はてなダイアリーのサービス終了にともなう、旧「ものかきの繰り言」の記事保管用ブログ。また、旧ダイアリー記事にアクセスされた場合、こちらにリダイレクトされています。旧ダイアリーからインポートしたそのままの状態の為、過去記事は読みやすいように徐々に手直し予定。
 現在活動中のブログはこちら→ 〔ものかきの繰り言2023〕
 特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)

『獣拳戦隊ゲキレンジャー』感想・最終話

◆修行その49「ズンズン!獣拳は、ずっと…」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:横手美智子
理央の最終自爆奥義を受けてなお、平然と再生するロンと対峙するゲキレンジャー
「俺たちは俺たちの獣拳を信じて、それを見せてやる!」
「「「「「ビースト・オン!」」」」」
からOPイントロに入り、


獣を心に感じ、獣の力を手にする拳法、獣拳。
獣拳には、相対する二つの流派があった。
一つ――正義の獣拳、激獣拳ビーストアーツ。
一つ――邪悪な獣拳、臨獣拳アクガタ。
二つの流派は一つに還り、最後の闘いが、今、始まる!

ナレーションをバックに5人が変身する変則OP。
「おまえ達には絶望してもらいます。破壊神ではなく、私が自ら、世界を滅ぼしてあげましょう」
育成シミュレーションのやり直しが面倒くさくなったドラゴンロンは、ゲキレンジャーを一ひねりすると、都市部へ移動。東京を中心に景気良く大破壊を引き起こすが、止めに向かおうとしたゲキレンジャーの内、トライアングルの3人が突如として黒い闘気に包み込まれて気を失ってしまう。
「我らに道を示してくれているのかもしれん」
「道って?」
「ロンを倒す道じゃ」
それは理央の施した全臨伝授の影響であり、イメージの中の臨獣殿にサイコダイブしたジャン・ラン・レツは、理央メレに導かれるかのように、臨獣殿の奥へ。その間、3人が何かを掴む事を期待したゴウとケンは、ロンの破壊と殺戮を止めるべく立ち向かう。

「紫激気、俺流、我が意を尽くす! アイアンウィル・ゲキバイオレット!」
「才を磨いて、己の未来を切り拓く! アメージング・アビリティ、ゲキチョッパー!」

二人合わせて前座ーズ!!
「うるさいですねぇ……お前達には折角、人間が全部滅んだ世界を見せてあげようと思っているのに。焦らなくても、その後で消してあげますよ」
一方、トライアングルが臨獣殿の奥に辿り着くとジャンのはめていた拳魔の腕輪が光り、まさかの3拳魔が人間のシルエットで姿を見せると、究極秘伝臨技の伝授を宣言。
一体いつから狙っていたのか、くしくもちょうど3人で対応するトライアングルは拳魔の見せる型をなぞり、前座ーズが順調に前座を務める中、危機的破壊の足止めをチームで分担している間に「修行」を行うという、まさかの初期パターンが最終回で良くも悪くも復活。
そして、エフェクト見る限り、レツがクラゲ担当なの?!
ゲキレンジャー』はどうして、ランにこうも厳しい試練を与えるのか。
まあ、幻影拳を使うカタが「心」で、軟体ジェリー拳のラゲクが「技」という方が、確かに納得度は高いのですが、ですが……大輪の華!!
「あなた達にはもう面白いところは、一欠片も残っていない。だからこれで、お別れです」
トライアングルが幻影臨獣殿で修行に没我している頃、五角形になれなかった二人の悲しき前座がロンに踏まれてぷちっとトドメを刺されそうになっていたが、その時、ロンの体に絡みつく七色の布!
「可愛い弟子をいじめるやつは容赦しないゾウ!」
弟子へのパワハラは師匠の特権!
再び勢揃いした7拳聖がロンの動きを封じ、最終回オールキャストという趣向、さすがにこの局面まで傍観しているわけにはいかない、というのはわかるのですが、結果としてバイオレットとチョッパーが、前座の更に前座という扱いになり、涙の山がマッターホルンになりそうです。
せめて何とかして逆の構成に出来なかったのか……という感想を代弁してくれるかのように、それぞれ一言二言ずつの拳聖の言葉を嘲笑うロン。
「面白くない上にくだらない。では、仲良くくたばりなさい。私からの手向けです!」
真の前座、あっさりまとめて吹き飛ばされる(笑)
「まったくなんの為にやって来たのか」
「これで、いいんじゃ」
「なんですって?」
「ちゃんと、間に合ってくれたわい」
――だがそこへ、遂にメーンイベントの3人が駆けつける。その身に、真なる獣の心を宿し、高みを目指して、学び、変わる!
「「「たぎれ、獣の力! ビースト・オン!」」」

「体にみなぎる無限の力! アンブレイカブル・ボディ! ゲキレッド!」
「日々是精進、心を磨く! オネスト・ハート、ゲキイエロー!」
「技が彩る大輪の花、ファンタスティック・テクニック、ゲキブルー!」

「「「燃え立つ激気は、正義の証! 獣拳戦隊・ゲキレンジャー!」」」
一つに還った獣拳を身につけたトライアングルVSロンのスピーディなバトルが展開し、3人のコンビネーションで次から次へと繰り出される攻撃、それをさばくも徐々に追い詰められていくロン、と今作の集大成的な殺陣。……ある意味では、紫と白はこの為に排除されてしまったのでしょうが、静から動へ、型を意識したカンフーアクションの格好良さと独自性は、今作の長所として最後まで見せ場となりました。
(何が……何があったというのだ? 奴らの動き、技……迫力が違う)
紛い物と侮っていた、積み重ねてきた人の力にロンは余裕を失い、イエローの根性連打からアッパー、浮いた所にブルーが壁走りからの回転キック、よろめくロンの頭上を取ったレッドが回転からスピントルネードキック! と吊りを駆使しながらのトライアングルアタックも戦隊バトルの枠を破る勢いで格好良かったです。
「ふふふふふ……だがいくら攻撃が決まろうと、私を破壊する事はできない。どうするつもりです?」
「こうするつもりだ!」
一度は膝を付きながらも不死の存在として定命の人間を嘲弄し続けるロンに対して、トライアングルが放った切り札――それは、かつて拳聖ボールを作り出した慟哭丸により、ロンを破壊ではなく、封印する事。
「ロン! この技はおまえを封じる為に生まれたんだ!」
「そうじゃ」
ロンの存在を1ミリも認識していなかった筈の猫が勝ち誇っているのは、何故。
……いやまあ、冒頭で「ロンを倒す道じゃ」という発言があるので、ロンの存在とクマ様との関係を知り、3拳魔が自分たちに用いた慟哭丸の本当の目的を見抜いた、という事なのでしょうが。
そう考えると、激臨の大乱において激獣拳サイドが敗れていた場合、猫をプチッと殺してクマ様大満足 → 嬉々としておいでませ破壊神、と姿を見せるロン → 慟哭丸 → そんな馬鹿なぁぁぁ → 臨獣拳の世界END が到来していたのか(笑)
まあそれはそれで、世界は臨気の炎に包まれた! 世紀末クマ様伝説の開幕で大変問題だったと思いますが、しかし案外、猫を磨り潰したクマ様は憑き物が落ちて、「これからは我らが臨獣拳を農地開発に使う」と一大ファームを築いた可能性もあったりなかったりしたかもしれません。
「「「獣拳奥義・慟哭丸!」」」
「ば、馬鹿な……?! 」
「獣拳は、正義の拳!」
「正しき者は、必ず勝つ!」
「ロン! これが――獣拳の力だぁ!!」
「ふ、ふざけるな! 永遠の闇の中に封印するつもりか?! 幻獣の長である、この私をぉぉぉ!!」
トライアングルの放った慟哭丸によりロンはスーパーボール大の球体へと封印され、決着は割とあっさり。不死最強を煽りすぎたので、封印という手段そのものは妥当なのですが、ロンを封印するだけの力、という肝心要の部分、「修行」→「奥義修得」→「封印」という過程から到達可能な結果の説得力が弱い、という今作の短所が最終回でまた顔を出す事に。
ロジックとしては、「激」と「臨」が一体化した「獣拳」――正義の心で用いられた慟哭丸――だからこそ成し遂げた、として物語構造と融合してはいるのですが、例えば前回ラストの理央の自爆が不滅の筈のロンに僅かながらも損傷を与え、そこを紫と白が集中攻撃した事で幻気が流出、そのほころびにより最終的に封印が可能になった、ぐらいの上乗せはしても良かったかな、と。
かくしてロンはちっぽけな球体の中に閉じ込められ、歓喜の輪を離れてそれを拾う猫。
「……永遠の暗闇に一人、面白いことなど一つもないじゃろうな」
物凄く邪悪な笑みを浮かべたらどうしようかと思ったのですがそんな事はなく、兄弟子と元弟子への行為に対する憤りがそこはかとなく感じられる嫌がらせの一言として、久々に猫を好意的に見られる締めの台詞としては良かったです。
激臨の大乱、そしてその影に居た存在との永き戦いに終止符が打たれ、これまでになく平和な空気に包まれるスクラッチ……では、サメとゾウがロンボールを混ぜてビリヤードを行っており、最終回まで最低だった。
ロンボールの扱いとしては正気を疑いますし、意趣返しの拷問としては仮にも正義を標榜する善玉サイドのやる事ではないですし、改めて、拳聖も封印して、「永遠の暗闇で不老の身の上を呪わせた」方がいいのではないか。
フルキャストのドタバタ騒ぎの末、ロンボールはジャンが持つと宣言。
まあ拳聖とスクラッチ、拳魔の腕輪とクマ様の肝で、前科二犯ですからね!
(改めて考えると、少なくとも前者に関しては、ロンの介入があったのかもですが)
そして――三ヶ月後、スクラッチには、マスターとして子供達に稽古をつけるランとレツの姿があった。ナルシストムーヴを見せつけ、何故か今頃なつめと絡むマスター・レツはまだともかく、小学生ぐらいの子供達に、突き1000回を要求するマスター・ランの今後が、大変不安を誘います。
パワハラは、正義の拳!
そして首から慟哭丸をぶら下げ、世界へ旅に出る事を選ぶマスター・ジャン。
「俺たちの獣拳が、新しい使い手に出会う旅だ。すげぇぞ! ニキニキの上の、ニッカニカの旅になる!」
永遠の命を持つロンを封じ続ける為に3人が選んだ道、それは、獣拳を、その正義の心を伝え続け、師匠から弟子へ、そのまた弟子へ、慟哭丸を守る役目を受け継いでいく事であった。
「ズンズン! 獣拳はズンズン続いてく!」
それぞれの道を歩みながら、獣拳を通して正義の心を未来へ繋いでいく事を誓うトライアングル。
「もっともっと強くなろうぜ!」
「うん。離れてても、トライアングルは永遠よ!」
「おう!」
3人は拳を合わせてグローブの模様で三角を作り、前座ーズーーー!(涙)
「俺たち、マッチリだ!」
「「うん」」
前座ーズーーーーー!(涙)
1クール目の要素を各所で取り込むという今作終盤の構造からいっても、トライアングルへの回帰(そして1年間の成長を見せる)は意図通りだと思われるのですが、それにしてもかつてこれほどまで、悲惨な扱いを受けた追加戦士2名が居たでしょうか……。特にゴウ兄さんは、なんだかんだ理央に手を伸ばしてもらってホッとしていたら、ラスト直前に落とし穴がもう一つ仕掛けられていたというこの非道。
やはりデコトラ轢殺未遂が最後まで尾を引いたのか、マッチリに加えて貰えなかったケンは実家に戻って工場長(ゾウ)からハンマーで威嚇されながら労働を強制される、というまごう事なきパワハラを受けており、再登場した妹は、掴み合うケンとゾウにダブルぶりっこパンチを炸裂させ、最後まで謎の昭和テイスト満載でした幸子……。
ケンに旅立ちを告げたジャンは、続いてバエと旅するゴウと出会い、ハエをゴウと絡めて拾ってくれたのは良かったです。
「ジャン! おまえはどこへ?」
「……どこでもいいんだ。グイグイ進めば、それが俺の道になるから」
ゴウと別れたジャンはEDをバックに真っ直ぐな道を歩き出し、今作のキーワードと映像を繋げ、自身のルーツを忘れて世界から切り離され、一度は押しつけられた宿命に潰されそうになっていたジャンが、様々な想いを背負って「俺の道」に至る、という着地点は美しかったです。ゴウへ向けた台詞と言い回しも、もう世界から逃げているのではない、自己を信じている男の言葉として、1年間のジャンの到達点になっていて好き。
スタッフロールには名場面集が重なり、ゲキレンジャー5人に加えて理央メレも入っているのが、実に『ゲキレンジャー』として貫かれました。
最後は香港で子供達に獣拳を教えるジャンが、理央に似た拳気を持つ少年(理央少年期を演じた子供?)と出会い、理央メレの思い出を語って拳を打ち合わせて――劇終。
豪華オールキャストの最終回、良い所も悪い所も拾える要素は出来る限り拾ってサービス満点に展開し、悪意で人を弄ぶ存在を乗り越えた若者達が、次代の正義の導き手へ変わりながらそれぞれの道を進んでいく、と今作のテーゼをしっかり収めてさっぱりとした着地となりましたが、個人的には47−48話が盛り上がりすぎて、前座ーズの扱いの酷さが最も印象に残ってしまいました(笑)
悪い最終回ではなかったと思うのですが、ゴウとケンの扱いだけは、もう少しどうにかならなかったものか……。
最終局面での役割が「拳聖と一緒に慟哭丸に驚く」って、どうしてそうなった。
この辺り、拳聖に対する印象、というのは今作全体の評価に影響を与える要素かと思うのですが、私の中では拳聖、出る度にマイナスが累積していく存在だったので。
あと、これまで散々頼ってきた主題歌が今回は封印されているのですが、ここまで来たら最後までOP無双を貫いてくれても良かったのに、というのはちょっとした不満点。まあこれは、あくまで私の病状の問題ですが。
とにかく第48話が物凄くツボだったので、あれを見せて貰えたから概ね満足、という気持ちではあるのですが、道中のあれやこれやを考えると、総評としては得失点差マイナス、みたいな作品。
王道の皮をかぶった挑戦的な構成の為、様々な局面における取捨選択で切り捨てられた要素がどうしてもあって、一部にそのしわ寄せが行く作劇だったからこそ、第48話に辿り着けたであろう、という部分が複雑ではありますが。
変則的な構造であったので、後は構成分析を通してもう少し細かく解体してみようと思いますが、まずはこれまで。『獣拳戦隊ゲキレンジャー』感想でした。