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『武装錬金』討ち死にの事

身近では割とちょこちょこ話題になっていたりするのですが、個人的には、嫌いではないけれど、そんなに面白いとも思わない(かった)、というのが正直な感想。赤まる云々は最近のジャンプ編集部の常套手段なんでとりあえず置いておくとして、むしろ良く粘った、という感じだと思うわけですが。
外的要因の話をすれば、『武装錬金』の支持層というのは多くが恐らく「コミックスは買う・アンケートは出さない・ファンレターは出さない・(もしかするとジャンプも買わない)」という層であって、こーいうマンガは編集サイドも含めて、週間連載続けていく上での舵取り難しかったのかなぁと。
面白いのは、ある時期以降、本誌での掲載位置は軒並み低調だったにも関わらず、コミックスの発行部数の方は目立って減少していないのですよねぇ。売れ行きの方は初期の爆発的なものに比べれば確実に下降線を描いていると思うのですが、今月頭発売の新刊も、目立って数が急減していない。最終巻がどうなるかわかりませんが、10巻も行かずに本誌で打ち切られたマンガとしては、ちょっと珍しいと思われます。
この“ねじれ”が良くも悪くもこのマンガを悩ませた所はあるのだろうなぁと。
内容的な話をすれば、結局、和月信宏はギミックの作家では無かったという事に尽きると思うのですが。
特殊武器(武装錬金)+キャラクター、という要素だけで話を回せない。
前にもちらっと書きましたが、極端な話、こういう設定で物語をやるならば、特殊武器だけでキャラクターを表現できるぐらいの事も必要になるわけで、そういう能力は、残念ながら和月は低い。低い、という事をこれで自覚できれば、それは絶対今後の為に良いと思うのですけど。
まあ、和月さんの場合は多分、「美形キャラへのトラウマ」みたいなのが変に根付いてしまった所があるのでしょうし、これに関してはむしろ被害者な気もするのであれですが、そろそろ、諦めてそれは乗り越えていかないと駄目だろうなぁと。
シルエットでキャラを表現したい、みたいな事は『るろうに剣心』の頃から言ってますし、志は立派だと思うのですが、シルエット+ギミック+デザイン、で魅力的なキャラクターを想像するには(『武装錬金』のキャラデザにはその辺り、苦慮の後が色々窺えて応援はしてあげたいのですが)、例えば、内藤泰弘ぐらいの能力が無いと成立しえないわけで。
自分の得意技は得意技としてもう一度見つめ直した上で、再びマンガ描いてほしいです和月さんには。武器は武器、チャレンジはチャレンジというか。うまく融合点を見つけてほしいです。基本的には応援しているんで、和月。追いつめられた時の壊れっぷりに同族意識を感じるから(笑)