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『星獣戦隊ギンガマン』感想・第37−38話

◆第三十七章「ブクラテスの野望」◆ (監督:小中肇 脚本:小林靖子
ヒュウガは傷ついたタウラスを治療する為、人里離れた山岳地帯で寝起きを共にしていた……とここ数話の、黒騎士不在や到着の遅さを補強。兄の元を訪れたリョウマは、その地がタウラスの生まれ故郷に似ている事を教えられ、照れるタウラス、それを微笑ましく見つめるリョウマとヒュウガ、とこの後の展開を考えると、「故郷」というキーワードを忍び込ませつつ、タウラスに可愛げを与える手管が卑劣! 卑劣なり小林靖子……!
リョウマとヒュウガは折角だからと剣を打ち合わせ、兄の貫禄を見せつけるヒュウガ。
「リョウマ、おまえは訓練となると無意識に剣捌きが鈍くなる。闘いでは何が起こるかわからないんだ。相手によって遠慮してたら勝てないぞ。……例えば」
ニヤリと笑ったヒュウガは、訓練用の木の枝を捨てると、黒騎士剣を抜いてリョウマへと躍りかかる。
「この俺が敵になる事もある!」
打ち込まれたリョウマもそれを凌ぐと、ヒュウガの視界から外れて死角から星獣剣を突きつけるという、成長を披露。
「あんまり甘く見ないでくれよな。もし戦わなきゃいけないなら、俺も容赦はしないさ! たとえ兄さんでもね!」
「上等だ!」
弟の成長に笑顔を浮かべたヒュウガは再び剣を振るい、戦隊史に残りそうな勢いの爽やか人間兵器兄弟は戦闘訓練を続行。二人の放ったアースの炎がぶつかり合う映像は格好いいのですが、君たち、タウラスの故郷に似た山の中で、爆発起こすな(笑)
剣を握って命のやり取りをしていると、生きているって気がするな……! と訓練を終えた兄弟は、美しい夕陽を見つめながら満足げに汗をぬぐう。
「リョウマ」
「え?」
「どんな事があっても、必ずバルバンを倒そう。この星の全てを守る為に。それに……いつか、ギンガの森へ帰る為にも。……このアースに懸けて」
ヒュウガはその掌中にアースの灯火を掲げ、それに並ぶリョウマ。二人の炎の色が、微妙に違うのは丁寧な部分。
一方バルバンでは、ダイタニクスに星獣の心臓移植を行う、という大胆な作戦が提案され、負傷により結界を張る力も弱まっているゴウタウラスがその標的とされる。大量の麻酔弾と共に白黒剣士が率いる部隊を目にしたのは……九死に一生を得て海岸に流れ着き、ゼイハブへの復讐に燃える樽爺!
自らの手足となる戦力を求めて頭をひねっていた樽爺は、魔人部隊の行動からゴウタウラス――そして黒騎士に目をつけ、安全圏から他人の作戦に厭味を言ったり、姪っ子の太鼓持ちをしたりという安穏とした暮らしで鈍っていた頭の回路が死の瀬戸際を経験する事で目を覚ましたのか、その知謀が往年の輝きを取り戻そうとしていた!
山岳地帯へと侵攻してきた魔人部隊に立ち向かう黒騎士とギンガマンだが、黒の一撃や炎一閃はおろか、ギンガマンのあらゆる攻撃をコピーした上、一手先んじる事でオリジナルを上回る威力の攻撃を放つ、白黒剣士に大苦戦。
「貴様等の動きも武器も、全て調べ尽くした。この俺に、指一本触れる事すらできんぞ。次にどういう攻撃に出るか、全てわかるからな」
本人の言動によると、コピーではなく、あくまでもインプットしたデータを元に再現しているようであり、ブルライアットに星獣剣、モーク竹輪から機刃に至るまで、宇宙に一つレベルのオリジナル武器を準備しているという、バルバン魔人らしい出鱈目なスペック。
リョウマ達が足止めを買って出ている間に、タウラスの元へ急ぐ黒騎士だったが、なんと樽爺の仕掛けたブービートラップにはまってしまう! そして誰よりも早くタウラスの元に辿り着いていた樽爺は、なんと魔法の樽の中にタウラスを小型化して捕らえていた!
サンバッシュ編の際に、トンデモ発明能力(イリエスとの関係を考えると、科学というより呪具なのか……?)を幾つか見せていた樽爺だけに、ここで状況を大きく変えてしまうひみつ道具を繰り出す事には、一定の説得力。そして何より瞠目すべきは、幾ら焦りがあったとはいえ、戦闘民族ギンガの民の中でもS級戦士といえるヒュウガに気取られないトラップ技術であり、第37話にして浮上する、全盛期樽爺・最強疑惑。
「黒騎士……もう決まったんじゃよ。おまえが取る道は、一つしかない。儂に従え」
そしてキレキレの樽爺は、ゴウタウラスを人質に、黒騎士ヒュウガを自らの復讐の刃に変えんとする。
一方、まさかのギンガの閃光返しにより完敗を喫したリョウマ達は、負傷しながらもタウラスの元へと急いでいた。途中、ヒカルの発言からハヤテが反撃の糸口を掴み、樽爺の横槍により姿を消したタウラスを探す魔人部隊と再び遭遇した5人は、銀河転生。
「まだわからんのか……貴様等の技は通用しない!」
だが、レッドモードを発動した魔人に対し、剣を収めて荒ぶる隼の構えを取った赤は、緑を彷彿とさせる空中からの連続キックで魔人を翻弄。続けて黄が、青を思わせるパワープレーで投げ飛ばすと、緑は桃、青は黄、最後に桃が赤、というなりきり作戦で次々と有効打を与え、ギンガマンギンガマンなので、仲間の戦闘手段は熟知しているのだ! というこの、有無を言わせぬ説得力(笑)
コピーにこだわり、技に溺れた白黒剣士を追い詰めたギンガマンは、満を持してギンガの閃光……と見せかけてバイクで轢殺。
第32話で強引に挿入された後、およそ一ヶ月に渡って1カットも登場していなかったバイクだけに(前回からOPに登場しているのが凄い違和感)、データ系の敵に対する決め技として物凄い説得力でした(笑)
巨大化した魔人はギンガイオーすらコピーしてみせるが、むしろ最近のギンガイオーはコピーしない方が良いわけであり、「変幻自在の技を誇る」フェニックスが、ブーメランと見せてライノスから借りてきた銃で撃つ、という今作の巨大戦にしては面白い一ひねりから、大獣王斬りでずんばらりん。
強敵魔人軍団の心臓移植大作戦を打ち破るギンガマンだったが、黒騎士とゴウタウラスは姿を消してしまい、伝説の1ページに暗雲が立ちこめるのであった……。果たして、ブクラテスの「復讐」の道具に選ばれてしまった、ヒュウガとゴウタウラスの運命は?! で、つづく。


◆第三十八章「ヒュウガの決断」◆ (監督:小中肇 脚本:小林靖子
前回の闘いの傷も癒えぬまま、ヒュウガとゴウタウラスを探すリョウマ達だがその行方は杳として知れず、兄を心配する気持ちを押し殺して休憩を提案するリョウマに、人間としての成長ぶりを感じるハヤテ。
リョウマの人間的成長は、勇太・黒騎士・ヒュウガらとの関係や対比を通して視聴者に見せていくという形が主だったのですが、ここで、ヒュウガ不在の時の姿でハヤテ(もう一人のリーダー格)から、という新バリエーションを見せてくるのが、最終クールに向けていよいよ“真のリーダー”になっていくリョウマ、という感じがします。
ハヤテなりにリョウマへ対するライバル意識があっても面白いかなと思うのですが、今回のところは、一歩引いた冷静な分析力を見せる形に。
「復讐する……と言ったな、バルバンに」
「ゼイハブを殺し、バルバンを乗っ取る。おまえにはその為の道具になってもらう」
一方、バルバンの知恵袋の座を追われた代わりに、全盛期の切れ味を取り戻した?樽爺は、ゼイハブを倒す唯一の方法として、禁断の薬草を飲めとヒュウガに迫っていた。
「……今の話は、確かなのか? 本当だという証拠は?」
「本当か嘘か、一種の賭けじゃな。じゃが、この賭けに乗らなければ、ゴウタウラスは死ぬぞ。そして、おまえもいずれギンガマン共々ゼイハブに倒される事になるじゃろう。……黒騎士、乗るしかないんじゃ。儂につけ」
樽爺にいいように使われたままだと、人質になっているタウラスと、ヒーローとしてそれを救い出せないヒュウガの株価がどんどん下がっていってしまうのですが、ここで樽爺が“ゼイハブを倒す方法”を持ち出す事により、ヒュウガが樽爺に屈する“ヒーローとしての理由”が生まれる、という構造が秀逸。同時に、その手段を飲まなければゼイハブには絶対に勝てない、と樽爺に言わせ、ヒュウガに納得させる事で、船長の脅威も補強。
「…………わかった」
ヒュウガは苦悩の末に樽爺の提案を受け入れ、いやらしい搦め手から言を弄して心を惑わす樽爺が、某コンサルタントみたいに!
滑稽な見た目もあって、頭脳として約立たなくなった中盤はすっかりコメディリリーフに落ち着いていた樽爺ですが、前回今回で完全に邪悪な策士として返り咲き、台詞回しと演出の妙、恐るべし。
一方、心臓移植を諦めたバットバス魔人部隊は、ダイタニクスの血管を掃除する為に子供狩りを始め、産業革命期イギリスの煙突掃除にまつわるエピソードを思い起こさせ、こちらも凶悪。
幼稚園バスを襲ったマグネット魔人がマグネットステッキを操作すると、子供だけが逆回しでステッキにくっつく、という映像は面白く、良いスパイス。捕まえた子供達の身長を測るところまではギャグめいているのですが、そこから一転、血管掃除に適していると採用した子供は無造作に頭陀袋へ、不採用の子供は力一杯放り投げ、命を物としてしか扱わない邪悪の表現にメリハリが利いて、小中監督が好演出。
どこかサンバッシュ軍団の発展系という雰囲気のあるバットバス軍団ですが、久々に顔を出した、ギャグで人を殺せる不慮の殺伐さというのは、改めてバルバンのルーツとしてのボーゾックを感じさせます(更にその背景としては、戦隊シリーズが表現の中に持つ“子供の残酷さ”という源流があるのでしょうが)。
投げ飛ばされた子供は地面に叩きつけられる寸前にギンガマンが救い、そこに黒騎士も現れると魔人は撤退するが、黒騎士は救出した子供が山で見つけた野草を強引にもぎ取ると無言で飛び去り、先代が農協を襲撃していた頃を彷彿とさせるのが、またニクい演出。
樽爺と合流した黒騎士はギンガマンを銃撃すると姿を消し、愕然とする5人は現場に残っていた葉の形から、黒騎士が奪い取ったのがシズミ草である事に気付く。
「飲んだら二度とアースを使えなくなる。ギンガの森でも、禁断の薬草だ!」
苦節3クール、穴の空いた知恵袋として定評のあった樽爺の知識が、物語に思わぬ波紋を投げかける事に!
前回今回と何が凄いって、ブービートラップを除くと、概ね1クールの間に明かされていたスペック通りにも関わらず、カムバック樽爺が邪悪な復讐コンサルタントとして成立している事。
偉大なる先人は言いました。
「大切なのは己を鍛え、自ら強くなる事なのだ!!」
(メギド王子/『科学戦隊ダイナマン』)
立場に胡座をかかず、常に切磋琢磨する心があれば、樽爺だってまだまだLVが上がるのです。
バルバン内部の暗闘など知るよしもなく、樽爺覚醒の復讐劇に巻き込まれる形となったギンガマンは、シズミ草の効果に恐れおののく。
「アースを失くせば、戦士でなくなるだけじゃない。ギンガの森にも、住めなくなる」
大切な故郷に戻る手段を自ら失おうとする筈はなく、ヒュウガが脅されているに違いないと推測した5人は、草を煎じた匂いからモークがキャッチした洞窟へと突入。鮮やかに樽爺を拘束するが、煩悶するヒュウガはサヤを人質に取り、リョウマ達にショットガンを発砲。
「俺はアースを捨てる!」
ヒュウガはギンガマンを抜け、樽爺とオヤジギャグブラザーズを結成する事を宣言。折悪しくマグネット魔人部隊が子供狩りを再開し、ヒュウガの事情を聞き出すか、子供達の救出に向かうのか、苦しい選択を迫られる5人。リョウマはハヤテ達4人に救出活動を任せて兄と対峙しようとするが、球際で存在感をアピールせずにはいられない崖っぷちのメンバーが一人居た。
「私、残る!」
「サヤ! バルバンが子供達を襲ってるんだ!」
「だってヒュウガがアースを捨てちゃう!」
「行くんだサヤ! お前は戦士だろう!」
〔ヒュウガがアースを捨てる → ギンガの森に住めなくなる → 全ドリーム崩壊〕という乙女の一大事に必死に食らい付こうとデュエルを挑むサヤだが、おまえの好感度では《説得》は不可能だと、バッサリ股抜き。
兄の事になると目の色が変わるリョウマに無惨に切って捨てられましたが、あくまで「英雄の大義」を第一とするギンガマンとしての一線を守りつつ、ここでサヤの感情を拾ってくれたのは良かったです。
涙をにじませながらも戦士としての使命を選んだサヤは覚悟を決めて走り出し、残ったリョウマはハヤテと激突。両者の闘いを煽り、面白い見世物と称する樽爺がここに来て大変いやらしいのですが、「ゼイハブの敵」には回ったものの、ゼイハブを倒した後に考えているのは「バルバン乗っ取り」であり、牛を「人質」にヒュウガを「道具」にと、敵の敵は味方に見えてしまないように、意識して邪悪さを強調しているのかと思います。
ハヤテ達は遊園地の子供狩りの阻止に成功し、ギンガピンクは乙女の怒りを連続攻撃としてマグネット魔人に叩き込む。
一方、「もし戦わなきゃいけないなら、俺も容赦はしない」という宣言通り、ヒュウガとの死闘に身を投じるリョウマは、闘いの中で兄からの無言のメッセージを感じ取る。
「俺も言った筈だ!」
(やっぱり……やっぱり何かあるんだ。兄さんが、アースを捨てる理由が!)
ショットガンを受けて倒れながら、リョウマもまた、一つの覚悟を決める。
(兄さんが、そこまでやるというなら、俺も、俺もそれに賭ける!)
射撃の爆風に隠れてて引き下がる事を選び、絶叫しながらハヤテ達の元へと駆けるリョウマの胸に去来するのは、兄との誓い。
――どんな事があっても、必ずバルバンを倒そう。この星の全てを守る為に。
そして樽爺に自らの本気を証明したヒュウガは、禁断の薬湯を一気に喉へと流し込む。
……それに……いつかギンガの森へ帰る為にな。
今作初期から繰り返されてきた「ギンガの森への帰還」という、極めて素朴な故郷への想いは、ギンガマンが常に戦いの決着した“その先”を見据えている、という点で、恐ろしいほど使命感の強い3000年戦士でありながら同時に前向き、というギンガマンの特性を支える要素になっていたのですが、ここでそれを天秤の上に乗せる事で、ヒュウガの選択の重さに大きな説得力を持たせたのは、物語の積み重ねが綺麗に活きました。
ヒュウガは引き返せぬ道を選び、リョウマはその決断を背に銀河転生し、両者の悲壮な覚悟と深い繋がりが、大変格好良いシーンに。
仲間の窮地に駆けつけたギンガレッドは、やり場の無い慟哭を剣技に乗せてマグネット魔人を切り刻み、トドメはギンガの閃光。巨大マグネット魔人に剣を奪われて恒例のピンチに陥るギンガイオーだが、「鉄壁の守備力を誇る」ライノスが連続パンチで圧倒し、いつの間にか拾っていた剣で大獣王斬りするのであった。
「俺は兄さんを信じる。きっと、兄さんは戻ってくる! だから、俺たちは、俺たちで闘い続けよう。バルバンを倒す為に!」
ヒュウガ再び脱退、という衝撃の苦難にも、リョウマを筆頭として結束を確認する5人。
「黒騎士……頼りにしとるぞ」
一方、予想の斜め上を行くニューコンビが登場し、ゼイハブに対する復讐の牙を研ぎ澄ませようとしていた。
もはやアースの炎を灯す事ができないヒュウガの手と、兄を信じて灯火を燃やすリョウマの手が対比され、果たして、兄弟が再び、手を握り合う日は来るのか……?! そして、樽爺の知る、ゼイハブを倒す方法とは……?! ――今、伝説は終章に向けて加速する!!
……
…………
……た、た、た、樽爺ーーー?!
という事で、あまりの樽爺フィーバーに戦慄しています(笑)
前々回の予告を見た時点では、どうせちょっと引っかき回して、せいぜい前後編でリタイアするんですよね、ぐらいに構えていたのですが、まさかこんなキラーバスを放り込んでくるとは。
そして、裏庭で油田が見つかったかのような勢いで急上昇する、ゴウタウラスのヒロイン力。
ヒュウガがまたも「復讐」の道具にされてしまう、という運命が実に残酷なのですが、かつて


「ここであの子を見捨てれば……どう戦おうと、それは、バルバンと同じだ!」
と、復讐そのものではなく、復讐の結果、復讐の対象と同じ悪になってしまう事を否定した今作において、今度はバルバンという悪の中から復讐者が誕生する、という形で再び持ち込まれた「復讐」という要素が、どんな着地を見るかは注目です。
そしてこれは、己の欲望の為に他者を切り捨ててきた船長にとっては因果応報といえるのですが、サンバッシュのギンガの光、ブドーの最期に見るように、その萌芽は前半時点から物語の中に織り込まれており、構造上の仕掛けが実に念入りで説得力を増しているのがお見事。
気に掛かるのは、悪が悪ゆえに内側から崩壊するというテーゼを含みつつも、最終盤の展開如何ではMVPは樽爺、になりかねない所ですが、その岩礁を巧く回避できるのか、ここからの舵取りも楽しみです。
次回――ゴウタウラスにまで後れを取ったサヤの乙女心にスポットを当て……当て…………当たるの?