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『仮面ライダービルド』感想・第31−32話

◆第31話「ほとばしれマグマ!」◆ (監督:上堀内佳寿也 脚本:武藤将吾
バトルのロケの都合か上堀内監督が3連投し、魔空砂浜に転がる額縁に収まりながら変身するローグ、というシュルレアリスム絵画を意識したと思われる演出が印象的。ビルドは凄い歯車、クローズはローグと激突し、背景の一部となりながらずっとハードガーディアンとプロレスしているグリス……グリス……君の勇姿を、我々は忘れはしない!(涙)
エージェントSの調査により、万丈龍我は23年前、火星に着陸した探査機に絡んで妊娠たった二ヶ月で産まれた謎の赤ん坊であり、その体内に地球外生命の遺伝子を持つ、火星チルドレンであったと判明。
ローグは香澄の復讐に逸るクローズに、香澄殺害の黒幕はスタークだと伝え、やたらと困惑するクローズ……え、確かに第2話で表に出てきたのはローグですが、これまでの話の流れからファウスト及びスタークが絡んでいるのは当然だと思っていたのですが、万丈、まだそこ、理解してなかったの……?!
筋肉馬鹿、というか、怒りと憎しみの対象が2人になるとメモリが不足するらしいクローズを殴り倒したローグは、同じく歯車ダブルを倒したビルドに、現在の西都首相は難波会長である事、自分の体内には自爆装置が内蔵されている事を伝えると故意に必殺攻撃を受けて倒れ、戦兎・万丈・猿渡の3人は、パンドラボックスを守るスタークの下へと辿り着く。
「あんたの目的はなんだ? 俺を強くする為に、香澄をあんな目に遭わせたのか!!」
散々自己申告してなかったっけ……いや、スタークがそれ喋ったの、戦兎だけだっけ……どうも凄く今更に、「お前達の成長が俺の目的」が万丈の中で盛り上がるのですが、色々と時宜を外して、ピントがズレた感。
もう何度も書いていますが、万丈の日常の中に普段全く存在していない香澄が、重大イベントの時だけ唐突に超重要なマジックアイテム扱いで登場する作劇は、なんとなからないものか。
「ローグだな……余計な事を」(そこは、俺が、もっと劇的にバラしたかったのに!!)
「いいから答えろ!!」
「その通り。おまえの強さこそ、俺が求めてるものだ。だが、まだ……足りない!!」
どうせなら戦兎による偽装疑惑も未だ消えない香澄の謎手紙について、「もう一ついい事を教えてやる。あれを書いたのは、お・れ・だ」ぐらいまでやってくれれば、突き抜けて面白かったんですが(今回の展開で、書いたにせよ書かせたによ、スタークが事前に準備していた可能性はかなり上昇しましたが)。
「おまえの力はそんなものか? 違うよなぁ?」
火星ファイヤーでクローズを打ち倒すスターク、師匠ごっこ、再び(笑)
「おまえは……また、大切なものを、見殺しにするんだな」
万丈をかばって変身解除の大ダメージを受けた戦兎の首根っこを掴まえたスタークは、これ見よがしにその首を締め上げながら涙を流さんばかりの声音で万丈に語りかけ、さいてー、ホントさいてー(笑)
倒れた万丈がいちゃいちゃ回想モードに入って舞い落ちる桜の花びらのエフェクトが画面を横切り、今作の香澄の使い方は第2話からずっと好かないのですが、トップギアに入れてきたスタークは安定の面白さ。
「なんで、体がうごかねぇんだよ! なんで、立ち上がれねぇんだよ……! ……あいつは……俺を信じて、くれたんだぞ。俺の明日を……作ってくれたんだぞ。……なのに……俺は……また! なんにもできねぇのか」
ほら早く、スターク師匠、加減しながら待ってる!
「…………いいのか。ホントにいいのかよ……。…………いいわけ…………ねぇだろぉぉぉぉぉ!!」
立ち上がった万丈の瞳が紅く輝き、火星パワーに覚醒。
「いいぞ……いいぞばんじょぉぉ!!」
大喜びのスターク師匠がパンドラボックスから火星ビームを投射すると、黒いフルボトルが赤熱して新たなボトルへと変化し、それをナックルに差し込んだ万丈は、溶鉱炉の中身を浴びると龍が生じるイメージで、クローズマグマへと変身。
「力が漲る……魂が燃える……俺のマグマが、迸る!」
溶岩流をイメージしたと思われる色彩と全身にあしらわれた龍が格好良く、ドラゴンモチーフを更に積み上げてきたクローズマグマは、灼熱のマグマパワーでクローンスマッシュを撃破。
「もう誰にも、止められねぇぇ!!」
「いいぞ万丈、おまえの本気を見せてみろ!」
その攻撃を受け止めるスタークの、師匠ごっこも最高潮だ!
「上等だ! 今の俺は、負ける気がしねぇ!!」
打撃でスタークを押し切ったクローズMは、噴き上がるマグマの龍と共に飛翔し、スタークコブラを消し飛ばして必殺キックを直撃させ、大勝利。
「ようやく、器が完成する……後は、究極のドライバーさえ見つかれば、全てが揃う……ふふふふふふふ」
クローズMに敗北しながらもスタークは満足げに呟くが、その真意をただす余裕はなく、戦兎達はパンドラボックスを強奪してタワーの外へと逃走。ボックスの力を引き出してタワーの構造を操った万丈に疑問を抱く戦兎だが、その万丈を研究していたのはなんと、葛城巧の父・葛城忍であった事が明かされ、つづく。


◆第32話「プログラムされた悲劇」◆ (監督:諸田敏 脚本:武藤将吾
山賊ライダー達により無事に東都政府へと届けられるパンドラボックスだが、猿渡ファームの仲間達の命を助けたければボックスと交換だ、と内海が猿渡に接触し、また雑な人質展開。
茶店では万丈の正体をどう明かすべきかと美空と紗羽が悩んでいたが、データを見せられた戦兎がさらっと明かし、それを万丈もさらっと返すのかと思ったらかなり深刻に混乱するので(それはそうだ)戦兎の人でなしレベルだけが上昇します!
まあ一応その後、万丈が何者であっても関係は変わらない……とフォローはするのですが、それ、美空に向けて格好つけても駄目だと思うんですが。
「すまねぇみんな……そっちには行けねぇ。……ここで屈するわけにはいかねぇんだよ」
一方、より多くの人々を救う為、苦渋の決断をする猿渡だったが、北都ではローグが人質を逃し、内海に思い切り蹴り飛ばされていた。ローグに逃がされたファームの人達は、この後国境を越えて猿渡の所まで来てしまい、ローグの変化を猿渡に情報伝達する都合なのですが、ホント、こういう所ゆるゆる。
一貫してゆるゆるな世界観ならゆるゆるで良いのですが、こんなシビアな事をやりますよ! と看板を掲げている一方で、物語の展開を楽にする為にゆるゆるにしてしまうのが、ホント困ったゆるゆる。
パンドラボックスの力を背景にとうとう恫喝外交を始める東都首相だったが、「おまえどうせ使わないから脅しにならない」と難波首相にばっさり言われて目が泳いでしまい、吹き飛ばされても吹き飛ばされても何度でも帰ってくる、とにかく体力的にはとてもタフな歯車兄弟は再び東都へ侵攻。
その歯車兄弟は本命から目を逸らす陽動……はまあいいとして、五分刈りが先にやられないとパワーアップできないスーパー歯車システムは、いい加減なんとかならないのでしょうか(笑) そして別に、パワーアップしても脅威度がさして上がるわけでないという。
香澄の墓前で愚痴っていた龍我は戦意まで喪失しており、止まらない戦兎の人でなしレベルだが、腕輪から聞こえてくる悲鳴に立ち上がった万丈はボックスを狙い東都官邸へ迫るローグとスタークへと挑む。
「こいつは俺に任せろ!」
クローズの相手を買って出るスターク、今回も、一度は言ってみたかった台詞を言えて満足です。
「おまえの力は俺と、同じ。世界を滅ぼす為にある」
「なに言ってんだ……意味わかんねぇんだよ」
「おまえがここに来たのは東都を守る為でも、戦兎を助ける為でもない。――戦いたいからだ。戦う事でしか満たされない。全てを滅ぼすまで戦い続ける。おまえは、そういう星の下に産まれたんだ」
「……違う……俺は違う……」
「否定しても無駄だ。おまえは、人じゃない」
スタークに蹴り飛ばされた龍我は階段を転がり落ち、スーパー歯車ンをグリスに任せてやってきた戦兎が、龍我にどんな言葉をかけるのか、階段の最上段にどかっと座って見守るスタークーーーーーー(笑)
「しょぼくれた顔してんな。……おまえは休んでろ」
敢えていつも通りの態度で変身しようとする戦兎だったが、大変間抜けな効果音が鳴ったところで万丈の手がその足を掴む。
「俺は……仮面ライダーだ」
立ち上がった万丈は戦兎を押しのけると自らの足で階段を登っていき、スタークへ向けてナックルを構える……
「たとえ人じゃなくても、あんたと同じ力を持っていても、俺とあんたは違う。あんたがこの世界を壊すっていうのなら、俺はこの力を、愛と平和の為に使う。それが俺の信じた、仮面ライダーだ!」
善と悪が力の根源を同じくし、英雄と鬼の表裏一体性を描く改造人間テーゼの本歌取りが、万丈を持ってなされる、というのは意外性も加えて非常に格好良く、個人的には大変久々に、今作で素直に盛り上がれました。
戦兎が居たから、万丈はここまで辿り着けた、という事ではあるのでしょうが、「愛と平和」というキャッチフレーズも思考のシンプルな龍我の方がはまっており、背後で立ち尽くす戦兎を10馬身ぶっちぎるヒーロー加速。
「変身!!」
前回に続いて挿入歌をバックに連続攻撃でスタークを押し込んだマグマは、マグマオロチキックからボルテックナックルでスタークを撃破。
「さすがだな万丈……だが、運命には、逆らえない。ふははは、ふはははははは!」
地面に転がったスタークは煙となって退場し、その間に再びパパとご対面するローグ。ボックスは既にエージェントSと美空が持ち逃げしていたが、なんとローグはパパをさらって姿を消してしまうのだった! で、つづく。