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『獣拳戦隊ゲキレンジャー』感想・第6話

◆修行その6「ジュワーン!って、何?」◆ (監督:竹本昇 脚本:横手美智子
「弱い奴は馬鹿! それが臨獣殿でしょー!」
「おまえは馬鹿じゃないっていいたいの、モリヤ?」
ムカデの死を嘲笑うヤモリを投げ飛ばし、冷たく見下ろすメレ様の蔑んだ表情が冒頭から素晴らしい(笑)
理央の為に真毒使いを探し出そうとするメレに煽られたヤモリが出陣した頃、ジャンは「深見先生」を探してスクラッチへやってきた珍妙な男と出会い、ここは一般人を通していいのか受付の人よ。
男はピエール藤代という画商で、探していた「深見先生」とは深見レツ――すなわちファンタスティック・ナルシスト。レツはなんとかつて、将来を嘱望された若き有名画家だったのだ。
ジャンのゾワゾワセンサーがヤモリの出撃を感知し、ピエールを振り払った3人は、ビルの壁に垂直に立ち、柔軟かつ奇抜な動きであらゆる攻撃を回避するヤモリに翻弄される。
「馬鹿が三人、やってきましたか。お久しぶりですね。手始めにそちらの世界に立ってあげましたよ」
「一度でもおまえら馬鹿の世界に立ってやっただけ、ありがたく思いなさい。ここからは俺の世界に戻りますよ」
「俺の世界に侵入しようなんて生意気なんですよ。重力に縛られて、馬鹿の世界から出られないやつ!」
ゲキレンジャーが地面に、ヤモリが垂直のビル壁に、という足場の違いを映像で見せつつ、そこに「世界」という言葉でヤモリが他者を蔑み見下す傲慢と繋げ、映像表現の変化球に心理的要素を付け加えて強調したのは秀逸。
「素晴らしい技? かなう奴などいない? 言ってくれるね」
挑発的なヤモリの言動でナルシスト魂に火が点いた青は、ヤモリの世界である垂直の壁で立ち向かおうと食らい付くも弾き飛ばされるが、苦し紛れに繰り出したトンファーがヤモリの足に引っかかる。
「私たちの世界で勝負よ! 地上でなら勝てるわ!」
「……いや、それは僕のスタイルじゃない。こっちで戦って勝たなきゃ、意味がない!」
しかし自ら手を離して落下し、青の反撃に一瞬慌てたヤモリは一時退却。スクラッチに戻った3人は、恒例の「暮らしの中に修行ありじゃ」で窓ふきをする事になり……老師はこれでおやつ代の小銭を稼いでいるんですよね?!
(スタイル……ハーモニー……バランス!)
自分の世界に浸りながら華麗に窓を拭くレツの姿に、戦いは勝てばいいのでは?と自ら手を離した先程の行動に首をひねるジャンだが、レツは戦いに勝つだけではない何かを求め見つけようとしているのだ、とランは教える。
「感動がなければ、芸術も獣拳も、存在すべき理由がないんじゃないかって、僕は思うんだ」
美学によって勝機を手放す事で被害を広まる可能性を高めた、という点でヒーロー的には危ういのですが、レツにとってそのこだわりを捨ててしまえば、今目の前の戦いには勝ててもこの先の成長を捨ててしまう事になる、という話運びは前回に引き続き今作の、スポーツ的なところ。
敗北が世界の危機と直結するヒーローとしてはちょっとした地雷の予感もしますが、激獣拳士として高みを目指しそして変わる、その道として個々の拳士としての在り方に肯定的なのは、今作のスタイルといえます。
理央様はゲキブルーについて「あいつの弟か」と意味深発言をし、しつこく迫り来るピエールと喧嘩別れしたレツが画業を一時中断して激獣拳士の道を歩み出した際の過去が語られる。
「深見レツ……兄の復讐の為に激獣拳を学ぶというのであれば、儂はおぬしを受け入れる事はできんぞい」
孤独を愛する一匹狼だった兄が持っていた激獣拳への感動に触れてみたい、その動機を語ったレツは弟子入りを許され、他者に感動を与える為に多くの技を究めようとするのがテクニシャンの由来であったと判明。そして、個展タイトルが大輪の華であった事も判明。
前回はランが落ち葉を鷲掴みにしつつ早咲きの桜に自分を重ねていましたが、今回はレツが薄紅色の花(花の名前がわからない私……)と繰り返し同じフレームに入って陶酔しており、いいか! このトライアングルの華は、あくまで僕だ! と自己PRに余念がありません。
理央よりブルー抹殺を厳命されたヤモリが再び現れるが、立ち向かったゲキブルーは修行の成果を見せ、垂直の世界で華麗に舞う。
「決めつけという重力に縛られているのは、おまえの方だ!」
青は挿入歌をバックに怒濤の連続攻撃を浴びせ、観戦中のメレ様にまで褒められる。
「……は?! いけない! メレの心はとこしえに理央様のもの!」
そして一人で少女マンガを始めるメレ様、あざとい(笑)
「モリヤ、同じ体力、同じテクニックを持つ獣拳使いが二人戦ったとする。勝つ決め手はなんだと思う?」
自己肯定力ですね!
はともかく、両足を広げてビルの壁に張り付く体勢を保ちながら、敵を見下ろしこの台詞、というのは非常に格好いい構図でした。
「なんですと……? 勝つ、決め手……?」
「人を感動させる事さ! 情熱を内に燃やすだけじゃない。その炎をもって、周囲を熱くするんだ! そうすれば、みんなの感動が僕に、力をくれる!」
そう僕は、僕の美しさで人に感動を与え、皆が僕をたたえればたたえるほど、強くなる! これすなわち、激獣ナルシスト拳!!
ナルシスティック・ブルーはビルの外壁を駆け下りながら、重力を味方に加速をつけた連続パンチをヤモリに叩き込み、地上世界へと追い込んでいく!
「勝つから感動するんじゃない! 感動を与えられるから勝つんだ!」
そして放たれたフィニッシュキックにより、地面へとめり込むヤモリ。
「感動を感じもせず、与えることも出来ない奴は! ――そのまま眠れ!」
展開も映像も格好いいのに……好感度が上がらないのは何故だろう(笑)
ブルーの激獣ナルシスト拳を目にしたジャンは感動というジュワーンを覚え、ますます結束を強めるトライアングル。激怒したヤモリは連続手裏剣を放つが、ファンタスティックトンファースピンに敗れ、巨大化。
「はははは! たのちい、たのちいねぇ! こんなにたのちいのは初めてかも!」
巨大化したヤモリの秘伝臨技・腕脱皮により視界を塞がれるゲキトージャだったが、殺気を読んだ青が反撃の蹴りを決め、俯瞰で撮ったスピンに大輪の華を重ねるというなかなかキレた演出の、激闘感動ラリアットで大勝利。
シュルレアリスム寄りな画風のレツは未完成の絵に大輪の華を描いて完成させ、立ち直りも掌返しも早いピエールに迫られるのであった、でオチ。
後回しにされて心配のあった黄−青回でしたが、3人スタートで尺が使いやすいという事もあってか、前回今回ともに、悪くない出来でした。ヤモリが繰り返していた「世界」という言葉が、クライマックスで逆転して精神的なトドメを与えるキーワードになればもう一跳ねあったのですが、前半のキャラ付けだけになってしまったのが、面白い台詞だっただけに惜しい。
画家であったレツの過去を描いて端々のナルシズム傾向に説得力を与えるとともに、理央様もその素質を認める亡き兄が居た、という形で因縁構築をしてきたのは、ジャン×理央に偏りすぎない為の布石を置いておく、という点でも良かったです。
……それにしても、レツをして「孤独を愛する一匹狼」と言わせ、理央様をして危機感を抱かせる素質の持ち主ってどれだけ自分好きだったんだレツ兄。
現在、私の中の想像図が、不滅の牙×ホージーさん×クレナイ・ガイなのですが、一度ぐらい回想で出てきて欲しい(笑)
「心が奏でるギターの音色! 激獣ワタリドリ拳、ロンリー・マイトガイ、深見兄!」