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『仮面ライダービルド』感想・第37話

◆第37話「究極のフェーズ」◆ (監督:田崎竜太 脚本:武藤将吾
「この10年で地球がたまらなく好きになってね。人間ていうのは、本当に、面白い生き物だ。もっとじっくりこの目で観察していたい。あんたとも、仲良くやっていくつもりだ」
完成した仮面ライダーではなく戦兎の体に憑依してしまった事により、エボルトリガーを用いて完全体になれなくなったエボルトはスポンサーに擦り寄り適当な事をまた口にしているのですが、マスターに憑依していた影響により「考え方が変わった」旨の発言は以前にもあり、仏心を出すようというような話でなしに、出来れば上手く転がしてほしい要素。
パンドラボックスを守るためにベルナージュは火星パワーでとうとう喫茶店をまるごと転移し、エボルトの遺伝子を失った事で変身不能になった万丈は、もう一度、仮面ライダーにしてくれ、とヒゲに掛け合う。
「俺の力じゃ無理だ」
「なんでだよ」
「科学の事はさっぱりわからない」
「あんた……研究所の所長だったんだろ?」
「それは…………親父のコネだ」
「言い切っちゃったよ」
……改めて幻徳の坊ちゃん気質をギャグっぽく入れているのですが、どちらかというと、氷室パパやはり色々と問題のある権力者だったのでは疑惑が募ります(笑)
…………ま、まあ、政府機関ですし、所長自ら研究分野に詳しい必然性は無いですよね!
右から左に、書類にハンコを押すのがお仕事です。
「俺にはできない。ライダーシステムを使って戦うには特定の閾値を超える強い思いが必要だ。俺にとってそれは、親父に国を託す事だった。……親父を亡くした今、戦う理由が見つからない」
完全に無職引きこもりと化していたヒゲは戦いへの協力を拒み、パンドラボックスを持ってこないと戦兎の人格を消す、というE戦兎からの電話を受けた万丈と猿渡は、戦力不足を承知で呼び出しの場所へ向かう覚悟を固める。
「あいつはいつも他人の為に戦ってきた。自分の犠牲を顧みずに。俺たちがやらねぇわけにはいかねぇだろ」
駆け出す猿渡ですが、戦兎のこの犠牲の精神を、やたらめったら周辺人物が肯定的に扱うのも、後半戦入ってからの今作の引っかかる部分の一つ。戦兎が他人の為の戦いに自己犠牲をいとわないのって結局“自分が無い”からなわけですが、さすがに物語も3分の2に到達しているというのに、自分が無いから自己犠牲できる主人公、というのを周囲が無批判にヒーローとして扱い続けるのは、大変不満です。
まあ今作のヒーロー像がそれだ、と言われれば個人的に相性が悪かったと思うしか無いですし、今作にはどうも「昭和的ヒーローを平成ライダーの文脈で肯定的に描きたい」みたいな節が見えるのですが、それをやるには、昭和的ヒーローのパワーと、今作の振り回す理屈がミスマッチであったかな、と。
あと、1クール目における、理想のヒーローを演じようとしていた戦兎、ってそれはそれで成立していたのですが、葛城巧問題が発覚した後の戦兎は、紆余曲折あってそれを乗り越えて真・桐生戦兎になったというよりも、戦兎と葛城と双方のアイデンティティを喪った虚・桐生戦兎という印象で、桐生戦兎にとっての理想のヒーローを演じようとしているようにさえ見えない、というのが中盤以降の桐生戦兎という存在を好意的に捉えられない部分。
そんな戦兎の掲げる「ラブ&ピース」はあまりにも普遍的すぎてそこに全く“個”が見えないのですが、“個”が無いからこそこの言葉を掲げる事ができ、それが個を動かす旗印になりうる……という見方も出来るのですけど、個人的にはそこに桐生戦兎の“個”も欲しいし、“個”を得るためにもがく戦兎が見たいのであって、“個”を放棄してしまった(ように見える)戦兎には魅力を感じられないでいます。
だからこそ、“個”を掴み直した万丈が鮮烈になった、とはいえますが。
何度か書いていますが、万丈も美空も猿渡も、もっと中盤に戦兎を殴っておくべきだったと思いますし、なんだかんだ身内が誰も戦兎を殴らないというのも、今作の悪癖。そういう点では前回今回と、猿渡がヒゲを殴ってきたのは、今作らしからぬ展開でおお、と思ったので、最終クールで誰か戦兎を殴り飛ばす事で、真の芯が入ってくれる事を期待したいです。
「おいヒゲ。……国を束ねられるのはな、親父さんだけじゃねぇ筈だぞ」
とうとう作中で、「ヒゲ」と呼ばれてしまった(笑)
戦兎を取り返す為にエボルに立ち向かうグリス&万丈だったが、その前には久々登場の歯車兄弟が立ちはだかる。ここに来てちょっと格好いいダブル歯車アタックがグリスを捉える寸前、横から飛び込んでそれを粉砕したのは仮面ライダーローグ。
「遅くなったな……ジャガイモ」
本日もシステムの都合で歯車弟はさくっとやられ、しかしスーパー歯車もローグは瞬殺。
つまり、「ライダーシステムを使って戦う為の特定の閾値を超える強い思い」=みーたんへの愛という事です。
「おまえに 握手券 この国は渡さない」
「親父の代わりに ファンクラブをまとめる 国を治めるつもりか?!」
「俺にその資質も資格も無いことは自分が一番よくわかっている。俺に…… 親衛隊 国はまとめられない。だが! その礎を築く事はできる。――愛と平和 とみーたん の為に。グリス、行くぞ」
アイドル友情パワーでエボルに立ち向かうグリログだったがエボルに叩きのめされ、その戦いを見ながらある事に気付いた万丈、戦兎を取り戻すべく必殺のヒロインムーヴによる抱きつきを敢行し、ボトルホルダーからEドラゴンボトルを奪う事に成功。自らの体内から精製されたドラゴンボトルならば、再びその力を解放できるかもしれない……ボトルを握りしめた万丈は、果敢にエボル目がけて拳を振るう!
「おお……懐かしいなぁ。前はこうやって、おまえのハザードレベルを上げたもんだ。しかし! あの時と決定的に違うのは、おまえには俺の遺伝子が入ってないって事だ」
敢えてそのパンチを受け止めたエボルは嘲笑と共に殴り飛ばすが、万丈は“ただの人間”として、それでも立ち向かい続ける。
「まだだ……何度だって……立ち上がってやるよ」
「幾らやっても無駄だ。おまえはただの人間なんだ。俺に勝てるわけ――……ぬぅぅ?! あ、なにぃ?!」
やられリアクションだって、毎日鏡の前で30分、トレーニングを欠かした事はありません!
「うぉりゃぁぁぁぁぁ!!」
青白い炎をまとった万丈のストレートがエボルを捉え、黄金に変化するEドラゴンボトル。そして飛んでくる、クローズドラゴン。……解体されていなかった!
てっきりマグマナックルの素材にされてしまったのでは、と疑っていたミニドラゴンにGドラゴンボトルを装填する事で、万丈はノーマルクローズにえんじ色が混ざったグレートクローズドラゴンに覚醒。
「馬鹿な……俺の遺伝子は全て取り込んだ筈。新たな遺伝子を創造したというのか?」
「戦兎……おまえがくれた力で、俺たちは明日を創る! 力を……貸してくれ!!」
戦兎の作り出した、万丈を導くための龍は猛き咆哮を放ち、エボルラビットと拮抗する戦闘力を見せるグレートは更にマグマに強化変身。グレートそのものが強化フォームなのではなく、基本フォーム覚醒版という事で、格好いいマグマがお役御免にならなかったのは良かった。
「力が漲る! 魂が、燃える! 俺のマグマが、迸る! もう誰にも止められねぇ!!」
「これが……仮面ライダーの力……」
グレートマグマの怒濤のラッシュがエボルラビットを叩き伏せ、チャンスとばかりにグリログも参加してのトリプルライダーキックが放たれるが、エボルは咄嗟にエボルトリガーを取り出してそのキックを受け止める事で、爆発的なハザードエネルギーを吸収させ、エボルトリガーの起動に成功してしまう!
「ふふははははははは、真の力よぉ、甦れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!」
荒れ狂う漆黒の竜巻の中で戦兎の肉体はエボルから分離するが、パンドラタワーを背景に、白黒を基調した新たなエボルが誕生。そして、目を覚ました戦兎はどこかぼんやりとした表情で……
「俺は葛城……葛城巧だ」
で、つづく。
次回――大混乱の世界を、滅ぼすのは誰だ?!