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『快盗戦隊ルパンレンジャーvs警察戦隊パトレンジャー』感想・第6話

◆#6「守るべきものは」◆ (監督:加藤弘之 脚本:香村純子)
ゴーシュが嫌がらせでデストラの独自行動をボスに告げ口し、デストラさんが前回匂わせた情報源の名が明かされる。
それこそ、ルパンレンジャーの仇敵、あの口笛の男――その名を、ザミーゴ。
明らかに異彩を放つ派手なポンチョにソンブレロの男が雑踏の中を人々とすれ違う姿が描かれ、世界の陰に潜む存在、日常に紛れ込んだ悪意として象徴的。そして、すれ違った人々は無事で済むのだろうか、というのが非常に不穏です。
「人間界で手広くやっているようでして」
「あいつが俺の後継者に名乗りをあげれば、面白くなりそうなんだがなぁ」
快盗達の因縁の相手が親分も一目置く男だと明かされる一方、圭一郎は夜明けの缶コーヒーを握りしめながらルパンレッドに対する敗北を噛みしめていた。
「おのれ快盗! 次は負けん。必ず俺が勝つ」
近づいてきた魁利に気付きもせずに歩み去る圭一郎は、ジムからの緊急連絡に「快盗か?!」と声を大きくするもペンギン発見と聞いてややテンションが下がるなど、“快盗との勝ち負け”に視野が狭くなっている様子が手際よく積み重ねられていきます。
「国際警察の権限で、監視カメラを徹底的に調べたんだ!」
人類の完全管理を目論む大魔王ジムによる監視カメラの総ざらいにより、居場所を炙り出したペンギン人間体をパトレンジャーは取り囲み、至近距離で斜め下から腹に向けて連射し、その反動で床を滑っていく、という1号のアクションが格好いい。
「戦いを引き延ばせ。そうすれば快盗が現れるかもしれん」
ところがルパンレッドへの雪辱にこだわる1号は千載一遇の好機を無駄にしてペンギンを逃してしまい、つかさは、そんな圭一郎に平手打ち。
「何をする?!」
「目は覚めたか」
前回ラストから圭一郎の様子を気にしていたつかさが気丈夫なところを見せると同時に、両者の間であたふたとしつつ、距離を取って下がる咲也、いい味(笑) 話の詰め込み方はやや強引に感じた第3話でしたが、とにかく一度スポットを当てておいた事で、咲也が非常に動かしやすくなっているのはお見事。
「やれやれ……この“化けの皮”も買い換えないと、すーぐ見つかっちまうな。ザミーゴに連絡取らねぇと」
逃亡中のペンギンのぼやきで、ギャングラーが人間の偽装を“化けの皮”と称している事が明らかになり、これは非常に面白いセンス。そしてどうやら、それを身内に販売しているのがザミーゴのようですが、快盗カードを投げつけると文字通りに「“化けの皮”が剥がれる」というのは、ザミーゴとルパンレンジャーの関わりとして、何やら不穏です。
「それより私が改造してあげましょうか?」
そんなペンギンの前に現れたゴーシュはデストラが怒っていたと脅かし、改造費用をふっかける……と巨大化担当のゴーシュはノワールらしいファム・ファタールであると同時にギャングラーの闇医者ポジションでもある模様で、前回今回で、ギャングラーもぐっと肉付けが進んできたのは非常に良い感じ。
その頃、平手打ちに合点のいかない様子の圭一郎に嘆息したつかさは、2人揃ってフロントライン送りにされた日の事を思い出させようとしていた……。
「ギャングラーを最前線で相手にする戦力部隊か」
「給料もいいし、年金も充実してる」
……遺族年金?
その給料は相当の危険手当を含んでいる気がするとか、多分その年金は本人が受け取れる想定になっていない、とか色々ありますが、まだ各員のデスクしかない真新しい部屋で管理官の回転椅子に腰掛けるつかささん、割とお茶目だった。
「……つかさ。……おまえはなんのために国際警察に? 志とかないのか?」
「そんなの私の自由だろ」
「いや。生活も大事だ。否定はしない。だが……」
圭一郎は、その時の自分の言葉を再び呟く。
「国際警察の権限を預かる責任を忘れるな……と」
「……それだけか? 私は一応、あの時のおまえの言葉を胸にやってきたつもりなんだがな」
第4話において、圭一郎ごときに弱みを掴まれている筈がない、と強気とプライドを見せていたつかさが、その第4話の事件で助けられた感謝もあってか、自分が朝加圭一郎という男の言葉に引っ張られていたという弱みを敢えて明かすのですが、そうまでしても満足いく解答を得られなかった事に落胆して歩み去り、その姿に歯がみする圭一郎。
「俺の……言葉……?」
その頃、仕事さぼって圭一郎にちょっかいを出そうとするも無視されてポップコーンをぶちまける羽目になった魁利は、店に戻ってニヤニヤしていた。
「いや〜、あの熱血お巡り。俺に負けたのがそうとうキてるね」
気分良く軽口を叩き合う快盗一味だが、そこに入ってきたのは……
「いらっしゃいま…………あ」
「こんにちは初美花ちゃん!」
第6話にして、早くもストーカー予備軍と化す咲也であった。
初美花の乾いた営業スマイルと油の切れたブリキのおもちゃのような態度に気付かず上機嫌で笑顔を浮かべ、おいしいなぁ咲也(笑) ……私の中では腹黒キャラ率が75%ぐらいなので、わかっていて全て嫌がらせでやっているようにも見えますが!
「今日は一人っスか?」
「そーー! ちょっと修羅場から逃げてきたんで」
「え?! なに修羅場って?!」
「……ここだけの話、つかさ先輩が圭一郎先輩を、こう、ぱーーーんって!」
「「えーーーーーー?!」」
「浮気か?」
「そこ付き合ってたの?!」
「違う違う。仕事の話。圭一郎先輩が…………これ言っちゃ駄目か」
懐に入り込んで情報を引き出そうとする魁利、軽いノリで口を滑らせるもギリギリの一線は守る咲也、ぼそっとクリティカルな事を呟く透真、とキャラクターの魅力が横溢していて、面白かったやり取り。
咲也はパトレン側における初美花ポジション(陽性で感情表現の素直な年下枠)であるわけですが、危なっかしさと職業意識のバランスがしっかり取れていて、今回だけで私の中で非常に株が上がりました(笑) 6人の中では一番好きになれるか不安なキャラだったのですが、この調子で何かとおいしい立ち位置を確保していってほしい。
……国際警察の権限において、レストラン周辺の監視カメラを悪用してストーカー行為を働き、圭一郎に手錠をかけられない事を祈ります。あ、でも、警察ものとしては3人の内の誰かが犯罪の容疑をかけられて停職処分ネタは見たい所で、その場合の最右翼は咲也。
圭「残念だ咲也、おまえが国際警察の権限をこんな形で悪用する奴だったとは」
咲「違います先輩! 僕はやっていません、これはギャングラーの罠ですよ!!」
つ「犯罪者はみんなそう言うんだ。常連客から多数の証言もある。大人しくしろ」
咲「せんぱーーーーーい!!((がしゃっ)」
未来予想図はさておき、現在のところ犯罪者3歩ぐらい手前の咲也は甘党だったのかケーキセットを頼むが、ゴーシュに改造されて二刀流になったペンギンが快盗を誘い出す為に街で暴れ出し、警察戦隊、出動。
「国際警察の権限において、実力を行使する」
構成員と戦闘開始したところに快盗参上し、快盗3人は戦いながらその名を宣言。
「ルパンレッド!」「ルパンブルー」「ルパンイエロー!」
「「「快盗戦隊・ルパンレンジャー!!」」」
つとめて軽妙な赤、低く重々しい青、溌剌とした黄、の声のトーンが上・下・上とリズミカルな波を作り、聞いていて非常に気持ちのいい簡易名乗り。いっそバンクよりこちらの方がリズミカルで良いかもしれないぐらいですが、快盗と警察が入り乱れるというコンセプトもあり、今回かなり、キャスティングにおいて“声”を意識する部分はあったのかな、と思うところです。
「予告したろ。持ってるお宝は、全部いただくって!」
本日も入り乱れての戦闘となり、その最中、1号を挑発するルパンレッド。
「どうよお巡りさん? 俺にリベンジしたかったんじゃないの? ま、何回やっても俺が勝つけど」
「黙れ! 二度と貴様になど負けん!」
「挑発に乗るな、圭一郎!」
「俺は……俺は……!」
快盗相手に一敗地にまみれた屈辱を抱えながらも、つかさの平手打ち、かつての自分の言葉、国際警察戦力部隊としての自分のあるべき姿に煩悶する1号に快盗は先制の飛び蹴りを放ち、もつれ合うように近距離での銃撃戦に。そこへ背後からペンギンが二刀の衝撃波を放ち、辛うじてかわすルパンレッドだが、戦いの途中で何かに気付いたパトレン1号は、両手を広げると敢えてその攻撃を受け止める! 背後に弾き飛ばされながらも踏ん張り、崩れ落ちた瓦礫を支えた1号がその背に守ったのは――逃げ遅れた1組の母子。
「よくやった圭一郎!」
「……思い出した」
――「国際警察の権限を預かる責任を忘れるな。我々が手にしたものは、人々を守るための力だ。使い方を間違えてはならない」
ここから主題歌パトレンジャーパートがソロで流れ出し、個人的な勝負よりも誰かを守る事で1号が正道を取り戻す、というのはベタベタだけど良かったです。
「……俺がすべきは、己のプライドを守る事じゃない。人々の安全と、平和を守る事だ!!」
ルパン側が各個の復讐を動機とするピカレスクヒーローな分もあるでしょうが、パトレン側がまず先に、極めて正統派のヒーロー宣言。
守るべきものが何かを取り戻した1号の言葉にグッと来たーーーと飛来したコウモリニンジン、なんとルパンレッドからバイクビークルをスり取り、警察へと提供(笑) やる事なす事ホント気まますぎるので、いつか酷い目にあってほしいです(笑)
1号はバイクをセットして警察ブーストすると犯罪者を浄化する必殺のタイヤを放ち、東映ヒーローはどうしてこう、タイヤで悪を轢き殺すのが好きなのか。
なお、慌ててお宝を回収しようとした赤と青が視界に入っても全く躊躇せず引き金を引きましたが、公務執行妨害だから仕方ない。
国際警察の権限において、悪の快盗戦隊に一片の慈悲無し。
轢殺ブーストによる消耗で倒れ込む1号だが、その姿に自分とは方向が違うが同じ熱量を持つかもしれない“熱血お巡りの覚悟”を見たルパンレッドは、心理的な敗北からバイクを強引に取り戻す事を断念。
魁利はこの辺り、壊れているようでまだ壊れていないというか、希望にすがって無法な手段に手を染めつつも、どこかで日常へ戻る言い訳を求めているようにも見える所で、全体としてまだどう転がるかわかりませんが、快盗3人の心理的な綾が中途半端にはならないでほしい所です。個人的な好みとでいえばもっと思い切り狂気の側に振れていてくれてもOKなのですが、まあそれだと、警察との関係において話が組みにくいか……?
それから完全に気絶している1号を桃と緑が引っ張っていった為に、警察が巨大化したペンギンを快盗に任せて撤退、みたいな流れになってしまったのは若干どうかと思ったところで、もうワンタイミング早く、快盗がルパンカイザーを起動してほしかったところ。
主題歌ルパンレンジャーパートのソロで戦うルパンカイザーは、左腕にヘリを快盗武装すると、竜巻ガトリングで永遠にアデューし、OPの仕掛けを本編に取り込みつつ、新装備の威力をそれぞれ披露。……よく詰め込んでいますが、両戦隊のバランスに加えてギミック使用までバランス取ろうとするのは駆け足感は否めず、正直、追加ビークルの印象は薄くなってしまいました(^^; それもあって前回のバイクvsヘリにかなり尺を採ったのでしょうが、商業的には、単独マシン・チェンジャーにセット・ロボパーツ、のどれかの要素で引っかかってくれれば、という作りでしょうか。
「ははははははははは! ……デストラの奴、せっかく情報をくれてやったのに、失敗してやんの」
空高く吹き飛んで爆死したペンギンの姿を見て嘲笑うのは、かち割り氷を食べる白黒髪の青年――ザミーゴ。
「さむーーーー」
もう少し年嵩のキャストかと思ったら思わぬ若さでしたが、早くも因縁の相手が姿を見せ、どう転がっていくのか予断を許しません。そしてその食べている氷が、先程すれ違った市民ではないのか大変不安です。近所のコンビニで買ったロックアイスだと思いたいですが! それはそれで、いいのかギャングラー!
コグレはプリズムブーツだけ回収してヘリを残していき、「VSチェンジャーと相性がいい」とまた胡乱な発言。警察の使っているコレクションに関しては「急がなくていい」とひたすら怪しいドミノだけを並べていき、倒れた時に浮かび上がるのはどんな絵なのか。
「結局引き分けっぽくなっちゃったね、警察と」
「警察っつーか……あの熱血お巡りだな。あいつ、マジで厄介かも」
躊躇無く射殺寸前でしたからね。
そして警察では、頭を下げる圭一郎を管理官が懐深く慰めてモナカを手渡し、圭一郎はこれまでただの捜査の邪魔、いっそスイカだと思えば躊躇無く真っ赤な中身をぶちまけられる、程度に捉えていたとおぼしき快盗個人の事情に興味を持ち始めていた。
「ルパンレッド……仮面の下は、いったい」
ここで圭一郎が見つめる、ルパンレンジャーへの注意をうながす「悪の!! 快盗戦隊に要注意!」ポスターが細かい(笑)
これまでも賞金首だったり反政府組織に所属していた戦隊などありましたが、「見かけたら即、通報」「惑わされないで!」「騙されないで!」「見かけたら必ず通報してください」と大変念が入っています。
イラストもいい味出しており、これは、グッズ化したりするのでしょーか?(笑) あと今更ですが、本人たちが「快盗戦隊」と公言しているので、この世界では「戦隊」に「悪の」という枕詞が明確に付きうるのだなと改めて。
それから第1話から気になっていた「慢心は最大の敵だ」は圭一郎が自分の机の前――いつも目に入る所に貼っていた――というのがハッキリし、ホント、マジ厄介かも。
というわけで、前回敗北したパトレン1号のターンでしたが、直接戦闘の結果ではなく、守るべきものを取り戻す――そして守り抜く――姿を見せつける事で精神的に勝利する、というのは良いバランスとなり、第4話と絡めつつパトレンジャーとはどういう戦隊か、というのもしっかり打ち出されて面白かったです。
後、つかさの求めていた答ではなかったのですが、圭一郎の言った
「国際警察の権限を預かる責任を忘れるな」
という言葉には、力に付随する責任、それを背負う覚悟、に対する想いが感じられて、公権力ヒーローがどうしても超法規的になりがちな部分をフォローしていて、好きな台詞。
国際警察戦力部隊の権限が大きいからこそ、悪に対するトリガーが軽いからこそ、その責任を常に忘れてはいけない。だからこそ、朝加圭一郎は、敵対する悪に、守るべきものに、そしてそれを振るう自分に対して常に宣言する――
「国際警察の権限において、実力を行使する」
と。
この前振りとして、「国際警察の権限で、監視カメラを徹底的に調べたんだ!」という台詞を置いているのが、実に香村脚本。またこれ自体が、快盗の「予告する」と対になっているなど、引き続き、初期設計とそのベールの紐解き方が鮮やかです。
次回――初美花ハニートラップで咲也なんかイチコロよ? 職業倫理とか都道府県条例とか、今色々問われる!!