆撃。
「これでパンドラボックスの在処は察しがつくだろう。さぁぁ、どうする? 政府の特殊部隊を使えば、難波は北都か西都を使って、戦争を仕掛けるぞ? オレなら、政府と無関係の人間を使う」
そして、煽る(笑)
夕刻――カフェのカウンターで思い詰めた表情の戦兎の元に、バイトから帰還するマスター。
「どっちが本業かわかんねぇな」
「そう言うなよ。この店守る為に必死にやってんだから」
「客も来ないし、閉めた方が楽になんじゃない?」
「そういう問題じゃないんだよ。ここは、俺たちにとって特別な場所だろう? ……覚えてるか? 俺に拾われて、ビルドになった日の事」
以前にも語られた、記憶喪失の戦兎をマスターが拾った後の出来事が詳細に語られ、スマッシュと戦う力として戦兎にビルドドライバーを渡すマスター。
「頼む、俺たちに力を貸してくれ」
改めてすさまじく怪しいですね!
今回の演出を見る限りでは白っぽい美空が、泣き落とし要因として機能してしまっているのが、また辛い。
初めてのスマッシュとの戦い、一方的に叩きのめされる戦兎はビルドドライバーを身につけ、困惑しながらもボトルを振ると、周囲に数式が……見えてしまい、表情とあいまって凄く危うげな映像に(笑)
「なんだこれ……?」
これまでの細かい描写は覚えていないのですが、大丈夫でしょうかこの数式! 戦兎にだけ見えているのではないでしょうか?!
突然周囲を飛び交う数式に、宇宙の神秘と真理を見てしまった戦兎は正気度が大きく減少し、《知識:プロジェクトビルド》を入手した!
「さあ、実験を始めようか」
おぼつかない口ぶりながら誘われるようにボトルをドライバーにはめてレッツら混ぜ混ぜすると、前後に生じるランナー……は先日バリアーになっていたし、スマッシュも戸惑っているので、物理的に実在しています! 見えていてもいいんだ!!
『are you ready?』
「え、へ、変身?」
そうか、聞かれたので思わず答えたのか(笑)
この手の台詞に特別理由付けを求めはしませんが、なんか、妙な納得感がありました。万丈は戦兎を見て、そういうものだ、と思っているのでしょうし、ヒゲ所長の「蒸血」は……多分、自分で設定した俺格好いいパスワード。
鯛焼きプレスの完成時に、右目の辺りを抑えて「いってぇ」は、何かの伏線なのかどうか。単に、挟まった時にぶつけた、的なギャグなのかもしれませんが。
かくして誕生したビルドは、戸惑いながらもなんとかスマッシュを撃破し、全身ぼろぼろの姿で帰ってきた戦兎は、マスターと美空に出迎えられる。
「おかえり」
「……ただいま」
自分の存在理由を失った者に「それでもおまえには力がある」と役割を与え、ギリギリの死地という極限状況をくぐり抜けて達成感を得た所にその報酬として安堵を刷り込み、自分を知る者が誰も居ない世界で張り詰めた緊張感がほぐれた戦兎は居場所を見つけた気になってしまい、見事に洗脳されました。
更にこの後、「記憶を取り戻す為にはスマッシュと戦え」と誘導し、他人を救う役割に自分を救う理由を重ねさせたわけで、えげつない、超えげつない。
「あの日からここが、おまえの帰る場所になった。俺、戦い終わったおまえにお帰りって言うの、好きなんだよ。なんか、家族って感じがしてさ」
マスターは鼻の頭をかきながら照れくさそうに語り、冷蔵庫の扉ごしにその会話を聞く美空は柔らかく微笑み……ここまでの伏線と戦兎の固い態度から、9割方ハッキリしたスタークの正体判明という破局へ向けて、虚構の日常を容赦なく積み重ねていくのが、実にえぐい。
戦兎はヒゲ所長からパンドラボックスは難波重工が所持しており、その件について「君の知恵を拝借したい」とわざとらしく情報を流され、スタークと決着をつける為に敢えてその罠に乗ることを決めると、ジャーナリスト女に相談。保管場所の見取り図やらパスワードやらを教えられるのですが、やはりこの女、記者上がりの素人スパイとかではなく、正真正銘某国エージェントとかなのでは。
なお、さすがに地下室に居候していないようですが、どこか、厳重に身を隠しているのだと信じたいです。……まあ、某国エージェントだと思えば、その辺りはお手の物でしょう。
あまりに強大な敵に自ら仕掛ける事を心配する美空に、紗羽から採取した20本目のボトルの浄化を頼んだ戦兎は、龍我と共に難波重工へと向かう。
「どうやって入るつもりだよ?」
「罠にかかりに来てんだぞ。正面突破に決まってんだろ?」
「上等だ」
戦兎の笑顔に龍我も笑顔を浮かべ、2人並んで変身! は格好良かったです。まあどうせなら入り口はバイクで突破してほしかった所はありますが、クローズ用の乗り物が無いので仕方ない。ガーディアン部隊を蹴散らした2人は保管庫へ突入し、待ち受けていたスタークと激突。
「お前達とじゃれあうのは、俺にとって大きな意味を持ってるからな」
ここで戦場となる、一面ワインレッドの床と壁で囲まれた円形の部屋というのが非常に良い舞台でしたが、壁の感じからすると何らかの音響施設でしょうか。中央に豪奢な革張りの椅子とパンドラボックスを置く事で出た非現実感も良い案配でした。
スタークはダブルライダーの攻撃をあしらい、クローズをガトリングの盾に使ってリングアウトさせると、ニンニンコミックの分身の術も打ち破る本気を披露。
「何をしても無駄だ。貴様の攻撃は全て、見切ってる」
「ああそうかよ。なら――これはどうだ」
ビルドは美空に頼んで浄化してもらった出来たてほやほや、スタークの知らない最新のボトルを用いて、“イナズマテクニシャン”オクトパスライトにビルドアップ。
ピンクバイオレット+ライトイエローという強烈な色彩に右腕からタコ足、というこれまでになく奇天烈な見た目となったビルドは、とりあえず目つぶし! ……からの、更に目つぶし! という掟破りの残虐ファイトからオクトパスホールドでスタークを床に叩きつけるともう一つ目つぶし! そして必殺パンチ、におまけのクローズ必殺剣、というルール無用のラフファイトによりスタークに逆転勝利。
「……あんたにこの攻撃を読めないと思ったよ」
「まさか、奥の手を隠してたとはな。でも、これでボトルは全て浄化できた。目的は達成だ」
倒れたスタークに敢えて生身の姿をさらす戦兎だが、スタークは巨大なコブラを放って退却。戦兎と龍我はとりあえず、パンドラボックスを強奪……もとい回収……もとい確保……して撤収し、最近どこぞの轟轟戦隊めいてきましたが、貴重なプレシャスを保護するのは俺たちの使命!
「なんだよさっきから冴えねぇツラして。パンドラボックスを取り返したんだぞ。スタークならまた捕まえりゃいいじゃねぇかよ」
「…………マスター、居ないんだよな」
「今日もバイトだからな」
夕暮れの喫茶店、誰にも言えない重い気持ちを引きずりながら喫茶店へ戻り、無人の店内を見つめる戦兎だが……
「おかえり」
冷蔵庫から飛び出した美空がその帰りを出迎え、美空のヒロイン度も地道に上昇。
「……ただいま」
その夜、3人が地下で寿司&ピザパーティーを開いているところに、マスターが飄々と帰還。
「え? なにこの豪華な料理は?」
「お店のレジのお金ではらっといたから」
「「ごちそうさまです!」」
表面上は明るく振る舞う戦兎だが、皆が寝静まった時間――フルボトル、そしてパンドラボックスとパネルを、唐草模様の風呂敷包みに収めていく何者か……って、この人、素で楽しんでますね?!
「こんな時間にどこ行くんだよ?」
「……バイト、て嘘はもう通じねぇか」
カウンターの戦兎に呼び止められ、風呂敷包みを手に持って店を出て行く寸前で足を止めたのは、マスター――石動惣一。
「……鍋島はスタークの正体を知ってたよ」
――「万丈龍我に殺人の罪を着せるよう、俺に指示したのは……スタークだ。そのスタークの正体は、宇宙飛行士の、石動惣一」
鍋島どれだけ組織の重要人物なのよ?!
スターク=マスターというのは、ここまでの布石を考えればもはやミスディレクションにするよりもストレートにやった方が面白くなる要素ですし、刷り込みで洗脳されている戦兎がマスターへの疑念に揺れる心情に、えげつない追い打ちをかけて破局へ向けた段取りをきっちり積み上げてきた今回の展開そのものは面白かったのですが、戦兎が真相に迫るその決定打が“都合良く取り戻された鍋島の記憶”というのは、本当に残念。
スマッシュの記憶問題という、序盤から曖昧な要素が都合良く使われたのが単純に面白くありませんし、どう見ても組織のチンピラ、いいとこホブゴブリンクラスの鍋島が、スタークの正体を知っているという事に、説得力皆無。
勿論、鍋島が知っている可能性はあっても良いのですが、それならば、鍋島が知っていてもおかしくない、と思わせてくれなければ、物語としては面白くなりません。
まあ、“都合良く取り戻された鍋島の記憶”自体がスタークの仕掛け、という可能性もあるのですが、そこまでやるとキャラクターのあらゆる台詞への裏読みが物語の面白さを削いでしまいます。全員詐欺師、みたいなコンゲームものならともかく、そこは用量に限界があるところでないかと。
「あんたがスタークなのか。……答えろよ!!」
鍋島の言葉の裏付けを取る為に、マスターが知らないボトルを用いてスタークの反応を窺った結果、確証を得た事を告げた戦兎に対し、振り返ってニヤリと笑ったマスターはすっかり板に付いてきたトンズラダッシュで店を飛び出し、それを追いかける戦兎……後に残るのはがらんどうの喫茶店、でつづく。
アジの開きとか、第四の壁を乗り越え気味な視線とか、今作らしいギャグを入れつつも、要所をしっかり押さえた中澤監督、安定の演出力。
マスターの思惑については次回ある程度明らかになりそうですが、「この店守る為に必死にやってんだから」の部分だけは、案外本音だったりするのかも、とは思ってみたり。様々な嘘で塗り固めつつ「美空の為」という部分だけに真実が含まれている、というのはあってもいいかなと思いますが、予告の台詞がK先生(『ウルトラマンジード』)と重なり気味で、色々ドキドキ。……戦兎の場合、「自分の名前」も「ヒーローとしての名前」も、誰かに与えられたもの、なので、えげつなさ8割増しの状況ですが、果たして対決の行方や如何に。
このところ少々バタバタしていましたが、話の盛り上がり的にニューアイテムの登場タイミングとしては納得で(今回冒頭のは仕込みでしょうし)、ビルドの缶詰にも期待。