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『星獣戦隊ギンガマン』感想・第6話

書き忘れたけど、前回やたらとリョウマの声がしゃがれて聞こえたのは、風邪でもひいていた……?(今回は元に戻った気がする)
◆第六章「星獣の危機」◆ (監督:長石多可男 脚本:小林靖子
勇太が星獣とキャンプに行きたいと言い出し、戦隊としては異彩を放つ巨大生もの感溢れる星獣達は、強くて、デカくて、格好いいんだ! と劇中少年視点から補強。キバに秘められた力については口をつぐむ星獣だが、キラキラした眼差しを向ける勇太とはぐっと距離感が縮まり、星獣−ギンガマン−勇太少年の関係性も強化。
ハヤテが横笛を吹いてイケメンアピールする中、リョウマ達は勇太に、星獣が来た星について教える。
「どうして来たの? わざわざ地球まで」
「使命なんだ……銀河の星を守る事が」
「こんなに遠くに来て、寂しくないのかな? 星獣だって、寂しいよ、きっと」
星獣の行動原理としての強い使命感と、故郷を離れて戦いに身を投じている気高い姿をギンガマンと重ね合わせつつ、相似であるが故に自明の事としてそれを受け入れているギンガマンに対して、星獣の気持ちを慮る勇太少年。
少年の純粋で優しい視点が、星獣を神格的存在ではなく感情を持った生物として扱うというのが、後半の展開に効いてくる事に。
勇太という「伝説」や「使命」の外側に居る存在の視点を投げ込む事で、純粋な憧れ→子供の応援→ヒーローのメタ的担保、を物語に付加しつつ、3000年間最前線思考のギンガ組員達の軸をブレさせずに、星獣達に対する捉え方の変化を視聴者に提供しているのは鮮やかで、セミレギュラー少年キャラの存在が非常に巧く機能しています。
「あーあ、僕も星獣の言葉が分かれば、友達になれるのに」
「友達だよ、もう」
そして、勇太少年との交流を通して、出来る兄(ヒュウガ)に対して憧憬と劣等感を持っているリョウマが、自然と“いいお兄さん”のポジションに収まっているのも巧み。表面上はリョウマの好青年ぶりとして示しつつ、もしかするとそれは、“ヒュウガの代役”を務めようとするリョウマの無意識の発露であるのかも知れない、という若干の痛々しさをともないかねない所に、キャラクターとしての奥行きが生まれています(というのは、後の小林作品を見ているので、こちらがついついい期待感を上増ししてしまう為にそう見える、というのもあるでしょうが)。
前回のヒュウガ回想登場が、リョウマ−勇太の関係性を、ヒュウガ−リョウマの関係性に重ねて見させる前振りとして効いており、一話完結形式を取りつつギンガマン達の内面に迫る要素が細かく連動している構成は、よく出来ています。
勇太は銀河ライオンからギンガレオンの星の石を貰い、地球の少年にウインクを飛ばす銀河ライオンがチャーミングで、少年と星獣の交流の描き方が、もういっそあざとい(笑)
ところが翌日、食べたものをなんでも毒に変えて吐き出す毒ガスカブト魔人が街に出現し、勇太がその毒を浴びてしまう。魔人は毒噴射口の調子が悪くて一時撤退するが、その解毒剤は地球に存在しない、とモークは悲痛な事実を告げる……。
魔人の毒噴射口の調子が悪かったのは、本拠地で浴びせられた中和剤のカスが詰まっていた為、と撤退理由を出撃前の騒ぎと繋げ、お約束パターンの中に後の展開の仕込みを入れておく、というのは細かく凝った部分。
「ちょっとは俺の事も考えろぉー! この作戦が失敗すりゃぁ俺の立場もあぶねぇんだからよぉ!」
そしてヒャッハーガンマンが度重なる作戦失敗で焦りを見せて部下の尻を叩きに来る、というのも前回に続いて良いスパイスになり、序盤かなり丁寧に段取りを組んで設計されている感じ。
掃除を終えて絶好調のカブトムシは今度こそ街に毒ガスを撒き散らし、取り囲んで袋だたきにして 拷問を繰り返して 勇太の解毒方法を聞き出そうとしたギンガマンも毒を浴び、変身解除の大ピンチに陥ってしまう。
ここまでの銀河戦士のノリからてっきり、


「な、何故だ、何故あのガスが効かなかった……?!」
「そんな事、俺が知るか!」
の毒ガス無効体質(アース防御?)かと思っていたので、毒ガスが効いてホッとしたような残念なような(笑)
ギンガマンも倒れ、東京を覆い尽くしていく宇宙毒ガスバイオテロ。その危機に立ち上がった星獣たちは、自分たちの力を全て解放する事で毒を打ち消す事を告げるが、その代償となるのは星獣の命……。
「みんな、待ってくれ!」
「彼らは使命を果たす。誰がなんと言おうと」
モークの言葉を耳にした勇太は、ライオン石を手に弱った体を引きずって街へと向かい、今回、毒に苦しむ勇太少年迫真の熱演が、全体の緊迫感を高めてくれています。
(ギンガレオン……死なないで。ギンガレオン……みんな!)
だが星獣達は銀河戦士達の制止を聞かず、その命を賭けて毒を中和。駆けつけた勇太の呼びかけも虚しく、広がった毒を中和するも石化してしまう。
「バルバン! お前を! お前を、許すわけにはいかない!」
様子がおかしい事に気付いたカブトムシは怒りのギンガマンと遭遇し、被りすぎでは、と思っていた星獣剣とキバカッターの二刀流が意外と格好いい。
パワー系のカブト魔人に苦戦するも逆鱗で勝利するギンガマンだが、カブトは逃走。バルバンの大規模毒物テロを阻止するも、星獣を失ったギンガマンは、この抗争を生き延びる事が出来るのか?!
「僕、わかったよギンガレオンの言葉。……最後に、勇太って、呼んでくれた」
「うん」
泣きじゃくる勇太を抱きしめるリョウマ、
「地球を守る為に、自らを犠牲にした星獣たち。彼らは、このまま本当に死んでしまうのか。リョウマ達の行く手に、暗雲が立ちこめていた」
で、つづく。
星獣の犠牲というこれ以上ない形で、大きな力には相応の対価が必要になる、という事を物語内のルールとして示して“奇跡”に対する作品のスタンスを現した上で、生もの感溢れる星獣とロボの繋げ方は、成る程、という展開。
また実は、“力と対価”の関係はバルバンエキスにおいてもルールとして示されており、とすれば星獣たちがギンガマンを心配して明かさないキバの力にはなんだか不穏な気配が漂いますが……さてどうなるのか。次回――ギンガイオー誕生!