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『星獣戦隊ギンガマン』感想・第11−12話

◆第十一章「戦士の純情」◆ (監督:長石多可男 脚本:小林靖子
「サンバッシュ、俺も遊びでてめぇを行動隊長にしたんじゃねぇ。ここらあたりが我慢の限界ってもんだぜ」
「せ、船長、すまねぇ! あと一回、俺にチャンスをくれ」
いよいよ駿河湾に沈められそうになったサンバッシュが最後のチャンスを与えられた頃、ギンガマンは青山父から、急用で行けなくなった自分に変わり、勇太の授業参観に出てほしいと頼まれていた。
「俺行く、俺!」「私も!」
「どなたか……」と言いつつ、ヒカルとサヤが真っ先に手を挙げると(信用できない……)という顔になる父、正直(笑)
「子供が行ってどうするんだ」
ハヤテが二人の後頭部をホウキで小突き、軽妙なやり取りの中で5人内部の関係性も順調に定まっていきます。
ハヤテとリョウマが乗馬教室の担当日だった事からオフのゴウキが青山父代理に指名される事となり…………客、来るんだ。そして、その格好で担当しているんだ。
寝泊まりする場所を提供されている分、表向きの仕事をちゃんとこなしているのがわかってホッとしましたが、何か、雰囲気から入る系の教室として、違ったウケ方をしているのでしょうか(笑)
授業参観へと向かったゴウキは、勇太の担任、鈴子先生と接触してときめきゲージが急上昇。勇太を撮ってほしいと頼まれたビデオカメラで鈴子先生を撮り続け、それはもはや犯罪だぞゴウキ!!
舞い上がる姿がコミカルに描かれたゴウキは、モークから招集指令を受けると3階の窓から大ジャンプを見せて現場へと走り、常人離れしたアクションで一気に日常からヒーローの時間へと切り替わるのが鮮やか。
地面に次々と謎の針を打ち込んでいた魔人はギンガマンと一当たりするとあっさり撤退。学校に駆け戻ると既に授業参観は終了しており、鈴子先生への恋煩いで心ここにあらずのゴウキは、得意の料理も手につかない。
料理担当になりつつあるゴウキですが、当番制らしき言及はあるものの、これをサヤに振らずに見るからに一番ごついゴウキに振っているというのは、割と意図的なのかな、とは思ってみたり。
「ひょっとして一目惚れってやつ?」
「はぁ……わかりやすい性格」
邪念を払うべく公園で顔から水を浴びていたゴウキは、ベンチで鈴子先生が泣いているのを目撃してしまって、大困惑。
「俺、剣苦手だったけど、戦士になったし」
「勇太くんが言ってた。ゴウキは強いけど、優しい戦士なんだって。ほんとね」
戦士、流されたぞ、戦士……!
鈴子先生的にはなんらかの比喩表現だと思っているのかもしれませんが、先日はシェフがギンガイエローをあっさり受け入れていましたし、今作世界の一般人のギンガマン認識はちょっとドキドキします(笑)
割と、メジャーな職業なのか、戦士……!
授業へのクレームに傷ついていた鈴子先生を励ましてちょっぴり好感度を稼ぐ事に成功したゴウキだが、突然、謎の鳴動が発生する。魔人が打ち込んでいた針は大地のツボを刺激するものであり、街を襲う大地震! 先生と一緒に逃げていたゴウキは、逃亡中に事故車の中で気絶している男性を発見。なんとそれは「明日結婚する相手」であり、鉄塔が崩れ落ちてきそうになる中、ゴウキは鈴子先生の為、必死の活躍で男性とウェディングドレスの救出に成功すると、戦いへダッシュ
「銀河転生!」
ゴウキは涙声で変身し、力強く振り切って戦いへ赴く格好良さではなく、失恋を引きずる一抹の情けなさの方を隠さず示す、というのはかなり珍しい作劇の気がします。戦士として前のめりなギンガマンゆえに、人間的な弱さの部分を敢えて強調する意図だったのかと思われますが、今回を象徴する変身シーン。
あのギンガレッドを追い詰め、かなりの強さを見せる地震魔人だったが、駆けつけたブルーがゴリパンチ、からのゴリスイングを放ち、失恋パワーを星獣剣に乗せた激流一刀で撃破。巨大化後はゴリラ単独のプロレスアクションで痛めつけてから星獣合体し、鳥頭ボウガンで遠距離から射殺。
ブルー回にしても、ロボットよりゴリラの戦闘シーンの方が長い、という大胆な事をしているのですが、割とざっくりロボ戦を短くしてしまう事もあったという長石監督、星獣バトルには新機軸の面白みがある、という判断があったのでしょうか。
かくして地球の危機は救ったが恋には破れ、体育座りするゴウキを遠くから見つめる4人だったが、救出した男性は「先生の姉の結婚相手」と判明し、お礼に届いた手作りケーキでチャージアップ! 明日結婚する人の行動としてはどうも不自然なような……と思ったら納得のオチで、朴訥キャラがゲストに一目惚れ→失恋、というオーソドックスなパターンにスパイスをひとつまみ振りかけた上で、今後へ拡張する余地も残って良かったと思います。ギンガマンの場合かなり一般社会に順応はしているのですが、やはり、ギンガの民と外部の社会、という要素はあった方が良いと思うので。
乗馬倶楽部でケーキの奪い合いが勃発しようとしていた頃、ラストチャンスに失敗、したのではなく、真の狙いを別に持っていたサンバッシュが、地震によって姿を見せた洞穴の中にある、“本当の切り札”を手に入れようとしていた……。
次回――
サンバッシュの最後の! そして、最大の切り札! それは!
「リョウマ……」
「兄さん!」
だがその喜びは、悪夢の始まりだった!
「ここまでだなギンガマンチェックメイトだ」
テンション高く、やたらめったら格好良い予告で、衝撃の再会?!


◆第十二章「悪夢の再会」◆ (監督:長石多可男 脚本:小林靖子
「処刑の方法は選ばせてやる。なにがいい?」
「わしゃ、久しぶりに火あぶりがいいと思うがなぁ」
「ちょっと待ったぁ!」
アジトに戻るやいなやケジメを付けられそうになるサンバッシュ、シェリンダと樽先生の他人事具合が、前回に続いてホント酷い(笑) 第10話の作戦なんて成功寸前だったのですから、シェリンダはサンバッシュに座布団1枚分の慈悲ぐらいあってもいいと思うのですが、むしろ殺す気満々です。
樽爺は……割と責任転嫁されたり蹴られたりするので、まあ、仕方ないでしょうか。
「これが俺の最後の、そして、完璧な作戦だ!」
ギンガマンを挑発したサンバッシュが、バイクで引きずる棺の中から見せつけたのはなんと……地下空洞で拾ったというヒュウガ! カゲロウ岬へ来いと告げるサンバッシュを追おうとする5人を招集したモークは軽挙を戒めるが、たとえ罠でもヒュウガを救える可能性があるならば、と5人の決意は固い。
「何があろうと、バルバンが何か企んでいるなら、俺たちは行くべきだ。そうだろう?」
「私は、心配なんだ、君たちが」
「大丈夫! 俺たちは戦士だ」
ギンガマンのヒュウガへの情と、大局を見るモークの論理の対立と見せて、モークにはモークでギンガマンへの情が存在している、という一方的ではない視点の置き方が秀逸。そしてそれら全てを乗り越えていく「俺たちは戦士だ」という理屈(笑)
これを、悲壮感を纏わせず、サムズアップでもしそうな爽やかさで言ってのけるのが3000年のアースの極みです。銀河炸裂!!
またここでモークと言葉を交わすのがハヤテというのは、一行の兄貴分という立ち位置と、先行するリョウマのヒュウガへの想いの強さが同時に示されて良かったです。
岬へ向かった5人は血気に逸りながらも正面から突撃する愚は犯さず、回り込んで陽動をしかけてヒュウガを救出するのが凄くギンガマンです。だが感涙の再会も束の間、リョウマの肩を優しく叩いたヒュウガは、断崖の洞窟へ向かうように告げる。そこには遙か古代に宇宙から流れ着き、手に入れたものに凄まじい力を与えるというギンガの光が隠されており、その扉はアースによってしか開かない。
地底のマグマの中で全てのアースを失ってしまったというヒュウガは、サンバッシュより早く銀河の光を手に入れろと、リョウマを洞穴に向かわせて自らは海賊兵士を食い止める。
「行けー! ギンガの光を手に入れろ! バルバンを、倒すために!」
さすが元ヒーローだけあって、こういった勢いのある演技がはまります。
洞穴へと向かったリョウマはギンガの光が秘められているとおぼしき小箱を手に入れるが、悪い顔で笑うヒュウガに不意打ちを受け、箱を奪われてしまう。ヒュウガの正体は、サンバッシュの部下、グリンジー。全ては、箱を手に入れる為にリョウマに扉を開けさせようという、サンバッシュの罠だったのだ!
オーソドックスな展開ですが、ヒュウガ、あれだけ力強く死んでおいて、地下空洞でサンバッシュに拾われましたではあんまりだったので、ある意味、偽物で良かった(^^;
箱を巡る争いの中、(リョウマ! リョウマ、立て! おまえは勝てる!)と本物の兄の言葉を聞いた気がした赤は苦戦しながらも反撃するが、小箱を手にしたサンバッシュとの挟撃を受け、倒れるギンガマン。だが5人はヒュウガの姿を利用した魔人への怒りから立ち上がり、逆鱗が炸裂してグリンジーは巨大化。
ギンガイオーを4人に任せてサンバッシュには赤が一人で立ち向かい、銃弾の雨を浴びてもなお立ち上がる。
「てめぇ……不死身か?!」
「言った筈だ。俺はおまえを、許さない!!」
赤は殺意の乗った炎一閃でサンバッシュを両断するが、重傷を負いながらも反撃してきたサンバッシュの銃弾を受け、箱を挟んで互いに剣と銃を構えながらダブルノックアウト、というのは格好いいシーン。
「俺は……負けねぇ……」
魔人グリンジーは4人乗りでもギンガイオーに射殺され、根性見せて匍匐前進で箱へと辿り着くサンバッシュだが、その中身は……空。
「く……はは……ははははは……そうか……そういう事かよ……。ははははは、ははは」
かつて地球にギンガの光を持ち込んだ者を始末し、隠し場所を聞き出して胸に秘めていたサンバッシュだったが、教えられた隠し場所自体が嘘だったのだ、と悪のはまった落とし穴が、虚ろな笑いで強調されて印象的。
「いつか、どデカい事しようと、3000年もの間、船長にも隠してたもんを……! 俺にもう、後はねぇ!」
全身から火花を散らすサンバッシュはバイクにまたがると銃を乱射しながらレッドめがけて突撃し、最後の力を振り絞ってジャンプでかわしたレッドはすれ違いざまローリング二刀一閃。直撃を受けたサンバッシュはそのまま海へ向かってダイブし、壮絶な空中爆死を遂げるのであった。
行動隊長に指名されてからぴったり10話でリタイアしたサンバッシュ、複数幹部の存在が示された上での一番手かつ頭悪そうな時点でどうしてもやられ役のイメージが先行してしまい、配下のスペックはともかく総合的な脅威度は低めでしたが、サンバッシュなりの誇りを持ち、組織の歯車ではなく、野心を持った一匹の狼としてギンガレッドと戦い、そして散っていった最期は良かったです。
貴重なマジックアイテムを上司に隠しておくというのが、部下と全く同じ事をやっていた、というのも変な説得力が(笑)
「ヒュウガ……本当に、生きててくれたのかと思った。やっぱりヒュウガは……!」
改めて哀しみに沈むギンガマンだが、リョウマは、戦いのさなかに確かに聞こえた気がした兄の声に戸惑っていた。
「あれは……あの声はいったい……」
果たしてそれは、割と出血多量だったリョウマの聞いた幻だったのか……? バルバンでは新たな行動隊長が蠢動を始め、抗争は、新たな動きを見せ始める……!
構造的には前回と似ていて、今回は偽ヒュウガというオーソドックスなプロットに、ギンガの光とヒュウガの声という引き要素でプラスワンする、という作り。その中で、「罠があってもぶち殺す」「ヒュウガを騙った貴様等をぶち殺す」「てめーは絶対許せないからぶち殺す」と、ギンガマンの殺意と戦闘遂行能力の高さが強調されました(笑)
「大丈夫! 俺たちは戦士だ」(爽やかに)