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『星獣戦隊ギンガマン』感想・1−2話

◆第一章「伝説の刃」◆ (監督:田崎竜太 脚本:小林靖子
「星獣――それは、銀河の平和を守る為に戦う、神秘の動物たちの事である!」
メタルヒーロー》シリーズの虎の子として育成され、前年『電磁戦隊メガレンジャー』でトロイカ体制の一翼を担った小林靖子の初メインライター作品であり、『超力戦隊オーレンジャー』(1995)でデビューした田崎監督も、初のパイロット版担当。
3000年前――地球を襲った宇宙海賊バルバンを、不思議な力アースを持った戦士達と5星獣が封印した。戦士の末裔たるギンガの村の民は結界によって守られたギンガの森にひっそりと暮らしながら、この伝説と星獣剣を守り続けていた。そして、第133代、星獣剣の戦士の儀式の日……
アースはわかりやすくいうと属性系特殊能力なのですが、炎・風・水・雷は定番として、5人目はどうするのかと思ったら、花!
……は、は、花の戦士ビーファイターアゲ……ハ……セ、セントパ……ううっ、頭が……。
個人的にはだいぶ忘却の遠い霧の彼方にある『ビーファイターカブト』ですが、時期的には今作の2年前であり、1−2話のバルバンの描写など見るに、高寺プロデューサーとして《メタルヒーロー》シリーズへの餞という意識が若干あったりもしたのでしょうか。
ちなみに戦隊シリーズでいうと、この属性は(重ねて、定番ですが)後の『魔法戦隊マジレンジャー』に引き継がれているのですが、つまり一歩間違えると、
「咲き誇る花のエレメント、緑の魔法使い、マジグリーン!」
に兄者がなっていたかもしれないのか!!
(……いやその場合は、兄者と芳香が入れ替わったでしょうけど)
今作では〔風=緑・花=桃〕が、『マジ』では〔風=桃・大地=緑〕、になっているのですが、〔炎・水・雷〕は〔赤・青・黄〕以外にほぼ割り振れないので、イメージカラーが強すぎるのも案外と遊びがなくて使いづらい面はあるのかと思ってみたり(赤の「炎、太陽」のイメージはしばしば見られますが)。
そう考えると、天火星(赤)・天風星(桃)は定番ながら、天幻星(緑)・天重星(青)・天時星(黄)とした『ダイレンジャー』はかなり工夫してひねっていたのが窺えます。
シンケンジャー』になると、火(赤)・水(青)と来て、実質的な風である天(桃)で、木(緑)・土(黄)となるのですが、イメージ的にはわかりやすく繋がりつつ、「土」に女性メンバーを当てはめたのが一工夫といえ、色の持つイメージをわかりやすく用いつつもあまりにもパターン化しないように気を配る、というのは戦隊シリーズらしいなと思う所です。
脱線が長くなりましたが話は戻って儀式の日、なんと海底からメルザード一族、じゃなかった、宇宙海賊バルバンが復活。
ヒャッハーガンマン(CV:檜山修之)、えらく露出度の高いダークエルフ水谷ケイ/顔出し枠)、トゲトゲマッチョ(CV:渡部猛)、エジプト魔女(CV:高島雅羅)、バイオサムライ(CV:林一夫)、どう見てもグラッチの親戚(CV:茶風林)、そして船長(CV:柴田秀勝)、というメンバーが豪華勢揃い。
「やっと俺たちにも運が向いてきた。三千年の憂さ晴らし。どいつもこいつも遠慮はいらねぇ。好きなだけ暴れ回ってこい!」
ヒゲに見える模様がチャーミングな戦闘員を引き連れ、海賊幹部は街で暴れてそれぞれの傾向を見せ、その復活を感じ取ってギンガブレスを受け継ぎに向かう星獣戦士達の前には、船長と樽が三千年前のお礼参りに現れる。
戦闘員相手に5人のアースをそれぞれ見せ、花びら浴びせると爆発するのが怖い。
結界の外で出会った少年と共にこの光景を目にしていた落第戦士リョウマは、炎の戦士である兄ヒュウガの危機に飛び出すが船長に叩き伏せられ、逆にリョウマをかばったヒュウガが地割れに飲み込まれてしまう。
「おまえの力を、俺は信じてる」
「兄さん……!」
自ら割った地面を鉤爪で戻して落ちた相手をプレスする、という大変むごい攻撃の犠牲になったヒュウガは、星獣剣をリョウマに倒してマグマ蠢く大地の底へと落下していき、これをきっかけに眠っていたアースに目覚めたリョウマ、火炎放射で戦闘員を一掃。
「許さない。おまえ達は、俺が、俺たちが!」
「「「「「倒す!」」」」」
一致団結した5人の叫びに星獣が応え、転送されたギンガブレスを身につけた5人は、銀河転生により三千年前にバルバンを封印した伝説の戦士――ギンガマンへと変身する!
「銀河を貫く伝説の刃! 星獣戦隊!」
「「「「「ギンガマン!」」」」」
ギンガマン――それは、勇気ある者のみに許された、名誉ある銀河戦士の称号である」
各個の名乗りが「キャッチコピー・戦士名」というのはままありますが、「戦士名・本名!」というのは、歴代でもかなり珍しいでしょうか。……と思ったらそれこそ『ダイレンジャー』がやっていましたが、銀河戦士達も1ターン目から気力満タンです。
「銀河炸裂!」
というフレーズが、意味分からないけど力強くて楽しい(笑)
転生したギンガマンは星獣の力を得た戦士という事でか、構えから攻撃まで獣のイメージで戦うのですが、人の理性を捨てて獣の野生に目覚めている感じがちょっと怖い。
初回にして敵のボスから幹部クラスまで、総勢5人が並んでいる所に剣一本で「アニキの仇じゃーーーーーー!!」と飛び込むレッドは、さすがに空前絶後ではないか。
本能覚醒しまくりのギンガレッドは炎一閃で船長をぶったぎり、バルバン上層部にまとめて範囲ダメージ。
「いいだろうギンガマン。今日のところは引き上げてやる。これで勝ったと思うんじゃねぇぞ」
船長と一味は捨て台詞を残して引き下がり、前年に引き続き、大変不安な立ち上がりです(笑)
仁義なき一撃によりひとまずバルバンを撃退した5人、塞がってしまった地割れを前に託された星獣剣を見つめたリョウマが「兄さん……」と呟くと、左右に並んだ4人が剣を合わせて強制的に銀河戦士に引きずり込むのが物凄く容赦ありません。
宿命の戦士に悲しみに浸っている時間など不要なのだ!!
「三千年の時を超え、新たに誕生した、星獣戦隊ギンガマン! 今、伝説は始まった!」
若本さんがまだ普通に喋っている頃で、落ち着きます。
鳥人戦隊ジェットマン』(1991)以来7年ぶりにして、2018年現在、最後の「○○マン」戦隊の今作ですが、前作に引き続き新世代の戦隊を企図してスタッフに新風が取り込まれる一方、ナレーションの多用による進行、イラストアイキャッチなど、古めかしく見える要素が意図的に盛り込まれている節があるのが一つ特徴。
ナレーションに関しては星座伝説、じゃなかった新たな星獣伝説を語る、というコンセプトがあるのかもと思われますが、この“語り”への意識は後の『百獣戦隊ガオレンジャー』(2001)への繋がりを感じさせる部分。
何かに選ばれる(何かを手に入れる)事で自分の居場所を見つける(そして何者かになる)、というテーゼは古今に様々ありますが、では選ばれた場所が本来別の誰かのものであったなら? という一ひねりが持ち込まれ、大人しめの立ち上がりの中で、主人公は本来レッドになる筈だった男の控え、という要素がどう転がっていくのか、楽しみです。


◆第二章「星獣の再来」◆ (監督:田崎竜太 脚本:小林靖子
三千年の封印から復活した宇宙海賊バルバンは、銀河中を飛び回る本拠兼宇宙船兼にして、星を喰らい星の命を宝石に変える魔獣ダイタニクスがまだ眠ったままである事に気付くと、それを目覚めさせる為にエネルギーを集める事に。さっそく4大軍団長がそれぞれの部下を呼び出して出番で揉め、その有様は完全にネロス帝国(笑)
船長の差配によりヒャッハーガンマン軍団のザリガニリーゼントが一番手を務める事になり、街に繰り出すとガソリンを集め始める。
てっきり、人々の悲しみや絶望を集めたりするのかと思ったら、エピソードのバリエーションを展開させやくする為か、具体的なものを怪人の任意で集める、という形で展開。
一方その頃、ギンガの森ではヒュウガ追悼の儀式が行われていた。
「今ヒュウガの魂は、星獣の星に導かれて、銀河に旅立った」
過去の様々な例に鑑みて、見た目から発言と行動の危ぶまれた長老が、ヒュウガの遺骨から銀河のシンボル・セイジューウマンを作り出さなくて本当に良かった。
最悪のタイミングで星獣剣の戦士となった5人の若者達はバルバンと戦う決意を固め、兄の死で二軍から急遽昇格したリョウマが「でも、俺は戦う!」と炎の戦士となる事を受け止め、もともと友達とはいえ残り4人もそれに不満を示す事なくすんなりと受け入れたのは、面倒くさくなくて良かったです。
街で暴れるリーゼントを止めに向かおうとする5人だが、ダークエルフ(ゾンネット→シボレナ、という路線が極まりすぎた感のある衣装ですが、シーンによっては雪も積もっており、撮影時の苦労が偲ばれます(^^;))が結界を破ってギンガの森を襲撃。出入りじゃ出入りじゃぁ!と武器を手に立ち向かうギンガの民だったが、森のエネルギーを吸収する種子が設置された事から、長老は住民ごと森を強制封印する事で、これを阻止。
「戦士達よ、重要なのは森を守る事ではない。地球を、全ての人々を救う事だ。ゆけ。星獣たちは必ず来る。バルバンを倒せ!」
石化した森は湖底へと沈んでいき、リョウマが「振り向くなぁ!」と檄を飛ばしながら、後ろ髪引かれる思いで馬に乗って故郷を後にする5人、というのはどこか時代劇テイスト。OP・ED映像で共に馬の存在が強調されていますが、特撮ヒーロー物の源流としての西部劇や時代劇要素を散りばめているようなのは、意識的なものを感じます。
前回出会った少年とその父を助けたリョウマ達は、リーゼント達を前に銀河転生。「銀河炸裂!」は戦闘開始の合図として今回も使われ、意味不明感と勢いのブレンド具合が妙に気に入ってしまいました(笑)
怪人の銃撃を、それを上回る威力の火炎放射で吹っ飛ばしたレッドは、炎一閃により今回も独りで怪人を撃破し、近い時期の作品でいうと、「あちゃあ! ほあちゃあ! 超力ライザー!」の人ばりの戦闘能力を披露。他メンバーも戦闘員相手に能力披露などはあるのですが、個人武器なども未登場ですし、ドラマ的にもアクション的にも、パイロット版はかなりレッド偏重な作り。
……にしても、覚醒後とはいえリョウマでこれだと、弟より優秀な兄であったヒュウガはもしかして、「星獣剣・フォー・ジャスティス!」みたいな人だったのでしょうか。
あそこでリョウマが飛び出さなかったら、第2話で壊滅していたのかもしれない、バルバン。
炎一閃で重傷を負ったリーゼントは、命を縮めるリスクを持つバルバンエキスを飲む事で自ら巨大化。エキスの外見がどう見ても酒瓶な上に怪人がヤンキー寄りな事もあり、つい2年前の芋羊羹を思い出してしまいました(笑) 
「馬鹿め! この俺に勝てると思ってるのか!」
巨大リーゼントに踏み潰されそうになるギンガマンだがその時、リーゼントの背に複数の閃光が突き刺さり、粉塵の向こうに姿を現したのは、5体の巨大な星獣!
…………生ものっぽい見た目がちょっと気持ち悪い(笑)
レッドを頭上に乗せた星獣ライオンは、アースの力を増幅して放つギンガファイアーボールでリーゼントを消し炭にし、5人は星獣と心を通い合わせ、共に戦う事になるのであった。
「パパ、これが伝説だよ。ホントの」
で、綺麗につづく……かと思ったらもうワンシーン入って、自分たちが宿無しになった事実を噛みしめる星獣の戦士達。そこに飛んできた生き残りのドングリが、長老から託された首飾りをリョウマに渡す……で続く。
次回――戦士達は法の目をかいくぐり屋根のある住まいを手に入れる事が出来るのか?! この首飾りを、質屋に持ち込めばいいのですね長老!!
作り手側が最大の焦点を当てたと思われる五大星獣登場! に特別ときめきを覚えなかった事もあり、正直パイロット版としてはグッと引き込まれるというような内容ではありませんでしたが、考えてみると『カー』も『メガ』もスロースタートな部分はあったので、高寺さんの理屈っぽさ(段取りの踏み方)と個人的に好む戦隊のテンポとにズレがあるのかもしれません。その『カー』も『メガ』も中盤以降は噛み合ってきて両方とも好きな戦隊なので、今作も良い形で加速していってほしい。