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『獣拳戦隊ゲキレンジャー』感想・第35−36話

◆修行その35「ギュオンギュオン!獣力開花」◆ (監督:諸田敏 脚本:横手美智子
「理央ちゃん……あなた、マク様とそっくり」
クラゲはタイムトラベル技の応用で理央とメレにクマが臨獣拳を創設した際の出来事を見せ、サイマスクから後継者に指名されたシャーフーがその座をマクに譲った事から、誇りを傷つけられたクマ様が強さのみを求める鬼となってしまった過去が明かされる。
「ダーリンの優しさが、マク様を歪めたの」
以前に読んだ『証言! 仮面ライダー<平成>』(講談社)のインタビュー記事において、「高寺Pの世界観では、世界には理解し合えない正義と悪があるが、塚田Pの世界観では、世界は基本的に善で、悪にも悪になった理由がある」ような事(ちょっとうろ覚え)を白倉伸一郎が語っていたのですが、クマ様でさえ絶対悪とはおかず、猫師匠の若き日の過ちと繋げて示すというのが、塚田Pらしいところであるのかな、と思うところ(そして『マジ』『W』『フォーゼ』に通底する要素でもあります)。
そのクマ様は、「儂はこれより、激臨の大乱を終結させる」とリンシー軍団を引き連れて出撃し、止めに入ったゲキレンジャーは、いよいよマクと対峙。
「儂は頂点に立つ者。儂に近づこうとする者は、ことごとく叩き潰す」
そして、いち早くスクラッチを飛び出し、最も巨大なゾワンギゾワンゴの気配へ向かったジャンが出会ったのは――理央。
「理央……なんでお前がいるんだ」
割と直球で酷い(笑)
「ふっ……最強を探し求めマクと思い込んでやってきたのなら、それほど筋違いではない」
一方、理央様はジャンのゾワゾワセンサーの反応に、満足していた(笑)
「俺はマクを越えた。獣力開花によってな」
王様ムーヴを再起動してジャンを見下ろす理央様ですが、隅っこに棒立ちしていたらドサクサ紛れにシャワーの恩恵を浴びたという前回の大惨事の為、視線がどうしても生暖かくなってしまいます。
「おまえがいくら強くなっても、俺だって強くなる……おまえを倒す!」
「フッ。やれるものなら、やってみろ」
「たぎれ――獣の力。ビースト・オン!」
両雄は激突し、戦いの中でゲキレッドの成長を認めた理央は、拳を収める。
「ゲキレッド……マクを倒せ」
「なんだ? なんでおまえがそんなこと言うんだ?」
「おまえがマクを倒せたなら、我らのマスター達が始めた古き大乱は終結し、俺たちの……新しい大乱の幕が開く」
「俺たちの……大乱」
節目節目であらゆる地雷を起爆させ、大地に巨大なクレーターが穿たれている今作ですが、ここで、押しつけられた因縁とでもいうべき古き大乱の延長戦に幕を引き、過去の亡霊達に退場してもらう事で、自分たちの意思で自分たちの戦いを始めるのだ、という宣言は、尻ぬぐい構造の罠から抜け出す、という点も含め、大変良かったです。
「そうだ。俺と戦いたければ、俺の相手にふさわしい場所まで上がってこい」
街ではクマが圧倒的な強さで4人を蹂躙し、その戦いを見つめるクラゲ。
「有象無象どもよ去れぃ! 二度と儂の前に現れる事のないよう、髪の毛一本まで、塵にしてくれよう!」
怒りのハイパークマクマ波が4人を飲み込み消し去ろうとするが、その寸前、戦場に降り立って怒りの臨気を弾き飛ばしたのは、理央に追いつく決意を新たにした、スーパーゲキレッド!
「行くぜ、ゾワンギゾワンゴ、ギュオンギュオンだ!」
スーパーゲキレッドは過激気ブーストからのダッシュクローでクマ様のアンガーフィールドを打ち砕く有効打を浴びせ、ここでスーパーゲキレンジャーのテーマ挿入歌が入るタイミングも、非常に格好良かったです。
白からアイデンティティであるサイブレードを奪った赤は、過激気研鑽。
「俺が終わらせてやる!」
一騎打ちでクマを押し込んだ赤は強烈な一撃でその土手っ腹を貫き、膝をついたクマが爆発している内に、赤の言葉に乗せられて獣を心に感じられるようになるゲキレンジャー
さすがに100%パロディのままはまずいと思ったのか、「考えるな、感じろ」を「獣を心に感じ」と繋げるのですが、あまり上手いとは思えない上に肝心の前回の大火傷の跡は癒やすに至らず、忠臣蔵回とはなんだったのか。
「小虫どもに、なんという不覚。だが、二度は無い。儂は過去も未来も、常に頂に在り続ける。最強にして絶対の存在、臨獣ベアー拳使いのマク!!」
一斉必殺攻撃・激気統一の直撃を受けたクマ様は大爆発から巨大化し、クマ敗北という信じがたい事態に怯えてその場を走り去ったクラゲの前には、ロンが姿を見せる。
「なんなの……この胸騒ぎ。臨獣拳は、どうなってしまうの」
「終わるのですよ」
「?!」
「あなたがた拳魔の役目は終わる。憎しみ、嫉妬、そして怒り。理央は全てを身につけた」
異形の姿に変貌したロンは、胸からたくさん龍! 籠手も龍! スリッパだって龍! と全身で黄金の龍をアピール。どこからか、ぴろろろろ、ぴろろろろ、という効果音が聞こえてくる気がしますが、きっと気のせいです。
「もはや拳魔から学ぶことはない。これが私からの、感謝のはなむけです」
ロンの一撃により、クラゲ、消滅。
「理央の前に、もう古き道しるべは必要ない。残るは、未踏の頂」
タカに続いて怒濤の展開でリタイアとなってしまったクラゲですが、回想シーンで僅かに人間だった頃の過去(背中だけ登場)が描かれた影響もあってか、恐怖に怯え、ロンに驚き、最期の寸前に理央の行く末を気にするなど、どこか人間味を漂わせて死亡し、幸田直子さんの好演もあり最初から最後まで印象深いキャラクターでした。
そして巨大クマ様は、サイダインの背中にゲキファイヤーの上半身が合体、ガゼルとペンギンとウルフが余剰パーツとなった戦車形態、サイダイゲキファイヤーの最大だだっこパンチを受け、大爆死。
「マク……力を求め高みを目指し、そしてその頂から一度も降りる事なく、逝ったか」
ここに臨獣拳三拳魔は、壮絶な退場を遂げるのであった!
サイダイゲキファイヤーは、全合体ロボかと思ったら要塞結合タイプの変化球、という意外な合体でしたが、拳法要素が虚空の彼方に消滅してしまい、『ゲキレンジャー』としてはどうも納得しがたい最強ロボ。果たしてもう一つ、隠し球があるのかないのか。
クマ様はデザイン的には好きだったので、強さに執着する背景を早めに掘り下げてくれればもっと魅力的になったのでは、というのが少々残念。……まあバランス的には、致命的に低い拳聖サイドの好感度を上げた方が良いとはいえ。
「マク、そしてカタ。師弟というにはあまりに殺伐とした、命を懸けた関係だった。だが、悔いる事はない。拳魔の教えは、しかと受け継いだ」
マクの最期を見届け、臨獣殿に戻る理央とメレだが、その前に現れたロンが、ラゲクの形見として折れた杖を投げ捨てる。
「何者だ」
「あなたの影。あなたの背中についた目」
そう、理央様の愛の為につきまとうラブ・ストーカー!
「理央様、あなたは獣力開花を果たし、既に人を越えました。あとは――獣を越える」
ロンは理央に、激獣拳に勝り、臨獣拳を凌ぐ極みの拳、幻獣拳の存在を伝える。
「やはりあなたこそが獣拳を統べるもの」
「……幻獣拳……ふっ。――世界に告げよ。新たな時代が来ると」
ロンにかけ直されたマントをばさっと翻し、すっかりその気になっちゃう理央様、でつづく。
そもそもジャンが“虎の子”なので、それに相対する“龍(ロン)”が登場するのは初期からの想定通りと思われますが、ロンが黄金の龍をふんだんに盛り込んだ正体を披露した事により、プレシャス<闇の三つ首龍>の力を受け入れた真墨完全体=理央様という構図が確定したのは、わざとなんですか? わざとなんですか?!
前回のカタの退場には不満を漏らしましたが、今回一気に3拳魔が退場という事で、ある程度は納得。1クールを残した所で、「突き詰めれば先達の尻ぬぐいの代理戦争に若者達が駆り出される」という構図を抜け出したのは重ねて良かったですし、そこから「俺たちの大乱」に移行する為の、新展開へのスプリングボードとして十二分に劇的な華を添えてくれました。
まあ拳聖汁まで飲んだクマ様が動いた途端に死んだり、その勝利の根拠がほぼ「激気魂シャワーを浴びたから」しかないのは、やはり苦しいですが。
そして、「俺たちの大乱」の先頭に立っている理央様が、過去からの因縁に関わっているとおぼしきロンに手玉に取られているというのも悩ましいのですが、理央様にはただの道化に終わらず、納得の行く素敵な破滅を迎えていただきたいです。
かくして臨獣拳サイドの社長交代劇と悪のコンサルタント正式就任、が印象的に描かれる反面、練り団子から復活した拳聖達は数秒の1シーンで済まされてしまうのが、あちらとこちらを両立できない今作の構造的問題点の一つなわけですが、果たしてこの先、シャーフーからクマやクラゲへのコメントは、有るのか無いのか。


◆修行その36「ムキュムキュ!怪盗三姉妹」◆ (監督:諸田敏 脚本:小林雄次
ある日の事、サメがゾウの家に引っ越すのを何故かレツが手伝っていると、ゾウの所持する伝説のダイヤを狙い、3人組の怪盗が昼日中から現れる。
「ローズ」
「リリー」
「チェリー」
「「「美しいものはなーんでもいただく。我ら、快盗・花吹雪三姉妹。ずっきゅーん!」」」
快盗三姉妹役に、ラゲク・ゲキイエロー・グラビアアイドルを配した閑話休題エピソードなのですが、レツ・サメ・ゾウが三姉妹とバトルしたり合コンしたりしている頃、スクラッチでは操獣刀を巡る醜い争いが発生しており、何故かピンポイントでゲキビーストだけを振り返る回想・JAE&レツの生アクション祭@酔拳・グラビアアイドルお色気展開、が闇鍋状態で横転していき、酔い止めが必要になるエボルマッチ。
一応中心は、レツの拳法にときめいた美人快盗と宝石を巡るドタバタ劇なのですが、根本的なところで、マンガやアニメならまだともかく、実写で「アル」語尾の中華娘、というのは見ていて軽く引くレベルで無理があり、信用度の低い小林脚本、悪ノリに定評のある諸田演出、オマージュにこだわりすぎてバランスを見誤る事がある塚田P、と何もかも負の錬金術を起こした疑い。
「レツさん、あなたの拳法、なんていうアルか?」
「獣を心に感じ、獣の力を手にする拳法、獣拳さ。僕はその中でも、特に技の美しさを究めている。技で大輪の華を咲かせたいんだ」
ニヤニヤしながらグラスを口に運び、気取って斜めに視線を向けるレツは久々にヘビーなナルシストぶりを発揮し、モテ回なのに好感度が一切上がらないという、ファンタスティックな大技を披露。
「ゴウ先輩のゲキビーストも、いかしてますよね〜」
クラッチではおべんちゃらを使いながらケンがゴウをマッサージし、ホント今作、こういうの、わざとやっているんですかね……?
メレ様に賄賂を求められた落ちこぼれのリンシーが宝石を巡る争いに絡み、最終的にはカブトアーマーを身につけたまま巨大化。師匠・実家の取引先の偉い人・先輩、からのパワハラに次ぐパワハラで精神的に追い詰められたケンがサイダインを起動して大暴れし、
「よっしゃぁぁ!! どうだ、見たか! サイダイオーは、俺のもんだぁぁぁ……!!」
と物凄く力に溺れて執着する姿を見て、「ちょっとからかいすぎたかな」で済ます、獣拳の闇はどす黒い。
臨獣殿には、巨大な棺桶を引きずるロンの同胞が現れると、幻獣王・理央にかしづき、理央様が「その名前、いいね!」とますますその気になったところで、つづく。