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『アイアンマン』見てきました


アメリカを代表する軍事企業の社長であり、自らも天才的な発明家であるトニー・スタークは、アフガニスタンでの新兵器のデモンストレーションに立ち合った帰路、テロ集団の襲撃を受けて拉致されてしまう。加えて、襲撃の際に心臓近くにミサイルの破片を受けて瀕死の重傷を負ったトニーだったが、同じくテロ集団に監禁されていたインセン博士により人工心臓の移植治療を受け、一命を取り留める。
一味の脅迫を受け、最新鋭のミサイル兵器の開発を強制させられる事になったトニーは、インセンと共にアジトを脱出するべく、ミサイルの代わりにある物を作り始めるのだった――。
マーベル・コミックス原作の、アメコミヒーロー映画。
大雑把に言うと、金持ちで天才発明家の社長が、空飛ぶパワードスーツで大暴れ、という話。
私好みのバカアクション映画を期待していたのですが、役者をしっかり揃えた事もあってか、思いの他しっかりとした造りで、予想以上に楽しめました。私だけ楽しいかと思ったら、一緒に見に行った人もそれなりに楽しかったみたいですし。
クロスオーパー企画を念頭にしているという事や、シリーズ化を期待してのフリとかも例のごとくありますが、まあ、許せる範囲。アクション映画としては手堅い造りで、割と満足。
最初の、主人公の金持ちっぷりと適当っぷりの見せ方の巧さから来て、パワードスーツ作成時の細かい描写とか、その際にそこかしこに盛り込まれたユーモアなどは特に秀逸。スーツ作成の描写は、造っている方も楽しそうな雰囲気でした。後、当然それなりにCGも駆使しているとは思うのですが、アプローチが実写的なのも、泥臭い映像が好きな私好みでありました。実際、スーツはちゃんと造って着て演技した模様。
ラストバトルが微妙に盛り上がりきらなかったり、序盤のテロ一味さん達の行動に色々とツッコミ所が多かったりもしますが、あまり余計なツッコミは入れないのが、この映画の正しい見方ではないかと思います。
でも、自宅の地下(?)とはいえ、ガラス張りで中もろ見えな上に、秘書さんとかは入れる場所でパワードスーツ造るな! というのはツッコミ待ちだと思うから、突っ込みたい。その研究室に、コレクションの車とか置いてある辺りの小道具の使い方なんかも、巧いのですが。そーいう、細かいディテール造りの巧さが光る作品、というか、原作出版社が制作に入っているという事も加えて、好きで造っている、という事なのかなぁこれが。
で、この映画で一番巧いのは、秘書の人が美人すぎない事でないかと。
それによって、プレイボーイの主人公が決して選りどりみどりの中から顔で選んだわけでなく、能力とか人格を踏まえた上で信頼を持って接している、というのがビジュアル的に伝わってくるというのは、良かった。
しかし毎度毎度思うのですが、どうしてメリケンリバイバル・ヒーロー物の方が、本邦のリバイバル・ヒーロー物よりむしろ、特撮魂に溢れているのでしょうか。
これ、謎。
手堅く造った上で、オサレとスタイリッシュを混同しないで、ちゃんとヒーロー物造るセンスは、明らかにアメリカ人の方が上で、日本的特撮ヒーローを愛する身としては、やや忸怩たるものがないでもない。
後これ見ていると、アメコミ・ヒーローの後は、スペオペ・ヒーローの実写化ブームとか来ないかなぁ、とかつい思ってしまいます(笑) 『キャプテンフューチャー』の実写映画化とか、このぐらいのクオリティとセンスで出来るなら、見てみたい気がしてくる。向こうは技術者系ヒーロー割といますが、スタークさん(主人公)見ていると、どうもカーティス・ニュートンを思い出す。後、微妙に『闇のイージス』なシーンが二箇所ぐらいあるので、ファンはちょっとニヤニヤできます(笑)
やっぱり、『闇のイージス』はハリウッドに持ち込んで実写化してもらうべきだ。
以下、ネタばれ込みのストーリー感想。
−−−−−
以下、ネタばれ注意。
インセン博士、格好良すぎ。
なんかもう、どこかの組織のエージェントなのではないかというぐらい、インセン博士が格好いい。
原作アメコミにおいても、ベトナム(原作はもともと70年代の作品)で捕まったトニーとともに新兵器開発を要求される学者で、トニーを助けて命を落とすそうなのですが、今作においては今ひとつ何の為に捕まっていたのかわらない上で、手術でトニーの命を救ったり、パワードスーツ開発を手伝ったり、最後にテロ組織に時間稼ぎの為に突撃したり、格好良すぎ。
日本の特撮野郎視点からいくと、秘密結社に捕まって主人公を改造した科学者、の立ち位置なんですが、展開としてもこの辺りはそういう感じ。
で、インセン博士の協力と犠牲の元、遂に起動したパワードスーツでテロ一味に反撃するスペクタクルは今作最初の燃え展開。主人公がホラー映画の怪物の立場みたいな映像で、テロ一味を蹂躙していくのは、やりすぎ感もありますが、溜めが効いている分、爽快でもあります。主人公が、凄いさくさく人を殺しまくりますが(笑) 監禁生活でストレス溜まっていたのか、腕につけた武器が火炎放射器というのも、物凄い。そして容赦なく、テロ一味を燃やしまくり。
このテロ一味さんも、主人公の拉致まではいいとして、「必要な部品はある筈だ」と言って、設備のほとんどない洞穴で最新型のミサイルを造らせようとしたり、監禁場所の中どころか扉のすぐ外にさえ見張りを置かず、監視カメラ越しにミサイルを造っているかどうかの区別もつかないという、ちょっとした面白集団なのですが、もろイスラム系(ただし、架空の混成テロ組織「テン・リングス」という設定)なのが時代か。
この辺り、原作を知らない身としては、現代性の取り入れ方は、うまくやっている方かな、と思いました。あまり踏み込みすぎると重くなりすぎるし、うまく入り口付近で止めた感じ。
しかしこの展開で、『キャプテンフューチャー』を思い出す私はやはり駄目人間なのか(笑)
この後はひたすらスーツ作成がメインになるのですが、割とこう、最初の監禁されながらスーツ造っていた時もそうですが、前振りが長いです。その分、ディテールは細かくて、見ていて面白いので飽きはしないのですが。
完成したスーツでいきなり空を飛び出す辺りは、金持ち大迷惑、という感じ。
アイアンマンのスーツは格好悪いなぁと思っていたのですが(そこが好きなんですが)、予想外に格好良く撮れていました。動いて格好いい、というのは造っている側のセンスがいい証拠。
そして中盤、完成したスーツでテロ一味の占拠している村に乗り込むという見せ場があるのですが、ここでなるほど、あの仮面は、
「正義」の抱えるジレンマと、世界の抱えるままならない現実に対する「憤怒」の表情
なのか、という事が判明する……というのは、日本の特撮野郎の深読みです(笑) 多分、そこまで考えてない。でも個人的にそう見えた所で、この映画は格段に面白くなった。
とはいえ、アメコミ・ヒーロー映画で、残りの時間でワールドワイドな正義の多面性について煩悶しつつ戦うなんて展開はあり得ないよなぁ……と思ったら、案の定、放り投げました(笑)
いや、映画としては正しい構成なんですけど、物凄い勢いで、うっちゃりました。
で、最後は会社乗っ取りを目論む、先代のパートナーである重役と戦うという、いわば「家庭の問題」に落とし込むあたりが、いかにもまあ、アメリカン。
このラストバトルが、微妙に盛り上がらなかったのは残念。
巨大パワードスーツは、重役の爺さん本人よりも、誰か悪そうな若い人に着てもらいたかった気はします。中身がいい年した爺さん(しかもインテリ系)だと思うと、微妙に盛り上がりきらない。それ抜きでも、ラストバトルはちょっと微妙でしたが。
後まあ、シリーズ化への引きなどもろもろあって、主人公と秘書さんが最後まで微妙な関係のまま終わるというのも、ちょっと物足りない。一つの作品としては、もうちょっと欲しかった。
秘書さんといえば、仕事場からの設定なので仕方ないのですが、最後の方の見せ場で、ヒールにタイトスカートという服装な為に走る事が出来ず、敵から逃げるシーンなのにあまり慌てているように見えなかったのも、緊迫感を削いでちょっと勿体なかった。
まあ、全体としては、なかなか面白かったです。
続編(本国で大ヒットしたので、ほぼ確定の話らしい)にはあんまり興味ないですが。