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『獣拳戦隊ゲキレンジャー』感想・第37話

◆修行その37「ギャンギャン!お見合い問答無用」◆ (監督:加藤弘之 脚本:横手美智子
ランが代々続く大地主の家系の一人娘である事が明かされる、母が来る編。そして母・宇崎怜子(美保純)は、ランにお見合いを強制し、ケンの悲痛な絶叫が響き渡るのであった!
「ランちゃんがゲキレンジャー辞めたら、男ばっかりになっちゃう!!」
野生児(すぐ脱ぐ)・ナルシスト(部屋で脱いでいそう)・俺様(脱いでた)・胸毛(脱ぎたがりそう)……率直に言って、地獄絵図ですね。
ビーストアーツが史上空前の危機に直面している頃、神秘と幽玄の生き物・13体の幻獣の力を得る幻獣拳について語るロンは、中天の夜空に輝く幻獣王、その周囲に位置する四幻将、それを支える双幻士……幻獣拳を司る13の星について解説。
台詞だけだとわかりづらいと判断したのか、13の星にそれぞれテロップ付くのが若干間抜けでしたが、プラネタリウムのお兄さんとなった闇のコンサルタントは、次なる企業戦略として、幻獣王・理央、最後の四幻将・メレとなる為に、幻獣拳の調整者(怪しい)である自分と、血盟の儀式(怪しい)をしろと持ちかけてくる。
理央様への愛に前のめり気味なメレは、ろくに話も聞かずに契約書にサインをして臨気を幻気に変容させる儀式を行い、幻獣バジリスク拳士に仕える双幻士の一人である、幻獣ケートス拳士と共に、悲鳴と絶望を集めるべく街へ。
塚田P作品というと『マジレンジャー』において、冥獣→冥獣人→冥府神、という形で敵勢力の怪人ポジションを段階強化していましたが、今作では臨獣→幻獣となるに伴い、モチーフが現生生物から神話的生物へと劇的に変化。三拳魔の退場も効果的に機能しており、こういった、階層をハッキリさせて子供心に訴えるグレードアップ、というのは好みな部分です。
残念なのは、モチーフの取り込み方が明確だった臨獣拳士の方がデザインラインとしては好きという事ですが、幻獣拳士は、原典要素+十二支?+アルファ? というデザインでしょうか。なんとなく金属的な意匠が組み込まれているのが何かルールがありそうですが。
一方、見合いの現場に乗り込んだジャン達は、男だらけの獣拳戦隊を阻止しようとかつてなく真剣な表情を浮かべるケンの音頭で、ランの見合いを妨害しようと激気を高めていた。
「この見合い、ぶっ潰す!」
幼い頃からの厳しい躾の影響で、母の「問答無用!」の言葉に身がすくんで逆らえない体質のランだが、ケン達の入れ知恵により肉を切らせて骨を断つと腹をくくり、見合い相手の前でブーブークッションを鳴らし、つけ鼻毛を見せつけて粗相を連発するもかえって好感度ゲージが振り切られてしまい、この危機に慌てて飛び込んでくるチンピラ一同。
「ラン姐さん! 俺を捨てないでくれよ!」
「おまえが居ないと、ノーライフ」
「君は僕の、芸術の女神なんだよ」
それぞれ思い思いの愛のベーゼを奏でる男衆ですが……レツの演技がちょっと、ウラタロスになっているぞ(笑)
「けっこーーーん! にゃ! は、は! けっこんけっこんけっこーん! ラン、俺と、けっこんこーん!」
トドメに乗り込んできたのは、半裸のパンダ仮面(やっぱり脱いだ)。……まあなんというかホント、これを、厭味無く笑いとして見せられる鈴木裕樹さん、割と凄いなとしみじみ(笑)
そして真剣なりに何も考えていない結果、割とストレートにプロポーズになっているのですが、そういう意味では全く動揺しないラン、どこまでも、たいそうのおねえさんの道。
「まさかランさん、二股どころか四股などという破廉恥な真似を?!」
お母様、割と発想酷かった(笑)
「……そうなんですお母様!」
そしてこの際、毒を食らわば皿までと前掛かりになるランだが、ドタバタ騒ぎを一喝して静めたお母様は、乱入した不審者達がスクラッチ関係者だと気付き、ランをスクラッチから退社させようとする。しかしその時、これまでとは匂いの違うゾワゾワにジャンが気付き、街へと男達が走るが、ランの前にはたすき掛けに長刀を構えたお母様が立ちふさがる。
お母様はラン入社の見返りとして、スクラッチから次元圧縮の技術供与を受けたのです。
「母には、ランさんの幸せに通じる道筋が、ハッキリ見えているのですよ」
宇崎家の為、素直に言いつけを守るお人形であったランが突然、陸上を辞めて拳法を学びたいと言い出した時の事を思い返す母。
「先日、素晴らしい猫さんに出会いまして」
「は?! 猫?!」
……それは、お母様も不安を抱えて当然ですね。
「私も、誰かの為に生きてみたいと思ったのです」
母を説得しきれないまでも社会勉強の一貫としてスクラッチ入社を取り付けたランは激獣拳を学んでゲキレンジャーとなるに至り、今、母の長刀を真っ向から受け止めると、あの時には伝える事が出来なかった自分の気持ちを示す為、スーパーゲキイエローへと変身。
「来て下さい! 今の私を、私の選んだ道を見せます!」
「嫌です! 母は行きません!」
「問答無用!」
ここでランが高圧的な母から逃げ続けていただけではなく、母親もまた、自分の手を離れようとしている娘を受け入れる事が出来ずに目を逸らし続けていた、という“弱さ”が織り込まれたのは大変良かったです。
自立した大人達の戦隊である『ボウケンジャー』を別とすると、『デカ』・『マジ』・ここまでの今作、は作品の特質といって良いレベルで明確な母性賛美の傾向があったのですが、家の為に娘の進む道を縛り付けてお見合いを強制する、という負の面と、それにまつわる弱さが母親像として描かれた、というのは、興味深いスパイス。
「こんじょーーーーーー!!」
幻獣ケートス拳士の超音波攻撃に苦戦する男衆の元に駆けつけたスーパーゲキイエローはED曲をバックに不意打ちを炸裂させ、「道」というテーマから狙い澄ました演出が会心の一撃
「日々是精進! 心を磨く! ――過激にオネストハート! スーパーゲキイエロー!!」
根性ラッシュからの名乗りも大変格好良く決まり、ある意味でこれは、母の強さ(笑)
「情けないわよみんな!」
幻獣ケートス拳士を殴り飛ばしたイエローは野郎共に活を入れ、とことんヒロインにはなれないのですが、これはこれで良い所に収まったと思います。プロデューサーのチェックが非常に厳しかったという今作、どこまで脚本家の個性が出ていたのかは計りがたい部分はありますが、劇中の抑えるべき要素を拾って物語の根っこをまとめるスキルの高い横手さんの良い所が出て、宇崎ラン的なるものが綺麗に着地してくれました。
「根性出しなさい!」
そしてこのロジックの無さが、凄く、ランです。
「問答無用! どんな攻撃だろうと、根性にはかなわないわ!」


誰も知らない場所へ行くなら キミの後ろに道が生まれる

「ランさん!」
「ランはうちのキャプテンなんですよ。仲間を支え、導き、人々を守る。そんな大変な……でも、大切で、大事な事をしています」
おいしい所で出てきた真咲さん、戦いを見守るお母様にキャプテンネタを説明。
「あんなに大人しくて引っ込み思案だったあの子が……信じられない」
……考えてみると、家の抑圧から解放されたランが、外で権力欲に取り付かれて同僚と後輩にパワハラを行っている、という物凄い業の深さ。獣拳の闇は以下略
「みんな、ついてきて! あたしが先頭に行く」

Just feei it, Don't think 'bout it キミだけの道!
Go for it, Don't give it up
極め続けて…ゲキレンジャー

一斉突撃した5人は根性ダッシュで音波攻撃を切り裂くと、合体ド根性ボールを直撃させ、巨大化に追い込む事に成功。
「何かが背筋を這い上がってくる感じ。気持ち悪いのに気持ちいい……これが、幻獣拳の快感?」
体内の幻気の昂ぶりを感じるメレと実況のバエが見つめる中、巨大ケートスに苦戦する3大ロボだが、母の声援を耳にした黄が根性で奮起するとゾウファイヤーで反撃。だがトドメを刺そうとしたサイダイオーは、部下を助けに現れたバジリスク拳の重力制御により行動不能に陥り、ゲキトージャとゲキファイヤーも完敗。
「こいつらは所詮遊びの相手」
四幻将の一角がその力を見せつけ、ゲキレンジャーは大変久しぶりに、わざわざ相手をする価値もない自販機の下に入り込んでしまった1円玉として見逃されるのであった(笑)
「やっぱママは、ホワホワなんだな」
「そうよ。時々ギャンギャンになっちゃったりするけど、でもママは、ホワホワなの」
お母様はランが自分の道を進む事を認め、抱きしめ合う母娘の姿に納得するジャン。
「羨ましくなったか、ジャン?」
「そんなことないよ」
「よし、俺たちで抱きしめてやろうぜ。レツ、ゴウ」
ノリと勢いでケン・レツ・ゴウがジャンに抱きつくと、さすがのジャンも男臭さに顔をしかめて逃げ出し、ある意味で、歴代でも暑苦しい系に属するゴウとケンが揃って居るから出来るネタではあったな、と思うのでありました(笑)
一方、ゲキレンジャーがエピソードの8割をギャグ空間で過ごしていた(割には解体の危機に陥りそうになっていた)事など知らぬ臨獣殿では、終始シリアスな進行でメレ様が幻獣フェニックス拳に覚醒し、絢爛豪華な姿にスーパー化して、つづく。
「全ては、理央様のために」
おまけコーナーは、いい加減ネタがなくなったのか<もしもシリーズ>で、ランのウェディングドレス姿と、残された汗臭い男達のむさくるしい戦隊を披露。……レツは制汗スプレーとか使っていそうだけど、ゴウ兄さんはむしろ、自分の汗がかぐわしいとか思っていそう。
…………まあ、これ以上、地獄の蓋に手を掛けるのはやめにして、巨大戦のラストでで久々に(いつもの)こそありましたが、ここ最近の『ゲキレンジャー』では、断っトツに面白かったです。
惜しむらくは、これまでのランの描写と、今回のお嬢様設定や抑圧された少女時代がピタッと繋がってはこなかった事ですが、それでも「キャプテン」設定を上手く取り込んで「道」と繋げ、複数の意味でゲキレンジャーにおけるランの存在の重要性を描き、ランも持っている「母」という要素を肯定して着地させる、というのは横手さんの持ち味も活き、単体エピソードとして見てもテンポ良くて秀逸。
激獣パートと臨獣パートでガラリと空気を変える、というのもメリハリとして上手く機能し、これが戦隊デビューとなった加藤監督(監督デビューは『燃えろ!!ロボコン』)も、良いお仕事でした。
次回――「おまえは一生、俺の物真似をして暮らすのさ!」