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『轟轟戦隊ボウケンジャー』感想・31話

◆Task.31「亡国の炎」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:小林靖子
「嫌いでも面倒でも関係ありません! やってください」
再三に渡り映士に報告書作成を要求するさくらだが、嫌がる映士はそれを蒼太にパス。
「おまえそういうの得意だろ。頼むわ」
「えぇ?」
にっこり笑う映士ですが、なにぶん見るからに強面なので、凄く嫌な感じです(^^;
「誰が書いたって同じだろ。な?」
「……わかりました」
憮然とした表情で出て行ったさくらは、行きつけの店で怒りのパフェやけ食い。……こんな感じで、(あの冒険バカ野郎!)(あの元スパイ野郎!)(あのお子様コンビども!)とストレスを甘味で晴らしているとすると体型が大変心配になりますが、現在のスタイルを維持しているという事は摂取した分のカロリーを消費するハードトレーニングを課しているのだと思われ、ストレスが溜まる度に、ボウケンピンクは強くなる!
「気に入らねぇな。クールだかなんだか知らねぇけど、言いたい事あるなら言えばいいじゃねぇか」
さくらが出て行った後メンバーからの一斉砲火にさらされた映士は、言われても聞かない事を棚に上げて相手の非をあげつらうのですが、典型的な、自分が我が強い人の「皆が遠慮しない方が生きやすくなる」という理屈(^^; それを「社会」に接続して想像できないのは映士の生まれ育ちからはやむを得ない部分はあるのですが、自分が嫌な事を蒼太に押しつけようとするのは適材適所ではなく身勝手で、映士の人格的マイナス面がかなりストレートに放り込まれてきました。
たかが書類作成とはいえ、職業戦隊であるボウケンジャーと、社会への帰属を拒否するヒーロー性を宿す映士との間に存在する差異が改めて明確になっており、残り話数の中で、「映士」と「社会」という要素が踏み込まれるのかどうかは、気になる所です。……まあ映士、今はボウケンジャーに所属している事で満足&いっぱいいっぱいで、本当の意味で「社会」に所属するとはどういう事なのか、をまだ理解していないでしょうし、最後までそれでも俺は俺、として生きていくのかもしれませんが(その姿勢がある種の「ヒーロー」要素である、というのがややこしい部分)。
その頃ガイとレイは、国一つを焼き尽くしたという伝説を持つプレシャス<亡国の炎>を捜索中。何やらプレシャス探査装置のようなものを用いているのですが、自前で作ったのか、ガジャ様謹製のクエスター標準装備なのか、気になるところです。後者だった場合、これで色々なプレシャスを見つけてゴードム文明を再興するのだーーーと盛り上がっていたガジャ様が、クエスターにまんまと裏切られた時の心情を慮ると涙を禁じ得ません。
注意一秒怪我一生忘れずつけよう忠誠回路!
Wクエスターの動きを知ったボウケンジャーはプレシャスの眠る山へ向かうが、映士が山に張り巡らされた結界を感知。内部にある結界の核を壊す為に、高丘流・邪気貫通を用いて映士とさくらの二人だけで結界内部へ入り込むが、何やら痛みをこらえているかのように様子がおかしい映士。
「どうしました?」
「いや。……なあさくら姐さん」
私の中で、戦隊シリーズにおける「姐さん」=「白石茉子」(『侍戦隊シンケンジャー』)な事もあり、真墨の「ねえさん」呼びは「姉さん」という感じだったのですが、映士の「ねえさん」はもう、「姐さん」しか考えられないな……!
最近の映士はどんどん、闇のセロリヒーローというより、サージェス会系ボウケン組の若頭な雰囲気になっていますし。
「……姐さんが一緒に行くって言い出したの、罠があるからとかじゃねぇだろ? ……俺様が一人で、ガイと戦うかもしれないと思った。だろ?」
「ええ」
「もうアシュとかそんなのにはこだわってねぇよ」
自己申告なので怪しげですが、青×鳥羽回を経て、気持ち的には一歩前に進んだつもりの様子。
「かもしれませんが、あなたの性格上、結界の解除なんて面倒な事をするより、クエスターを倒した方が早いと言い出しかねません」
図星を指されて言葉に詰まる映士(笑)
「だったらよ、最初から言えばいいじゃねぇか。一人で行かせちゃ信用できねぇって!」
必殺《ボウケンジャー流・話題逸らしの術》!
「そうは言ってません」
だがバッサリ切り捨てられた!
「……く、けどそういう意味だろ?! 俺様はな、腹に溜め込まれるのが一番気にくわねぇん」
例えば仮に本音がそうだとしても、それを人前で口にしてしまうかどうかは社会生活の中では大きな違いのわけですが、映士にはその区別がつかない、という社会における「建前」を理解できない映士と、「建前」の分厚い結界で心を覆っているさくらとを対比。
ちなみにこれが蒼太になると、「建前」を蜃気楼のようにばらまいて「本音」がどこに存在しているのかさえ掴ませないわけですが、高丘映士、人生初の職場が、ナイトメアモードすぎる……!
「先を急ぎませんか? 今はミッション中です」
映士の激昂と飛んでくる唾を受け流したさくらだが、憤然と早足になる映士の様子がおかしい事からジャケットをまくり上げ、映士が結界を越えた際に負傷していた事を知る。そこにガイが現れ、さくらは結界越えの代償でダメージの残る映士と共に強行突破をはかるも失敗、二人まとめて川に落ちるが、なんとかガイからは距離を取る。
「どうして言ってくれなかったんですか?! 結界を越えるのは危険だと」
負傷した映士を川岸に座らせたさくらは、他人を「心配する」意識も感情も行動もあった上で、時と場合に合わせてそれを「切り捨てられる」というのが、クール(気取り)キャラとしてありがちな「○○していないフリをする」という表現とは一線を画していて、面白いところ。
「言ったってしょうがねぇもんは言わねぇ!」
「腹に溜め込むのは嫌い、じゃなかったんですか」
「あんたのと一緒にすんじゃねぇよ。……こんなこと言ったってめんどくせぇだけだ。結局は……行くしかねぇんだからよ」
「……そうですね」
自分にしか出来ない事は、四の五の言わずにやるしかない。――自分にしか出来ない事だらけの宿命の戦士として孤独に戦ってきた映士特有の覚悟の仕方に、さくらは映士の在り方の一端を理解し、チーム行動を理解できないソロヒーローとの距離感を再計算。……というのは映士が入った直後にやっても良かったような内容に思え、冒頭の社会的協調性の不足を含め、テーマ的には少し遅い投下になった気がします。もともと、ソロモンの指輪回はキャラクターの関係性としても不完全燃焼な内容としても、このタイミングでやる話だろうか……? というのはあったのですが、この辺り、脚本家のローテや配分の問題もあったのでしょうか。
「……あんた、ホント見えねぇな。何考えてんだか、さっぱりだ。それがクールってやつか」
さくらは携帯していた鎮痛剤を映士に渡すと、少し離れた場所から身の上を語る。
「…………自衛官時代も言われましたよ。クールとか、冷たいとか」
「だろうな」
「小さい頃からの癖、ですかね。……西堀財閥って聞いた事ありませんか?」
「……ああ。あの世界でも何番目かの金持ち……西堀? 西堀さくら? マジか?!」
映士の素直すぎる反応に微笑を浮かべるさくら。そして、映士が知っているぐらいだから、本当に大きな財閥なのだろう、という謎の説得力(笑)
「マジです」
一人娘だったさくらは、巨大財閥の跡取りとして育てられ、思った事をそのまま口にしてはいけない、感情的になってはならない、と徹底して教え込まれてきた事を明かし、シンデレラ回でデリカシーの無い誰かさんによって割と唐突に明かされたさくらのお嬢様設定を、キャラクターの現在を形成する背景としてきっちり組み込んでくるのは、小林靖子らしい丁寧さ。
設定自体がいつからあったものかはわかりませんが、どうすれば「設定」が単なる文字情報ではなく、物語の中で命を得るのかという、シンプルなだけにお手本のような用い方です。
「西堀を出たつもりでしたが、なかなか抜けませんね」
そして、「家」とか出てくると超弱い映士、深く反省。
さくらさんにその気はなかったと思いますが、鮮やかに映士のウィークポイントを突いており、映士の欠点を形成している要素が映士にとってはそのまま他者への強い共感要素になりうる、というのが上手い構成です。
「というか、やっぱり性格かもしれません。あなたの面倒くさがりと同じで」
冗談めかしたさくらは数歩を映士に近付き、心理的な距離感の変化を台詞だけではなく物理的な距離感の変化を計算しながら見せていくのは、中澤監督の得意とするところ。
「だから一緒にすんじゃねえよ。…………そうやって言えばいいじゃねぇか。言えばわかるんだからよ」
「そうですね」
映士は背を向けつつも顔だけ振り返り、率直に言われないとわからない男と、明確に言う事に慣れていない女、という相性の悪さを上手くマッチングし、互いに互いの生き様に歩み寄った二人は、結界の核を目指してミッション再開。立ちはだかるガイを映士が食い止めている間にさくらが結界の破壊に成功するが、怒れるガイの連続攻撃でジャケットを血に染めた映士は、血まみれの手でサムズアップしながら、駆け寄ったさくらの手をすり抜けて倒れてしまう。
シルバー加入直後の真墨×映士回でも、映士が土壇場で「俺様より使命を選ぶ」姿が描かれましたが、やらなければいけない事をやるしかない覚悟を持った映士は、自分の命の扱いがやや軽いという危うさを抱えているように見て取れ、映士が見つける「冒険の意味」や「自分だけの宝」は、その辺りを変えていってほしいところ。
「高丘……さん?」
「へへー! やったぜ。ざまぁねぇな、高丘の。こぁぉんなに呆気ねぇとはな、えぇ?! 高丘流も、これでジ・エンド! てわけだ。最高だぜ。にひははははへへははは、ひゃーははははははははは!!」
ピクリともしない映士に寄り添うさくらの手前で、ガイ、超ノリノリ。
「……黙れ」
「ふぅーっふう! ボウケンピンク、おまえも一緒に」
「黙れぇぇぇぇぇぇぇ!!」
感情を爆発させ、一瞬ガイをたじろがせる気迫を放ったさくらは、地面に叩きつけるようにしてアクセルラーを回転させ、変身。勢いで一方的に銃殺してしまうかと思ったらさすがにクエスターは強敵としての格を保って描かれましたが、膝を崩して背後から首を掻き切りにいくアクションがエグい。
一旦は崖下に落とされるもガイに反撃の銃弾を浴びせるハイパーピンクだったが、亡国の炎を回収したクエスターロボヘリが到着。踏み潰されそうになった所で、駆けつけたレッド@ズバーンが、その衝撃を受け止め、押し返してみせる。と、割ととんでもないパワーを発揮しているのですが、この前後が色々と衝撃的で、埋没(笑)
「?! その剣は……まさか、レムリアの……」
ガジャ様に続いてクエスターガイもズバーンに反応し……成る程、これまで銘々好き勝手に動き回っていたネガティブが、徐々に超古代文明レムリアという一本の線によって繋げられていく、という展開になるのでしょうか。という事は、菜月もレムリアに関わる存在になる可能性が大きそうですが、意志のあるプレシャスはズバーンが出てきたのでどうやら推測は外れたようで、レムリア文明の生き残りとかになるのかしら。
ズバーンはこの後、映士の緊急搬送係となり、久々にバンク映像で究極轟轟合体。
ボウケンジャー、ロボともども丸焼きだ!」
派手な登場も束の間、亡国ファイヤーの一撃で撃墜されてしまうアルティメットだが、怒りのハイパーピンクはチーフの指示を無視して急速上昇による正面突撃を敢行。
「死ぬ気か?!」
「おかしいんじゃねぇか、こいつは?!」
あまりの勢いにたじろいだ所に組み付かれたクエスターロボヘリは、零距離アルティメットブラスターを浴びて大爆発し、ボウケンジャーは<亡国の炎>回収に成功するのであった。……どう考えても、<亡国の炎>が塵にならずに回収できたのは幸運以外のなにものでもありませんが、俺たちのものにならないプレシャスは邪魔なので問題皆無です。
映士はなんとか助かり、病室で喜ぶメンバーだが、無事を確認したさくらの姿は既になく……
「やっぱり気に入らねぇ……か?」
「……さぁな」
映士は、人ぞれぞれをちょっぴり学び、さくらさんは本日は喜びのパフェを堪能するのであった、でオチ。
さくらと映士がそれぞれ「他者の生き方を尊重する」事で歩み寄りつつ、蒼太に自分が嫌な事を押しつけていた映士がそれを反省するわけではないので、最初に提示された問題の解決に至っていないのが、若干スッキリしない部分。
映士の社会性の構築に関してはもう少し時間をかける、という事なのかもしれませんが、現状根っこのところでチームヒーローとそぐわない映士の性質をどうチームの中に着地させていくのか、に関してはメインライターが責任を取る、という事になっているのかも。
ボウケンシルバーとなった映士が最初から基地に居る事が滅多にない、というのは話の都合に見せかけて、実は映士が真の意味でボウケンジャーの一員になったわけではない、という事を匂わせる意図が明確にあったようにも思えてきて、これが破裂へ向けて準備している爆弾だとしたら、どう描いてくるのか楽しみです。