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『轟轟戦隊ボウケンジャー』感想・27話

◆Task.27「風水占いの罠」◆ (監督:竹本昇 脚本:大和屋暁
注目は、大ジョッキ一杯の青汁を黙々と飲み干す畑の冒険者
「お! 明石は運勢最悪だぜほら」
「いや、俺は占いなんて信じない」
「え?」
「そんなものに左右されていては、冒険なんて出来ないからな」
軽く話題を振ったら、必殺《俺は既にいい事を言った! このボウケン(びしっ)レッドが!》ノリで「乾○は絶対に許さない」ばりの本気トーンで返され、盛大に溜息をつく真墨。
そんな5人が向かっているのは、異常に当たる占いで大人気の風水師・陳崇光の館。あまりに当たりすぎる占いの陰にはプレシャスがあるに違いない、とボウケンジャーはその引き渡しを求めに訪れていたのだった。
「ま、ネガティブ相手のミッションに比べれば、遙かに楽だけどね」
一般人との交渉にしては、人数が明らかにオーバーキルなのですが、他人の商売の種を“預からせていただく”に際して、何をするつもりだ君たち。
ところが長蛇の列ができた館に乗り込む寸前、推測通りに風水師が用いていたプレシャスが、邪悪竜・ターロンによって奪われてしまう。それは人の風水的運勢を固定する力を持った風水羅盤であり、ターロンは変身したボウケンジャーの“色”を利用する事で最高の運勢を自らに宿し、発動された常時よっしゃラッキー! に思わぬ苦戦を強いられるボウケンジャー
「赤い君……君の風水、超サイアクだよー」
更にターロンはレッドの最悪の運勢をプレシャスの力で固定化すると、撤収。とうとうジャリュウ一族に頭脳派怪人が現れましたが、一時的に天才になった部下との会議の効果でしょうか(笑) 戦隊における色の要素を、風水プレシャスと繋げたのは面白いアイデアですし、軽いノリの怪人が予想外の強敵という一ひねりも良かったです。
「俺の事は気にするな。だいたい風水なんてのは……」
一旦基地に戻ってジャリュウ一族の狙いを突き止めようとするボウケンジャーだが、座った途端に椅子が壊れ、頭上からは割れた天井のガラスが降り注ぎ、それを回避したと思ったら階段に躓いて転んだところに蒼太のギターが脳天を直撃、と鮮やかな不幸のコンボに見舞われるチーフ。
真犯人は最上蒼太、じゃなかった……
「偶然だ! こんなの、全て、偶然にき、決まってる」
古代からの叡知、超常のアイテムに携わっている割には、占いとか呪いとか、自分に都合の悪いものは積極的に無視しますよね、チーフ。
心が強いというのか、面の皮が厚いというのか、冒険者が最後に頼れるのは、鋼の自己肯定力です。
「それはどうかな」
だがそこへ現れ、とくとくと風水について語り出すオカルト担当・高丘映士。得意分野を他人に一方的に説明できるのが嬉しいのか、なんだか、活き活きとして見えます(笑)
「しかしこのままじゃまずいぞ明石。そいつは風水を固定したと言ったんだよな。今の悪い運勢がこのまま続けば、下手すりゃ命に関わるぜ」
「……いや、……俺は信じない。信じて……たまるかよ」
だが持ち上げたマグカップが取っ手の所から無惨に壊れ、部下一同から可哀想な生き物への眼差しを向けられたチーフは、動揺しながら後ずさると、周囲へのとばっちりを回避する為に「近寄るな!」と格好つけながら独りで外へ。
問題は自力で解決してみせる、と虚勢を張って外へ出たチーフだが、後頭部にボールが当たり、その勢いでドブにはまり、靴を洗おうとひねった蛇口は壊れ、水圧で吹き飛ばされたところを出前の自転車にはねられて冷やし中華を顔面から浴びていた。
「これがプレシャスの力か……うぐ」
一方、ジャリュウ一族の企みを阻止しつつチーフを助けるべく、風水に関する情報と開運グッズを集めるボウケンジャーは、牧野先生から、東京ドームの屋根がピンクに塗られた、という変事を知らされる。更に都内各地で、特定の建物が色を塗り替えられたり破壊されたりという事件が続発し、ジャリュウ一族は、地脈の流れを変える事で人為的に龍穴(地脈エネルギーの集まるスポット)を作り出そうとしている事が判明。陛下とターロンはそこで、伝説の地竜を復活させようとしていたのだ。
「不幸だ……不幸すぎる」
その頃、いよいよ殺人級となった不幸の連鎖を咄嗟の変身という裏技でくぐりぬけるも、身も心もボロボロになったチーフは、支えにしていた杖も折れ、土手を転がり落ちていた。
「……俺は、もう……駄目かもしれん」
削りに削られた自己肯定力が遂に尽き果てようとしたその時、ジャリュウ一族の陰謀を突き止めた5人に拾われるチーフ。
「チーフ、ジャリュウ一族の居場所、判明しました」
「そうか……だが、俺はただでさえ不幸の連続だ。これじゃ、ボウケンジャーがつとまらないどころか……ちょっとした、冒険すら、出来やしない。俺は……もう……」
やたら弱っていると思ったら、それが最大の理由だったのか(笑) やはりチーフを再起不能にするには、冒険を奪い取って書類仕事しか出来ない部屋に閉じ込めておくのが一番のようです。
立ち上がる気力も失いかけ弱々しく崩れ落ちる摩滅した牙だが、その頭に菜月が開運グッズの麦わら帽子をかぶせ、部下達から次々と開運アイテムを渡されたチーフ、人の心の暖かさに触れる(笑)
「そうだな……こんな所で落ち込んでいるわけにはいかない。……俺はボウケンレッドだ! 占いなんかに負けてたまるか!」
不滅の牙は自己肯定力を取り戻した!!
「みんなの気持ち、確かに受け取ったぞ。ボウケンジャー、総員出動!」
戦隊ヒーローが霊感商法的なアイテムを購入・装備してしまうのは若干いかがなものかと思うものの、「鰯の頭も信心から」との境界線はなかなか難しい所です(^^; それもあって、大切なのはアイテムそのものよりも、そこに込められた気持ちであるとして、なんだかんだ慕われているチーフ、に繋げたのでしょうが。……でもこれが浦沢先生(大和屋さんの師匠筋)だったら、もっとどぎつい風刺に持ち込んだかもなぁとも思ってみたり。
幸運グッズフル装備を陛下とターロンに笑われながらも、見得を切って揃い踏みを決めるボウケンレッドだったが、背後の爆発で着ていた法被に火がつくという、レッドゾーン突破のギャグ(^^;
迸る冒険スピリッツは、実際に爆発を引き起こしていました。
……応用すれば、攻撃に使えるのではこれ(おぃ)
メタなツッコミどころ(なぜ爆発が起きるのか?)を劇中の現実としてしまう事でいっけん理由をつけているようでかえって不条理な状況を引き起こす、というのは方向性としてはあまり好きなギャグではないのですが、なんだかようやく、大和屋さんのノリが発揮されてきた感はあり。
「「ふふはははははは!」」
「なるほど、確かに運勢、最悪のようだな」
「そんな君が、運勢最高の僕と戦おうなんて、結果は見えてるよ!」
「そんな事は無い! 俺にはみんなから貰った、幸運のアイテムがある」
「そんなもの、気休めにもならないよ」
「いや、今もこのハッピー法被を着ていたおかげで――大事には至らなかった。行くぞ!」
よっしゃラッキー!の発想転換も高らかに格好良く飛び降りた不滅の牙だが、どこからともなく転がってきた岩にいきなり潰される大ダメージ。
「ほら見た事か!」
……が、
「……大丈夫。この、幸運を呼ぶ、スカーフの、お陰だーーー!」
立ち上がった不滅の牙はターロンめがけての突撃を再開し、2018年現在に見ていると、『宇宙戦隊キュウレンジャー』とのシンクロが変な具合に面白い事に(笑) ターロンがターロンでまた、首の長い龍のデザインに、島田敏さんの演技がちょっと軽め+一人称「僕」という。
しかし、格好いいBGMはまたも途切れ、落雷の直撃を受けて派手に吹っ飛ぶ不滅の牙。
「この厄除けブレスレットのお陰で……雷なんか、全然効きはしない」
だがそれでも、不屈のボウケンスピリットで立ち上がり続ける不滅の牙は、ターロンのビーム攻撃を受けながらも、突撃を敢行。
「まだだ……ラッキーふさふさ尻尾があるから、まだやれる」
「そんな……バカな!」
「まだわからないのか! このアイテムには、みんなの気持ちがこもってるんだっ。みんなの気持ちに、俺は支えられてるんだ!」
約一名、集めてないけどな!
「ほざけ!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
職場で全く期待していなかった部下一同からの誕生日プレゼントを贈られて感極まったあまり全員に特上うな重おごってしまって今月の給料ゼロになってしまった人みたいなテンションでターロンに突撃する不滅の牙はまたも足をひっかけて転んでしまうが、そのお陰で怪人が至近距離から放ったビームを回避。
「開運麦わら帽の力、見たか!」
レッドはターロンの懐に飛び込むと羅盤の奪取に成功し、その勢いのままターロンをジャベリンの一撃で撃破。羅盤を受け取ったピンクが運勢固定を解除し、風水の基本を習得した宣言はあったのですが、恐ろしい能力の冴えというか、役に立たないシルバー(笑)
作戦失敗の怒りに任せて陛下はターロンを龍穴へと蹴り落とし、地竜のエネルギーを得た巨大ターロンは凄まじいパワーを見せるが、またも羅盤を操ったピンクが、ゴーゴービークルを用いて最悪の風水的状況を設定。
「これでおまえの最悪の運勢が固定された」
なんの躊躇もなくプレシャスの力をパラレルエンジンで増幅使用したレッドは、運勢最悪で無様に転んだ巨大ターロンを超ダイボウケンで轢き殺し、相変わらず、プライドが高いので地の果てまで追いかけても屈辱は3倍にして返すのでありました。
「ま、色々あったがあれはプレシャスのせいだ」
と格好つけるチーフだが、開運財布をポケットに忍ばせたり、占いサイトを気にするようになり、皆からからかわれるのであった、でオチ。
チーフに次々と起こる不幸、開運グッズを完全装備するボウケンレッド、と描写はギャグに寄せつつも、格好つけて見栄を張る所もあるけど、そんなチーフの姿に引っ張られる時がある事を皆が自覚しているので、なんだかんだ部下に慕われているチーフ、愛される上司、愛されていると自己肯定力を高めるチーフというエピソードとしてのまとめ方は良かったです。
また、大和屋脚本はここまで、プレシャスの使い方がもう一つ面白くない、というのがあったのですが、今回は戦隊の色要素をプレシャスと繋げたのに加え、ジャリュウの作戦が最終的に都市を越える規模になるというミクロからマクロへの方向性が、日本における風水の受容のされ方から源流への遡りも感じさせて、面白かったポイント。
次回、なんだか久々な気がする真墨のターン。